![](https://stat.ameba.jp/user_images/20140714/00/suzume-pc/70/d3/j/o0604042813002455385.jpg?caw=800)
USB PD対応のカーシガーチャージャー
※例によって分解しますが、分解を推奨している意図はございません。
参考にされる際は、くれぐれも自己責任でお願いいたします。
本記事を参考にしたことによる、いかなる損害が出たとしても、
当方及びメーカーは責を負いかねます。
...いえ、別に珍しいものではないのですけどね。
USB PD充電器がだいぶお手頃になった昨今。
秋葉原あたりですと、家庭のコンセント(商用電源)で使える
USB PD(Power Delivery)20W対応のAC→USB充電器も
税込500円前後から入手できるのがおなじみ。
前回記事のおまけで書いた、PD45W対応の充電器さえ
税込千円せずに手に入る場合があるというのも
なかなか驚くべきポイントだなぁと感じています。
秋葉原でなくとも、全国のいわゆる100円ショップでも
PD20W対応の充電器は税別700円程度で入手できることが当たり前に。
入力が家庭のコンセントだけでなく、
カーシガー(一般自家用車向けのDC12V、あるいはトラック等の24V)でも
PD20Wの充電器製品は広がりを続けており、
こちらも税別500~700円程度で入手できるようになってきました。
これらカーシガーソケット対応のものは、
AC→USB充電器と違うのは、入力がDCで動くことにあります。
AC入力も理論上はDCでも動く製品は多いはずですが、
製品の大多数を占めるであろう全波整流を前提に作られた回路の場合は
片側のブリッジダイオードだけが連続して電流が流れることになり
部品の電流定格に余裕がなければ故障する可能性も充分にあるでしょう。
そもそもAC100Vの全波整流の電圧はおおよそ141Vなわけですから、
DCで使うにしてもそのくらいの電圧をかけなければダメ...
言わずもがな現実的にはそのままDC用途に転用するというわけにはいきません。
一方、カーシガーチャージャーは、DC12V(製品によってはDC24VもOK)を電源に
USB PD(5Vを基本とし、対応次第で9Vや12Vなど電圧可変)に対応できること。
つまり、USB PD対応のDC-DCコンバータ、というわけです。
○実製品を見てみる
今回の製品はUSB PDに加え、Quick Charge2.0/3.0にも対応する
20Wのコンバータを用意してみました。
地元100円ショップのレモンで、パッケージ記載の通り税別500円で購入しました。
とりあえず動くか簡易確認します。
こんな時こそ、前回紹介した安定化電源が役に立ちます。
実際に、安定化電源からクリップ線でカーシガーチャージャーをつなぎ、
その先にスマホを接続しておきます。
(輪ゴム止めって...)
短時間で、かつ電流を取らない(1A以下目安)という条件下でやったものですが、
こんな真似をせず、是非シガーソケットを用意してください...
ダメな例として、あえて載せておきます。
とりあえず動作に問題なさそうなので、分解します。
※製品保証もPL法も適用外な行為です。もちろん推奨するものではありません。
壊れても、ケガしても泣かないこと。
コネクタ部のはめ込みのラッチを外します。
シガーソケットのマイナス側に接続する2つの端子を押し込んであげれば、
ソケットのボディから回路を外すことができます。
これ、相当な力が必要で、端子にはマイナスドライバーを突っ込んで
何とか取れた...という感じでした。
いやぁ、うまくシンプルに構成されていますね...
部品点数は非常に少なめ。
入力コネクタの+側はシガーソケット先端に接触端子があり、
その裏からばねを介してつながるようにしています。
ばねは電気抵抗が低い素材というわけにはいかないところですが、
本製品はばねの中に別の銅線を半田付けすることで低抵抗化する工夫が。
-側はばね兼用になっているニッケルメッキの銅板?。
+側にチップヒューズ、入力の35V100uF?の電解コンデンサ、
スイッチング素子内蔵のダウンコンバータ制御IC
(CX8525という中国のメーカー製の降圧コンバータIC)、
チョークと出力側の16V220uFの電解コンデンサ、
USB PDやQC2.0/3.0の電圧指示に対応するIC
(XPD730という中国のメーカー製のもの)、
あとはチップセラミックコンデンサが計5個、
その他チップ抵抗が3個、たぶんトランジスタ、
おそらく電流検出に使っている大きめのチップ抵抗...くらいなもの。
出力コネクタは垂直に交わる方向に別基板が取り付けられ、
そこにUSB PDに対応するUSB TypeCと、QC2.0/3.0に対応するTypeA。
垂直基板は基板上のパッド同士を、はんだを盛ってつないでいます。
○USB PDやQCで電圧指令を出してみる
当方、USB PDで+12Vを出力させるWITRN製のTypeC→DCプラグケーブルを持っています。
いわゆる「PDトリガーケーブル」と呼ばれているものです(これもShigezonで購入)。
これを取り付ければ、+12Vを出力させる指令ができます。
とりあえず無負荷で様子を見てみます。
安定化電源で徐々に電圧を上げていき、安定して起動する9V以降を見ていきますと...
