文学イベント報告
  • 08Aug
  • 04Aug
  • 17Jul
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      エッセイ実作講座~2020.7.11

      7月11日、はじめての『Zoomミーティング』アプリによるエッセイ実作講座を開催しました。事前にアプリをインストールしたり、IDとパスワードを取得したりと準備万端。開催時刻の夜9時30分には、パソコンやスマートフォンなど皆さんお使いの端末から、参加を試みて下さいました。「こんばんは」の挨拶で始まり、リモート参加経験のあるメンバーが多い中に新しい参加者もいて、参加を楽しみにして下さっていたのだが、上手く入ることができず、後日、詳しい者がサポートすることになった。主催者側としては、申し訳ないとしかいいようがない。今回、取り上げるのは、滝沢壽男さん「嗜好の系譜」・うっかりさん「なにか三十七歳」・「月草との待ち合わせ」の全3作である。参加者と作者が感想を述べ、講師の講評とアドバイスがあった。■「嗜好の系譜」著:滝沢壽男素材がいいし書こうとしている方向性もいい。しかし、評価するかしないかは別として、体験談であるエッセイが日記みたいになっている。タイトルが「嗜好の系譜」なのだから親から受け継いだ故郷の味の系譜を書かないといけない。家族という狭いところで、食文化が継承されていくことが後半部分にかかれるべきである。必ずしも事実に即していなくてもいいが、体験から書くという出発点が小説とは違う。個人的な体験からスタートして普遍的なものへと繋げていくことで、文芸作品として昇華される。■「なにか三十七歳」著:うっかり「刃に眼が現われた」など小説的な表現があり、エッセイという形に囚われず、ジャンル不問の作品としても評価できる。作者は俳人であり、「俳句になるまで待つ。それが祈りのようだと気づいたのは最近だ」といった、俳句を創作する者にしか書けない表現がされている。さらにラスト、「あのときの包丁を両手で握った形は祈りのそれではなかったか」と祈りへと繋げて書かれた場面は素晴らしい。ただ、その後の起業する云々という末文はいらない。タイトルの「なにか」について、できるなら別の言葉で表して欲しい。表現できないものを言葉にすることが、芸術家としてのチャレンジである。2作目「月草との待ち合わせ」展覧会である絵と出会い、その絵からインスピレーションを受けた作者が、それぞれの絵を俳句で表現した作品である。絵の作者に対する個人の思いを書いたもので、他人が批評する作品ではない、ということだった。コロナ禍でも徳島文学協会として出来ることはないか模索した結果の一つが「Zoomミーティング」アプリをつかった遠隔講座です。事前にアプリをダウンロードしたりと、操作に慣れない方は参加が少し大変ですが、一度、やり方をマスターしてしまえば次からは簡単に参加できます。ぜひ、臆せずチャレンジして下さい。Web上でも顔を合わせて意見を交わすのは楽しく、創作意欲が大いに刺激されます。リモート期間中は、参加費無料となっておりますので、この機会に県外会員の皆さまも、ぜひご参加ください。※詳しくは徳島文学協会のイベント情報をご覧ください。https://www.t-bungaku.com/event.html

  • 24May
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      パソコン倶楽部Online

      オンラインでパソコン倶楽部の活動を始めました。第1回目は会員さんからのご質問に答える内容でタイトルは「ワード文書に2種類のPDFを貼り付ける ☆質問回答#1☆」です。会員さんからの質問をお待ちしています。また改めてワードの基礎的な操作方法を少しずつアップしていく予定です。

  • 24Feb
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      朗読会「ヨムヲタノシム」~2020.2.19

