7月11日、はじめての『Zoomミーティング』アプリによるエッセイ実作講座を開催しました。事前にアプリをインストールしたり、IDとパスワードを取得したりと準備万端。開催時刻の夜9時30分には、パソコンやスマートフォンなど皆さんお使いの端末から、参加を試みて下さいました。

 

「こんばんは」の挨拶で始まり、リモート参加経験のあるメンバーが多い中に新しい参加者もいて、参加を楽しみにして下さっていたのだが、上手く入ることができず、後日、詳しい者がサポートすることになった。主催者側としては、申し訳ないとしかいいようがない。今回、取り上げるのは、滝沢壽男さん「嗜好の系譜」・うっかりさん「なにか三十七歳」・「月草との待ち合わせ」の全3作である。参加者と作者が感想を述べ、講師の講評とアドバイスがあった。

■「嗜好の系譜」著:滝沢壽男

素材がいいし書こうとしている方向性もいい。しかし、評価するかしないかは別として、体験談であるエッセイが日記みたいになっている。タイトルが「嗜好の系譜」なのだから親から受け継いだ故郷の味の系譜を書かないといけない。家族という狭いところで、食文化が継承されていくことが後半部分にかかれるべきである。必ずしも事実に即していなくてもいいが、体験から書くという出発点が小説とは違う。個人的な体験からスタートして普遍的なものへと繋げていくことで、文芸作品として昇華される。

■「なにか三十七歳」著:うっかり

「刃に眼が現われた」など小説的な表現があり、エッセイという形に囚われず、ジャンル不問の作品としても評価できる。作者は俳人であり、「俳句になるまで待つ。それが祈りのようだと気づいたのは最近だ」といった、俳句を創作する者にしか書けない表現がされている。さらにラスト、「あのときの包丁を両手で握った形は祈りのそれではなかったか」と祈りへと繋げて書かれた場面は素晴らしい。ただ、その後の起業する云々という末文はいらない。タイトルの「なにか」について、できるなら別の言葉で表して欲しい。表現できないものを言葉にすることが、芸術家としてのチャレンジである。

2作目「月草との待ち合わせ」

展覧会である絵と出会い、その絵からインスピレーションを受けた作者が、それぞれの絵を俳句で表現した作品である。絵の作者に対する個人の思いを書いたもので、他人が批評する作品ではない、ということだった。

 

 

コロナ禍でも徳島文学協会として出来ることはないか模索した結果の一つが「Zoomミーティング」アプリをつかった遠隔講座です。事前にアプリをダウンロードしたりと、操作に慣れない方は参加が少し大変ですが、一度、やり方をマスターしてしまえば次からは簡単に参加できます。ぜひ、臆せずチャレンジして下さい。Web上でも顔を合わせて意見を交わすのは楽しく、創作意欲が大いに刺激されます。リモート期間中は、参加費無料となっておりますので、この機会に県外会員の皆さまも、ぜひご参加ください。

※詳しくは徳島文学協会のイベント情報をご覧ください。

https://www.t-bungaku.com/event.html