これは+12Vをかけたときのもの。
そもそもこの充電器は降圧コンバータの回路構成なので、
当然ながら入力よりも高い電圧を出すことはできません。
というわけで、+12Vよりも低い電圧が入力されている場合は
当然その電圧(Duty100%)で出すことになります。
入力電圧が+12Vを超えてくると、出力は+12V固定に。
QC2.0/3.0も、以前『Hi10 XRを充電する』で用意した可変アイテムを持ち合わせます。
こちらも使ってみます。
簡単に+5V、+9V、+12Vの指令を試してみましたが、結果はしっかり可変電圧を出力できました。
(もちろんこちらも、入力よりも高い電圧を出すことは不可能)
代表例として、写真は+9V指令を、入力+12Vで行っているもの。
結果を表にまとめると、こんな感じ。
そもそも無負荷ですし、
PDの電圧測定点がコネクタ直後なのに対し
QCの電圧測定点はコントローラーの後ろなので条件が異なる... など
いい加減な参考結果ではありますが、
ちゃんと指令値通りに出力電圧を制御していることは確認できます。
(こういった確認を机上ですぐできる... やはり前回記事の安定化電源は便利ですね)
今回の記事はここまでなのですが、
これ、『電動アシストサイクルのバッテリーでスマホを充電する』の記事で書いた
コンバータを+12V出力にすることで、2段コンバータ構成ながら
PD充電に対応できるようになる...というポテンシャルを秘めております。
今後時間があれば、搭載して検証するのも面白そうですね。
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本日は七夕。
「雨の特異日」とまではいわれないものの、7月7日は元々梅雨真っただ中なこともあり、
雨や曇りの多い日であることはよく知られています。
ところが今年、関東では珍しく、よく晴れております。
こんな時こそ、夜の星空を見上げるとよいのかもしれませんね。
非常に蒸し暑いですが...
もし、強いて七夕の願い事を上げるとすれば...
『他の立候補者を妨害したり、選挙ポスター掲示をおもちゃにするような
政治をはき違えた立候補者/政治家が滅びますように』
モジュール完成品の安定化電源
GWあたりに、Shigezoneから「XY-SK35H」なる安定化電源が発売されました。
毎度ながらちょっと長めの前置きをしてから紹介することにしましょう。
「XY-SK35H」の記事だけご覧になりたい方は2/3ほど下っていただければ幸いです。
○安定化電源とは
電圧一定(CV)、電流一定(CC)...といった感じで、
指定された値に基づいて、出力電圧/電流を決めることができます。
例えばCC0.5Aを設定すると、
0.5A以上の電流を流そうとしても、そこで頭打ちになります。
(出力に接続された負荷が0.5Aも取らなければ、0.5A以下になります)
普通のACアダプタなどの電源だと、「定格3A」と記載されていれば
一般的に0~3Aの間の定電圧電源として利用できる、という意味なのですが、
例えば出力短絡をしたときにどの程度の電流が流れるかは、
そのアダプタの設計次第となります。
3.5Aくらいで“フの字垂下”するかもしれませんし、
3.2Aを超えてから“ヘの字垂下”するかもしれません。
いずれにしても、定電流になるかは、まったくわかりません。
※垂下に関しては過去拙作記事『垂下機能(過電流保護)と電子負荷』参照。
一方安定化電源はCCで3A指定とすれば、
接続する負荷抵抗値をどんどん下げたり短絡したりしたとしても、
(短絡直後の出力コンデンサにたまった電荷の放電電流分を除き)
3Aをきっちり流すようにします。
ほぼ完全に定電流垂下、といってよいカーブを描きます。
このため製品評価や検査などでは必要不可欠なアイテムのひとつといえます。
○安定化電源はとっても高価
安定化電源は菊水電子やTDKあたりが有名どころ。
昔の製品でいえばメトロニクスなども有名でしたね。
とはいえ、ほとんどが研究開発やインダストリアルな目的で使用されており、
間違っても一般コンシューマ向けのアイテムではありませんから
価格がこなれる...世界ではありません。
以前、『《緊急用》電動アシストサイクルのバッテリーでスマホを充電する』の記事で
中古の安定化電源(0~60V、0~14A、MAX100W)を購入した話を書きましたが、
中古でさえも1万円以上はしていたと記憶しております。
外神田に本社があることで知られるカスタムの製品例でいえば、
直流安定化電源「DPS-3003」(30V3A、90W)の定価が19,300円。
90Wの電源で2万円...
