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藤巻隆(ふじまき・たかし)オフィシャルブログ

私のテーマは6つあります。
(1)ビジネス書の紹介(2)医療問題 (3)自分ブランド力
(4)名言 (5)ランキング (6)ICT(情報通信技術)
このブログでは、主に(1)~(4)を扱っています。
(5)と(6)はそれぞれ別のタイトルで運営しています。

『お金の流れが変わった!』
新興国が動かす世界経済の新ルール
PHP研究所 2011年1月5日 第1版第1刷







<目次>
第1章 超大国「G2」の黄昏
 Ⅰアメリカ-「唯一の大国」はいかにして崩壊したか
 Ⅱ中国-バブル崩壊はいつやってくるか

第2章 お金の流れが変わった!
 Ⅰ「ホームレス・マネー」に翻弄される世界
 ⅡEU-帝国拡大から防衛のシナリオ
 Ⅲ新興国ー21世紀の世界経済の寵児

第3章 21世紀の新パラダイムと日本
 Ⅰマクロ経済政策はもう効かない
 Ⅱ市場が日本を見限る日
第4章 新興国市場とホームレス・マネー活用戦略
 Ⅰ新興国で成功するための発想
 Ⅱ日本経済再成長の処方箋




ロンドン・オリンピックで日本選手の活躍が、
毎日報道されています。
 
2012年8月6日現在、日本の金メダルは2つです。
女子柔道の松本薫選手と、男子体操個人総合の
内村航平選手が金メダルを獲得しました。

メダル総数で前回大会(北京オリンピック)を
上回ることは確実です。

なでしこジャパンがフランスに勝ち、いよいよ米国
との決勝戦に立ち向かうことになりました。

男子U-23も7日17時(現地時間、日本時間8日
午前1時)に強敵メキシコと決勝進出をかけ戦います。
44年ぶりのメダル獲得に向け、非常にモチベーション
が高まっていると思います。

懸念材料は、エジプト戦で先取点を挙げた永井選手
が左足の負傷で出場が危ぶまれていることです。
永井選手は日本チームにとって欠かすことのできない
選手ですから、先発出場は無理でも、ここという場面で
ピッチに立ってもらいたいものです。

そして男女とも金メダルを取ってもらいたい、
と願っています。



 
Ⅲ新興国ー21世紀の世界経済の寵児


ユーロ圏の不安は一向に払拭されていません。
スペイン情勢の動向に為替や株式が上下動を
繰り返しています。
上振れ、下振れともリスクですから、
いかにリスクヘッジするかは、
各国金融関係者の知恵と腕の見せ所です。
 

では、本題に戻りましょう。

しばらく前まで、BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)
が新興国として注目されましたが、
今ではVIP(ヴェトナム、インドネシア、フィリピン)
とかVITAMIN(ヴェトナム、インドネシア、タイとトルコ、
アルゼンチンと南アフリカ、メキシコ、イランとイラク、
ナイジェリア)が新・新興国と言われています。

大前研一さんは、これらの新・新興国を一般の評論家
とは別の視点で捉えています。 





 BRICsやVITAMINに代表される新興国は、

 5000万人以上の巨大な人口を抱え、

 平均年齢が25から30歳前半である。

 低賃金ではあるが優秀な頭脳、

 または勤労意欲を持つ国々なのである。

 人材に恵まれていても政治が貧困で

 国内に雇用機会がなかったインド、

 フィリピン、コロンビア、トルコなどの国が

 ここに入ってきたのは、ひとたび政治と経済

 が安定し、経済成長の兆しが出てくると、

 出稼ぎに行っていた人材が大挙して戻って

 くるからだ。

 彼らは語学力があるうえに、先進国で教育を

 受けたり、就業経験があったりして、

 経済発展の要になりうる。

               
(今日の名言 06  通算 502 )





世界の金の流れが変わった理由を、
次のように説明しています。




 21世紀になって世界のカネの流れが変わった。

 その最大の理由は、(高齢化する)先進国や

 (高騰する石油で)OPECに過剰な資金が貯まる

 一方、自国では富を生み出さないどころか、

 目先の景気回復策と称してゼロ金利や低金利

 にしてしまっているからである。

 住むのは安全・安心な先進国、資金の運用は

 発展著(いちじる)しい新興国、という流れが

 この5年間くらいのあいだに定着してきたのである。

                
(今日の名言 07  通算 503 )






新・新興国の中のインドネシアについて、
面白い調査結果があるそうです。

それは「インドネシアで『世界でいちばん
好きな国はどこか』というアンケート調査をすると、
75パーセントは『日本』をあげるという。

2位がアメリカンの30パーセントだから、
まさに断トツである。
第二次大戦の最中、日本がオランダからの
独立を加速させたことや、戦後いち早くODAを行い、
日本企業が進出して雇用を創出したことなどが、
その背景にあるという」
ということです。







以上の記事を書いたのは、2012年8月7日のことです。


VITAMINの一角を占めるインドネシアについて、
『日経ビジネス』が特集を組んだことがあります。


インドネシアには親日家が多いという話がありますが、
必ずしもそうではないことが書かれています。


「日経ビジネスの特集記事」という私のブログから、
『日経ビジネス』がインドネシアを特集した当時の
記事の一部をご紹介します。




「今号の日経ビジネスはそんなイメージを払拭する

 内容です。

 今週の特集記事を読んで2つのキーワードに着目

 しました。

 『多様性(ダイバーシティ)』と『変質』です。

 まず、多様性についてお話しましょう。

 1人当りGRDP(域内総生産)の比較を見て
 
 みましょう。

 首都ジャカルタは1万46ドルですが、

 北マルクという地域はわずか570ドルです。

 1人当りの格差は、実に17.6倍にもなっています」




「5つの先入観とは?

 1 インドネシアはBOP(Bottom Of the Pyramid、
   ピラミッドの底辺)市場である

 2 インドネシアは人件費は安い

 3 インドネシアは親日国である

 4 インドネシアはイスラム国家である

 5 インドネシアは資源国である


 
 自動車や2輪、日用品、飲料などの多くの日本製品が
 愛されている。

 しかし、「親日」とは限らないし、「親中国ではない」
 という意味でもないのです。外交において多様性が
重視されています」



「『変質』に話を戻しますと、インドネシア商工会議所
 (KADIN)・インドネシア委員会のソニー・ハルソノ
 委員長が述べた言葉が象徴的です。

 『昔のインドネシア人は、日本人に会えばニコニコして
 頭を下げて話を聞いた。だが、そんな時代はもう
変わった。私たちも言うべきことを言う』

 丸紅からインドネシア財閥・シナルマスグループに
転じた小林一則専務はこう語っています。

 『かつて日本は、インドネシアにとっていい『親』
だった。日本は、様々な技術をインドネシアに教えた。
でももうインドネシアは成長して一人前になった。
 これからは教えるのではなく、彼らがどうなりたいのか
をよく『聞く』姿勢が大切だ』」



インドネシアに対するイメージが変わったのではない
でしょうか?