      2月19日「ヨムヲタノシム」が開催されました。講師は徳島文学協会会員でフリーアナウンサーのなかむらあゆみさんで、参加者は、今活躍中の歌人、俳人、児童文学作家、ソプラノ歌手や、「カクヲタノシム」創刊号の編集にかかわった人達など10名。まずは、なかむらさんの指示に従っての滑舌トレーニングです。「あいうえお いうえおあ うえおあい えおあいう おあいうえ かきくけこ きくけこか くけこかき けこかきく こかきくけ……」「歌うたいが来て 歌うたえと言うが 歌うたいくらい歌うたえば 歌うたうが 歌うたうぐらい歌うたえぬから 歌うたわぬ」など次々に読みあげていきます。口も舌も勢いづいて踊り始めた頃、各自持ち寄ったものの朗読を披露します。歌人の方は出版されているご自分の本の中から数首を、俳人の方は古今東西の春の句を、ソプラノ歌手の方は「はるよこい はやくこい あるきはじめた みいちゃんが あかいはなおのじょじょはいて……」とやさしい声で、かつて小学校の先生だった方は、生徒たちがとても好きだった絵本を、児童文学作家の方は新聞に掲載されたご自分の作品を、またある方はお孫さんを主人公にした自作の絵本の朗読を、そして「カクヲタノシム」の編集に携わった方は、掲載された小説作品の中からとても好きだという描写の朗読を。講師のなかむらあゆみさんは、吉村萬壱さんの「生きていくうえでかけがえのないこと」の朗読をされ、最後には小山田浩子さんの「庭」のなかから《うらぎゅう》を順番に朗読していきました。 参加者の中にまだ一歳に満たない赤ちゃんのママがいて、後方でパパがバギーに乗せた赤ちゃんをあやしていらっしゃいました。ママの膝へ戻ると赤ちゃんは皆の声にとてもご機嫌になって、笑顔をみせてくれました。 明るいあしたが 見えてきそうな、たのしい二時間の講座でした。〈く〉

  • 12Feb
    • 赤松利市VS吉村萬壱 特別対談~2020.2.8の画像

      赤松利市VS吉村萬壱 特別対談~2020.2.8

       先日2月8日、平惣徳島店にて、作家の赤松利市さんと吉村萬壱さんのトークイベントが開催されました。お二人の話を聞こうと県内外からたくさんの方が来場され、会場は前のめりになって聞き入るお客さんで一杯でした。 吉村さんが赤松さんへ質問する形で、赤松さんの経歴や作品についての話が展開されていきます。赤松さんは大学卒業後に消費者金融などに勤め、35歳で起業。20年ほど会社を経営した後、東日本大震災の被災地での土木作業や除染作業を経て、東京でホームレスとなります。そんな中漫画喫茶で小説を書き始め、2018年に第一回大藪春彦新人賞を受賞という驚異の経歴。さらに毎日15時間執筆し、書いた後は杖をつかないと歩けないくらいになるとのことで全てが桁外れの凄さ。デビューから一年半で9冊も本を出されており、今後も今月はエッセイ「下級国民A」、来月は小説「アウターライズ」の刊行が決まっているそうです。 吉村さん曰く、赤松さんの作品は「絶対に抵抗できないもので引っ張る」。もしそれが地位や名誉なら、読者は「自分はそんなことない」と逃げられるが、赤松さんの作品はお金や女性などで引っ張る。だから読者には逃げ道がないのだ、という話は印象的でした。 現代日本の貧困・格差などの問題についても語られました。赤松さんは土木作業員だった頃はまさに虐められているような生活で、暖房のない部屋ではろくに過ごせず、朝早く起きてコンビニでパンを買い、駅の多目的トイレで文庫本を読みながら食べるというような酷い毎日だったそう。こういう不条理をじわじわと受け入れさせられてきたが、皆そうなのではないか、と語られました。吉村さんもそれを受けて、いかに今の政治家が日本語を壊し、本来はいい意味を持つはずの言葉を侮蔑的な意味の言葉へ変えてしまったか、それを元の意味へ戻すのには膨大な時間がかかるが、それを行なっていくのが我々の仕事だと語られました。吉村さんは意味を変えてしまった言葉の例として「丁寧に説明していきたい」を出されましたが、確かにこの言葉を額面通りに受け取ることができる人が、今一体どれだけいるだろうかと思います。 他にも阿波しらさぎ文学賞に応募されたこと、元々純文学志向だったが大衆娯楽小説で行こうと決めたことなど話題は尽きず、時間いっぱいまでトークは続きました。 イベントの最後には会場からの質問を受け、書きたいネタは尽きないのか、小説を書くためには人生経験はあったほうがいいのか、取材はどのようにしているか、キャラクターの作り方、さらにはお二人の読書の仕方などが語られました。会場内には小説を書かれている方も多く、第二回大藪春彦新人賞受賞者の西尾潤さんや、阿波しらさぎ文学賞で2回連続の徳島文学協会賞受賞者の宮月中さんもおられ、赤松さん、吉村さんお二人とやりとりを交わされました。たっぷり2時間、素晴らしいトークイベントでした。赤松さん、吉村さんにはぜひまた徳島にお越しいただきたいと思います。