すっかり高くなってしまったPC用電源(PSU)の価格の感覚でさえも
つい『高っ』と思ってしまいますが、この界隈の製品としては妥当と思います。
電圧も電流も任意にいじれる特殊性・利便性は簡単には代えられません。
なお、ある程度高機能な製品のポイントは、
CVモードが「0V以上」から使えるという点がみそ。
廉価版になると0.6V以上といった具合に、
完全0Vから制御できるわけではないものも多いです。
○安価な例の代表...秋月電子の例
とにかく安価に...ということであれば、この手で有名なものは
秋月電子通商で販売されている有名な電子工作キットである
『実験室用 定電圧安定化電源キット(パワートランジスタ仕様)』でしょうか。
何といっても1,500円という価格がメリット。
ただ、こちらは実用的に使う上では問題点も多いといえます。
キットなので組み立てる面倒があるのはともかく、
入力側の電源アイテムを自ら選定して揃える必要があるとか、
回路図も添付基板のパターンも20年来間違っているところがあるとか、
出力が発振しやすいとか...
そもそも単体キットだけではメーターもないので
メーターを追加してあげないと簡易用途から脱せないことに加え、
何よりもドロッパータイプなので効率が極めて悪く、
入力-出力の電圧差が大きい使い方をすると発熱が凶悪であること
(かといって入力電圧を低くすると出力可変範囲が狭くなってしまうので、
使いたい出力電圧に合わせて入力トランスのタップ切り替えを活用する
なども考えなくてはならない、など...)
使い勝手は製品の安定化電源と比べるとだいぶ悪いのが正直なところ。
しかも商用入力側の自作や運用は、
最低でも低圧電気取扱者相当の見識がないと非常に危険です。
同じ秋月チョイスをするにしても、個人的にはこれを組み上げるより、
割と最近扱い出したこのアイテムを使った方がよいと思っております。
『実験用安定化電源 DP100』
こちらはキットではなく完成品。8,800円。
商用電源に接続する機能はなく、
USB PDに対応する充電器(ACアダプター)やモバイルバッテリーを電源とします。
0~32V、0~5A、Max.100Wの範囲で制御できるようです。
○XY-SK35Hの特徴
お待たせいたしました。
冒頭のShigezoneの店頭で扱い始めた製品の話です。
(以前からAliなどのサイトでは扱いがあったようです)
CV/CCが設定でき、入力/出力がモニタリングできるLCDも搭載していて
2千円を切るという価格はすごい...
この製品自体も、やはり商用電源に接続する機能はないため、
ACアダプタやモバイルバッテリーなどのDC出力できるアイテムと
一緒に使うことになります。
なお、本体自体に主電源スイッチはありません。
入力側にはそれなりに容量(コンデンサ)がぶら下がっており、
通電されているACアダプタをつなごうとすると多少火花が出ます。
横着せずACアダプタなどの電源側をオフして接続しましょう。
仕様は以下の通り。
・入力電圧:5~30VDC
・出力電圧可変範囲:0.6~30V
・出力電流可変範囲:0~4A
・最大出力電力:35W
さすがに0.6V未満の領域は出せないようですが、
非絶縁の昇降圧回路を搭載し、入力電圧より高い出力電圧も出せます。
(...が、当然ながら5V入力であまり高い電圧を出そうとすると
入力電流が非常に大きくなり、入力回路を壊す恐れがあるかもしれないので
入力電圧は最低でも12V、出力30Vを出すのなら20V以上がよさそうな気はしますね...
45WPD充電器と20Vトリガーを利用すると手っ取り早そうでしょうか)
入出力コネクタを完備した完成品バージョンは定価4,800円。
外装・入出力コネクタがなく、パネルや入出力ターミナルのみを備えた中身だけのものなら
1,990円という非常に安価なお値段で買えます。
当方は中身だけのものを購入しました。
入出力ターミナルはパネルの下側から出ています。
「V/A」ボタンを押すと、CV設定、CC設定、電力表示を切り替えられます。
「SW」ボタンは、CV、CC設計中はそれぞれ指定値の桁を切り替えられ、
電力表示中は入力/出力表示の切り替えができます。
値は右側のロータリーエンコーダーのつまみを回すことで変えられます。
10mV/100mV/1Vと桁切り替えもできて、使い勝手はまずまず。
とりあえず無負荷ながら19VのACアダプタをつないで
5V~20V程度を出力してみましたが、特に問題はなさそう。
とりあえずフラッシュありで撮影。
LCDはバックライト付きで、実際にはこんな感じで明るいです。
出力中にCVの値を可変させることも可能でしたが、
上昇させると操作からやや遅れてゆっくりと実出力が上昇し、
下降させるとオーバーシュートしました
(10→9Vに指示すると、一度8Vくらいまで値まで下がってから9Vに戻っていくような感じ、
ただしオシロスコープで見たわけでもないので、どの程度落ちているかは不明)。
無負荷制御は若干特殊ではあるので、実際に負荷を接続して試してみると
また違う結果になるかもしれません...
