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淡くて抽象的なアートの世界*10/3

各様式の寄せ集めというだけあって、ペーナ宮殿は見る場所によって雰囲気がガラリと変わる。


いかにもヨーロッパ的な場所。

色鮮やかな観光客が通るだけでも、その場面がまるで絵のように思えた。


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宮殿内から外の世界へ向かう廊下も同じ色合い。

誰もいないから、ここがどこの時代なのかわからなくなりそう。

外から差し込む日差しが、あまりにものどかすぎて。


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この宮殿でとにかく印象に残っているのが、これらの装飾タイルたち。

ひとつひとつ、すべて人間の手によって細かく細工されたタイルたち。

それが淡い色合いで色づけされた様子は、ほうっとため息をついてしまうほどに見事。

なのに目立つ場所にあるわけでもなく、無造作に置かれている様子はポルトガルならでは。


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淡い色合いは本当に女性好みしそうなものばかりで、

どうしてCREAはこのタイルをとりあげてくれないのだろう?と疑問に思うほど。

CREAにこそ、この宮殿の内部やタイルをとりあげてもらいたい。

それほどに女性心をくすぐるタイルたちだった。


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さまざまなタイル装飾と淡い色合いの不思議な空間を楽しむことができたペーナ宮殿。

抽象的な色と柄のアートともそろそろお別れのときが近づいてきた。


わたしが一番お気に入りだったこのグレーと青の淡い模様。

ヨーロッパ的でオリエンタルな要素もあって、淡いグレーとホワイトが絶妙で。


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お姫様の気分を少し味わうことができた宮殿。

うっすら苔が生える淡い石畳を踏みしめて、この淡い世界にさようならをした。








お姫さまの宮殿*10/3

わたし、小さい頃に読んだお姫さまの宮殿は、空想上の世界だと思っていました。

ディズニーランドのシンデレラ城も、白雪姫でも眠りの森のお姫さまも

全ては空想の世界で、メルヘンな夢の世界で、実在するものだとは思っていなかった。


だから、こんなヨーロッパの最果ての地で、本物のおひめさまのお城に出会って

ガツンと殴られたかのような驚きばかりで、

色々な部屋をまわりながらもどこかふわふわした心地から抜けられなかったのは

やっぱり現実のものとは思えない不思議な気持ちでいっぱいだったから。


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そんなペーナ宮殿。

ムーアの城壁から周遊バスに再び乗るつもりだったけれど

バスを待つ時間も惜しかったので、近いだろうしと山道を進んでみた。

ああもう歩きすぎて本当に疲れた。

ペーナ宮殿の入り口で、入場料を再び払う。

€4.5。

儲け主義ではないポルトガルの中で、唯一この場所だけは必要以上にお金を取られている気分になる。


入場してからも宮殿までは坂道が続くので、もう限界だったわたしたち(というよりわたしだけが限界)は

短い距離だけれど坂道を登るだけの専用バスを利用。

というわけで最後は疲れずにすみ、宮殿到着。


今までのポルトガルの世界観とは全く異なるようなカラフルでメルヘンな彩りに、まずは驚いた。

黄色や水色や赤やらなにやら、パステル調の壁面のカラー、

これは何系なんだろう?

ガイドブックで調べてみて納得したのだけれど、

イスラム、ゴシック、ルネッサンス、マヌエルなど、各様式の寄せ集めなのだそう。

本当に奇妙なお城だ。

これが第一印象だった。


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宮殿の入り口。

なんだか絵本の中に入るようだ。


続く回廊は年期を感じさせるが、この白亜の色合いが南国を感じさせる。


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まるでテーマパークのような、1850年に完成とは信じられないほどに現代的なお城。

もしもこれで終わりだったら、こんな最果てまでこなくても、近くのテーマパークで十分だろうなと

そう思ったとき、ガイドのおじさんが、部屋の中は撮影禁止です、と説明している声が聞こえた。

つまりは中に入れるということか!

何も調べず来たために、あまり詳しいことがわかっていなかったので

とにかくその部屋とやらに入ってみることにした。


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実は入ってわかったのだが、この宮殿のメインは決して外壁やらの外見ではない。