  • 24Jan
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      みんなで楽しむ俳句観賞講座(冬)~2020.1.13

       俳人・原英さんが選んだ冬の俳句、10句をみんなで観賞します。各自、一番好きな一句、その他好きな2句、全部で3句選びます。投票が高い句から原英さんが解説していきます。選んだ皆さんも、その句のどこに魅かれたかを話し合うという鑑賞会です。 今回は、文芸誌・徳島文學vol2号にも掲載されています俳人の涼野海音さんが香川より参加してくださいました。ありがとうございます。10年以上俳句歴のある方と、まったく俳句を作ったことがないという方と、一緒に楽しく意見交換できました。■原英さんが選んだ冬の10句1、大根を水くしゃゝにして洗ふ  高浜虚子の作品では「流れゆく大根の葉の早さかな」の方が有名ですが・・・。2、ことごとく未踏なりけり冬の星  高柳克弘さんの句。原英さんは解説したかったそうですが、票が入りませんでした。3、日向ぼこ大王よそこどきたまへ  有馬朗人さんの句。大王が誰なのか、子ども? 飼い猫? みんなで想像しました。4、蠟製のパスタ立ち昇りフォーク宙に凍(い)つ  関悦史さんの句。漢字ばかりの句などいろいろな俳句にチャレンジされています。5、自殺せずポインセチアに水欠かさず  矢口晃さんの句。死を意識した句が多い。「こんなにも虹がきれいだ死後だらう」というのもあります。6、幸せになる双六(すごろく)の中の人  生駒大祐さんの句。双六の中の人は幸せだけど、双六をしている作中の人は幸せなのか?7、吐く君の髪束ね持つ寒夜(かんや)かな  榮猿丸さんの句。吐いている人、その髪が汚れないように傍で持つ人、二人の関係が気になります。8、亡き人の名刺を冬の木と思ふ  鈴木牛後さんの句。名刺の文字や余白が冬の木? 故人の存在が冬の木? 冬の木ってどんな木?9、まだもののかたちに雪の積もりをり  片山由美子さんの句。雪が積もっていっている様子を強調するために、あえて漢字表記に。10、冬と云ふ口笛吹くやうにフユ  川崎展宏さんの句。あとのフユがカタカナなのがいい。この句は、全員に選ばれました。 次回、俳句観賞講座(春)は3月18日です!!詳細は下記アドレスをクリックしてご覧ください。https://www.t-bungaku.com/event.html#haiku