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そういえば、今年2月頃にテクノハウス東映から販売が始まった、
エレコムのUSB PD 45W対応の充電器、「ACDC-PD2445BK」。※終売品
とにかく、やたらめったら安い...
一応メーカーでの定価は8千円超ですが、
東映にて980円と破格値で販売され、その後ほぼ同じような値段で
あきばお~やイオシスなど複数店舗でも展開されていきました。
現在、ほぼ売りつくされた感じでしょうかね...
自身のモバイルノートPCでも、会社のモバイルノートPCでも
きちんと使用できることを確認しており、なかなかお買い得な充電器でした。
GaN使用のコンパクトな45W充電器が千円を切ったインパクトはすさまじく...
今回の安定化電源と組み合わせて使うのもありでしょうね。
裏面コネクタのM/B
※例によって今回は特に文字ばかりです...
裏面コネクタのM/Bの紹介を軽くしつつ、適当に自分の感想めいた考察を書いているだけなので、
有用とは言い難い内容ですので、ご了承ください。
先月のこと。
MSIが「PROJECT ZERO」なるシリーズを発表。
ASUSも「Back-To-the-Future(BTF)」なるシリーズを発表。
世界的に見ると、Colorfulからも同様のコンセプトのものとして、
「CVN B760M-BACK FROZEN WIFI V20」がリリースされているようです。
ひとまずMSIの「B760M-PROJECT-ZERO」の画像を拝借しますと...
...いずれも、電源系(ATX、ATX12V)や信号系、SATAや内部USB系などのピンヘッダ類を、
M/Bの表面(部品面)ではなく裏面(半田面)に実装していることが特徴。
つまり、ケースの裏配線の話ではなく、本当の意味で「M/Bの裏面配線」をするものです。
本記事では、このM/Bの裏面にコネクタを配したものを『裏面コネクタ』と呼ぶことにします。
※メーカーはいずれも“背面(Back)”と表現するのですが、
個人的には何となく背面=I/Oパネルの向き、という認識があるのと、
当方現状では基板設計の立場なので
本記事では基板を基準に、敢えて“裏面”と記載させていただきます。
今のところ、Mini-ITXでは裏面コネクタの製品は登場しておらず、
対応ケースの裏面コネクタ対応位置を見てもATXとMicroATXのみが対象のようです。
○ケーブルを見せたくない潮流
タワー系のケースにおいてサイドパネルが部分的にアクリルになった
アクリル窓付きのケースが市場を席巻して以降、
光物の隆盛とともに、裏配線の動きも加速しました。
ここでいう裏配線は、通常通りM/B(や周辺デバイス)から出たケーブル類を
すぐケースの裏側に引き出し、その裏側で引き回す、というもの。
そして最近はアクリル窓というより、
もはやパネルそのものがアクリルや強化ガラスを採用した、
いかにも中を見せるデザインが広まっています。
(元々PET板のサイドパネルなどを使ってきた当方からすれば
ようやく時代が追いつてきたな、と(爆))
そんな中、ケーブルは邪魔とばかりに、
もはや見せないという考え方にたどりついたようですね...
スリービングが流行り、STRIMER系のような光るアイテムが流行り、
とうとうそのものを見せないところまで...
個人的にはM/B上の部品も配線も、
PCを構成するコンポーネントのひとつだと思うので
この流れそのものは若干寂しい気もしておりますが、
今回の記事は長短についてフラットに考えていきたいと思います。
なおASUSの「BTF」では、ビデオカードについても
電源ケーブルに代わり独自の対基板コネクタも追加することで
こちらも完全にケーブルレスとなるようにしているようです。
ビデオカードの電源入力部は独自電源コネクタのみなので従来製品と互換性がありません。
BTF対応のM/Bに従来のビデオカードを使うことは可能ですが、
BTF対応のビデオカードを従来のM/Bで使うことは不可能です。
○メリット
(1)配線そのものがやりやすい
当方はケースも作るようなタイプですし、コンパクトに設計する癖があります。
それゆえ、メインコンポーネントを取り付けた後に
各配線をM/Bにつけていくのは大変です(爆)
最近の市販ケースはフルタワーかよって突っ込みを入れたくなるほど大型化し
(裏面配線などの取り回しに触れなければ)
配線そのものへの苦労はさほど感じないケースが増えたように思います。
その点、「M/Bの裏面配線」は、通常のタワー型でいえば
ケースの反対側面(通常は正面から見て右側)から
CPUクーラーやメモリなどの干渉を受けずに配線しやすくなります。
個人的にはこの、配線がしやすくなることが最大のメリットに感じます。
(2)PSUの交換がやりやすい
PSU(電源ユニット)は一度組み込むと、
特に裏面配線を行う現状の使い方では交換するのに一苦労。
(フルモジュラーケーブル採用のPSUを利用し、交換前後でケーブルの互換性があれば
PSU本体だけの交換で済む場合もありますが...)