ちなみに、BOPは現在では、Base Of the Pyramid と
いうそうです。「ピラミッドの底辺」よりも「ピラミッドの
土台」と表現したほうがピラミッドを支えるという意味を
強調でき、ベターだろうということです。


語感の問題で、中身は何も変わらないですが・・・



詳細は → 下記のリンクでご覧ください。

日経ビジネスの特集記事(2)
インドネシア 覚醒する「未完の大国」(1)



日経ビジネスの特集記事(2)
インドネシア 覚醒する「未完の大国」(2)



日経ビジネスの特集記事(2)
インドネシア 覚醒する「未完の大国」(3)











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本当に役に立つビジネス書
<このページでは、『日経ビジネス』の特集記事の
概要紹介と、管理人のコメントを掲載しています>



日経ビジネスの特集記事(110)

孤高の製造業
ファナック
利益率40%を生む異様な経営

2015.06.08


テーマ

今週の特集記事のテーマは

世界シェア8割の商品を持ち、営業利益率40%という
最強製造業。
それが今、株式市場を沸かせる産業用ロボットメーカー、
ファナックだ。
米アップルや独自動車大手も、ファナック無しでは
成り立たない。
極端に少ない情報開示から、実態はベールに包まれて
きたが、最大80%という大胆な株主還元策を打ち出し、
話題の中心に躍り出た。
富士通の傍流部門から始まったファナックが、
なぜここまで強くなったのか。
あえて常識の逆を行く、異様なビジネスモデルが
そこにはあった。

 (『日経ビジネス』 2015.06.08 号 P.026)

ということです。






孤高の製造業<br />ファナック<br />利益率40%を生む異様な経営

孤高の製造業
ファナック
利益率40%を生む異様な経営

(『日経ビジネス』 2015.06.08 号 表紙)
「日経ビジネスDigital」 2015.06.08




今特集のスタートページ

今特集のスタートページ

(『日経ビジネス』 2015.06.08号 PP.026-027)
「日経ビジネスDigital」 2015.06.08







第1回は、
「PROLOGUE 利益の最大8割を株主還元
 満額回答に隠された真意」
を取り上げました。


第2回は、
「PART1 あえて常識の逆を行く
 『異様』なのにはワケがある」
を取り上げました。


最終回は、
「PART2 偉大な父との葛藤
 カリスマを継ぐ『雑用係』の意地」
「PART3 稲葉善治社長が独白
 創業者がいなくても勝ち続ける」
 
をご紹介します。




今特集のキーワードは次の5つです。

キーワード

 株主還元 
 黄色いロボット 
 高収益 
 カリスマとの葛藤 
 永続性 



今週号の表紙と特集の写真をご覧になって、
お気づきの点があると思います。

ロボットの色が黄色であることです。


黄色は、ファナックのコーポレートカラーであり、
「戦いの色」だそうです。


今年になって、緑のロボットを発売したそうです。
緑はエコカラーです。


黄色いロボットと緑のロボットの違いは、
何でしょうか?


黄色いロボットは、ロボット単独で動きます。
黄色いロボットが動いている時には、
人は近づけません。危険だからです。


一方、緑のロボットは人と一緒に作業をします。
仮にロボットアームが人にぶつかっても安全
です。なぜなら、人に接触した瞬間に停止する
ようになっているからです。


ファナックという社名には、馴染みがないかも
しれません。BtoB(企業向けビジネス)の会社
だからです。


一般人が製品を目にすることが殆どないから
です。


NC(数値制御)装置や産業ロボットメーカーとして、
国内外で圧倒的な地位を築いています。


ファナックは、当初は富士通ファナックでした。
富士通の一部門に過ぎず、しかも傍流でした。


その後、富士通ファナックは富士通から独立し、
ファナックとなりました。


ファナックの創業者は、富士通でNC装置やロボット
部門の責任者であった、稲葉清右衛門氏です。
カリスマと言われています。


ファナックは高業績企業です。


その一端をご覧ください。


グラフ1

ファナックは飛び抜けている<br />・主要製造業と競合各社の売上高営業利益率

ファナックは飛び抜けている
・主要製造業と競合各社の売上高営業利益率

(『日経ビジネス』 2015.06.08号 P.027)
「日経ビジネスDigital」 2015.06.08



グラフ2

高い利益率を誇る<br />・ファナックの売上高と営業利益率、<br />東証1部上場製造業の営業利益率

高い利益率を誇る
・ファナックの売上高と営業利益率、
東証1部上場製造業の営業利益率

(『日経ビジネス』 2015.06.08号 P.027)
「日経ビジネスDigital」 2015.06.08






では、本題に入りましょう!


 PART2 偉大な父との葛藤 
 カリスマを継ぐ「雑用係」の意地 


ファナックを語る時、実質的な創業者、稲葉清右衛門氏に
触れないわけにはいきません。


今年(2015)、90歳になるそうです。
すでに引退されていますが、彼の精神はファナックの隅々
にまで浸透しています。


カリスマであっただけに、社内に大きな問題を抱えていました。


 ファナックは清右衞門が作り上げた会社だ。

 日本が高度成長期に差し掛かろうとしていた56年、

 富士通の技術者として、工作機械の動きを制御する

 「NC(数値制御)装置」の開発に成功したのが全ての

 始まりだった。

 NC装置の専業メーカーとして富士通から分離独立

 したのが72年のこと。清右衛門はその3年後に社長に

 就任すると、米ゼネラル・モーターズなど世界大手との

 提携に奔走しながら、自らの「教義」でファナックを染め

 上げていった。
 

  (P.036)





実質的な創業者、稲葉 清右衛門 氏

(『日経ビジネス』 2015.06.08号 P.030)
「日経ビジネスDigital」 2015.06.08





清右衛門氏のエピソードが語られます。
「厳しさ」が感じとれる内容です。


 利益に対する執着は並大抵ではなく、

 「万が一、赤字でも出そうものなら、黒字になるまで

 いじめられた」とファナックのあるOBは振り返る。

 規律が乱れぬように目を光らせ、信賞必罰を徹底

 していた。NECや沖電気工業といった競合が続々と

 脱落していく中で、ファナックは世界シェア5割の企業

 へと駆け上がっていった。
 

  (P.037)



海外の取引先にとっても、
ファナックは、「ドクターS(清右衛門)・イナバ」の会社
と見なされていたようです。



 「ドクターS(清右衞門)・イナバの会社だ」。

 2000年代に入ってもなお、インドの工作機械メーカー

 首脳はそう、ファナックを評していた。

 時の社長が誰であろうと、顧客も仕入れ先も社員も皆、

 清右衛門を見ていた。

 実際に、ファナックの最終的な意思決定はすべて、

 清右衛門が下していた。
 

  (P.037)



20年以上前から、「高収益企業」でした。


 1983年に東証1部に上場して以降の売上高営業利益率

 は平均で31%。リーマンショック後、機械メーカーが軒並み

 赤字に沈んだ2010年3月期でも、ファナックは21.7%の営業

 利益率を守り抜いた。誰の目から見ても、清右衛門は「最強

 の製造業」を率いるカリスマだった。
 

  (P.037)