  • 21Jan
    • 『小説という悪事』吉村萬壱講演会~2020.1.12の画像

      『小説という悪事』吉村萬壱講演会~2020.1.12

      1月12日(日)、徳島市シビックセンター4Fにて、徳島文学協会と徳島市立図書館との共催により「小説という悪事~芥川賞作家がガチで語る創作の本質」が開催されました。徳島新聞阿波しらさぎ文学賞の最終選考委員を務める吉村萬壱さんをお迎えして、過去2回開催された同賞の選考基準の他、選考にあたっての裏話を交えた軽妙なトークを繰り広げました。吉村さんと佐々木会長のトークセッション形式はこれまで幾度か展開されましたが、今回も笑いが絶えない一方で現代文学の核心にも触れるコアなトークを求めて、県外から聴きに来られた方もいらっしゃいました。地方文学賞は多くの人にとって読みやすいものであったり、その土地にまつわるものを郷里愛たっぷりに描くことが受賞要件として求められます。しかしながら、阿波しらさぎ文学賞についてはどのような方向性の作品であっても受け入れていこう、現代文学を牽引する純文学作品に近いものを応募して切磋琢磨できる賞にしたいというお二人の想いの下、過去の受賞作の決め手となった要素とこれから求められるものへの期待が語られました。また、これから小説を書いてみたいという人たちに向けて「これだけはやらない方がいい」という書き手にとっては耳の痛いタブーについてもお話いただきました。トークの後半では最新作『出来事』を書くに至るまでに吉村万壱を語る上で欠かせない多くの作品にまつわるエピソード、まさに吉村ワールドの出来事についても語られました。中でも東日本大震災でのことを取り入れた『ボラード病』を書くに際して取材した現地でのこと、そこで自身が感じた真に美しいものとは何かという問いかけ。これらを通じて吉村さんは人間を書くというご自身の文学における核となるものを再確認されたのだと、聴衆の一人として強く思いました。吉村さんの小説では簡単に人類が滅びたり、一見すると破綻した人格の持ち主が主人公であったりと人間が本来「美しい」と考えるものとは相反する要素が多数登場します。吉村さんは「人類は滅びるべきであるが、人間は大好きです」と語り、これも最初に聴いてみると矛盾を孕んでいるのではという思いにかられます。しかし吉村さんは人間の醜いとされる部分に眼を向けてこそ文学が追求する命題 「人間とは如何なる存在であるか」という答えがあると信じ、どのように人間を書くのかという点に一生を捧げるという大変にストイックな探求者でもあるということを改めて知らされました。一つの部屋で収めるにはあまりに密度の濃いガチな文学トークに、会場一同笑いを交えながらも真剣に聴き入った2時間となりました。2020年2月8日(土)Books平惣徳島店にて、作家の赤松利一さんと吉村萬壱さんの対談があります。そちらにもぜひ、足をお運びください。詳しくは協会HPのバナーをクリックしてください!!https://www.t-bungaku.com/

  • 15Jan
    • 作家と一緒に楽しむ新年会~2020.1.11の画像

      作家と一緒に楽しむ新年会~2020.1.11

       皆さま、明けましておめでとうございます。 徳島文学協会では、新年最初のイベントとして、1月11日(土)に芥川賞作家の吉村萬壱さんをお迎えして新年会を開催しました。集まった会員は、お互いの近況や今後の執筆活動の抱負などを熱く語り合いました。会の中では、吉村さんが執筆に向けての心構えを語り、参加者が真剣に耳を傾ける一幕もあるなど、短いながらも非常に充実した時間となりました。 また、場所を変えて行われた二次会では、協会会員でフリーアナウンサーの中村あゆみさんが吉村さんにインタビューを行い、吉村さんは今後の作品執筆に向けての展望や、新たに小山田浩子さんが審査員に加わった今年の阿波しらさぎ文学賞に向けての想いなどを語られました。吉村さんへのインタビューは中村さんのtwitcastingで配信されています。URLhttps://ssl.twitcasting.tv/ogztxzxg2nznd0c/movie/587840644(なお上記インタビューは会員でフリーアナウンサーのなかむらあゆみさんのご厚意によるものです)※左側中央バンダナのおじさまが吉村萬壱先生です。徳島文学協会では、今年も様々な文学イベントを開催いたしますので、どうぞよろしくお願いします。詳しくは徳島文学協会HPをご覧ください。https://www.t-bungaku.com/