この裏面コネクタ採用機種であれば、交換は楽になると思われます。
もっとも、以前見受けられたような粗悪な電源が相当淘汰され、
5年くらい使ってもまったく不安なく稼働できる電源が増えたこともあり、
交換する機会がどの程度あるのかは難しいところですが(^^;)
(3)電気的な互換性は保たれている ※ASUS「BTF」のビデオカードを除く
あくまでもコネクタレイアウトを裏面に移しただけですので、
ケースの物理的な構造面の制約以外は特になく、
他のデバイスは従来品を使うことができます。
ASUSのM/Bでも、上記の通り従来品のビデオカードを使うことはできます。
よって将来的にこのコンセプトが廃れて単発で終わったとしても
他のデバイスは流用しやすいといえます。
※ASUSのBTF対応ビデオカードは互換性を捨てていますので、
この点は覚悟が必要ですね...
とはいえ、M/Bとビデオカードはセットで変える方も多いでしょうから
あまり影響はない...のかもしれません。
(4)今のところ各社のコネクタレイアウトは互換性がありそう
現状、各社における裏面コネクタの配置エリアは、
ほぼ同じ位置に入るように設計されていると思われます
(ミリ単位で同じエリアが設定されているかは不明ですが)。
規格や新たな構造の普及においては、こういう特徴がとても大事といえます。
ケースメーカーからも対応機種が生まれやすくなります。
選択肢は広い方が普及しやすいですからね。
早速Antecから「Constellation C5 ARGB」というケースがリリースされ、
裏面コネクタ製品に対応すると明記されております。
現状裏面コネクタとして発表済みの製品については
ASUS、Colorful、MSIのいずれにも対応するようですね。
その他強いていえばエアフローに有利とも考えられるのですが、
昨今はやりの裏面配線をきちんと行っていればエアフローは充分良好になると思われ、
裏面コネクタだから...といってエアフローに与える影響はほとんどないと思われます。
○デメリット
...トレードオフになりそうな要件も相当あるようには思えます。
(1)既存ケースが使えない
CPUクーラーの取り付けの際、バックボードを交換するような機種も多いことから
近年のケースはいわゆるCPUカットアウトなる、CPUの裏側部分に
板金などがない窓になっているものがほとんどです。
ところが今回のコネクタ類は元々表面にあった位置を
そのまま裏に持ってきただけの配置に近いイメージであり、
既存ケースでは対応できないか、板金に穴をあけるような改造を要することに。
改造してまで使おうとする向きはごく一部でしょうし、
改造するにしても強度不足や、そもそも対応できない可能性もあるでしょうから、
基本的にケースの新調について考えざるを得ないでしょう。
(2)ケースの物理的な幅が広がる
CPUクーラーやメモリ、ビデオカードと同じ方向に
コネクタの配線が伸びる分にはこれらの高さは無視できますが、
元々高さを気にする必要のなかった裏面側にコネクタが出たことにより、
そのコネクタ分だけ高さが必要に。
ATXやATX12Vの高さやケーブルの取り回しを考えると最低でも+35mmは必要で、
従来の裏面側空間にもう20~30mm程度は増やす必要がありそうです。
※わかりづらい画像で恐縮ですが、手元で実測する限りATXコネクタ上は
30mmだと相当無理をさせる状況で、現実的には35mmでやっと...という感じでした。
つまり、一般的なタワー系ケースでいえば幅を広げる必要が出てきます。
ただでさえ大型化したケースが、さらに大型化に拍車をかけてしまいます。
先ほどの「Constellation C5 ARGB」は幅が285mm。
(余談ですが、当方のMini-ITX横向きとMicroTAX縦向きの2枚入るケースの幅は205.5mm。
幅が大きくなると安定はしますが、場所を取りますからね...)
(3)M/Bの製造コストが上がる
基本的にM/Bは両面にそれなりの部品が搭載されていますが、
両面とはいっても、半田面側はリフローはんだ付けで済む部品が中心です。
(リフローはんだ付けとは、
予め面実装部品用のパッドにペースト状のはんだを塗り、
部品を載せてから周囲温度を上げてはんだ付けする方法)
ところが裏面コネクタでは、ATXコネクタで使用されるMini-Fit jr.など
スルーホールにリードを通すようような部品も半田面に搭載されます。
はんだ付けの工程が増えることを意味しますので、
通常設計品に比べると製造コストが上がると思われます。
つまり同じ機能でも、販売価格が高くなる可能性を意味しています。
(4)コネクタの冷却面にはマイナス
ケーブルにも抵抗はありますが、コネクタにも必ず接触抵抗があります。
仮に20mΩ程度だとしても、8A流せば1.28W、10Aなら2Wの発熱を伴います。
もちろん「あちっ」というレベルではないのですが、
通常のケースフローを少しでも受けている場合と、陰に隠れて風が当たらない場合を比べると
場合によっては10℃以上の温度差になると思われます。
(アレニウスの法則的には経年劣化のスピードはΔ10℃上昇で倍...)
