中沢新一さんと陣内秀信さんのお話を聞く~「東京のみえない力」
先日は、JIA建築セミナー
に人類学者・思想家の中沢新一
氏と、建築史家の陣内秀信
氏をお招きしてのエキサイティングな対談を行いました。タイトルは「東京のみえない力」。
陣内秀信氏が1985年に出版された著書「東京の空間人類学」は東京の古い地形、水辺、歴史や自然、人の暮らしを研究され、今現在ここにある都市との深いつながりについて語った東京の空間分析の名著。一方、中沢新一氏といえば「チベットのモーツアルト」をはじめ、軽やかな語り口で人間存在の深部に迫る人類学者です。9.11の深い意味を分析した「緑の資本論」も鮮やかな論理が印象的でした。その中沢氏が、2005年に出版された「アースダイバー」では陣内氏の本と同じように東京の空間を扱いながら、人類学的で、縄文的、宗教的なアプローチで分析したもので、建築関係者や学生の間でベストセラーになっています。
陣内氏のお話では、地形、水の流れや植生が、東京の都市の骨組になっていて、それはヨーロッパやアメリカの都市のグリット状に人為的にデザインされた大都市とは大きく異なる、というお話です。身体的に「ああ、そうだな」、と納得する話ばかりでした。
一方の中沢氏は、いきなり、人の「心のトポロジー(位相)」の話からはじまります。位相としては、 ドーナツ型の閉じた系と、外部とつながる開いた系。トポロジーの概念では、丸いドーナツも四角いドーナツも、トポロジー的に見ると同じ形、というわけです。
心のトポロジー、例を猫で見てみましょう。(あまり真面目にとらないでね・・)
まん丸くなっている猫。自分だけ世界にはいってぐっすりな彼は、閉じた系にいます。
さて、こちらは白熊のピースの映像を眺めている竜馬。彼は今、外部に向かって開いていますので、これは開いた系にいます。寝たりおきたりするのことで心の位相に転換がおきている、といえますね。トポロジーからものごとをとらえるとき、どのレベルで考えるかで位相の意味も変わってきます。
おっと、話が脱線してしまった。中沢氏のアースダイバー。東京を2色でわけて、古くからの「洪積台地」と水際を埋め立てた沖積大地が複雑に入り混じる縄文時代の地形を再現したアースダイバーマップを見せてくださいました。
アースダイバーマップ。白いところは洪積台地です。青は沖積台地。クリックで拡大します。
分析によると「水際」と「台地」の境界部分に、神社や古墳、縄文遺跡などが集中しているそうです。そのような境界には、弥生時代に多くの墓がつくられ「森」があったと考えられています。「水」はあの世とつながるもの、「森(死者のいるところ=亡霊(もうり)が語原?)」は、あの世とこの世をつなぐ結界の役割を果たしていたとか。そこに現在の神社や寺院がつくられているようです。地形と森、水、それらが持つ宗教的意味や人類学的な背景を聞き、近代が失った「場所」の意味、人の意識が放つ場の力について考えさせられました。
都市や建築を作る際に、そこにある「みえない力」を把握しながら、「流れ」をつくりだすことが理想です。経済価値や利潤を追求した再開発も、やり方を見直す時代になっていると感じます。
貨幣や数値に変換できない、物語や意味にあふれるワンダーランドのような東京という都市。見えないものの探求は、とても楽しいですね。
写真家 都築響一さんの話を聞く~リアルの探求
先日、JIA建築セミナーに、都築響一
さんをおよびして、講演をしていただきました。タイトルは「東京のリアル・都市の未来」のはずが・・・。
都築さんといえばBRUTUSの編集の仕事を辞め、1990年代に「TOKYO STYLE」を発表。6畳一間とか2DKとか、そこらへんのアパートで暮らしている人たちの、モノのあふれた、部屋の中を撮って写真集にした写真家で、ジャーナリストです。
「雑誌には、建築家達がつくるカッコいいモダンな家ばかりが出てるけど、大部分の日本人はそんな家に住んでいない。日本人のリアルな生活はこっちだよね!」ということで、味のあるキャプションとしみじみと見とれるような写真で当時の若者を魅了しました。
さて、経済不況建築業界かなり元気がない、ちょっと異次元の都築さんの話しを聞いてみよう、と、お気楽な気分で企画したものの・・・なまの都築さんは強烈でした。
最近「東京右半分」
というコラムページを立ち上げ、東京の右側、台東区や江東区の前衛?を精力的に取材しておられるようです。人に言えない「恥ずかしい」と思う、裏の趣味、アダ○トも徹底すれば超前衛アートにも見えてくる?とか、何の意味もない(ように見える)ことに全身全霊をかけている「マイナーな変な人」が、偉大な人も見える?