  • 09Dec
    • 第1回 民雄忌~北條民雄を偲ぶ会~2019.12.7の画像

      第1回 民雄忌~北條民雄を偲ぶ会~2019.12.7

      12月7日(土)、阿南市と徳島文学協会が「民雄忌~北條民雄を偲ぶ会」を開催しました。会場となった阿南市のロイヤルガーデンホテルには、阿南市民の方々、徳島文学協会のメンバー、北條民雄の文学に深い感銘を受けているという方々など50人程が集まってくれました。県外から一泊どまりで参加してくださった北條文学のファンだという方もいらっしゃいました。ゲストは、評伝の作者である髙山文彦さん、芥川賞作家の吉村萬壱さん、批評家の若松英輔さんで、自らの北條民雄論をお聞かせくださいました。特に感動したのは、北條民雄の大甥にあたるという方がマイクを持って挨拶をされたことです。大甥の七條さんは若くて元気そうでハンサムな方でした。病気が明らかになると北條は、妻と離縁し親戚や家族と離され、遠い地へと送られることになったまま、生まれたことも育ったことも隠され続けてきたのです。没後82年。北條民雄の血が、故郷阿南市に受け継がれていることを知ることができたということは、なんとうれしい事でしょうか。徳島で文学を学んでいる我々は、世界の文学として誇れる北條民雄という作家や作品をもっと知るべきだと、深く感じ入った寒い寒い師走の夜でした。

  • 03Dec
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      パソコン倶楽部~みんなで文芸誌をつくろう~2019.12.1

      みんなの文芸誌・カクヲタノシムの第2号にむけて、募集が始まっています。前回の小説広場で募集要項の説明をさせて頂きました。カクヲタノシムは、基本、ご自身が規定の書式にそって制作した原稿を、データで提出していただくことになっています。なので、書式設定など分からない方は、パソコン倶楽部でお教えしています。今回も、ちょっと自身がないという方々が集まってくださって、二時間めいっぱい没頭しました。カクヲタノシムに参加しなくとも、創作活動をするには、パソコン操作ができなければ前に進みません。ちょっとした操作方法が分からず、創作が滞っている方がいらしたら、ぜひ、このパソコン倶楽部のドアをたたいてみてください。魚井部長が親切丁寧に、一人ずつ疑問を解決してくれます。次回のパソコン倶楽部は、2020年2月24日(月・振替休)を予定しています。https://www.t-bungaku.com/event.html#computer徳島文学協会事務局までお申し込みください。

  • 28Nov
    • 短編小説研究所「鈴の音」2019.11.16の画像

      短編小説研究所「鈴の音」2019.11.16

       最初に、佐々木先生の作品『鈴の音』を取り上げた理由を話される。 先生は、師と仰ぐ文芸評論家の上総英雄から「自作自解は決してするな」と言われていて、これまでは固く守っていた。が、今回はどうしてこの作品を書いたか、また、どういう思いで作品を書いているかを、ポストモダンを含めた文学論から話していく。 若き日の佐々木先生の受賞に至る道のりは、小説を書く者にとっては興味深いもので、徳島から文学賞の受賞者を輩出するという先生の熱い思いを再認識させられた。 『鈴の音』は過去から書かれていてラストに現在を書いている。メタ構造にする必要はあったのか? の質問に対して、現在から書くと時間の振り幅が小さくなる。ラストで突き放して相対化した、と。日露の役で出征した曽祖父が、死んだ馬の思念を感じることができて、その体質を祖父も母のみどりも持っていたのではないか。また、時を経て、「わたし」も持っている。こんなことを知らせることができたのは、そんな感性を受け継いでいるからなのだろう、と読者に感じさせる。 この作品はアンチポストモダンで書いた。小説を書く者は思想を持って欲しい、と締めくくられた。お買い求めはAmazonへhttps://www.amazon.co.jp/%E9%83%B7%E9%87%8C-%E4%BD%90%E3%80%85%E6%9C%A8-%E7%BE%A9%E7%99%BB/dp/475051540X/ref=sr_1_1?s=books&ie=UTF8&qid=1517799810&sr=1-1&keywords=%E9%83%B7%E9%87%8C