まして普段「見せない部分」に隠れてしまい目視点検もしづらいため
この点では余計にマイナスであることは心得ておいた方が良いでしょう。
(5)中古価格が低迷する可能性がある
既存ケースで対応できない構造、という意味においては
BTXの再来と考えることもできます。
※BTXとは...
BTXとは、かつて熱処理の合理化をすすめるため
(事実上爆熱Pentium4の熱を抑え込むため)にIntelが提唱した
ATXとは形状互換性のまったくない形状のプラットフォームのこと。
アップグレードを考えずに済むようなごく一部のメーカー製品に採用されつつも、
形状非互換であることに周囲メーカーへの理解が進まず
結局はまったく定着せずに終わりました。
当方も、BTXは一台もまともに触ったことがないと思います...
元々ATXは、ATとI/Oパネルや拡張スロットの位置を揃えて登場したのですが、
ATXが誕生したころはまだISAスロットが普通に使われていた時代。
ATの頃からISAスロットは部品面が上を向くように取り付けられており、ATXでもそれを踏襲。
その結果、ISAスロットとPCIスロットの排他利用の構造も引継ぎ、
結局PCIスロット以降の拡張スロット(AGP、PCIeなど)では
拡張カードの取り付け向きが部品面を下にするものとなってしまいました。
この写真はSlot1のATX M/Bで、Iwill BD100Plus(5台目PC)。
赤枠の部分が、PCIとISAの共用スロット部分で、どちらかを排他的に使うことができました。
この向き、実は拡張カード上の部品の放熱という意味では最も不利な配置。
BTXにはこの点の改善の狙いもあったとみられる(なので左右逆になった)のですが
業界から総スカンを食らった...という落ちになりました。
BTXも、電気的な互換性が失われたわけではなく、拡張カードなどの利用条件もそのままです。
しかしながら、M/Bとケースの両方が従来とは非互換という点は
業界内で末永く使えるはずの安定規格に対する挑戦と受け取られてしまった感は拭えません。
今回の裏面コネクタで幸いなのは、ケース目線では裏面コネクタ対応を行ったとしても
一般的なATXケースとしても利用できる点にあります。
そういった意味でケースメーカーのハードルは高くないかもしれません。
ただしM/B側は専用環境が揃わないとまともに使えません。
よってM/Bの買い取り額は伸び悩む可能性が捨てきれません...
(「BTF」対応ビデオカードは、さらに難しいことになりそうですね...)
(6)対応機種が広まるか不明
メーカーが本気で、この先もこのコンセプトを続けるのならいいのですが...
特にASUSは、利ザヤは大きいが数が出にくいハイエンドのみに限定した
ラインナップのそろえ方をしていることもあり、不透明ですね...
そもそも、ケーブルレスの見た目への訴求をするということは、
ケースデザインも含めた全体的な見た目を気に入ってもらうことが大事。
好みなんて十人十色。
しからば、対応ケースのすそ野がもっと広がってくると、
一選択肢として受け入れやすくなるような気がしますね。
(7)ネーミング
これは敢えて書きますが...
「PROJECT ZERO」も「Back-To-the-Future(BTF)」も、
裏面コネクタを表している表現とは言い難いのが何とも...
PROJECT ZEROは会社名だったりAmazonの贋作撲滅活動の名称だったりするようで、
さらにBTFと聞いて、映画に疎い当方ですら洋画を思い浮かべるくらいですからね...
なんか、こういったあたりは、せっかく同じ向きをとったMSIとASUS(Colorfulも)で
歩み寄ってほしかったと思うのは当方だけでしょうかね...
(「BTF」についてはビデオカードまで踏み込んだ点で違いはありますが...)
RGB/ARGBのイルミネーション機能も各社好き勝手に名前を付けちゃいましたが
元をたどればいずれもカソードコモンの+12V制御か、NeoPixelの+5V系を利用しているにすぎず
別名称を使うメリットなんてありませんからね...
各社が独自機能だといわんばかりに誇示を進めると、使うユーザは混乱しがち。
特に裏面コネクタはプラットフォームに影響のある分野なだけに、
わかりやすく共同戦線を張って活動してほしかったとは思いますね...