表1

独自の「教義」で高収益企業を築いた

独自の「教義」で高収益企業を築いた

(『日経ビジネス』 2015.06.08号 P.037)
「日経ビジネスDigital」 2015.06.08




最強の製造業であっても、企業が大きくなり、
経営者が末端の社員まで目が行き届かなく
なってくると、綻びが生じてきます。


長年の垢が溜まってきた、とも言えます。
取引先から「ファナックがおかしい」という声が
聞こえ始めます。


 「ファナックがおかしい」。2010年代に入ってから、

 NC装置の顧客である日本の工作機械メーカーから、

 こんなボヤキが聞こえるようになった。


 新商品が出てくるペースが鈍っていた。

 不満を抱くようになった大口顧客のDMG森精機は、

 過半を占めていたファナックからのNC装置の購入

 比率を一時、ぐっと引き下げた。


 iPhoneの筐体を削るロボドリルの特需と、元来の強い

 ビジネスモデルが覆い隠してはいたが、ロボットや

 加工機の分野でも、競合メーカーからの遅れがちらほら

 と出始めていた。販売の最前線にいるファナック社員が

 異変に気が付いていなかったわけではないのに、

 すぐに手を打てなかった。
 

  (PP.037-038)



カリスマ経営者が陥りがちな状況です。
すべてトップダウンで決定・指示するため、
下の者は指示待ちになってしまうのです。


指示を無視して行動しようものなら、
雷が落ち、自ら行動することができなく
なってしまうのです。


 それが、超ワンマンの限界だった。

 ファナックはひとたび清右衛門が決めてしまえば、

 ものすごいスピードで動く組織だ。

 東日本大震災でマイコンの調達が滞るや否や、

 NC装置の設計を、そのマイコンが不要なように変更

 して世界への供給責任を果たした。

 だが、彼が決定しない限り、物事は一向に前に進まない。

 現場からの技術改良の提案に対し、「何でこんな物を

 作るんだ」と怒鳴り散らすこともあった。

 停滞の兆しが表れていた。
 

  (P.038)




経営陣




(『日経ビジネス』 2015.06.08号 P.038)
「日経ビジネスDigital」 2015.06.08





(『日経ビジネス』 2015.06.08号 P.039)
「日経ビジネスDigital」 2015.06.08





このような状況になってきても、
「猫の首に鈴をつける」
ことができませんでした。


最後は、清右衛門氏の息子である、
現社長、善治氏が引退を進言するしか、
選択肢は残されていませんでした。
そこに至るまでには長い年月が必要でした。


 長きにわたる独裁で社員は萎縮し、清右衛門の指示を

 じっと待つばかり。そんなファナックと清右衛門の姿を、

 悶々としながら見ていたのが、息子で現社長の稲葉善治

 だった。

 大学を卒業後、最初に入社したいすゞ自動車で一生働く

 つもりだった善治は35歳の時、当時いすゞの社長だった

 岡本利雄と清右衞門の取り決めでファナックに引きずり

 込まれた。


 2003年に社長に就いた後も、父の陰の存在であることに、

 変わりはなかった。「決められない社長だ」と社内外で

 揶揄されながらも、「創業者」を引き立てることがファナック

 の繁栄にとって最善なのだと、ぐっと耐えてきた。

 だからこそ、目立ち始めた父の判断の遅れや誤りに、

 誰よりもいら立っていた。

 ファナックのビジネスモデルは緻密に組み上げられている

 ため、どこかが綻ぶと一気に瓦解しかねない。

 「今のままでは、ファナックを100年、200年と続く企業にする

 ことはできない」。

 富士山麓に帝国を作り上げた頃の父と同じ、60代半ばに

 なった2013年夏、善治は心を固める。清右衛門に引退を

 求めたのだ。
 

  (PP.038-039)


親子であるがゆえに、葛藤は相当なもので
あったろう、と想像されますが、実際には、
外部からは窺い知ることはできません。


引退の時期は、自ら決めなければなりませんが、
それが最も難しいことなのかもしれません。


いつかは自分も引退しなくてはならない、
と頭の中では理解しているつもりでも、
カリスマゆえに、引退の時期を先延ばししてきた、
というのが実情でしょう。


誰かに背中を押してもらう必要があったのです。


 メディアに対してさえ、「ファナックは生きがい」と

 言ってはばからぬ父だ。めっぽう気が強く、

 ゼロか100かしかない性格だということは誰よりも

 よく知っていた。案の定、父は最初、反論した。

 だが、最後は息子の意思を受け入れた。

 世代交代の必要性は、清右衛門本人も強く感じて

 いたに違いない。

 でも、自分からは表舞台を降りられなかった。

 息子に諭されて、ようやく最後の決断に踏み切れた

 のだ。
 

  (P.039)



善治氏も、これで一つの仕事を成し遂げた、
という気持ちになったのかもしれません。
吹っ切れたのです。


引退勧告以後、ファナックは先代の方針から
大きく舵を切ります。


カリスマ経営ではなく、集団経営への移行です。


しかも、部門責任者である取締役に大幅な権限
委譲をしました。


善治氏によれば、「プロに任せ、自分は雑用係に
徹する」ということになります。


 2013年10月15日、善治は3人の副社長を、

 代表取締役に引き上げた。

 同時に、ロボットやNC装置、産業機械と

 いった商品ごとの事業本部へと、組織を

 再編した。

  「停滞を打破する」という善治の姿勢は

 明快だった。目指したのが、1人のカリスマ

 に頼らない企業づくりである。

 この日を境に、ファナックの役員たちの動き

 はがらりと変化した。

 15分で終わっていた役員会は1~2時間、

 続くようになった。

 清右衞門の「鶴の一声」を聞く場ではなく、

 議論をする場に変わったからだ。
 

  (P.039)



栃木県壬生町の70万平方メートルの土地を
購入することを決めるために動いたのは、
金庫番である副社長の権田与志広氏と、
製造統括の副社長、山口賢治氏でした。


 わずか4カ月後の9月には栃木県知事の福田富一と

 善治が並んで、握手を交わしていた。

 投資額は1000億円。

 栃木県では本田技術研究所が進出した1980年代

 以来という、30年ぶりの大規模案件だ。

 善治は「1日遅れで(土地の一部だけ買われて)

 『虫食い』になったら最悪だぞ」とハッパをかけこそ

 したが、主導したのは副社長たちだ。

 「私は決めない。最後はその事業の責任者の意見

 が一番重要です」と言い切る善治らしさが鮮明に

 表れた一件だった。
 

  (P.040)



気になることは、清右衛門氏は息子の善治氏に
後継者としてカリスマ経営を続けて欲しかったので
はないか、ということです。


しかし、善治氏は父親のやり方を否定しました。


 善治はワンマンだった父親とは正反対のリーダー

 になることをあえて、選んだ。

 「規模が小さかった昔はワンマン経営でよかった

 かもしれないが、今は最前線のみんなの意見を

 結集しなければ、速く正しく動けない」という思いが

 あるからだ。事業の責任者に決断を委ねることで、

 いずれは自分の立場を受け継ぎ、次の「雑用係」

 になれる人材を育てようという意図もある。
 

  (P.040)