  • 28Oct
    • 短編小説研究所「第161回芥川賞受賞作を読む」2019.10.26の画像

      短編小説研究所「第161回芥川賞受賞作を読む」2019.10.26

      講座に先立ち、最初に佐々木先生(徳島文学協会会長・作家・四国大学教授)より当短編小説研究所の趣旨や、12月7日に阿南市で開催される民雄忌(詳しくは、徳島文学協会事務局まで)を始めとする今後の協会の活動方針について説明がありました。今回取り上げたのは、今村夏子さんの第161回芥川賞受賞作「むらさきのスカートの女」。まず各参加者がそれぞれ作品を読んだ感想を述べ合い、議論を進めました。主人公の女の異常性を巧みに描写している点や、主人公が「むらさきのスカートの女」と呼ぶ女性の実在性などについて様々な指摘があり、白熱した議論となりました。 佐々木先生は講評において、小説における「語り手」の視点を巧みに利用した作品であると指摘。夏目漱石以降の近代文学作品における主人公や他の登場人物、「語り手」の立ち位置を踏まえながら、本作品が一人称作品であるにも関わらずメタレベルで「私」を描写することに成功している特異な作品であるとの解説がありました。  本作品は一見見落としがちな違和感や内容の矛盾点が意図的に散りばめられており、主人公が「信頼できない語り手」であるため、内容について様々な解釈が可能になっている作品です。その解釈の多様性こそが、本作品の文学性を担保していると言えます。次回、短編小説研究所は、11月16日。課題図書は『郷里』(亜紀書房)佐々木義登著より「鈴の音」です。作家自らが解説いたします。ぜひ、ご参加ください!!https://www.t-bungaku.com/event.html#short2

  • 20Oct
    • 『驚きの真実、文豪川端康成と徳島の天才作家北條民雄』2019.10.20の画像

      『驚きの真実、文豪川端康成と徳島の天才作家北條民雄』2019.10.20

      徳島市立図書館にて徳島文学協会会長佐々木義登、理事久保訓子、理事阿部あみによる『驚きの真実、文豪川端康成と徳島の天才作家北條民雄』のトークセッションを開催。 北條民雄のプロフィール。一部省く。20歳東京の全生病院へ入院。川端に手紙を出す。21歳『間木老人』を川端に送り絶賛される。22歳『最初の一夜』を川端に送り『いのちの初夜』と改題され、文學界賞を受ける。『いのちの初夜』は第三回芥川賞候補になる。創元社より出版されベストセラーとなる。23歳12月死去。死因は腸結核、肺結核。 二年足らずの短い作家活動における彼の身辺の様々を紐解くには資料が少ない。執筆する肖像画は木炭画。写真はわずかで、最近、同級生であった方から少年時代の野球を楽しむ写真が提供されている。 北條が認められた時期は太宰とかぶっていて、当時の太宰と作品を比べても北條の方が優れている。なぜ、川端は作品も読まないうちから北條に好意的な手紙を出したのか。当時、川端には文学青年からたくさん手紙が来ていたと思われるが、北條は立場が異常で、自分が返事することによって、悲運の青年が頑張れるなら、という気持ちがあった、と思われる。まさに川端は北條にとって救いの神であった。 川端は『間木老人』を読んで、北條の文才を感じた。わずか二年間の創作活動で短編を七作書き、すごいスピードで作品の質を上げている。 彼の作品は、人間はどんな絶望的状況におかれても新たに生まれ変わり生を全うすることができる、として文学のもつ概念を変えた。川端でさえ空恐ろしいほどの、類稀なる才能をもっていた芸術家であった。 命日の12月5日を「民雄忌」と命名した。