...さて、すでにMSIのサイトには協力会社として
Lian-Li、SilverStone、Thermaltakeなどが挙がっており、
Asusの日本語サイトでも
『メーカー、PC DIYの専門家、ゲーマーを問わず、BTF Allianceに参加し、
共に成長することを歓迎します!』
とのことで、決してメーカーよがりではなく
賛同が得られればともに拡げていきましょう、というスタンスのようです。
(なおさら両社でタッグは組まないの?と思ってしまいますが...)
さて今後、どのようになるでしょうかね?
千石電商 新2号店のオープン
「パーツとツールのスーパーマーケット」を標榜する、
秋葉原の中でも、最大級の取扱量・床面積を誇るであろう、
電子部品を中心とした販売店、千石電商。
(念のため...PCパーツは売っておりません...)
そんな同店は、数年単位で見ると
・2号店の開店
・本店の移転
・ラジオデパート店の開店
など、時折動きがありました。
そして今回、新2号店がオープンいたしました。
新2号店。
写真は本店と、その隣にあった2号店。
○西川電子のねじを引き継ぐ体制に
その中でも今回の「新2号店」の開店は、少々重みが異なります。
場所は元々西川電子部品が入っていたところ。
...当方も記事にした通り、西川電子は昨年末、
ねじを含む店舗販売からの撤退に至りました。
数多のねじ入手難民に救いの手を差し伸べてくれた西川電子の撤退は
これまた多くの方へ衝撃と悲しみにつながったのですが、
そのあと千石電商がねじ販売業務については『跡を継ぐ』旨を表明しております。
そう。この店舗は単に千石電商の新店舗にあらず、
“西川の生まれ変わり”ともいうべき意味合いも含まれております。
○フロア構成の変化
...といいつつも、この新2号店では、ねじの取り扱いはありません。
取り扱いフロアも大きく変更されているようです。
千石電商のサイトによれば...
・新2号店
1F:アーケードコントローラー関連部品、
USBやHDMI、オーディオなどの映像音声通信充電ケーブル類
2F:ギターパーツ
・本店
2F:ねじ・スペーサー、ACアダプター、DCプラグ&ジャック
テスター、基板・基板関連用品、電線関連、スイッチ
他のフロアもこれに伴い、本店B1Fにあった電線などは本店2Fへ移動、
本店2Fギター関連のものが新2号店2Fへ移動...という感じです。
(13日(土)時点ではスペーサーなどは本店B1Fにありました)
またこれに伴い、本店の隣の2号店とラジオデパート店は閉店となりました。
ラジオデパートに千石電商がテナントインした際は結構驚きましたが、
今回の再編をもって閉店に。
もっとも発展的解消とみてよいので、寂しさというものは特になし。
(千石電商的には奥行きが少々狭かったかもしれませんね...)
○新2号店の様子
表には西川電子から贈られた花が。
2Fまでは上がっていないのですが、1Fのケーブル関連は見て回りました。
ちょうど本店の隣にあった2号店のラインナップが
そのまま新2号店1Fに入った感じです。
USBやHDMIをはじめとしたケーブル類をはじめ、
PC用ケーブルもこちらに入りました。
レジの位置が店舗入り口左側になり、
かつてレジや在庫置き場であった奥側は売り場に。
それなりに広さを体感できると思います。
そして商品を購入したところ、新2号店開店記念のクリアファイルをいただきました。
なお、販売フロアの変更・改装はまだ途中でして、明日15日も作業が入り、
本格的な新体制での運用は16日になるようです。
ねじの販売も16日以降とのことです。
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今年はすっきりと晴れたタイミングで桜見物ができませんでした...
浅草の隅田公園付近には赴いたのですが、スカイツリーの頭頂部は雲の中...
パソコン工房の店舗リニューアル
2週間弱の期間を経て、2月23日にリニューアルオープンを行った、パソコン工房。
『パソコン工房 秋葉原本店・秋葉原パーツ館 オープニングセール!』(公式サイト)
ごく簡単に言えば、従来の「アウトレット館(2F)」「秋葉原イイヤマストア(1F)」と
「パソコン工房 秋葉原本店(パーツ販売)」の役割を入れ替え、
パーツ販売をする側は「パソコン工房 秋葉原パーツ館」と名前を新たにしました。
中古フロアは引き続き秋葉原本店に残ります。
この場所で新品パーツ販売が行われるのは、ツクモ12号店以来ということになるでしょう。
なお、セール当日は短時間ながら秋葉原にいたのですが、
例によって特価品列による入場制限があって時間都合で伺えず。
当方は昨日になって初めて入店しました。
○第一印象は「小さい」
...いきなりネガティブな感想で恐縮なのですが...