緑のロボット

緑のロボットを販売したことは、父親とは異なる
方向性を打ち出した象徴と言えるかもしれません。


なぜなら、清右衛門氏は産業ロボットは人間と
一緒に働くことを全く想定していなかったからです。


緑のロボットは、人間と一緒に作業するロボットです。
根本から発想が違います。


 ファナックの根幹である研究開発にも変化の兆し

 が見え始めた。象徴が、柵を隔てずに人と一緒に

 働くことができる「緑のロボット」だ。

 外側がスポンジで覆われており、人が触れると

 止まるため、作業員のすぐそばに置いても危険が

 少ない。

 守り抜いてきた企業カラーの黄色を逸脱しているし、

 「ロボットは人とは別の場所で働くものだ」と語って

 いた清右衛門の考え方にはそぐわない。
 

  (P.040)



時代の流れがあります。
世界中の顧客の求める技術が変わったからです。


 求められる技術は変わった。生産設備や製品、

 人間がネットでつながるドイツの「インダストリー4.0」や、

 米国の「インダストリアルインターネット」。

 こうしたモノ作りの革命が進めば、人とロボットが

 同じ生産ラインで協力しながら働く場面が増えていく。

 「ラストチャンスだった」と善治は言う。

 もう少し遅れれば、ファナック抜きで市場が確立され

 かねなかった。だから、あえて父の教義を踏み越えた。

 今、以前よりも明らかに社員は明るくなり、自らの意見

 を口にするようになった。
 

  (PP.040-041)




柵がいらず、人と一緒に働くことが<br />できる「緑のロボット」

柵がいらず、人と一緒に働くことが
できる「緑のロボット」

(『日経ビジネス』 2015.06.08号 P.041)
「日経ビジネスDigital」 2015.06.08




善治氏が進んでいこうとする道はどこなの
でしょうか?


キーワード

原点復帰

原点回帰という言葉はよく見にしますが、
原点復帰はどのような意味でしょうか?


 善治にとって、今やっていることはファナックの

 「原点復帰」なのだそうだ。

 原点復帰とは、機械制御の分野で使う専門用語だ。

 例えば、工作機械が部品を精緻に削ることができる

 のは、原点に対して今、工具を付けた軸がどの位置

 にあるかを常に把握しているからだ。

 ロボットが定められた点を溶接できるのも、原点に

 対して溶接ガンがどこにあるかを自ら理解しているからだ。

 しかし時折、機械がずれたり、急に電源が切れたりして、

 機械自身、軸の位置を見失ってしまうことがある。

 その場合はいったん、原点に立ち戻る。

 原点復帰は、正確な仕事を続けるために、必要な動作だ。

 ファナックには今、それが求められているという。
 

  (P.041)



ファナックにとって、原点とは「『企業は何のために存在して
いるのか』という、清右衛門が投げかけ続けた問いでは
ないだろうか」(P.041)、と『日経ビジネス』は述べています。




ポイント

「社員がいて、1兆円さえ手元にあれば、
何があったってファナックを再生できる」




これ以上の内部留保は必要ない、
という明確な意思表示をしました。




いよいよ、最後のパートとなりました。
今回は通常より、かなり長くなりました。
もう少し、お付き合いください。


 PART3 稲葉善治社長が独白 
 創業者がいなくても勝ち続ける 

独白ですので、ポイント思われる箇所を
抜粋します。


最後に、私見を書きます。



稲葉善治社長

稲葉善治社長

(『日経ビジネス』 2015.06.08号 PP.042-043)
「日経ビジネスDigital」 2015.06.08






 社員がいて、今の内部留保である1兆円があれば、

 最悪の事態に見舞われても乗り切れる。

 ファナックは復活できる。

 こう考えて、1兆円を超える分を還元することにした

 のです。
 

  (P.042)





 ファナックは「健全な形で永続性を保つ」という意思を

 持っています。そのためには、社会に付加価値を

 生み出して、勝ち続けなければいけません。

 勝ち続けるためには、我々が勝てる市場で、

 戦わなければいけない。

 例えば、(人型など)サービスロボットには手を出しません。
 

  (P.042)





 利益を出し続けるためには、競合他社よりも強くなければ

 いけません。競合他社よりも強くあるためには、強い企業

 体質が必要です。開発、生産、販売、サービス、すべてが

 強くなければいけない。それを役員、社員がどう理解するか。

 理解度が強ければ強いほど、会社は強くなっていきます。

 ファナックの高収益は、企業体質が強いことの証明だと

 考えています。
 

  (P.042)





 私はファナックの伝統、文化がずっと続いていくことを期待

 しています。今やっているのは、そのための「原点復帰」です。

 創業当初の思想は素晴らしいと思うので、基本的に受け継い

 でいく。むしろ、ファナックが大きくなって、ぐちゃぐちゃになって

 しまった部分を、元に戻そうとしています。
 

  (P.042) 





 100年とか200年ではなく、もっと長く、この企業が続くと

 期待をしているんです。

 法人って、「法律上認められた人格」と書きますよね。

 法律の上では、我々人間と同じ存在なんです。

 私たちは生身の人間だから、寿命も体力も限られています。

 けれども法人は、法治国家が続く限り、何千年と永続できる

 可能性を持っている。
 

  (P.043) 





 仕事はプロたちがしていくので、社長は「雑用係」でいい

 のです。雑用係はしょうがないから、矢面に立つ。

 それに、法人ですから、社員や役員は新陳代謝していきます。

 我々の一番大きな責任は、次の世代に健全な形でタスキを

 つなぐことなんです。
 

  (P.043)





 ファナックはパブリックな会社で、誰もオーナーではあり

 ません。

 (株主として)与えられた権利はないんです。

 皆が体制に納得しなければついていかないし、皆が納得して

 ついていく体制を時代に応じて作り続けなければいけない。

 それができている会社は世の中に、それほど多くないと

 思いますよ。
 

  (P.043) 





ポイント

永続性、サステナビリティーを保つ





私見


最初、ファナックは特異な企業である、という印象を持ちました。
ところが、記事を読み進んでいくうちに、考えが変わりました。


利益を上げていくことで、顧客にサービスを提供し続けること
が可能になり、永続性を保つことができる、と考えました。


ファナックが最も恐れるのは、顧客が自社から離れることです。
いつまでも顧客から選び続けられれば、長期的に利益を上げる
ことができます。その利益を顧客や株主に還元することで、
お金がうまく循環していきます。


200年、300年、それ以上に企業が勝ち残った上で、存続させる
ためには、ファナックの企業理念を時代に合わせて調整しながら、
タスキをつないでいくことでしょう。





今特集のキーワードを確認しておきましょう。

キーワード

 株主還元 
 黄色いロボット 
 高収益 
 カリスマとの葛藤 
 永続性 



最後まで読んでいただき、ありがとうございました!