  • 19Oct
  • 28Sep
    • 短編小説研究所 「阿波しらざぎ文学賞の受賞作を読む」  2019.9.28の画像

      短編小説研究所 「阿波しらざぎ文学賞の受賞作を読む」 2019.9.28

      新会員の参加もあり、最初に佐々木会長より当小説講座と阿波しらさぎ文学賞 についての説明があった。 この文学賞は徳島から全国に発信する小編文学賞で 応募作は四百数十篇と昨年を超え、相当注目されていることがわかるから、その中で選ばれた作品は評価されるべきものである。 この賞は徳島文学協会と徳島新聞社の主催で、下読みは当協会の主要文学賞受賞者が当たっている。各賞は最終選考会で決まり、吉村萬壱さんの意見は大きい。 参加者は受賞作品について、好き嫌いを含め、自分なりの読後感を熱く語った。 佐々木先生の講評は選考会での裏話も含めて興味深いものであり、『踊る阿呆』 の作品の分析に聞き入った。 『踊る阿呆』は大学生の浅はかさを徹底して描いていて思想的なものが一切なく笑いがシステム化されている。現代ポストモダニズム作品と言える。

  • 02Sep
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      夏の終わりを楽しむ本気で怖い小説~2019.9.1

      今日は附家書店 国府店で開催された文学トーク「夏の終わりに楽しむ 本気で怖い小説」にお邪魔してきました。徳島文学協会の佐々木義登会長と、理事の菊野啓さん・久保訓子さん・阿部あみさんの4名が、各々お勧めする「怖い」小説を紹介するというもの。まずトップバッターは久保訓子さん。お勧めの作品は、三島由紀夫著「真夏の死」。海の事故で子どもと親戚を亡くした夫婦のその後の生活が書かれています。子どもを亡くすという「怖さ」が描かれた小説で、今回選ばれたとのことでした。「三島がまだ独身の頃に書かれた小説だけど、独身だからこそ書けたのであって、結婚して子どもがいたら書けなかったのではないか」「子どもを亡くした夫婦にその後再び子どもができている。本来なら苦しみを克服しており良いことのはずだが、なんだか虚しさや恐ろしさを感じる」という話が出ました。次は阿部あみさんが、恩田陸著「ユージニア」を紹介。名家で起きた殺人事件の謎が、登場人物の証言や事件の描写などを散りばめながら書かれています。誰もが事件に少しずつ関わっていて、誰もが信頼できない。とにかく読むたび謎が残るとのこと。謎の箇所に付箋を貼ったという阿部さんの本には、オレンジ色の付箋がびっしりついていて、佐々木会長曰く「阿部さんのその付箋が怖い」。単行本は有名なブックデザイナーがデザインしていて、その凝った作りも紹介されました。また恩田さんの作品は若い人に人気で、大学で教鞭を取る佐々木会長は、学生に恩田さんの作品を取り上げて欲しい、とよく要望されるそう。佐々木義登会長のお勧めは豊田正義著「消された一家 北九州・連続監禁殺人事件」。怖い小説を紹介する会でノンフィクション作品を紹介するという禁じ手ですが、と断りを入れつつ、今まで読んできた本の中でこれ以上怖い話はないとのこと。一家全員を監禁して虐待し、恐怖心を植えつけておいてその家族同士で殺し合いをさせたという殺人事件のルポルタージュです。なぜそのような事件を起こしたのか、裁判でもその理由はわからない。犯人は全く反省せず、事件をまるで笑い話のように証言する。そしてあろうことか、傍聴席がその話に笑ってしまうことさえあったと書かれているそう。「人間の闇とは一体何か、そのわからなさ故に、私たちは何か無理矢理にでも理由をつけて納得しようとしてしまうのかもしれない」「怖い小説を書きたいと思うが、これを読んで、実際の人間の闇には敵わないと思わされた」という話が出ました。最後は菊野啓さんが、角田光代著「かなたの子」を紹介。純文学とエンターテイメントの作品が交互に掲載された短編集です。その中でも即身成仏の実現のために生き埋めになった僧侶の生死を毎晩確かめに行く村人たちの話や、生まれずに亡くなってしまった子どもに名前をつけてはいけないとされているが、名前をつけずにはいられなかった女の話などが紹介されました。「純文学とエンタメを同時に書くというのは本当にすごいこと」「角田さんは一流の作家の中でも本当に素晴らしい」という話で一同頷いていました。角田さんは来週開催される「阿波しらさぎ文学賞授賞式&記念トーク」にいらっしゃいます。サイン会も開催されるそうでこちらも楽しみ。紹介された作品はその場で販売されていて、私も「消された一家 北九州・連続監禁殺人事件」を購入。恐ろしいですが読んでみたいと思います。しかし恐ろしいな……