元の大きさを長らく体感している身からすると、2フロア構成とはいえど
「だいぶ小さくなったなぁ」と思わずにはいられない感じです。
エルミタージュ秋葉原の記事によれば、
「移転前と取り扱うパーツの種類は変わりない」
とのことで、できるだけパーツをバックヤードに収め、
Arkのように売り場面積をコンパクトにしている...ということでしょう。
実際にM/Bなどはトールケースを用いての陳列を中心にするなど
コンパクトにする工夫をされている印象です。
2フロアなので2Fもあり(以前のアウトレット館部分)、2Fで目を引くケース売り場に関しては
以前に引けを取らない陳列場所が確保されている印象でした。
ただ、冷却ファンなど、メインアセンブリとは言えないジャンルは
何となく割を食った感じにも見えました。
2年ほど前にアップした拙作ショップ紹介の記事において
『ワンフロアでそこそこの面積を誇り、一式を揃えるうえでも
上下移動なくすべて揃うあたりの動線の良さも魅力。』
と記載しましたが、残念ながらこの特徴が完全に失われてしまいました...
店内は階段移動のみ。エレベータはありません。
その階段も比較的狭く、以前のアウトレット館同様、
すれ違いはしないように案内されております。
○パーツショップのゆく末は...
逆に、イイヤマPCやLEVEL∞といった
ユニットコム系列の既製品を販売する方は売り場面積が増えたことになります。
...確かにゲーマーの大多数が自作er...なんてことはなく、
既製品を購入する方が多いのは想像に難くありません。
ビジネス系でノートPCを探す場合だって、
イイヤマブランドを含めたメーカー製のノートを探すわけです。
そして円安が主要因の物価高対策の側面も手伝ってか、
中古PCを探す向きも以前よりも需要増となっている印象はあります。
自作PCがコストパフォーマンスで優位とは言えなくなってだいぶ経ちますが、
多くの客層を取り込めるのはどちらか...といわれれば、
自ずと答えは見えているのでしょう。
ツクモもいずれも1Fにメーカー製品や自社ブランドの既製品、
ドスパラも1Fに自社ブランドの既製品などを配しているあたりからも不思議ではなく、
やはり自作PCパーツで大きな売り上げを上げていくことが
非常に難しいのだろうなぁと思い至ってしまいます。
パーツショップが(面積的にも)どんどん減っていく...
悪循環が続かないことを願いたいところではありますね。
○店員さんは健在
パソコン工房のパーツショップといえば、古くはT-Zone時代から
FreeTを経てBUYMORE、パソコン工房と続くスタッフさんが数名いらっしゃいますが、
多くの方が引き続き、秋葉原パーツ館で働き続けているようです。
これらの方々はいずれも百戦錬磨の達人というわけで、
引き続きパーツや自作PC関係のアドバイスを受けることができそうです。
ここが崩れてしまったら寂しさ数倍増でしたので、
その点では幸いといったところかもしれません...
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昨年、『9年前のPCを現代風にする(SSD換装、Windows10化)』のおまけ記事で、
「妹家族たちとスノードームグランピングを初体験」と書きましたが、
一応雪そり遊びはそれなりに気に入ってもらったようで、
今年は実際にゲレンデでそり遊びのできるところへ行ってみることに。
毎々記事に記載している、白馬栂池です。
プラスチックそりで実際のゲレンデを滑走できるところは
少ないながらも全国で数か所あり、白馬エリアでいえば栂池のみ。
(爺ヶ岳でも、リフトのないキッズパークゲレンデで、スキーヤーと一緒に滑ることは可能)。
栂池は親の原&からまつゲレンデと鐘の鳴る丘ゲレンデの
「ビギナー券エリア」でそり滑走が遊べます。
いずれも1km滑走できる距離があり、ビギナー券なら大人でも3,800円/日。
栂池はもう10回ほど来ているものの、ビギナー券を買ったのはこれが初。
当方は2日間、そりを追いかけて動画を撮り続けた感じ(笑)
終盤では右手にWX350で静止画、左手にHero9で動画...
また、個人的には初の万座温泉へ。
ゲレンデ自体は中規模ながら、レベル感がちょうどよいところが多く、
プリンス系の宿の場合、宿泊者はチェックアウト後でも宿の温泉が楽しめるなど、
温泉を堪能する向きにもおすすめ。
風向きによっては硫黄泉のにおいがゲレンデ上部でもわかります。
硫黄泉メインで群馬といえば草津が真っ先に浮かびますが、
草津国際スキー場 改め 草津温泉スキー場は温泉街から遠く、
白根山噴火の件以降、ゲレンデ範囲が大幅に縮小されてしまい、
そのうえ人気観光地ゆえに大変混雑するところでもある
(おまけに草津の宿はどうしても高値になりがち)ので、
ゲレンデそばで温泉も堪能しやすい万座は新鮮な選択肢に映りました。