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本当に役に立つビジネス書
『お金の流れが変わった!』
新興国が動かす世界経済の新ルール
PHP研究所 2011年1月5日 第1版第1刷








<目次>
第1章 超大国「G2」の黄昏
 Ⅰアメリカ-「唯一の大国」はいかにして崩壊したか
 Ⅱ中国-バブル崩壊はいつやってくるか

第2章 お金の流れが変わった!
 Ⅰ「ホームレス・マネー」に翻弄される世界
 ⅡEU-帝国拡大から防衛のシナリオ
 Ⅲ新興国ー21世紀の世界経済の寵児

第3章 21世紀の新パラダイムと日本
 Ⅰマクロ経済政策はもう効かない
 Ⅱ市場が日本を見限る日
第4章 新興国市場とホームレス・マネー活用戦略
 Ⅰ新興国で成功するための発想
 Ⅱ日本経済再成長の処方箋





今日(2012年6月26日)午後1時から衆議院で
「社会保障と税の一体改革関連法案」の採決
が始まりました。


与党民主党内で、この法案の賛否で決定的な
分裂が起こっています。


民主党(野田政権)は自民党、公明党との
3党合意に基づき、「社会保障と税の一体改革
法案」の採択を推進していく一方、
小沢元代表を支持するマニフェスト違反の
「消費増税」に反対する立場を崩さず、
双方の動向が注視されていました。


結論は、テレビ報道のとおりです。
賛成378票、反対84票、計462票。


賛成多数で可決されました。
反対が予想を大きく下回りました。
鳩山由紀夫元首相は、数日前まで反対を表明
していましたが、フタを開けると賛成票を
投じました。


言行不一致とはこのことを言うのでしょう。




 
ⅡEU-帝国拡大から防衛のシナリオ


先日、ギリシャについでスペインも、
EUから最大10兆円規模の金融支援を
受けることが決定しました。
これでユーロ危機は終息するのでしょうか?


ポルトガルやイタリアも危機に瀕している、
と言われています。


ギリシャにしても、緊縮財政を条件にEU
からの支援を取り付けたわけですが、
今後も紆余曲折が予想されます。


最終的には、ギリシャはユーロから脱退
せざるをえないのではないか、と思います。



さて、ユーロ危機を予言した学者がいます。


浜矩子同志社大学大学院教授です。


下記の本を読むとユーロ危機の背景がよく
わかります。




ユーロが世界経済を消滅させる日 
ヨーロッパ発!第2次グローバル恐慌から
資産を守る方法 浜矩子





では、本題に戻りましょう。
大前さんはユーロは今後どのような方向へ進んで
いくと考えているのか。





 最大の問題は、投機筋の攻撃に対して

 無防備な点だ。

 ユーロがリーマン・ショック後、

 急激に下落した原因は、実体経済ではなく、

 ヘッジファンドの空売りだった。

 空売りとは「安いときに買って、

 高くなったら売る」通常の取引とは逆に、

 「高いときに売って、安くなってから買う」

 手法で、市場に不安があるときによく使われる。

 ヘッジファンドはヨーロッパの金融不安に乗じて、

 何倍もの倍率でユーロの空売り(売り浴びせ)

 を仕掛けてきた。

 それでユーロの暴落を誘い、安くなったところで

 買い戻して利ざやを稼ごうとしたのである。

                
(今日の名言 04  通算 500 )





こうした状況で、ユーロ圏はどのような対策を
講じるべきなのでしょうか?


この回答の一つは次のことです。




 リーマン・ショック以後、ヘッジファンドに

 してやられつづけている欧州中央銀行は、

 きちんと対策を立てて二度と同じ轍(てつ)を

 踏んではならない。

 そこで金融危機が表面化したときに、

 いち早く流動性を確保して為替市場への介入が

 可能となるように、欧州中央銀行は外貨準備の

 潤沢な日本や中国、さらには石油輸出国機構

 (OPEC)諸国と通貨防衛同盟を結ぶべき

 なのだ。

                
(今日の名言 05  通算 501 )





以上の記事を書いたのは、2012年6月22日のことです。


3年間で、原油関連で大きな変化がありました。
OPECの原油が値下がりしたのです。
一時、1バーレル当たり、130ドルを超えていた原油が、
50ドル程度に大幅に値下がりしました。


それまでは、OPECは減産することで高価格を維持
することが可能でした。


ところが、米国でシェールガスが発見され、採掘される
ことになると、米国は一気にOPECを凌ぐ、石油産出国
に躍り出ました。シェールガスはOPECの原油よりも
安いのです。競争力があります。




WTI価格(1バレルあたり、ドル、1986年1月-、月次)






WTI価格(1バレルあたり、ドル、2007年1月-、月次)



*WTI:原油先物(WTI、アメリカ南部などで産出される
   原油ウェスト・テキサス・インターミディエイト
   (West Texas Intermediate)の先物価格



米国は自動車社会です。国民はシェールガスが発見された
ことで、燃費を気にせずにクルマに乗ることができる、
と期待しました。


もちろん、日本をはじめ、ドイツなどは化石燃料からの
転換を図るべく、HV(ハイブリッド車)やEV(電気自動車)
への開発でしのぎを削っています。


米国でも、イーロン・マスクCEO率いるテスラ・モーターズ
がEVを開発しました。日本各地に充電設備を建設ことを
発表しました。


トヨタ自動車は燃料電池車(Fuel Cell Vehicle、FCV)の
開発を推進しています。具体的には水素自動車です。
究極のゼロ・エミッション(排出ゼロ)と言えます。


しかも、トヨタは1社だけで事業化しても、世界的に見て、
あまり効果が期待できないと判断し、特許をすべて無償で
公開しました。


どの自動車メーカーでも作ることが可能になりました。
普及促進のための選択でした。当然、リスク分散の意味も
あります。


世の中の変化は速く、激しいものです。
昨日までグローバル・スタンダードだった世界が、
今日の世界は全く異なることが現実化しています。
この傾向にますます拍車がかかることでしょう。


トップの決断の速さが事業の、企業の命運を左右する
時代になったと言えます。後出しジャンケンや、
やり直しは通用しません。


洞察力と資金力そして決断力が、カギを握るでしょう。





<参考>

日経ビジネスの特集記事(92)
Jスタンダード ルールは「守る」より「作る」(1)











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<このページでは、『日経ビジネス』の特集記事の
概要紹介と、管理人のコメントを掲載しています>



日経ビジネスの特集記事(110)

孤高の製造業
ファナック
利益率40%を生む異様な経営

2015.06.08



テーマ

今週の特集記事のテーマは

世界シェア8割の商品を持ち、営業利益率40%という
最強製造業。
それが今、株式市場を沸かせる産業用ロボットメーカー、
ファナックだ。
米アップルや独自動車大手も、ファナック無しでは
成り立たない。
極端に少ない情報開示から、実態はベールに包まれて
きたが、最大80%という大胆な株主還元策を打ち出し、
話題の中心に躍り出た。
富士通の傍流部門から始まったファナックが、
なぜここまで強くなったのか。
あえて常識の逆を行く、異様なビジネスモデルが
そこにはあった。

 (『日経ビジネス』 2015.06.08 号 P.026)

ということです。






孤高の製造業<br />ファナック<br />利益率40%を生む異様な経営

孤高の製造業
ファナック
利益率40%を生む異様な経営

(『日経ビジネス』 2015.06.08 号 表紙)
「日経ビジネスDigital」 2015.06.08




今特集のスタートページ

今特集のスタートページ

(『日経ビジネス』 2015.06.08号 PP.026-027)
「日経ビジネスDigital」 2015.06.08







第1回は、
「PROLOGUE 利益の最大8割を株主還元
 満額回答に隠された真意」
を取り上げました。


第2回は、
「PART1 あえて常識の逆を行く
 『異様』なのにはワケがある」
を取り上げます。


最終回は、
「PART2 偉大な父との葛藤
 カリスマを継ぐ『雑用係』の意地」
「PART3 稲葉善治社長が独白
 創業者がいなくても勝ち続ける」
 
をご紹介します。




今特集のキーワードは次の5つです。

キーワード

 株主還元 
 黄色いロボット 
 高収益 
 カリスマとの葛藤 
 永続性 



今週号の表紙と特集の写真をご覧になって、
お気づきの点があると思います。

ロボットの色が黄色であることです。


黄色は、ファナックのコーポレートカラーであり、
「戦いの色」だそうです。


今年になって、緑のロボットを発売したそうです。
緑はエコカラーです。


黄色いロボットと緑のロボットの違いは、
何でしょうか?


