大阪府立高校の受験、その後(維新の会の教育改革の結果、大阪の教育は確実に悪化) | 作家・土居豊の批評 その他の文章

大阪府立高校の受験、その後(維新の会の教育改革の結果、大阪の教育は確実に悪化)

大阪府立高校の受験、その後(維新の会の教育改革の結果、大阪の教育は確実に悪化)

 

※参考記事

https://www.sankei.com/west/news/190320/wst1903200006-n1.html

 

《府内の公立高校で19日、一般選抜入試の合格発表が行われ、3万8110人が合格した。》

 

 

 

ついに、大阪府知事と大阪市長の入れ替えというふざけた方法による、ダブルクロス選挙が始まってしまった。

維新の会の大阪府政・市政はこの8年間、大阪の住人を痛めつけた。具体的には教育行政の大失敗、住人の敵味方分断、府政市政独占による大阪の街の品格失墜、経済失墜、ネタに走る政治感覚による大阪のイメージ失墜、極端なイデオロギー信仰による大阪の信頼失墜、などなど。

色々言いたいことはあるが、維新の会が大阪を牛耳ったこの8年間、間違いなく教育改革は失敗し、大阪の子供達は散々な目にあっている。

中でも深刻なのは、橋下府知事時代から導入された競争原理による教育制度改革の大失敗。

これまで繰り返し主張しているが、今や大阪の公立高校入試は、一部のハイレベル高校に資金と人材を集中するために、他の大多数の学校が定員割れなどで統廃合されつつある。

以前は、大多数の中堅どころの公立高校に、平均的に生徒が配分されていた。それが、トップ高校とその他大多数に分断されていった。その流れは、最初、橋下氏のいう競争原理で公立高校から有名大学へ進学を増やすという目標から始まった。ところが、その結果は奇妙なことになりつつある。以前なら、安定して合格者数がまとまっていたはずの中堅どころの公立高校で、大量に入試に落ちている。落ちた生徒は併願の私立高校に行くしかないのだが、ここでまた奇妙な事態が生じてきた。橋下府政の間、私立高校の授業料無償化をしたのだが、そのせいで、以前は公立中堅高校に入っていた層の生徒が、現在は多数、中堅私立に流れているのだ。維新の会の教育改革の結果、大多数の中堅公立高校に行けるはずの生徒が、どういうわけか中堅私立校へ流れている。並行して、生徒が集まらず定員割れを起こした高校は統廃合で潰していった。

つまり、中堅校やいわゆる底辺校を統廃合でどんどん潰し、その代わりに税金を投入して中堅私立を延命させていることになるのだ。

一方で、肝心のハイレベル高の方はどうかというと、橋下氏が知事時代に目論んだほどには、有名大学への進学実績が伸びていない。せっかく学区をなくして府下全域から選りすぐったはずのハイレベル高校の生徒も、どうやら伸び悩んでいる。

これは結局、8年間経って橋下・維新の会の教育改革は失敗という結論が出たということではなかろうか。

 

さらに深刻なのは、上記記事にあるように、公立高校入試の二次募集が多くなっていることだ。

例えば、

全日制普通科では、募集人数の多い方から、

島本(90人)

勝山(74人)

茨田(62人)

などとなっている。

中でも、生徒指導による生徒の頭髪黒染めで裁判になった懐風館高校も、13人募集、つまり定員割れなのだ。

これは、もはや校則を厳しくして学校の評判をあげようという苦肉の策も通じなくなったということだ。中堅から下の高校はどんどん定員割れで、統廃合されていく。

また、以前は大阪府の教育の目玉だったはずの総合学科の高校も、今や見る影もない。

柴島(7人)、大正白稜(38人)、福井(35人)、枚岡樟風(29人)、と定員割れが目立つ。

中でも注目すべきは、

豊中能勢分校の総合学科の二次募集42人だ。この分校は、大阪府能勢町という山間部にあったかつての能勢高校が、豊中高校の分校として合体したもので、いわば生き残り策だったはずだ。能勢に行けば名門・豊中高校と同じ学校に入ったことになり、これはお得な話だと受験生が集まるはずだったのだろう。結果は、大量の定員割れで、能勢分校が今後、どうなっていくのか、見通しが立たない。

また、これも維新の会の教育改革の目玉だった、低学力の生徒を学力補強して一定以上の学力をつけさせる目的のエンパワメントスクールだが、こちらも定員割れだ。

西成11人、箕面東15人、岬70人。

せっかく作った学力補強のための高校も、この人数の定員割れでは、やはり統廃合するのだろうか。

ハイレベルの方も、中堅レベルの方も、低学力の方も、維新の会の教育政策は無残に失敗している。

この失敗のツケは、たまたま維新の会の牛耳るこの時代に大阪に生まれ合わせた子供達が、将来支払わされるのだ。

これで結果は出たのだから、維新の会の教育はもうこりごりだ。早く維新の会の支配を終わらせて、少なくとも以前のような平均的なレベルの教育をより多くの子供達が受けられるような府政・市政に変えてほしい。

 

 

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