同じ町から来たね!
「先生は、袋井市のお生まれなんですね!」
授業後の感想アンケートを集めていたらこんな声をかけられてびっくりした。袋井という言葉はふつうの会話にはでてこない。
「えっ、どうしてわかったの!」
「先生の配ってくださった資料で分かりました」
「そうなんだ」
「先生、私も袋井市の出身なんです」
「ええっ!まさか。…。これまでね静岡県出身の学生とたくさん会ってきたけど袋井市はいなかった。浜松、磐田、菊川、掛川、藤枝、静岡…ってねいたんだけど。あなたのお名前は何というのですか」
「Nと言います。H町で生まれました」
「H町のNさんか。うん、ぼくの中学、高校の友人にもいたなあ。『魚秋』という魚屋さんがあったんだけど、知ってる?」
「ええ、小さい頃そこで買い物したことがあります」
「ぼくが小さいときね、村から町へマンガ本を買いにいったんだ。H町を通るとき怖くてね。何人かから自転車のハンドルを押さえられて、急いで逃げたんだよ」
Nさんはクスクス笑っている。
「じゃあ、あなたも袋井中学を出たの」
「はい、袋井西小学校を出て袋井中学に行きました。先生は、東小ですね」
「うん、そうだね」
同じ町の同じ中学を出た。だいぶ年齢は離れているけれど後輩だ。うれしかった。