(続報)大阪府立高校の今年の大学入試結果から、この10年のトップ校の実績を解読する | 作家・土居豊の批評 その他の文章

(続報)大阪府立高校の今年の大学入試結果から、この10年のトップ校の実績を解読する

(続報)大阪府立高校の今年の大学入試結果から、この10年のトップ校の実績を解読する

 

 

※前回記事

(まとめ)今年の大阪府立高校入試と大学入試の結果で、維新の会教育改革失敗が証明された

https://ameblo.jp/takashihara/entry-12450639923.html

 

大阪府立のハイレベル高校、大学入試の結果は維新の会教育改革の失敗を示している

https://ameblo.jp/takashihara/entry-12449967911.html

 

 

上記の記事のように、今年の大阪府立高校の大学入試結果は、トップ10校(文理学科)の躍進、というわけにはいかないことがわかる。その続報だが、今週号の「サンデー毎日」記事が特集する「この10年で伸びた学校」の中にある大阪府立3校が、実は伸びたとはいえないということを解説したい。

 

まず、「伸びた」割合が上位の豊中高校だが、この進学実績をよくみてほしい。

 

※「サンデー毎日」2019年4月14日号特集記事「この10年で伸びた学校」

 

 

10年前と比較して、京都大学が伸びた人数は5人。それに対して、大阪大学の合格者数の伸びが31人だ。

 

 

他にも神戸大、大阪市立大、大阪府立大の伸びが著しい。これは、京都大学の伸びよりも、偏差値でランクが下がる国公立に行く人数が10年前より増えていることを意味している。京都大学が飛躍的に伸びたのではなく、京都大学には手が届かないが、なんとか阪大以下のレベルで実績を伸ばした、ということだ。躍進した、とは言えない。

また、注目すべきは、立命館大学の伸びだ。かつては関関同立の中でも下位ランクといわれた立命館に、10年前より倍以上進学している。これは、豊中高校のレベルがどうこうというより、立命館のランクが上がった、というべきだろう。この立命館への進学数の激増で、結果的に豊中高校出身の進学者合計数が10年前より増えた、ということではないだろうか。

 

次に、茨木高校の場合だが、これは驚くべきことに、10年前より京大進学数が激減している。その分、阪大、大阪府大への進学が増えているのだから、茨木高校としては10年前より進学のランクダウンだと言わざるを得ないだろう。

 

 

また、大手前高校の場合も、京大が減って、阪大が増えている。さらに、10年前は7人も合格していた東京大学が0人になっている。これまた、ランクダウンしたと言えるだろう。

 

 

 

このように、大阪府立高校のハイレベル10校のうち、豊中はなんとか伸びたが、茨木、大手前はダウンしている、という分析ができる。ということは、大阪府立のハイレベル10校のうち、明らかに躍進したのは北野高校ぐらいで、あとの9校は、躍進とはいかず、並行線か、逆に落ちていると考えられよう。

 

 

 

 

結論をいうと、これが維新の会と橋下教育改革の10年の結果なのだ。

大阪の教育に競争原理を導入して、ハイレベルの府立高校10校を、東大京大合格人数激増、躍進させるはずだったのが、結果的には、北野高校以外は、躍進とはいえない進学実績になっている。

それでも、北野一校だけでも躍進したら良い、という判断もあるかもしれない。何しろ橋下氏の出身校だ。しかし、そのしわ寄せで、定員割れを起こして統廃合された府立高校があまたあるというのは、果たして引き換えとして見合う結果だろうか? 

ほんの一握りの高学力生徒が京大に行く引き換えに、大多数の生徒が不本意な進学、進路選択をするとしたら、競争原理を導入した教育改革は成功したといえるだろうか?

多くの中堅高校が統廃合され、倍率が上がったせいで大量の中堅層の受験生が落ち、不本意ながら私立の併願高校に進学している。その多数の不本意な進路の生徒の犠牲の上に、ほんの一握りの京大進学者がいる。これが、大阪の住民の望んだ教育改革だったと、胸を張れるのだろうか?

維新の会が強行した大阪の教育改革は、見事に失敗した、というのが、結論だと私は考えるのだ。

 

 

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