宮部みゆき著「火車」新潮文庫
先日読んだ「ばんば憑き」で、著者の達者な筆力、非凡な着想力を知った。今度は長編を読んでみようと手にしたのが本書であった。
結果は、期待以上の面白さであった。最初からエピローグに至るまでの構想力、巧みな伏線の散りばめ方、さりげなく記述される細かな心理描写など、著者が優れたストーリーテラーであることを感じさせた。また、殺人と言う凶悪犯罪を扱いながら犯人がそれに手を染めるに至った背景を丁寧に述べる事によって、酌量すべき情状がある事を読者に感じさせる。
題名の「火車」とは「火が燃えている車」の事で、多重債務者や借金苦に喘ぐ人達の隠喩として使われている。
なおこの作品は93年に山本周五郎賞を受けたそうだ。
宮部みゆき著「ばんば憑き」新人物往来社刊
この著者が直木賞を受けた人気作家なのは知っていたが、作品を読むのはこれが初めてであった。6篇の江戸怪異譚が収められていて、どれも面白かった。さまざまな妖怪、変化の類が登場するが、それぞれにリアリティを感じさせるのが著者の技であろう。
今は煌々とした照明で暗闇が殆どなくなり、物の怪の隠れる場所もなくなってしまった。
しかし、江戸時代には夜ともなれば行燈や提灯のほのかな灯りしかなく、百鬼の夜行が可能であったのだろう。
節電効果
この7月の電気代は、例年に比べて3~4割安かった。理由が二つある。一つは17年間使って来た冷蔵庫を買い替えた事。もう一つは、年中点けっぱなしで使っていた電気ポットを、使う度にスイッチを入れ、沸けば自動的にスイッチが切れるタイプに買い替えた事。
冷蔵庫は置き場所の関係で以前と同じ外形寸法のものを選んだが、内容量は大分大きくなり、製氷は自動化されて使えば補給されるようになり便利になった。ポットは使う度にスイッチを入れるのが多少面倒だが慣れればどうって事はない。
強い雨の中を歩く
自然の変化
近年、年ごとに夏が暑くなっているように感じる。今夏も今まで経験したことのない暑さが続いているような気がする。加齢によって体力が低下するのに伴って、より暑さを感じるのかも知れない。そう思って碁会所で何人かに問い掛けてみたら、異口同音に今年は暑いとの答えが返ってきた。やはり地球温暖化が進行しているのかも知れない。
最近、夕立が降らなくなったのも不思議だ。以前は午後には激しい雨が雷を伴って降り、止んだ後の涼しさが実に快適であった。これも気候変動の一つの表れかもしれない。
今年は蝉の声を殆ど耳にしない。減り続けていると言われる雀も、一段と減ったように感じる。
なでしこジャパンの無気力試合
女子サッカーの一次リーグの対南アフリカ戦の実況を見ていて、まるで勝つ気がないような試合振りが不思議だった。試合後の談話で、佐々木監督は試合を引き分けて二位で一次リーグを終えるように指示したと語ったので、謎が解けた。戦略的配慮から決めたとの事らしいが、私はこんな姑息と思えるようなやり方は納得出来ない。試合である以上、常に勝つ事を目指すべきだと考えるためである。
もう50年近く前だが、出入りしていた碁会所に、石井邦生九段(当時六段)が週に一度指導に来られていた。当時私は初段になるかならないかの棋力で、6目局を何度か打ってもらったが一度も勝てなかった。どうしても勝てないとボヤクと席主は次のように語った。『指導碁を打つ棋士には二種類ある。トーナメント・プロとレッスン・プロだ。トーナメント・プロは各種棋戦での賞金を主な収入源とし、レッスン・プロはアマに対する指導料で生計を立てる。石井先生のようなトーナメント・プロは、たとえアマ相手でも負けると負け癖がつくと言って必ず勝とうとされる。その点、レッスン・プロは負け癖がついても構わないので、適当に打って時々負けて相手に自信を持たせて成長させるような指導をされる。石井先生に負けても悲観するのではなく、本気で打ってもらった事を喜ぶべきだ。』
松本薫選手の存在感
スポーツにそれほど関心がある方ではないが、オリンピックの中継をつい毎日見てしまう。これまで映し出された日本選手のなかで、私にとって最も印象的だったのは松本薫選手であった。柔道会場への入り口で出場待ちする彼女を初めて見た時、一瞬ギョッとなった。何かに憑かれたような顔つきで前方を鋭く睨み付けながら小刻みに体を動かしている。まるで獲物を狙う野獣を思わせるものがあった。その彼女は「野獣」、「野生児」などと呼ばれ、外国のメディアからは「アサシン(暗殺者、刺客)」と名付けられていると知り成程と納得した次第だ。
出場待ちの際に何かを呟いているのが気になった。呪文でも唱えているのかと思ったらTVの解説で『落ち着け、落ち着け』と自分に言い聞かせていたと知った。闘争心が先行し過ぎて、自分の能力を超えた技を出してしまうのを自ら戒めていたのだそうだ。
SOLEDAD BRAVOの歌うHasta Siempre
彼女の代表作は、「Hasta Siempre(御機嫌よう)」で、ひとつ間違えれば悪声となりかねない独特の美声が素晴らしい。Hasta Siempreはキューバ革命を成功させたあと、新たな革命の地に赴くチェ・ゲヴァラにキューバ人が贈った惜別の歌だ。
井山本因坊が4冠に
今日、碁聖戦5番勝負の第3局が争われ、井山本因坊が黒番中押し勝ちして通算3連勝で羽根直樹九段から碁聖位を奪取した。これで井山は、本因坊、十段、天元と合わせて4冠となった。
今朝から始まった対局を午後2時頃までネットで観戦していたが、井山の勝勢は明らかだと判断し、碁会所に向かった。帰ってきてやはり井山が勝ったことを知った。