ユネスコ世界遺産の「シントラの文化的風景」の一部に登録されている、このペーナ宮殿。

特筆すべきはペーナ宮殿の屋内装飾だったのだ。


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王家の夏の離宮として整備されたこの宮殿には

19世紀以来の多種多様なタイルの装飾が、おびただしい数の王家の美術品の一部となっている。

ときには外国からの賓客の公的行事の場としても利用される場所だけに、
部屋のひとつひとつで感嘆とため息の連続だった。


残念ながら写真撮影禁止のため、記録を残すことは出来なかったのだけど

アメリア女王の部屋、トルコ人のサロン、礼拝堂、晩餐の間・・・

様々な部屋が本当に素晴らしいとしか言いようのないタイルとしっくい細工で

床から天井まで敷き詰められ、その色合いや細工の文様、素晴らしすぎて

写真には撮れないから目に焼き付けなければと、とにかく必死に見続けた。


空想の世界のお姫さまの部屋とは、何かぼやけたパステルの世界でしかなかったが

いま、目の前に広がる小さな小さなお姫さまの部屋は、

これを作るまでにどのぐらいの時間が費やされたか想像だけでくらくらするような

繊細な彫刻が施されたタイルでいっぱいで、

タイルが作り出す世界がこんなにも美しいものだとは

ポルトガルに来るまで本当に知らなかった。


全ての部屋は私が暮らすには窮屈だろうなと感じるほどに小さく

昔のポルトガル人は小さかったのだろうか?とそう思わせる。


それにしても、この宮殿内巡りは本当に楽しかった。

トロンプルイユ(フランス語で「目を騙す」の意、トリックアートに近い)が施された壁まであり

遊び心がある一方で、タイルの美しさには絶句してしまうので

宮殿内は美術館、というよりは博物館のような感覚でまわることができる。


それにしても、ペーナ宮殿の外観だけはね、

いろいろな人の日記にも書かれているけれどね

やっぱりちょっと、おもちゃのようでね、そこは惜しいと思うけれど

まあそこは、ご愛嬌ということで。


この世で1番かわいいお部屋、と言ってもいいようなあのタイル貼りの部屋で

お姫さまは、標高500メートルの山頂からの景色をながめ

何を感じ、どのような暮らしをしていたのだろう?

あの白い回廊を、ふんわりとしたかわいらしいドレスを着て歩き

夏を感じ、楽しんでいたのかな。


現実に存在したお姫さまの部屋、素敵な装飾、

見ることができて、本当によかった。

お姫さまに憧れていた幼い頃の自分が、ふっと一瞬甦ったような気がした。

女性の永遠の憧れなのかもしれない。






そしてシントラ、ムーアの城壁*10/3

リスボンでアルファを降りたわたしたち。

1度荷物をホテルに置きにいき、そして休む間もなく再び国鉄の駅へと向かった。

そう、次に目指すはシントラ、

不思議な魅力をもつペーナ宮殿を目指すため。

そしてシントラからは、本当の地の果て、ロカ岬に向かうという重要な目的があったため

とにかくハードなスケジュールとなった午後。


さて、約40分ほど電車にゴトゴト揺られていると、シントラ駅へはあっという間についてしまった。

ポルトの列車とは比較にならない、殺風景な国鉄から降り立つと

なんともかわいらしいホームがわたしたちを迎え入れてくれた。

リスボンともポルトとも全く異なる、またしても新しい世界。

なんとかわいい駅だろう、明るくかわいい駅はホーム以外何もないシンプルな駅。

しかし、このなんともいえない色合いや看板、時計を見ているだけで

次はどんな世界をわたしたちに見せてくれるのだろうかと、気持ちが浮き立った。


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シントラは駅前から周遊バスが出ていて、同じ日にちであれば何度でも乗り降りが可能なので

早速バス停へ。


シントラの滞在時間はおおよそ2時間半ほどの予定だったので

一路ペーナ宮殿を目指すつもりだったのだけれど

ムーアの城跡が手前の駅だったので、突如寄ってみることに。


ムーアの城跡について何の知識もなく、ただただ晴れている日には景色がよいとの話を聞いていたのみ。

この日はあまりにも気持ちのよい晴天だったため、思わずバスを降りてしまった。


何もわからず€4.5の入場券を2枚購入。

小人の世界のような小さな入り口をくぐりぬけるとそこは深い森の中。

しかしなぜ入り口があんなに小さかったのだろう?

ムーア人とは小人だったのか。


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入場時にもらった説明書きには、7~8世紀にムーア人によって築かれたが1147年にアフォンソ・エンリケス王によって落城されたとある。

城壁の塔に上ればシントラの町と大西洋が望めるとのこと、

その眺望はペーナ宮殿にも劣らないとのことだった。


城壁ときいてすぐにわたしたちが思い浮かべたのは、あの美しい町オビドスのとんでもなく恐ろしい城壁。

今回はそのようなタイプの城壁だったら絶対に先に進むのはやめようと2人で誓いあい、先にすすんだ。


それにしても、これは観光というよりは山登りのようだ。

相当の体力を要する。


そして辿りついたムーア人の城跡。

2人して絶句してしまった。

城壁がどこまでも続いているのだ、呆然。

これは時間のないわたしたちにまわるのは不可能だ、

なによりもここまでで体力の限界である。


というわけで、近くの城壁にだけ登ってみて、

とにかくすがすがしい青空の下に広がるシントラの町を、眺めてみることとした。


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驚くほどに観光客は多かった、そして皆元気でさくさくと城壁をすすんでいた。

わたしたちは彼らの流れに背き、のんびりと城壁の外の眺望を楽しむこととした。

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ああ眼下に広がる景色は、はるか遠い故郷の日本とはまるで違う、

空の色も、緑の色も、町の色も、何かすべてがうっすらと綺麗なベールで覆ったような繊細な色に見える。

地平線は遠くもあり近くにも感じ、その先に何が続いているのか、その先の世界を見たい、と切に思った。


眼下の景色を眺めていると、周りの観光客の声も、なんだか遠いところから聴こえるような錯覚に陥る。

しかしシントラの滞在時間は、刻一刻と減っていたので

わたしたちはこの場所を去ることにした。


さくさく急ぎ足でバス停へと向かう道、ムーア人とは一体どんな人たちだったのだろうかと

話が弾んだ。


ムーア人と呼ばれた人たちは、毎日このような景色を眺めては

何を感じていたのだろう?


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ふと城壁を振り返ると、観光客が颯爽と城壁を歩いていた。

その様子と青空と城壁が、なんだかものすごく印象的で、とても平和な風景に思えて、

気付いたらカメラを取り出して写真を撮っていた。


争いは全て過去となり、今は観光客がこうして青空を背景に颯爽と歩いている。


さあ急ごう、時間はない、ペーナ宮殿へ背中を後押しされるように

わたしたちはせかせかと歩き出したのだった。