taburogu -4ページ目

TOKYO STAR

新宿は今日も光を放っているのだろうか。見慣れた夜景がここからは見えない。背の高いビルに囲まれながら、表参道の先には赤く光る東京タワーが臨める。明治通りはいつも味方だった。夜の肌寒さを、雑踏が消し去ってくれる。この街は、きっと今日も眠ることはない。

故郷へ錦を飾るとは今も言うのだろうか。ひとり東京で俺はこんなになったと、認めてもらいたいと思うのだろうか。昔を知るわけではないが、確かに時代は変わった気はする。けど時代ほど人間は変わらなかった。もともと人に認められるものが少ないからか、どうも周りには負けず嫌いが多い気がする。

「俺、帰ろうと思うんだ。」

東京生まれの俺には帰る場所がない。東京で負けたらもう選択肢はない様なものだ。だけど、東京出身は甘いと言われる。苦労も辛さも知らず、今日も必ず帰る家がある。それだから何だ。ここで負けてしまったら戦う場所がない。錦を飾れる場所はここしかない。誰もが戦う、この東京の地でしかないのだ。

「俺も頑張るから、もうちょっと頑張ってみなよ。」

桜が舞い散る青山で、これだけしか言えなかった。乗り込む地下鉄は常に厳しい。きっと誰もが同じぐらい辛い。誰だってそんなことぐらいはわかる。だけど渋谷の交差点で、誰もが支え合っていると感じた。明日はめずらしく目黒にでも行ってみようか。何か新しいものを見つけて、もう一度好きになれたら。新宿の放つ終わらない光の様に、これからもずっと。

ゲイのブログ検索サイト - ゲイログ  人気ブログランキング

大人の階段、上る

去年の誕生日は、そのとき仲が良かった男の家に行った。終電ギリギリの新宿駅で立ち話をしていたら、その流れで行くことになった。中野駅を降りた辺りで時計の針が12時を回り、何通かのメールと、いくつかの着信に携帯が光ってた。「携帯ばっかいじってんだね。」と一言残した相手は、その日が俺の誕生日だとは知らなかった。正確には、俺が教えてなかった。

どうしても素直になりきれない自分がどこかにいるみたいだ。譲れない部分、隠しておきたい部分、全部さらけ出したって変わるものなんてそうない思うのに。何も恐くないけど、恐い。大切な日を一緒に過ごしてることを知られたくない。付き合うとか付き合わないとか考えなかったわけじゃない。けど、誕生日だと言うことができず、祝ってはもらえることは当たり前になかった。

大人になることは素直になることだと思う。譲れない部分がきっと増えて行くだろうから、今のうちに素直になっておくべきなんだと思う。好きなら「好き」と言わないと伝わらない。ガラスの靴の様に、12時を回ってもとけない魔法はあるかもしれない。けど俺には魔法は使えない。夢ばっか見てはいられない。でも夢は見ていたい。俺だって、幸せは誰かが運んでくれると信じていたいのだ。

ゲイのブログ検索サイト - ゲイログ  人気ブログランキング

Inlove Again

同じ部分に惹かれて行く、それがゲイの恋愛。そんなことあり得ないと思ってたけど、実際に否定なんて出来ない。いくらノンケっぽくしても、俺はゲイ。360度どんな角度から見ても、やっぱりゲイなんだと思う。

「好き」と言ってくれた人が、結婚すれば良いと思っていた。そうすれば、俺は最後に愛されたゲイでいられると思っていたから。想いに最大限に応えようとしてた。けど、手には入れさせない。俺が好きと言ってしまったら、もう好きとは言ってくれない気がして恐かった。なぜなら、俺がそういう人間だったからである。

違う様に見えても、踏み込めば同じだった。「お前は幸せにはなれない。」そんなことを言われた。自分でも薄々気づいていた。手に入れたものを壊したくなる寂しさと、壊してしまう悲しさが心を殴る。わかっているのに汲み取れない。だって、現状を壊さなければ、もうそれ以上が手に入らないじゃないか。自らに変化がないこと、それを何よりも恐ろしいと思ってしまうのだ。

そんな二人だから、どこをどう支えれば良いか、つまり、事細かにお互いを理解できていた気がする。欲しいものをもらっていたし、欲しいものをあげていた自信もある。本当に通じ合っていた気もする。

「そいつとは、ずっと一緒に居たい気がする。」

だけどそんな近況を聞いて、はっと我に返った気がした。聞き覚えのある言葉も、はっきりとどこかが違う。時は流れたのだ。こんな関係なら、離れて行くのは目に見えてた。居酒屋のグラス片手に、涙が出そうだった。開いた口が塞がらない。酔っているから、涙を我慢できそうにない。けど、絶対に泣いたりはしない。

なんとなくわかっていた。このままじゃダメだってこと。本当に幸せになれないこと。一年の364日が不幸でも頑張れる。たった一日、幸せならばそれで良い。けど、それが二日だったなら、本当に嬉しい。そんなに多くを望んでいるつもりはない。だけれど、もう一度好きと言ってもらいたい。また俺は何も言わないかもしれない。でもその言葉を大切にするから。何も言わずに、抱える傷を守り続けてあげるから。

そんな想いを残したまま、こうして一つの恋が終わった気がする。なぜか俺も、すっかり腑に落ちてしまった。きっとこれがお互いにとっての幸せなんだろうと、そんなことを思った。

ゲイのブログ検索サイト - ゲイログ  人気ブログランキング