お姫さまの宮殿*10/3 | 酒とバラの日々

お姫さまの宮殿*10/3

わたし、小さい頃に読んだお姫さまの宮殿は、空想上の世界だと思っていました。

ディズニーランドのシンデレラ城も、白雪姫でも眠りの森のお姫さまも

全ては空想の世界で、メルヘンな夢の世界で、実在するものだとは思っていなかった。


だから、こんなヨーロッパの最果ての地で、本物のおひめさまのお城に出会って

ガツンと殴られたかのような驚きばかりで、

色々な部屋をまわりながらもどこかふわふわした心地から抜けられなかったのは

やっぱり現実のものとは思えない不思議な気持ちでいっぱいだったから。


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そんなペーナ宮殿。

ムーアの城壁から周遊バスに再び乗るつもりだったけれど

バスを待つ時間も惜しかったので、近いだろうしと山道を進んでみた。

ああもう歩きすぎて本当に疲れた。

ペーナ宮殿の入り口で、入場料を再び払う。

€4.5。

儲け主義ではないポルトガルの中で、唯一この場所だけは必要以上にお金を取られている気分になる。


入場してからも宮殿までは坂道が続くので、もう限界だったわたしたち(というよりわたしだけが限界)は

短い距離だけれど坂道を登るだけの専用バスを利用。

というわけで最後は疲れずにすみ、宮殿到着。


今までのポルトガルの世界観とは全く異なるようなカラフルでメルヘンな彩りに、まずは驚いた。

黄色や水色や赤やらなにやら、パステル調の壁面のカラー、

これは何系なんだろう?

ガイドブックで調べてみて納得したのだけれど、

イスラム、ゴシック、ルネッサンス、マヌエルなど、各様式の寄せ集めなのだそう。

本当に奇妙なお城だ。

これが第一印象だった。


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宮殿の入り口。

なんだか絵本の中に入るようだ。


続く回廊は年期を感じさせるが、この白亜の色合いが南国を感じさせる。


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まるでテーマパークのような、1850年に完成とは信じられないほどに現代的なお城。

もしもこれで終わりだったら、こんな最果てまでこなくても、近くのテーマパークで十分だろうなと

そう思ったとき、ガイドのおじさんが、部屋の中は撮影禁止です、と説明している声が聞こえた。

つまりは中に入れるということか!

何も調べず来たために、あまり詳しいことがわかっていなかったので

とにかくその部屋とやらに入ってみることにした。


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実は入ってわかったのだが、この宮殿のメインは決して外壁やらの外見ではない。

ユネスコ世界遺産の「シントラの文化的風景」の一部に登録されている、このペーナ宮殿。

特筆すべきはペーナ宮殿の屋内装飾だったのだ。


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王家の夏の離宮として整備されたこの宮殿には

19世紀以来の多種多様なタイルの装飾が、おびただしい数の王家の美術品の一部となっている。

ときには外国からの賓客の公的行事の場としても利用される場所だけに、
部屋のひとつひとつで感嘆とため息の連続だった。


残念ながら写真撮影禁止のため、記録を残すことは出来なかったのだけど

アメリア女王の部屋、トルコ人のサロン、礼拝堂、晩餐の間・・・

様々な部屋が本当に素晴らしいとしか言いようのないタイルとしっくい細工で

床から天井まで敷き詰められ、その色合いや細工の文様、素晴らしすぎて

写真には撮れないから目に焼き付けなければと、とにかく必死に見続けた。


空想の世界のお姫さまの部屋とは、何かぼやけたパステルの世界でしかなかったが

いま、目の前に広がる小さな小さなお姫さまの部屋は、

これを作るまでにどのぐらいの時間が費やされたか想像だけでくらくらするような

繊細な彫刻が施されたタイルでいっぱいで、

タイルが作り出す世界がこんなにも美しいものだとは

ポルトガルに来るまで本当に知らなかった。


全ての部屋は私が暮らすには窮屈だろうなと感じるほどに小さく

昔のポルトガル人は小さかったのだろうか?とそう思わせる。


それにしても、この宮殿内巡りは本当に楽しかった。

トロンプルイユ(フランス語で「目を騙す」の意、トリックアートに近い)が施された壁まであり

遊び心がある一方で、タイルの美しさには絶句してしまうので

宮殿内は美術館、というよりは博物館のような感覚でまわることができる。


それにしても、ペーナ宮殿の外観だけはね、

いろいろな人の日記にも書かれているけれどね

やっぱりちょっと、おもちゃのようでね、そこは惜しいと思うけれど

まあそこは、ご愛嬌ということで。


この世で1番かわいいお部屋、と言ってもいいようなあのタイル貼りの部屋で

お姫さまは、標高500メートルの山頂からの景色をながめ

何を感じ、どのような暮らしをしていたのだろう?

あの白い回廊を、ふんわりとしたかわいらしいドレスを着て歩き

夏を感じ、楽しんでいたのかな。


現実に存在したお姫さまの部屋、素敵な装飾、

見ることができて、本当によかった。

お姫さまに憧れていた幼い頃の自分が、ふっと一瞬甦ったような気がした。

女性の永遠の憧れなのかもしれない。