そしてシントラ、ムーアの城壁*10/3 | 酒とバラの日々

そしてシントラ、ムーアの城壁*10/3

リスボンでアルファを降りたわたしたち。

1度荷物をホテルに置きにいき、そして休む間もなく再び国鉄の駅へと向かった。

そう、次に目指すはシントラ、

不思議な魅力をもつペーナ宮殿を目指すため。

そしてシントラからは、本当の地の果て、ロカ岬に向かうという重要な目的があったため

とにかくハードなスケジュールとなった午後。


さて、約40分ほど電車にゴトゴト揺られていると、シントラ駅へはあっという間についてしまった。

ポルトの列車とは比較にならない、殺風景な国鉄から降り立つと

なんともかわいらしいホームがわたしたちを迎え入れてくれた。

リスボンともポルトとも全く異なる、またしても新しい世界。

なんとかわいい駅だろう、明るくかわいい駅はホーム以外何もないシンプルな駅。

しかし、このなんともいえない色合いや看板、時計を見ているだけで

次はどんな世界をわたしたちに見せてくれるのだろうかと、気持ちが浮き立った。


酒とバラの日々-20081226_1

酒とバラの日々-20081226_2


シントラは駅前から周遊バスが出ていて、同じ日にちであれば何度でも乗り降りが可能なので

早速バス停へ。


シントラの滞在時間はおおよそ2時間半ほどの予定だったので

一路ペーナ宮殿を目指すつもりだったのだけれど

ムーアの城跡が手前の駅だったので、突如寄ってみることに。


ムーアの城跡について何の知識もなく、ただただ晴れている日には景色がよいとの話を聞いていたのみ。

この日はあまりにも気持ちのよい晴天だったため、思わずバスを降りてしまった。


何もわからず€4.5の入場券を2枚購入。

小人の世界のような小さな入り口をくぐりぬけるとそこは深い森の中。

しかしなぜ入り口があんなに小さかったのだろう?

ムーア人とは小人だったのか。


酒とバラの日々-20081226_3


入場時にもらった説明書きには、7~8世紀にムーア人によって築かれたが1147年にアフォンソ・エンリケス王によって落城されたとある。

城壁の塔に上ればシントラの町と大西洋が望めるとのこと、

その眺望はペーナ宮殿にも劣らないとのことだった。


城壁ときいてすぐにわたしたちが思い浮かべたのは、あの美しい町オビドスのとんでもなく恐ろしい城壁。

今回はそのようなタイプの城壁だったら絶対に先に進むのはやめようと2人で誓いあい、先にすすんだ。


それにしても、これは観光というよりは山登りのようだ。

相当の体力を要する。


そして辿りついたムーア人の城跡。

2人して絶句してしまった。

城壁がどこまでも続いているのだ、呆然。

これは時間のないわたしたちにまわるのは不可能だ、

なによりもここまでで体力の限界である。


というわけで、近くの城壁にだけ登ってみて、

とにかくすがすがしい青空の下に広がるシントラの町を、眺めてみることとした。


酒とバラの日々-20081226_4


驚くほどに観光客は多かった、そして皆元気でさくさくと城壁をすすんでいた。

わたしたちは彼らの流れに背き、のんびりと城壁の外の眺望を楽しむこととした。

酒とバラの日々-20081226_5

酒とバラの日々-20081226_6

酒とバラの日々-20081226_7


ああ眼下に広がる景色は、はるか遠い故郷の日本とはまるで違う、

空の色も、緑の色も、町の色も、何かすべてがうっすらと綺麗なベールで覆ったような繊細な色に見える。

地平線は遠くもあり近くにも感じ、その先に何が続いているのか、その先の世界を見たい、と切に思った。


眼下の景色を眺めていると、周りの観光客の声も、なんだか遠いところから聴こえるような錯覚に陥る。

しかしシントラの滞在時間は、刻一刻と減っていたので

わたしたちはこの場所を去ることにした。


さくさく急ぎ足でバス停へと向かう道、ムーア人とは一体どんな人たちだったのだろうかと

話が弾んだ。


ムーア人と呼ばれた人たちは、毎日このような景色を眺めては

何を感じていたのだろう?


酒とバラの日々-20081226_8

酒とバラの日々-20081226_9


ふと城壁を振り返ると、観光客が颯爽と城壁を歩いていた。

その様子と青空と城壁が、なんだかものすごく印象的で、とても平和な風景に思えて、

気付いたらカメラを取り出して写真を撮っていた。


争いは全て過去となり、今は観光客がこうして青空を背景に颯爽と歩いている。


さあ急ごう、時間はない、ペーナ宮殿へ背中を後押しされるように

わたしたちはせかせかと歩き出したのだった。