黄色いロボットは、ロボット単独で動きます。
黄色いロボットが動いている時には、
人は近づけません。危険だからです。


一方、緑のロボットは人と一緒に作業をします。
仮にロボットアームが人にぶつかっても安全
です。なぜなら、人に接触した瞬間に停止する
ようになっているからです。


ファナックという社名には、馴染みがないかも
しれません。BtoB(企業向けビジネス)の会社
だからです。


一般人が製品を目にすることが殆どないから
です。


NC(数値制御)装置や産業ロボットメーカーとして、
国内外で圧倒的な地位を築いています。


ファナックは、当初は富士通ファナックでした。
富士通の一部門に過ぎず、しかも傍流でした。


その後、富士通ファナックは富士通から独立し、
ファナックとなりました。


ファナックの創業者は、富士通でNC装置やロボット
部門の責任者であった、稲葉清右衛門氏です。
カリスマと言われています。


ファナックは高業績企業です。


その一端をご覧ください。


グラフ1

ファナックは飛び抜けている<br />・主要製造業と競合各社の売上高営業利益率

ファナックは飛び抜けている
・主要製造業と競合各社の売上高営業利益率

(『日経ビジネス』 2015.06.08号 P.027)
「日経ビジネスDigital」 2015.06.08



グラフ2

高い利益率を誇る<br />・ファナックの売上高と営業利益率、<br />東証1部上場製造業の営業利益率

高い利益率を誇る
・ファナックの売上高と営業利益率、
東証1部上場製造業の営業利益率

(『日経ビジネス』 2015.06.08号 P.027)
「日経ビジネスDigital」 2015.06.08






では、本題に入りましょう!


 PART1 あえて常識の逆を行く 
 「異様」なのにはワケがある 


前回、黄色いロボットについて少しだけお伝えしました。
今回は、このロボットについて詳細にお伝えしていきます。


なぜ、高収益企業なのか?

ロボットが超高性能で高価格であるからか?

また、従業員の待遇や生活は他企業とどう異なるのか?


そのような点に注目して、ご覧ください。
きっと驚きの連続となることでしょう。


私自身、今特集を読んで、本当に驚きました。
大金があったら、ファナック株を購入し、長期保有したい、
と心から思いました。


ファナックは、とても魅力的な会社だからです。


まず、独自動車メーカーのフォルクスワーゲンで、
異変が起きているという話からお伝えしていきます。


 独ウォルフスブルクにあるフォルクスワーゲン(VW)

 の本社工場。無骨なオレンジ色のロボットが「腕」を

 器用に動かしながら、小型車「ゴルフ」の車体を組み

 立てていく。

 工場内を埋め尽くすオレンジ色は、ドイツの老舗機械

 メーカー、クーカ(KUKA)製のロボットであることの証しだ。

 しかし、オレンジ一色だった工場にここ数年、異変が

 起きている。鮮やかな黄色のファナック製ロボットが

 目につくようになってきたのだ。

 VWは世界の工場でKUKAを採用してきた。

 ダイムラーやBMWもそうだった。ドイツが世界に誇る

 自動車産業の陰の立役者がKUKAだ。

 その牙城を、ファナックが切り崩し始めた。
 

  (P.030)




下の2枚の画像が、ファナックとクーカの産業用ロボットです。
素人の私には、色以外にどう違うのか、区別がつきません。




(『日経ビジネス』 2015.06.08号 P.030)
「日経ビジネスDigital」 2015.06.08





(『日経ビジネス』 2015.06.08号 P.031)
「日経ビジネスDigital」 2015.06.08




ファナックがクーカの牙城を侵食し始めたきっかけに
ついて、『日経ビジネス』は次のように述べています。
「安さ」がキーポイントです。


 VWが進めている開発・生産改革の中で調達先を

 洗い直したところ、ファナックの優位性が鮮明に

 なったことだった。

 VWの工場担当者は言う。「同じ技術、信頼性、

 品質で比べた時に、KUKAより安かった」。

 VWは明言しないが、1割程度の価格差があった

 とみられる。
 

  (P.030)


価格に1割程度差があったということは大きいですね。
ロボットの納入台数によりますが、納入台数が増えれ
ば増えるほど総額に大きな差が出ます。


 ウォルフスブルクで毎日1700~1800台生産される

 ゴルフのフロアパネルは今、黄色いロボットが組み

 立てている。ファナックがVWへ出荷したロボットは

 既に2000台を数えた。設備コストが1割下がれば、

 自動車メーカーは世界で競争力のある工場を作り

 やすくなる。今後、ドイツ以外のVWの拠点でも導入が

 進む可能性は高い。

  「彼らが優れたロボットを作ったことは認めなくては

  ならない」。KUKAのCFO(最高財務責任者)である

  ピーター・モーネンは言う。
 

  (P.031)



補足説明があります。


 ファナックがドイツでシェアを拡大する最大の理由は、

 VWが言うように「安さ」である。

 製造業では世界でも類を見ないほど高い、売上高

 営業利益率40%を誇るファナック。

 多くの人は、こんな高収益企業はよほど高付加価値

 の製品を、高価格で売っているはずだと想像するだろう。

 だが、ファナックの商品戦略は、その真逆を行く。

 産業用ロボットでも、工作機械の司令塔であるNC

 (数値制御)装置でも、「iPhone」など世界中のスマート

 フォンを削っている加工機「ロボドリル」でも、ファナック

 の製品は競合メーカーより、安い。

 しかも、性能や機能は日本やドイツの競合を上回って

 いるわけではない。
 

  (P.031)



ファナックのロボット納入の理由は「安さ」にあることが、
分かりました。


ですが、安いのにどうして売上高営業利益率が約40%
に達しているのか、疑問ですね?


表1をご覧いただくと分かりますが、売上高営業利益率の
比較で、ファナックは40%に対し、クーカは6~7%程度
しかありません。乖離しています。


その疑問を解く鍵はドイツにはありません。
日本国内にあったのです!



 山梨県忍野村に林立するファナックの黄色い工場群。

 その一つをのぞくと、数台のロボットが自己増殖する

 かのように、自動車工場へ出荷するロボットの腕を

 組み立てていた。部品を削る、バリを取るといった

 機械加工もほとんど、ロボットが手掛ける。

 ファナック副社長の山口賢治は「組み立て工程の8割は

 自動化できており、配線以外は今秋までにロボットで

 できるようになる」と言う。


 他社とは真逆の「少品種大量生産」に徹しているからだ。

 ファナックでは多くの場合、顧客からの単純な特注品の

 申し入れは断る。だが、顧客との会話の中で聞き出した

 情報から、広く通用しそうなニーズを抽出すると、

 そのたびに量産品へ反映させる。

 だから、ファナックの製品は、使い勝手の改善など細かい

 部分も含め、頻繁にマイナーチェンジが繰り返される。
 

  (P.031)



以上の話を聞きますと、汎用品を製造しているように
聞こえますね。そうなると、コモディティー(ありふれた製品)
となり、さらに買い叩かれ利益を削ることになるのでは?


