「降りていく生き方」~人と人がつながるということを考える
昨日は寒空の中、大宮で友人と一緒に「降りていく生き方」 という映画を見てきました。この映画は宣伝広告を一切せず、ボランティアによる上映で全国をまわっている自主上映の映画です。
でも、真摯なメッセージを携えた映画として、口コミで広がり、昨日も会場に500人以上のお客さんが来ていました。
物語は団塊世代で還暦を迎えたお調子モノの山本五十六(武田鉄也)が、新潟の村落の大規模リゾート開発を、外資系ファンドから3億円の成功報酬で依頼されるところから始まります。その村に入り住民とのつながりをつくって信用を得て、開発の委任状を取ろうとします。さびれたシャッター商店街や質素な村落をめぐり、新たなドル箱を得んと、野望に満ちた仕掛けを考えるファンドビジネス。
タイトルにあるように、人間には「登っていく生き方」と「降りていく生き方」二つの生き方がある、という概念を提示しています。登っていく生き方は「もっとお金を」、「もっと権力を」、「もっと名声を」、というふうに、頂点を求めて、勝つために奮闘していく人。「降りていく生き方」は、競争をやめて、人や自然と共生すること、助け合って共に生きることを選ぶ人生。山に登るときには頂上しか見えないが、降りるときには、下界の広々とした風景全体を眺めることができます。降りることで得られる豊かさ、幸せとは何か、という問いをめぐって展開する物語です。
「そういう話キレイ事では・・」と考えるかたもいらっしゃるでしょう。生活のために一生懸命働いて家族を養うのが精一杯なんだから、登ってもいないのに、降りることなんかできないよ、といわれるかもしれません。
でも、今のように、人間中心主義の資本主義ゲームに躍っていると、地球はあと50年ももたない、少なくとも、地球を動物が生息可能な環境に戻すことはできなくなる、といわれます。資本家だろうと低賃金労働者であろうと、この世界を承認して生きている以上、そのことに対して、同じ罪を背負っているのだと思います。
「降りていく生き方」がもたらすものは、平和な心や、人と人のつながりだったり、真においしい野菜や米、酒を味わうことができる、というような内容の映画です。
映画のアイコンとして、月の輪熊と小熊がしばしば登場します。
熊の生息する豊かな森は、数百億の金とでも交換しえない、真の豊かさに満ちています。人間も、そのような自然と共にある存在として意識を変えれば、人類絶滅ではない別の道を選べるでしょうか?そのような変化を起こすのは、無力に見える、たった一人の覚悟を持った人間なのだ、という希望も伝わってきました。
元気をもらえるとてもよい映画でした。
今月、あと2回、東京でも上映会があるそうです。詳しくはこちら→
身近な人を誘って、ぜひ見てみてください。
春の気配~ベランダガーデン日記
ここ数日、急に暖かくなりましたね。
ベランダのバラのお手入れ、2月の寒いうちに、剪定と植え替えをやるのがよい、と聞いていたので、そろそろと思っていたら、あっという間に春の足音が・・・。
天気予報にあせって、月曜の朝、あわててちょきちょき。にわかガーデナーになって、剪定を行いました。
バラの花は、毎年新しいシュート(枝)を伸ばしてその先に花がつくので、毎年大胆に剪定します。剪定するのには、これから伸びてほしい芽の、すぐ上で切るのが大切。切ったそばの芽から、メインのシュートが伸びるので、伸びてほしい芽を見きわめて慎重に剪定します。
今日見たら二日前に剪定した枝の芽が動きはじめています。バラは目覚めはじめてますね。今週末植え替え作業して大丈夫かしら・・・。バラさん、お願いだから、もう少し眠っていてね!
猫の額ほどのベランダですが、日当たり抜群なので植物が良く育ち、初夏には大きなバラがたくさん咲きます。
こんなに毎年剪定しても、何度でも気前よく生まれてくる、その力に、「あちら側」の不思議な存在を感じます。
建物と地盤の関係~身体をつかって考える
建築をつくるときに、敷地の地盤調査はとても大切です。建物の重さに対して、土の「地耐力」が十分か確認するためです。
さて、先日の中沢新一さんのアースダイバー
でも話しましたが、東京には洪積台地と沖積台地があります。このような土地の歴史によって土地の耐力が歴然と異なります。沖積層の青い部分は昔は海だったり川だったりするので地盤が弱いのです。また、新しく盛土した場所は、雨のたびに地盤が締まっていくので、地表レベルが下がってしまい、結果建物が傾いてしまうなんてことも・・。
地耐力を調査するのは一般的には「ボーリング調査」。保育園の敷地で先日ボーリングを行いました。
費用は平均して20万円~30万円程度です。土を掘っていって、地耐力と土の種類を確認していきます。50kN/㎡が5m以上連続するまで掘り続けます。
一方、2階建て木造住宅の場合は建物が軽い(10kN/㎡程度の重さ)ので地耐力は20kN/㎡~30kN/㎡以上(キロニュートン)あればよい、ということになっています。その場合、スウェーデン式サウンディング試験という簡易な調査方法を使います。これだと調査費用は3万~8万円程度。
さて、このスウェーデン式サウンディング試験、手軽ですが「地耐力」としては目安程度の結果しか出ません。スウェーデンの結果20kN/㎡程度の耐力でも、掘ってみたらすぐにローム層(関東ローム層の地耐力50kN/㎡)があった、というケースがあります。そのような、古い土地では、スウェーデン式+ハンドオーガーボーリング(土を掘ってローム層のレベルを確認する試験)を一緒にやることをお勧めします。
正確な地耐力を把握することで、必要十分かつコストパフォーマンスのよい基礎の設計を行うことができます。
私の場合、構造計算は信頼できる構造家に外注しています。構造設計はより安全側に設計をすればベターなのは間違いないですが、そのために過剰な費用がかかることはお客様にとって負担になります。そこで、どのあたりに納めるのがよいのか、「コストパフォーマンス」と「安全」のさじ加減は、構造家の「経験」と「勘」によるところが大きい。特に地盤の解釈については意見が分かれることが多いという事を、最近発見しました。これは・・大変悩ましい・・・。
迷ったときは、「直感的にわかりやすい説明ができる人」を信頼することにしています。優秀な構造家の皆様には、ぜひこの能力を身につけていただきたいと思います。
また、基礎を作るための土を掘った底の地盤(=根切底「ねぎりぞこ」と言います)の閉め固めも大きなポイントになります。現場で、閉め固めが完了したときに、土の固さを確認するのは構造家の仕事として重要です。構造家と一緒になって、私も横でガシガシと土を踏んで確認することは、欠かしたことがありません。十年以上も一緒に現場を見ていると、勘と身体が鍛えられ、足下の土が何kN/㎡か、想定できるようになってきました。
建築の仕事、頭より「身体で考える」ことのほうが、意外と多い職業です。





