新型コロナの感染者が、大阪を中心に増えてきて、「第4波」とも言われつつあります。
「第一波」の際は、多くの観光列車が運転を取りやめましたが、これは新型コロナの正体や、有効な対策が不明の状態というのが大きかったように思います。どんな感染の仕方をして、どんな対策を取ればよいか、かなり明らかになってきましたので、現在では、多くの観光列車は「感染対策をして運行」しています。
今回は、「アクリル板の設置」を中心にした感染防止対策をまとめました。
【1】換気と車内消毒
大半の列車では、車内の空気の入れ替えを行っています。
煙モクモクの車内が、換気すると5分~10分で煙は見えなくなる実験映像を見ました。
満員になる可能性がある通勤電車は、窓を少し開けて走っています。
写真↑は、京都の叡山電鉄。(2020年9月)
水色の場所で空気を入れ替えます。
もちろん、手すりなどの消毒も行っています。
伊予灘ものがたり2020年7月↓
普通列車グリーン車でも、何人かの凄腕アテンダントさんは、積極的に手すりを消毒していました。
ありがたい限りです。
「伊予灘ものがたり」では、単線区間の待ち合わせ停車時間に、扉を開けて換気もします。《伊予灘ものがたり・リンクはこちら》
【2】新幹線は座席転換ストップ
新幹線や在来線の特急の多くは、リクライニングシートです。
(写真はMAXとき1階席↓)
このリクライニングシートでしたら、人と人が向き合っていません。
仮に感染者がいて飛沫が飛んでも、直撃は防げます。
グループで座席を回転したら、危険性が増大しますので、JR東日本では、おやめくださいと放送しています。
【3】通勤電車と観光列車
通勤電車は、他人との距離を十分に保つことができません。
路線や時間帯によっては、隣の人と体が触れざるを得ない状態になります。
「車内の換気」「車内の消毒」「マスク着用」に加えて、「会話は小声で控え目に」と呼び掛けています。
案外注目されていないのは、ロングシートの通勤電車では、飲食をすることは、ほとんどない点です。
せいぜい、PETボトルの茶を飲むくらいでしょう。
ですから、通勤電車がクラスターになったという話は聞きません。
逆に言えば、観光列車は、感染防止対策が不可欠となります。
とりわけ車内で食事を提供するレストラン列車は、キッチリとした対策が求められます。
【4】消毒液の用意
乗車する際に、消毒液の利用をお願いします。
そして車内に、自由に仕えるようにしておきます。
列車によっては、乗車時に検温をして、一定以上(たとえば37.5℃以上)だと乗車を遠慮していただくと公表している場合があります。
昨年はクレベリンを置いていた観光列車もありました。
【5】アクリル板の設置
飛沫感染の防止となると、アクリル板の設置が効果があり現実的とされています。
それぞれの観光列車のアクリル板の形や大きさは、いろいろです。
★フルーティア
福島県を走る「フルーティア」、スイーツが出る列車です。
大きなアクリル板が設置されています。
★とれいゆつばさ
福島~新庄を走る足湯がある新幹線車両。
テーブルが大きいので、仕切りを作っても問題ない広さになる。
★SL冬の湿原号
SLの客車は基本的にボックスシート。
なかなか設置は難しいが、大きなテーブルがあるため、アクリル板の設置がしやすかったようだ。《リンクはこちら》
★お座トロ展望列車
会津鉄道のお座敷・トロッコ・展望車が合わさった楽しい列車。
お座敷車両にアクリル板が設置されています。
テーブルに取り付けてある三角の木材は、会津鉄道のロゴマークに似ています。
《リンクはこちら》
★海里・コンパートメント
羽越線の観光快速「海里」。
コンパートメントは、他からの飛沫は飛びにくいが、前の席の人の飛沫が直撃しないように設置してあった。《リンクはこちら》
★志国土佐時代の夜明けのものがたり
JR四国の観光列車。
正面に向き合うボックスシートでなく、海側を向いた座席。
それでも、隣の人との間に仕切りをつけている。《リンクはこちら》
★西鉄レールキッチンチクゴ
2人が座れる対面座席が5つ並んでいる。
私が乗った時には、1番目3番目5番目の席だけ使用し、空いたテーブルにアクリル板を設置。
当然、定員が減って、減収になるので、鉄道会社としては痛いハズ。
★四国まんなか千年ものがたり
4人掛けボックスシートでは、正面の席との間でアクリル板を設置。
更にそれだけでなく左右にもアクリル板と徹底している。
もともと大きなテーブルだったら、可能なことだろう。《リンクはこちら》
【6】定員を減らす
座席やテーブルの配置の関係でアクリル板の設置が難しいなどで、定員を減らして運行している観光列車もあります。
★おれんじ食堂
写真左の折り畳みテーブルに、アクリル板を取り付けるのは困難だろう。
そして左のソファー席の客の飛沫だと、2mの距離はあるから届きにくい。
とはいえ、念には念を入れて、右のテーブル席の客の方に飛ぶ可能性も考えたのだろう。
そこで何重もの対策をとることにして、「左のソファー席」か「右のテーブル席」の一方しか座らないのを基本にしているようだ。
★くろまつ
京都丹後鉄道のくろまつ、こちらも定員を減らして20人だけに限定している。
経営的には辛いが、安心・安全のための措置と理解している。《リンクはこちら》
★富士山ビュー特急
富士急行の「富士山ビュー特急」、普通車はリクライニングシートで、全員同じ方向をむいているので飛沫の直撃はない。
しかし、特別な料金が必要で実質は「グリーン車」となる「指定席」の多くはボックスシートになっている。
定員を減らしての運行だが、26席のうち最大で11席しか使わない!半減以下だ。
★島原鉄道カフェトレイン
長崎県の小さな私鉄・島原鉄道。
ここの感染対策は、最も進んでいると思う。
《1》1両の定員を半減
4人掛けのボックスシートのうち、進行方向の2席だけ利用。対面で座るのを避けている。
空いていれば、うっかり座ってしまうこともありそうなので、猫のぬいぐるみを置いてある。
「こちらの席使用禁止」と書くより、かわいい「ぬいぐるみ」、素敵な取り組みだ。
《2》前後のアクリル板
テーブルではなく、隣のボックスとの仕切りに、アクリル板がある。
前のボックスの別のグループの方に飛沫が飛ぶのを避けている。
《3》取り組みが早い
上の写真は2020年8月のもの。今はアクリル板が比較的有効な対策として一般的になっているものの、当時はどの程度有効か良くわからない状態だったと思う。
率直に言って零細私鉄なのに、いち早くここまで対策したのは凄いこと。
私は観光列車にたくさん乗ってきました。
今では乗る際に、1日で手を石鹸で洗うのが約8回、アルコール等の消毒液を10回以上使用します。
ホントは5月の連休にも出かけたかったのですが、混雑する列車・施設が多そうということもあり、自粛する予定です。