そう考えるのが自然だ、と思いますね。
ですから、これだけでは真意は分かりません。


おそらく、次の説明を聞いても納得出来ないと思います。


 連結売上高の8割超が海外向けであるにもかかわらず、

 全量を国内生産にこだわるのも、日本で一極生産する

 方が、顧客ニーズを早く、量産品に反映しやすいからだ。

 競合メーカーが「地産地消」を旗印に、海外生産を拡大

 しているのとは対照的だ。

 世界中の様々な工場で使われる商品だから、使用環境

 が変わっても壊れにくいことを最重視する。

 「狭い路(みち)を真っ直ぐに」という創業者の「教義」を

 今もかたくなに守り、むやみに最先端技術や畑違いの

 分野には踏み出さない。とがった新技術ではなく、使い慣れた

 技術を用いることで信頼性を高める。あえて平凡な性能に

 しているのだ。

 こうしてNC装置で世界の5割、ロボットで2割、スマホ用加工機

 で8割という高シェア企業になった。顧客の中心が先進国から

 新興国にシフトしても、同じシェアを維持している。
 

  (P.032)




表1


(『日経ビジネス』 2015.06.08号 PP.032-033)
「日経ビジネスDigital」 2015.06.08





ポイント

サービスファースト




 製造業では生産、販売、サービスという優先順位が

 一般的だろう。しかし、社長の稲葉善治は「サービス

 ファースト」と言ってはばからない。


 バンコクにあるファナックのタイ拠点。事務所の大半を

 占める倉庫を訪れると、モーターや電子基板といった

 交換用の部品が山積みになっていた。


 ここでは新規顧客への販売よりも、既存顧客への

 サービスが優先事項だ。ファナックがタイで納めたNC装置

 や機械は約4万5400台。顧客から「調子が悪い」と連絡が

 入ると、総勢32人のサービスエンジニアが部品を持って

 駆けつける。
 

  (P.032)


サービスを最優先にするために、過剰とも言えそうな部品
を在庫しているそうです。


これには明確な理由があります。
顧客をつなぎとめておくためです。
ファナックは、顧客にとってなくてはならない存在になって
いるのです。


 顧客のNC装置が壊れた場合、ファナックはまず、

 顧客の元に駆けつけてこの装置を持ち帰る。

 代わりに別の正常な装置を、顧客の機械に取り付ける。

 壊れたNC装置はファナック社内で直し、ほかの顧客で

 故障があった際、今度はその交換のために持っていく。

 高いシェアを武器に、NC装置が顧客の間を何十年にも

 わたって循環する仕組みを作り上げた。

  「決めているわけじゃないのにファナックから買う比率が

 100%近い」(工作機械中堅ツガミCEOの西嶋尚生)。

 顧客が一度はまったら、抜け出したくなくなるとまで言われる

 類のないビジネスモデルで、高収益を上げてきた。
 

  (P.033)




「逆張り」投資が生む圧倒的な収益

一般的に言われていることは、内部留保を少なくし、
設備投資や株主還元するべきだ、というものです。


ファナックは手元資金が1兆円あります。
企業規模から見ると、過剰とも言える金額です。


それにも明確な理由がありました。


 ファナックは2015年3月期の売上高の1.4倍に上る

 約1兆円の手元資金を抱えている。

 社長の善治は「1兆円あれば、需要縮小や競合の

 攻勢、工場が天変地異に見舞われるなどの危機が

 一遍に来ても対応できる」と、戦略的な資金である

 ことを強調する。

 ファナックが恐れるのは、株価が下落することでも、

 投資家から不興を買うことでもない。

 供給責任を果たせずシェアを落とし、顧客を失うことだ。
 

  (PP.033-034)



世の中には、「顧客第一主義」を標榜している企業は
ゴマンとあります。


ですが、本当に顧客の立場に立って、企業を行なって
いる企業がどれだけあるでしょうか?


とても疑問ですね。顧客を騙し、不正に利益を上げている
企業がなかにはあります。


社訓に掲げていることは、未だ実現できていない、
と考えるのが妥当とさえ思えます。


その点で、ファナックは利益の源泉は顧客にあると定義
しています。ですから、顧客を失うことを恐れているのです。
「サービスファースト」とは、その意思表示をしたもの、
と言えます。


下の表2をご覧ください。
投資家が重要視するROE(自己資本比率)は、
ファナックは16%で、東証1部製造業の平均の2倍です。


収益性(当期利益を売上高で除したもの)が同比較で、
7倍と圧倒的だからです。


ですから、効率性(売上高を総資産で除したもの)や、
財務レバレッジ(総資産を自己資本で除したもの)が
同比較で下回っていても、ROEが2倍を維持できるの
です。


表2


(『日経ビジネス』 2015.06.08号 P.034)
「日経ビジネスDigital」 2015.06.08




ただし、善治社長はROEにこだわっていない、
と明言しています。


その理由は――。

「『投資家と会っている暇があれば、お客さんに会いたい』

 と善治は語る」

サービスファースト = カスタマーファースト、
であるからです。





社員の衣食住 全部ファナック
  
富士山麓に本社・研究所・工場があるファナックで
働く従業員は、どんな待遇でどんな生活を送って
いるのでしょうか?


『日経ビジネス』は、こんな世俗的な関心事にも
取材しました。


仕事は厳しいでしょうが(どこでも同じ?)、
はっきり言って待遇は相当に良いです。


 忍野村で働く約2000人の社員には高学歴の

 理系卒が多い。

 彼らは入社と同時に村での生活を始める。

 35歳の男性社員は振り返る。

 「建物は黄色いし、寮も黄色い。ジャケットも、

 おしぼりも、コップまで黄色い。入社式でもみな

 黄色いジャケットを着ている。どこに迷いこんだ

 のかと不安になった」。

 それでも徐々に「ファナックイエロー」に誇りを

 持つようになる。


 本社施設は49万坪の広大な森に点在。

 黄色い建屋以外は延々と林が続く。

 「午後10時前後まで残業していることが多い。

 仕事はきついです」(30歳)。

 納期の厳守が徹底され、商品開発でも

 スピードが求められる忙しい若手社員が、

 平日に忍野村を抜け出すのは難しい。

 結局、敷地内に用意された黄色い寮と職場とを

 往復する生活が続く。

 「3食とも社食で済ませる人も多い」(同)。


 平均給与は約1000万円と、日本の平均の2倍以上。

 1億円以上の報酬を受け取る取締役数はトヨタ自動車

 の7人(2014年3月期)を上回る10人(同)。

 待遇の良さも求心力の源泉だ。

 それを反映してか、本社地区の駐車場には高級車も

 目に付く。アウディA3に乗っている26歳の社員は、

 休日は恋人と都心までドライブに出かけることが多い

 という。そして平日は黄色い戦場に戻って「命を削って

 働く」(同)。

 常勤取締役はいすゞ自動車にいた社長を除き生え抜き。

 彼らを仰ぎ見ながら若手は「ファナックエリート」へ育ち、

 その「教義」を後輩に伝えていく。
 

  (P.035) 





