リピーターに手厚い観光施策
観光でよく言われるのは、「富裕層を取り込め」だ。単価の高い長期滞在者を満足させるような仕組みや、1泊100万円の宿など、北海道や東京以外にはまずない。星野リゾートですら、単価を下げたOMOを別ブランドとして展開しているほどだ。南大阪のようなトカイナカでは、OMOが成り立つ可能性はあっても、富裕層だの長期滞在だのと言った客佐生が取り込めるのか疑問である。そんな中、近距離の日帰り旅を含めたリピーターを得意客とする取り組みがあり、これなら岸和田や南大阪でもできるのではないかと考える。それはスイスのツェルマットから学んだ、リピーター観光顧客を取り込む、気仙沼クルーカードの取り組みです。気仙沼観光推進機構【事務局:一般社団法人気仙沼地域戦略<観光地域づくり法人(DMO)>】が中心となり、2017年より地域の消費動向等を探るツールとしてポイントカード「気仙沼クルーカード」を導入、2019年にアプリ化。クルーカード利用時に得られる顧客情報により、これまで閑散期とされていた12月が地域消費額は最大であり、宮城県・岩手県を中心とした顧客によるものと解析、さらに顧客向けに実施したニーズ調査等のデータを踏まえ、2018年、加盟店と連携して「冬のグルメやツアー商品」を開発し、前年比で、利用人数が約2倍(7,800人 → 15,600人)、取扱額は約1.8倍(4,100万円 → 7,700万円)となり、顧客ニーズを捉えることに成功。これを活用して、コロナ禍でも売上微減でとどめました。観光収益を目的とするなら、ヨーロッパリゾートでの歴史ある手法の落とし込みこそ、学ぶべしです。南大阪で見ると、これは単自治体でやる話ではなく、例えばKIXツーリストビューローを再編成するなどして、自治体連携で行う施策かもしれません。KIXツーリストビューローとは、本部を岸和田市に置き、堺から岬町まで9市4町の首長が理事長などとなり、他に難関電鉄、関西エアポート、泉州池田銀行、西日本旅客鉄道、追手門学院大学教授などが役員として肩を並べている。いわゆる3セク的に失敗の香りが漂うメンバーである。そんなビューローも、今年を最後にマラソン主催を手放すし、岸和田市は職員の派遣をやめ、貝塚市も会計年度任用職員を出しており、行政として軽視しるとあからさまに見られるのですから、南海など民間主体でやるとか、存在意義を問い直さないとならない。むろん、行政は完全撤退ではなく、民間が練って、スキームをつくり、行政はそれにできる限り協力をする姿勢は必要だが、行政が儲けるわけでもないのに、民間と同じテーブルで、事務仕事の雑用をやらされて、運営資金も出すのは、「金を出してただ働きしろ!利益はやらん!」としているよう見えてならない。検証するまでもなく、税支出先として、ビューローの費用対効果も悪いと見て再編成は必至である。他にも県としてのイベントで、高知県の龍馬パスポートがある。https://kochi-tabi.jp/ryoma-pass/これは公共施設などで割引がなされ、宿泊を伴ってスタンプ集めのステージが上がるので、多額の税投入がなく、リピーターを増やせているのではないか?これに気仙沼クルーカードを組み合わせれば、1周遅れの観光施策でも、その遅れを取り戻せるのではないだろうか?参考:震災復興から歩みを進める宮城県気仙沼DMOが、コロナ禍でも需要喚起策を次々と実践できる理由 やまとごころ.jp2020.07.16 堀内 祐香https://yamatogokoro.jp/column/corona_casestudy/39190/https://yamatogokoro.jp/column/corona_casestudy/39196/