今回は「女性販売員」と「男性販売員」についての話。内容の性質上、やや乱暴な表現もあることをご了承ください。
【1】女性販売員が多い
現在、各地の列車で車内販売をしている人の多くは、女性です。男性の車内販売員は、少数派となっています。JR北海道・JR九州・JR四国では、男性販売員を見た記憶がありませんが、男性販売員は2~3割という路線が多いと思います。
女性の販売員が多い理由は、昔から食べ物の販売は女性が多いからでしょう。
運転士・車掌は、最近は女性の進出が目立つとはいえ、まだまだ男の仕事です。その中で、女性が担当しやすい車内販売をする点も、不自然ではないと考えます。
【2】男性販売員にも凄腕がいる
では、車内販売員は、男性より女性の方が、より適しているのでしょうか。私は必ずしも、そうは思いません。男女の差より、個人差の方が大きいのです。実際、最も腕の良い販売員と感じたのは、成田エクスプレス(現在は車内販売廃止)で凄い技を連発したNREの紫バッジの男の販売員です。
ただ、「男女の差より、個人差の方が大きい」・・・これで終えては、浅すぎます。もっと深く考えたいと思い、次の経験を提示します。
【3】こんな視点(1)~商業高校のバザー
私は商業高校のバザーを取材したことがあります。正式には「デパート形式の文化祭」と言われます。各クラスが品物を仕入れて、来場者に販売するイベントです。パン屋をするなら地元の焼きたてパン屋から仕入れて販売する、時計屋をするなら地元商店街の時計屋から、品物を委託販売で借りてきて販売するのです。
4校の商業高校を取材しましたが、どの高校でも、男子は言葉が出ないのです。女子と違って、一言目の「いらっしゃいませ」しか出ないのです。品物を見ていれば、女子なら「この煎餅は、校章入りで記念になりますよ」などと案内してくれるのに、男子の半分は「いらっしゃいませ」を繰り返すだけ。こちらから品物の簡単な質問しても、うまく言葉にならないことが目立つのです。
商業高校の生徒ですから、それなりに普段から接客の指導を受けているのに、男子はうまく言葉が出ないのです。
【4】コミュニケーション能力が男性は低いことが
女性販売員で、良い・普通・イマイチの人の割合は、2:6:2くらいですが、男性販売員だと2:4:4でしょう。すごく立派な販売員の割合は男女無関係で2割ほどですが、イマイチの販売員の割合は男性の方が高いのです。
その理由は、やはりコミュニケーション能力でしょう。商業高校のバザーの事例からも分かります。
「おっ弁当があるぞ!」と言って客がワゴンを止めたのに、何も言わないで待つ販売員が結構いるのです。弁当は何段にも重ねておいてあり、横から見ただけではどんな弁当があるか分かりません。なのに無表情で何も案内せず、客が決めるのを待つ販売員は、たいてい男です。
しかし、男性販売員は、別の面で不利な条件があるのです。
【5】こんな視点(2)~美人販売員
ある日、私は帰宅ラッシュの時間帯に、普通列車グリーン車に乗りました。2階建て車両36席の最後部に座っていると、前から車内販売のアテンダントさんがカゴを持って進んできました。並みのアイドル歌手も真っ青のルックスの美人販売員でした。
一人目の帰宅サラリーマンがビールを買うと、満面の笑顔で「ありがとうございます。」 普段は満席でも5人くらいいしか買わないのに、この後の客にどんどん売れていき、30人くらい座っていた客のうち、何と13人も車内販売を購入したのです。私の前の客は、まだ開けてない酒をカバンにしまって、新たに1本買いました。
まあ、昔から「看板娘」がいる店は、売り上げが上がると言います。私のように「必ず買う客」は別として、客から見て印象が良い販売員なら買おうという客層は、一定数、存在するのです。
【6】でも女性だけにするのは無理
こうして見ると、特に男の客は、キレイな女性販売員を望む面があるのです。(女性客ならイケメン男性販売員を望むのかな?)
では、全員女性販売員にすれば良いのでしょうか?
それは明らかに無理です。
現在、車内販売をする人材は、不足気味だからです。お盆でも休みにくく、早朝深夜の勤務・泊まり込み勤務もある仕事ですから、向き不向きが激しいのです。
むしろ何割か男性販売員がいたほうが、良い面もあります。始発駅で重い荷物を乗せ降ろしする時には、力のある男性がいた方が助かります。また、男だけ女だけの職場よりは、職場の人間関係が悪化しにくい面があるような気がします。
そもそも、優秀な男性販売員を締め出すのは、大きな損失で、あり得ないことです。
【7】まとめ
男性販売員は、コミュニケーション能力に欠ける人の割合が高いのは事実です。しかし、男女差より個人差が大きいので、コミュニケーション能力が高い男性販売員も多く存在します。
なかには、男性販売員を良く思わない客がいるのも、現実です。
しかし、女性販売員だけでなく、男性販売員もいたほうが、様々な面でバランスが良いでしょう。
このようなわけで、男性販売員の割合は、現在の2~3割くらいで問題ないと思います。しっかり仕事する男性販売員(現在は未熟でもこの先頑張る男性販売員も可)は、今後も活躍して欲しいというのが、私の考えです。