学食で
大学会館で目覚めると午前6時。朝日が西の山々を金色に染めている。4畳半の小さな部屋を出て大学へ。コンビニでおにぎりを二つ買った。焼きたらこと梅。230円。
これまで四つ角近くの小さなパン屋さんを利用していたが、この間おにぎりが食べたくなってこのコンビニに寄った。今までどおり賞味期限が朝9時までだったら買うのを辞めようと思った。しかし、午後の5時までとなっている。品数も多い。うん、これならいいだろう。焼き鱈子と梅を買う。230円。
音楽棟のある細道を通って1号館へ。部屋へ入って窓を開けるとひやりとした空気が流れ込んできた。朝の日差しを受けた静かな大学の庭が見える。五月の緑だ。
ポットに水をいれて沸かす。お湯が沸くまで昨日の授業感想プリントに眼を通す。外では、どこかのサークルの早朝練習の声がする。野球部だろうか。
※
お昼は学食へ。12時だと4限終了までにはまだ時間があって食券を購入できる。中華麺にした。お盆に入れて開いている席をさがして座ると、目の前に二人のゼミ生がいた。木曜日の二人だ。仲良く分身みたいにお水入りのコップを持って近づいてきた。
「やあ!こんにちは。君たちお昼はもう買ったの」「はい」
「これから食べるの?」「ええ」
「じゃあ、ぼくも仲間入りさせてくれる?」
「ええ、どうぞ、どうぞ」
ぼくは、二人の座るテーブルに行った。おしゃべりをしながら食べる。二人は、野菜やハムがびっしり入ったナン(ピザのきじかな?)の巻きつけたもののようなものを食べていた。零れ落ちそうなのを上手に食べる。この食べ方はまずぼくには無理だな。
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二人のおしゃべりは教採の話になった。
「焦らなくていいよ。3年生という素敵な時代を大切にしなよ」
日本の若者たちの魅力ある力を喪失させてしまったのが、3年生時代から就職の不安をあおる大学生活の貧困化だろう。
教師も、採用試験の勉強をしたものが合格するというのもどうだろな。
ぼくが採用試験を担当させてもらったら何をするだろうか。
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①人間性…うん、これは大事だな。
②創造性・想像性…簡単な指導案(例えば1+1…など豊かなアイデアが生
まれているか)
詩を書く
民話あるいは子どもの日常をとらえた劇の脚本を書く
(勿論一部でよい)
③知的好奇心…地球、宇宙、数学、理科、社会、人間をふくむ生物等の中から一つ選び、内容を決めてその世界への関心と探求の面白さを1000字程度にまとめる。
④音楽、歌、踊り、体育、絵画、粘土等から一つ選び、1・2時間で自分らしい表現を創り出し発表する。
⑤大学時代に何か一つのことに挑戦し続け、失敗や挫折の体験がある。
※ 要するにぼくは、教師とは知的好奇心に富み、想像力創造力を持っていて、芸術的な表現への興味を持ち、人間を大切にするもの…そんなイメージがある。形式的な点数で測れない力の方がずっと大切で魅力があると思っている。