USB PD対応のカーシガーチャージャー | 風変わりなPC物語 -スズメさんち-

USB PD対応のカーシガーチャージャー

※例によって分解しますが、分解を推奨している意図はございません。

 参考にされる際は、くれぐれも自己責任でお願いいたします。

 本記事を参考にしたことによる、いかなる損害が出たとしても、

 当方及びメーカーは責を負いかねます。

 

 

...いえ、別に珍しいものではないのですけどね。


USB PD充電器がだいぶお手頃になった昨今。
秋葉原あたりですと、家庭のコンセント(商用電源)で使える
USB PD(Power Delivery)20W対応のAC→USB充電器も
税込500円前後から入手できるのがおなじみ。
前回記事のおまけで書いた、PD45W対応の充電器さえ
税込千円せずに手に入る場合があるというのも
なかなか驚くべきポイントだなぁと感じています。

秋葉原でなくとも、全国のいわゆる100円ショップでも
PD20W対応の充電器は税別700円程度で入手できることが当たり前に。

入力が家庭のコンセントだけでなく、
カーシガー(一般自家用車向けのDC12V、あるいはトラック等の24V)でも
PD20Wの充電器製品は広がりを続けており、
こちらも税別500~700円程度で入手できるようになってきました。

これらカーシガーソケット対応のものは、
AC→USB充電器と違うのは、入力がDCで動くことにあります。
AC入力も理論上はDCでも動く製品は多いはずですが、
製品の大多数を占めるであろう全波整流を前提に作られた回路の場合は
片側のブリッジダイオードだけが連続して電流が流れることになり
部品の電流定格に余裕がなければ故障する可能性も充分にあるでしょう。
そもそもAC100Vの全波整流の電圧はおおよそ141Vなわけですから、
DCで使うにしてもそのくらいの電圧をかけなければダメ...
言わずもがな現実的にはそのままDC用途に転用するというわけにはいきません。

一方、カーシガーチャージャーは、DC12V(製品によってはDC24VもOK)を電源に
USB PD(5Vを基本とし、対応次第で9Vや12Vなど電圧可変)に対応できること。
つまり、USB PD対応のDC-DCコンバータ、というわけです。


○実製品を見てみる
今回の製品はUSB PDに加え、Quick Charge2.0/3.0にも対応する
20Wのコンバータを用意してみました。
地元100円ショップのレモンで、パッケージ記載の通り税別500円で購入しました。




とりあえず動くか簡易確認します。
こんな時こそ、前回紹介した安定化電源が役に立ちます。
実際に、安定化電源からクリップ線でカーシガーチャージャーをつなぎ、
その先にスマホを接続しておきます。


※この接続の仕方はとても外れやすく、非常に悪い例です。

 (輪ゴム止めって...)
 短時間で、かつ電流を取らない(1A以下目安)という条件下でやったものですが、
 こんな真似をせず、是非シガーソケットを用意してください...

 ダメな例として、あえて載せておきます。


とりあえず動作に問題なさそうなので、分解します。
※製品保証もPL法も適用外な行為です。もちろん推奨するものではありません。

 壊れても、ケガしても泣かないこと。

コネクタ部のはめ込みのラッチを外します。

シガーソケットのマイナス側に接続する2つの端子を押し込んであげれば、

ソケットのボディから回路を外すことができます。


これ、相当な力が必要で、端子にはマイナスドライバーを突っ込んで
何とか取れた...という感じでした。

いやぁ、うまくシンプルに構成されていますね...
部品点数は非常に少なめ。



入力コネクタの+側はシガーソケット先端に接触端子があり、
その裏からばねを介してつながるようにしています。
ばねは電気抵抗が低い素材というわけにはいかないところですが、
本製品はばねの中に別の銅線を半田付けすることで低抵抗化する工夫が。
-側はばね兼用になっているニッケルメッキの銅板?。
+側にチップヒューズ、入力の35V100uF?の電解コンデンサ、
スイッチング素子内蔵のダウンコンバータ制御IC
(CX8525という中国のメーカー製の降圧コンバータIC)、
チョークと出力側の16V220uFの電解コンデンサ、
USB PDやQC2.0/3.0の電圧指示に対応するIC
(XPD730という中国のメーカー製のもの)、
あとはチップセラミックコンデンサが計5個、
その他チップ抵抗が3個、たぶんトランジスタ、
おそらく電流検出に使っている大きめのチップ抵抗...くらいなもの。


出力コネクタは垂直に交わる方向に別基板が取り付けられ、
そこにUSB PDに対応するUSB TypeCと、QC2.0/3.0に対応するTypeA。
垂直基板は基板上のパッド同士を、はんだを盛ってつないでいます。


○USB PDやQCで電圧指令を出してみる
当方、USB PDで+12Vを出力させるWITRN製のTypeC→DCプラグケーブルを持っています。

いわゆる「PDトリガーケーブル」と呼ばれているものです(これもShigezonで購入)。
これを取り付ければ、+12Vを出力させる指令ができます。

とりあえず無負荷で様子を見てみます。
安定化電源で徐々に電圧を上げていき、安定して起動する9V以降を見ていきますと...

これは+12Vをかけたときのもの。

そもそもこの充電器は降圧コンバータの回路構成なので、
当然ながら入力よりも高い電圧を出すことはできません。
というわけで、+12Vよりも低い電圧が入力されている場合は
当然その電圧(Duty100%)で出すことになります。
入力電圧が+12Vを超えてくると、出力は+12V固定に。

QC2.0/3.0も、以前『Hi10 XRを充電する』で用意した可変アイテムを持ち合わせます。
こちらも使ってみます。
簡単に+5V、+9V、+12Vの指令を試してみましたが、結果はしっかり可変電圧を出力できました。
(もちろんこちらも、入力よりも高い電圧を出すことは不可能)

代表例として、写真は+9V指令を、入力+12Vで行っているもの。
 

結果を表にまとめると、こんな感じ。

そもそも無負荷ですし、

PDの電圧測定点がコネクタ直後なのに対し

QCの電圧測定点はコントローラーの後ろなので条件が異なる... など

いい加減な参考結果ではありますが、

ちゃんと指令値通りに出力電圧を制御していることは確認できます。

(こういった確認を机上ですぐできる... やはり前回記事の安定化電源は便利ですね)

 

 

今回の記事はここまでなのですが、

これ、『電動アシストサイクルのバッテリーでスマホを充電する』の記事で書いた

コンバータを+12V出力にすることで、2段コンバータ構成ながら

PD充電に対応できるようになる...というポテンシャルを秘めております。

今後時間があれば、搭載して検証するのも面白そうですね。

 

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本日は七夕。

「雨の特異日」とまではいわれないものの、7月7日は元々梅雨真っただ中なこともあり、

雨や曇りの多い日であることはよく知られています。

ところが今年、関東では珍しく、よく晴れております。

こんな時こそ、夜の星空を見上げるとよいのかもしれませんね。

非常に蒸し暑いですが...

 

 

もし、強いて七夕の願い事を上げるとすれば...

『他の立候補者を妨害したり、選挙ポスター掲示をおもちゃにするような

 政治をはき違えた立候補者/政治家が滅びますように』