話の中で、「東尋坊」から、毎日飛び込みをやっている「どりゃーおじさん」を紹介してくれました。「東尋坊」といえば、泣く子も黙る断崖絶壁。自殺の名所として毎年飛び込む人が後を絶たない、あの場所です。そこに、毎日、黄色のビキニパンツを履いて「ドリャー」と叫びながら飛び込み、その後自力で崖を這い上がってくる、そして、また飛び込む、を繰り返しているおじさんがいたそうです。飛び込む回数を生きがいにしていて、2万回を超えたそうですが、そのうち椎間板ヘルニアになり、ドクターストップがかかったとか。インタビュアーに「なぜそんなことを?」と聞かれて「男のロマンですかねえ」と真面目にこたえる中年の男性。
すごいたくさんお金をもらって、「やりたくないこと」をやるか、お金はあきらめて「好きなことだけやるか」という人生の選択肢は、誰にでもあるとして、都築さんは堂々と後者を選択した人でした。そういうときは、「東尋坊」から飛び降りるようなもの。それには、「周りの人の反対を聞かない体力が必要」、だそうです。飛び込んだ人には、本当に醍醐味のある人生が待っている・・・? 経験した人しかわからないでしょう。
普通の人、無名の人たちへの「愛」があふれた講演でした。人間存在に対する全肯定っていう感じ・・。抱腹絶倒のなか、いつの間にか禅寺で仏法でも聞いているような気分にさせる語り部ぶり、本当に面白かったです。
信じるのはどっち?~珪藻土建材の性能について
最近のクライアントの方にアトピーにお悩みの方がいて、お住まいのマンションの空気が原因では、という推論しています。その方は、しっくい壁のご実家に帰ったときや、海外ではアトピーが軽くなるそうなのです。最近はシックハウス予防条例もできて、建材が安全になったと言われますが、身の回りの建材には少量ですが化学物質は含まれていて、シックハウス症候群、アトピーを発症する方もいるのだ、ということを知りました。
さて、どうしても有害物質がゼロにならない環境を改善する素材として「珪藻土」というのがあります。珪藻土は、湿気やにおい、空中の有害物質を吸着して、分解する機能を持っています。この方には珪藻土の壁や天井をぜひお勧めしたい。
珪藻土の塗り壁、今回は気合を入れて本当によい珪藻土を探そうと決意!まず、吸湿性能 ㎡あたり何グラムの水を吸湿するかのグラム数を確認すること、これなら安心。あと、固化材は安全な海草系の糊を使っている、等、自然素材にこだわっていること、等・・・。珪藻土は何%入っているか、も確認!!数字のデータを見るのは安心感があります。老舗のS社はきっちりとしたデータがカタログに出ています。
ところで、日本珪藻土建材のエコクイーン
という製品。前からよく使っていたので、この会社に電話して「珪藻土の含有量はいくらですか?吸湿性能は何グラムなの?」と質問したところ、「そのようなデータはつくっていません。そのかわりお客様の声を読んでください」と言われ、ちょっとムっとしました。「科学的なデータがないなんて、けしからん。ほかのものと比較ができないじゃないですか!」とメーカーの人に文句を言いました。
ところが、送られて来た資料に添付された「お客様からの感想」があまりの多いのでびっくり。「アトピーがよくなった。」「不眠症が治った」「こどものぜんそくが治った」とか「植物が元気なんです」「100人以上の方の手書きのお礼状をコピーしたものが添付されていました。そして、もちろん材料についての詳しい資料とカタログには、なるほどと思わせる根拠があります。これは確かによいかもしれない、と思わせるものがありました。
科学的データはわかりやすいですが、人間に対する効果というのは、数値データでつかみきれるものではありません。使った人や動物・植物の感想(これも微妙な話ですが)を聞くこと、場合によってはそっちを信じたほうがよいかも・・・、と思ってしまいました。


