建築家 田口知子の日常をつづったブログ -97ページ目

足場がはずれました。~「千駄木の家」現場レポート20091013

今日は千駄木の現場に行ってきました。先日の台風も無事に乗り越え、外部の足場と養生シートをはずしました。やっと全貌のお披露目です!


田口知子が日常をつづったブログ 道路側から見た外観

入り口の庇とシンプルな外形が特徴ですが、ちょっと白すぎるのでは、と心配した外壁も意外としっくり環境に馴染んでいるように思いました。北側道路なので影になってちょうど良い白さです。

内部も白いので、足場とシートをかぶっているときにはかなり暗かったかな、と感じていた1階部分も、十分に明るさを感じられる空間になっています。

中心になる中庭も、明るく感じる白の効果は絶大ですね。


田口知子が日常をつづったブログ 中庭を見上げたところ。
真ん中に、先日実物を見て選んだヤマボウシの高木を植えます。園芸センターで見たのと同じはずですが、なんだかとても大きく見えます・・。2階のリビングから樹木の頭が見えます。


田口知子が日常をつづったブログ 中庭の木の位置を決めています。


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今週末に検査をして、来週には引き渡しです。1軒の家を建てるのは、設計から工事竣工までおよそ1年間。振り返ると、長いような短いような、ほっとするようなさびしいような、ちょっと複雑な気分になります。


田口知子が日常をつづったブログ 良い天気で、ルーフテラスからの眺めも格別です!



外壁の汚れを防ぐディテール~千駄木の家 現場レポート20091005

今週は雨が続いていますね。千駄木の家 の外壁塗装が終わって、やっと足場が解体される、ということで、その直前の足場まわりチェックに行ってきました。小雨がぱらつくなか、外壁塗装がおわって、外壁からの定着をはずしたぐらぐら足場を歩くのは手に汗握る緊張感でした。


田口知子が日常をつづったブログ 外壁の塗装が終わりました。


さて、今日のトピックは外壁の汚れを防ぐ方法です。


この家は、外壁を真っ白な吹き付け材で仕上げています。白い色は光を反射するので、日影になりがちな中庭周りも明るく見えて、今回は白でよかったな、と思いますが、汚れが心配ですね。外壁のヨゴレの原因は、屋根やパラペットに溜まった砂埃が雨で外壁に流れ伝うことが原因です。それを防ぐには、先日のブログ でも書いた光触媒塗装は有効ですが、コストの問題もあるし、クラックが入ると目だってしまうこともあるので、どこでも使えるわけではありません。今回は一番一般的な「リシン吹き付け」の白です。その外壁ヨゴレを防ぐための密かな工夫があります。

 まず、外壁側に流れる水を最小限にする、というのが基本ですね。屋根の軒を出すのは一番簡単。でも、土地いっぱいまで家を建てたい、軒の出のない建築を作りたい、といった場合や、ルーフテラスなど、軒のない建築をつくる場合が問題です。その場合は、屋根や笠木の勾配を内側に向けて内側で集水するのは、建築界の常識です。それでも、長年の変化を見ていると、そういうふうに作られた建築でも外壁にヨゴレが出てきます。

 そこで、いろいろ試行錯誤した経験上、壁の最上部のエッジに金物の小庇のようなものをつくって水を切ると、とても大きな効果があることがわかりました。その最小の出巾は40mmである、という結論です。

田口知子が日常をつづったブログ 中庭を見上げたところ。壁の最上部に小庇があります。


この小さい庇があれば、最初のしとしと雨程度では外壁に雨がかかりません。よほどの台風などが来たら別ですが、そのときは逆にヨゴレを洗い流してくれるので心配いりません。ほんの小さい違いですが、長年で見ると大きな違いをつくります。







田口知子が日常をつづったブログ 外壁からの出は40mmです。




トンボ帰りの京都~JIA新人賞審査会

昨日は、朝の新幹線に乗って京都に行って来ました。

今年のJIA(日本建築家協会)の新人賞に「武蔵小山アパートメント」 を応募していたのですが、パネル審査で一次を通過し、2次の13名に残ったので、公開プレゼンテーションということで、審査員の前でプレゼンテーションを行うことになっていました。

今年の審査員は建築家の富永譲氏、北山恒氏、八木佐千子氏です。若手建築家の登竜門といわれる業界で有名な賞です。1次審査の後、2次の公開審査、そこで5名に絞られて、さらに現地審査もあり、なかなか大変です。2年前にも「うつのみやアパートメント」 で応募して、このときは現地最終審査まで残ったのですが、最後にあえなく落選。今年は2度目の挑戦です。

プレゼンも質疑応答も、自分としては、かなり完璧!と思ったものの、審査員の意見が割れて、最終選考には残れませんでした。審査委員長の富永氏が最高の評価をしてくれたのですが、他の二人が今ひとつ反応が悪く、全員が票を入れてくれないと最終選考には残れません。建築家によって、評価の観点が全く違うのだなあ・・と身にしみて、21時過ぎの新幹線に乗りました。

そんなわけで、めずらしく傷心して、しおらしく座っていた私に、突然、「田口さん」という声。通路に「TRAPEZIUM」 のクライアントのA氏が立っていました。京都への出張帰りだとか。おー!これはなんとよい道連れ、とばかりお隣に移動して、おしゃべりしながら帰ることに。A氏いわく「いやあ、あの家は満足していますよ。今年の夏はほとんどエアコン使わなかったです。風抜き窓をあけて下のフラップ窓を開ければ夏でもほぼ大丈夫。寝室もトップライトをあけたまま寝ると真夏でも快適に寝られます。朝も早く起きれるようになりました。でも一度ゲリラ豪雨で寝室に雨が吹き込んで夜中に大変なことに・・」というような話を聞きながら楽しくビールを飲んでいました。「たとえ賞をもらわなくても、こういうことで、私は十分幸せだな・・」と、さっきまでの落胆も消え、満ち足りた気分で家に帰りました。

 
田口知子が日常をつづったブログ 京都会場「みやこめっせ」に向かう途中にあった川。あまりに水が澄んでいて水草が美しいので写真に撮りました。