  • 23Aug
    • みんなで楽しむ俳句鑑賞講座(夏)2019.8.18の画像

      みんなで楽しむ俳句鑑賞講座(夏)2019.8.18

      暦の上では秋を迎えていますが、夏の間にできなかった夏の句の鑑賞を行いました。用意された10句の中から、特に良い1句とそれに次ぐ2句の合計3句を選んで頂き、得点の高い句から鑑賞しました。プリントには鑑賞ポイントや季語の解説も書いてあり、新旧有名無名を問わず10句集めてあるので、俳句を知らない方はもちろんベテランでも楽しめるようになっています。参加者の方それぞれで音読の区切るポイントが異なったり、俳句から受ける印象が異なっていたりと、それぞれの鑑賞を楽しんで頂きました。 次回は10月20日(日)に秋の句を取り上げます。詳しくはHPをご覧ください。https://www.t-bungaku.com/event.html

  • 25Jul
    • 小説広場~みんなで合評会~2019.7.24の画像

      小説広場~みんなで合評会~2019.7.24

      皆さんがお書きになった小説を事前に読んで、感想を言い合う合評会形式の講座です。今回も暑い中、みなさんお集まりいただきました。「事実は小説よりも奇なり」如月玲さんの作品400字詰め原稿用紙24枚の作品ですが、12ほどに章立てされています。タイトルにもあるように現実にあった話を元に、少し膨らまして創作されたそうです。ほとんどの皆さんの小説がワードデータで送ってくださっていますが、この作品は手書き原稿です。手書き原稿の場合は、スキャンしてPDFにし、メールのある方には送信させていただいています。メールのない方は、郵送させていただいておりますので、手書き原稿の方でも安心して、合評にチャレンジしてみてください。二作目は福岡さんの「粧子という女性」化粧品メーカーに勤める独身女性の話です。研修旅行にいき、ある男女の愛し合う姿に刺激を受けて主人公が恋愛に目覚めていきます。これも、海外旅行に行った際に、じっさいに男女の情熱的な光景を見て作者が刺激を受け、作品に描いたそうです。次回の小説広場は9月18日(水)朝10時からです! 詳しくはHPをご覧ください。https://www.t-bungaku.com/event.html#plaza

  • 21Jul
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      私のイチオシ小説~2019.7.20

      今年も、「私のイチオシ小説」が開催されました。お気に入りの小説を持ち寄り、皆さんで一人一作品、持ち時間五分の間にプレゼンするというものです。お話を聞いてジャッジするだけでもOK。参加者全員で投票し「イチオシ小説」を決定します。「イチオシ小説」に選ばれた方は、徳島文学協会ホームページに本の紹介文(原稿用紙二枚程度)を作成していただきます。協会より原稿執筆料として図書カードを進呈します。それでは、今年のプレゼン小説です!!①  会長  『佐川君からの手紙』 唐十郎②  KKさん  『もっとも厭な物語』に収められた『深夜急行』アルフレッド・ノイズ③  NAさん 『ものするひと』 オカヤ イズミ ④  MKさん  『深い河』 遠藤周作⑤  FTさん  『寝台自動車』 三木卓⑥  KMさん 『くぐり戸』 H・G・ウエルズ イチオシされた作品は、文学史に残る名作からSF、漫画、衝撃の事実をもとにして書かれた芥川賞受賞作など興味深いものばかりでした。飛び入りで作品を紹介された方が二名いて、楽しい雰囲気の中で投票を行いました。MKさんのイチオシ小説『深い河』が一位となりました。 

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