キッズタウン東十条フェスタ~一日こども美術館
私たちの事務所で2年前に設計監理しました「キッズタウン東十条保育園」で、本日「キッズタウン東十条フェスタ」が開催されました。私もお招きいただき、今年も行ってきました。
保育園の中、いたるところに子供たちが作った絵やおもちゃなど、さまざまな作品が所せましと並んでいました。保護者の方や地域の方にも見ていただけるように、園を解放して様々なイベントを行う恒例の行事です。
この園では、アート作品づくりや、リトミックなどの体育など、のびのびと遊び感覚で創造性を育てる教育がとても熱心に行われていて、さまざまな講師の先生や大学の先生などが定期的にワークショップをやっています。その成果を、こうやって保護者の方や地域の人に見てもらう機会をつくることを、恒例行事としてやっています。園長先生の人柄と人徳がなせる、「開かれた保育園」が完全に根づいています。
子供の作品を、丁寧に作品にして展示するのは、講師の島田さんと保育士さんのクリエイティブな共同作業です。ほほえましくて、元気になります。
夜は、地域の方と関係者が集まって、恒例の屋上夜涼み会です。生ビールもサーブしてもらって、三線の演奏や本部長のギターなど、いろいろなアトラクションも飛び出して、屋上ビアガーデンは大盛り上がり。
地域に根付いた保育園は、夜こんなふうに屋上宴会を催していても、まったく苦情もなく、近隣の方に承認されていることがひしひしと伝わってきました。
保育園という場所が、大人にとっても子供にとっても、夢と希望を与えるオアシスのような存在になり、町を潤していく可能性なんだなあ、と思い、「キッズタウン東十条」に来るたびに本当にほのぼのと幸せな気持ちになります。
保育園のみなさん、素敵な一日をありがとうございました。
「平等社会」を読む~経済成長にかわる次の目標
この本はリチャード・ウィルキンソン氏が2010年に出版した本で、経済学と疫学を学んだ著者が、現代社会の諸問題は「格差の拡大」によって生じている、ということをさまざまなデータから実証しようとした本です。人々は物質的には満たされても、不安や精神疾患、コミュニティーの崩壊と過剰な大量消費至上主義によって、地球環境問題を引き起こしているということです。
私たちは、「幸福」というと個人的な問題で、それは個人の性格や資質、努力によって得られる、という考え方になじんでいますが、実はそのような個人志向に落とし穴がありそうに思います。幸福の一部は間違いなく個人的なものですが、環境や社会の状況が個人の幸福感に深く関与しており、それは多くの場合政策によって左右されるものである、ということに多くの人は気づいていません。人は、自分がその集団の中でどのあたりに位置するのか、無意識のうちに感じ取り、自分が上位性を認められる環境にいれば大変なハイパフォーマンスを出し幸福感を得るが、そうでない環境に入ると同じ人が低いパフォーマンスしか出すことができない、という実験があります。
社会の中の格差が広がることは、物質的、経済的な再分配の問題だけでなく、階級格差というような目に見えない格差の拡大も深刻な影響を及ぼすといことです。従業員給与の100倍受け取るCEOやマネーゲームでスーパーリッチを生み出す社会で、労働者の賃金はまったく押し上げない不健全な状況は、コミュニティーを壊し、不安を増大させ大量消費社会と孤独を作り出しています。今の社会の成り行きを自然のままにまかせると、このような状況に突き進むということは、「やむを得ない」ことでしょうか。そうではなくて、これは人間の作り出した経済学、金融資本主義の構造的欠陥であり、そして政治的ヴィジョンの欠落なのだということが、この本を読むと感じられます。
人が本来求めているものが、「生活の質の向上」だとしたら、生活の質とは、所得だけでなく、「時間」(のゆとり)の問題なのだと思います。人が身近な人とふれあう時間が十分にあり、お互いを知ることで相互を信頼し、多くの人が安心して暮らせる社会。デンマークなど、北欧では、そのような社会状況が実現しつつあるようです。日本も、米国に比べると格差が少ないため、社会関係資本が有効に働いているともいわれます。これからの社会の、政治の目標として、GDPの成長とは違う指標を標榜する必要があると強く感じました。
府中ソーラータウン~公園の中に住むような分譲住宅
昨日府中ソーラータウン の見学会に行ってきました。設計は野沢正光氏で、東京都都市整備局が計画した事業です。「長寿命環境配慮住宅モデル事業」として、都の土地を民間に売却し、相羽建設が計画から販売まで行った16戸の分譲住宅です。
町全体をパッシブデザインとすることをコンセプトに、中心に公共性を持ったみんなの街路を計画し、風の道兼住民の共有散策路になっていることがポイント。もちろん住宅は高断熱の創エネ住宅で、太陽光パネルとOMソーラーをすべての屋根に載せています。
日本で4軒目?のLCCM住宅(低いライフサイクルCO2発生)を取得したとか。電気代は、一般の住宅の12%程度。太陽パネルの発電と、OMソーラーによる100%に近い豊富な給湯量によって、ごくごく低いエネルギーで快適に生活できる住宅になっています。
今回おもしろいと感じたのは、「地役権」という民法上の権利についてです。分譲住宅は個人の敷地を分割して販売することで所有地が明確であり、道路か個人私有地かに分かれてしまいます。
しかし、この住宅では「地役権」を使って、分譲時のルールの中で取得土地の1/15は住民の共用部に供する、というルールを唄って販売することで、私有地の中に共有の街路を持つことができているのです。
日照、通風、コミュニティーの活動などを行う公的なスペースを生み出すことができるということです。
また、隣地との境界も塀など立てずオープンであることにより、自分の土地だけでなく借景的な中間庭が発生しています。
隣地の間に境界線はありません。見えない境界線は小さなブロックを配置するだけです。
私有地か公共地か、という2者択一ではなく、「シェアする土地」という感覚は分譲地ではなかなか存在しませんが、戸建て住宅の開発としてこういうことを仕掛けることに本当にデベロップメント(土地の再開発)の面白さがあると思いました。