ポイント

コーポレートカラーの黄色で組織も意思も統一


異様な、あるいは不思議な会社、ファナックの一端を
垣間見た気になりました。


黄色は、交通信号では「注意」を表します。
黄色は明度が最も高い色です。
目につきやすい色です。
汚れも目立つ色です。
いつでも綺麗に保つ必要があります。


光の3原色(RGB、赤、緑、青)の一つです。
原色といえば、知育玩具の LEGO ブロックが原色
でしたね。


また、LEGOと提携した Google のロゴも黄色を含む
原色が特徴です。



LEGO  








今特集のキーワードを確認しておきましょう。

キーワード

 株主還元 
 黄色いロボット 
 高収益 
 カリスマとの葛藤 
 永続性 



最終回は、
「PART2 偉大な父との葛藤
 カリスマを継ぐ『雑用係』の意地」
「PART3 稲葉善治社長が独白
 創業者がいなくても勝ち続ける」
をお伝えします。


ご期待下さい!





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『お金の流れが変わった!』
新興国が動かす世界経済の新ルール
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<目次>
第1章 超大国「G2」の黄昏
 Ⅰアメリカ-「唯一の大国」はいかにして崩壊したか
 Ⅱ中国-バブル崩壊はいつやってくるか

第2章 お金の流れが変わった!
 Ⅰ「ホームレス・マネー」に翻弄される世界

 ⅡEU-帝国拡大から防衛のシナリオ
 Ⅲ新興国ー21世紀の世界経済の寵児

第3章 21世紀の新パラダイムと日本
 Ⅰマクロ経済政策はもう効かない
 Ⅱ市場が日本を見限る日

第4章 新興国市場とホームレス・マネー活用戦略
 Ⅰ新興国で成功するための発想
 Ⅱ日本経済再成長の処方箋




メキシコで開催されたG20が閉幕し、野田首相は今日
(6月20日)帰国しました。


国際舞台でも税制改革を公約し、現政権が責任を
果たすことを明言しました。


民主党内での政策論争が解決していない中で、
民主・自民・公明3党合意をもって強引に消費増税を
推し進めていくのでしょうか?


「社会保障と税の一体改革」は、またもやお題目に
過ぎなかった、ということなのでしょうか?


そうだとすれば、国民に対する裏切り行為と言われても
仕方がありません。


それでなくとも、民主党が自民党から政権を奪還した
際にマニフェスト(政権公約)に消費税増税は書かれ
ていません。


「議員定数削減」や「公務員の人件費削減」、
「1票の格差是正」には全く手を付けず、すべて
先送りしようとしています。


前与党自民党の政策と何ら変わりません。


以前、私が読んだ本の中で、大前研一さんは
「自民党Aと自民党B」という表現をしていました。
民主党は自民党から独立した党ですから何をか
言わんや、ということです。言い得て妙です。




 
第2章 お金の流れが変わった!
 Ⅰ「ホームレス・マネー」に翻弄される世界





この本のタイトルになっている『お金の流れが変わった!』
から大前さんの鋭い指摘を見てみることにしましょう。


「ホームレス・マネー」とは何なのか? 

このマネーの問題点は?

どう対応したらいいのか?

こうした点に注意しながら読んでいきましょう。







 ホームレス・マネーとは、投資先を探して世界を

 さまよっている、不要不急で無責任きわまりない

 お金のことだ。

 その額は、最盛期には約6000兆円にまで

 上ったが、リーマン・ショックで各国の株式市場

 が軒並み暴落し半減。

 現在は約4000兆円にまで回復している。

 (中略)

 ホームレス・マネーはウォール街の(一部は

 ロンドン、エディンバラ、シンガポール、香港

 などにも分散)、わずか600人ほどのファンド

 マネジャーによって組織的に運用されている。

 運用といってもそのじつは、アセット・アロケー

 ション理論に基づいてプログラム売買するにすぎ

 ない。

 いわば彼らは巨額の資金を使ってマネーゲームに

 興じているのである。

 (中略)

 21世紀の世界経済は、ホームレス・マネーという

 神出鬼没の巨大なカネに翻弄(ほんろう)されざる

 をえなくなった。

 もはやマクロ経済政策は旧世紀の遺物といっても

 過言ではない。

 国家はもとより、企業も個人も、このカネの性質と

 流れを正確にとらえなければ、一夜にして泣きを

 見ることになるのである。

                
(今日の名言 03  通算 499 )






ホームレス・マネーについて、次回以降もじっくり
大前さんの考え方を見ていくことにしましょう。





上記記事は2012年6月20日のものです。


大前さんの本を読んでいつも感じることは、
物事の本質を的確に見通す目です。


なぜ、大前さんはこのような鋭い目を持っている
のでしょうか?


私が考えたことは次のとおりです。
大前さんの経歴を振り返ってみることが鍵です。


大前さんは評論家ではありません。
まず、この点に留意するべきでしょう。


大前さんは経営コンサルティングファームとして、
世界最高と言われる米マッキンゼー・アンド・
カンパニーの本社常務を歴任するなど、
頭がキレる人物であることは言うまでもありません。


早稲田大学理工学部を卒業後、東京工業大学大学院
に進み、修士を取得し、日立製作所に入社しました。


日立製作所に勤務していた時に、MIT(マサチュー
セッツ工科大学)に留学し、原子力工学の博士号を
取得しています。


日立製作所時代には、高速増殖炉もんじゅの設計を
していたそうです。ですから原発の危険性を熟知
しています。


その後、日立製作所を退社し、米マッキンゼーに
転職しました。原子力工学の技師から経営コンサル
タントへの華麗な転身でした。


マッキンゼーに勤務して数年して、30代になって
初めて書いた本が、『企業参謀』です。


この本は、現在、講談社文庫に入っていますが、
まさに超一流の経営コンサルタントならではの、
ものの考え方を独自の切り口で語っています。


この本は、その後、英訳され海外で出版され、
米国の大学でテキストとして使われたそうです。


名著だと思います。



大前さんは、年齢が私より一回り(12歳)上です。


私が『企業参謀』を読んだのは30歳頃でしたから、
大前さんは40代になっていました。その頃には
大前さんはすでに著名人でした。


この本のベースになっていることもそうですが、
大前さんは机上の空論を並べるのではなく、
疑問がわいたら、現地に足を運び、自分の五感を
フルに使って徹底的に調べます。


その上で、ロジックを駆使して、独自の考え方を
構築します。他人が書いた本を読んで分かった気
には、決してならないのです。


私はその気になってしまうことが、多々ありますが
(苦笑)。


事実を見て、徹底的に考えて、自分の考え方を提示
します。


大前さんの本を読むと分かりますが、他の人が書いた
同様の内容はほとんどありません。


大前さんは「自調自考自動(自分で調べ、自分で考え、
自ら行動する)」の人です。


なかなか実行することは難しいですが、大前さんを
手本にしています。


今までに何度も書いていますが、大前さんは、
私にとってメンター(師匠)であり、グールー
(思想的指導者)です。


この気持ちは一生変わらないでしょう。







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