スザリーナ・ジョリーのブログ -7ページ目

青い鳥を探して(第十五回)土井監督の凄さ

TBSテレビ金曜ドラマ「青い鳥」勝手に解説

今回は第7章「終着駅」の話しです

野沢尚の脚本集を友人のさいさんから教えてもらい

メルカリ出品で入手したので

脚本との違いも含めて書いていきますね


トヨエツが逮捕され収監直前の清澄駅(実際は信濃境駅)

2羽のつがい文鳥が入れられた鳥かごを見つめる詩織(鈴木杏)

鳥かごのドアを開けて逃してあげようとする

しかし、文鳥は鳥かごから出ようとはしない


野沢尚の脚本だと鳥かごは空っぽで空虚を表しているのだが

ドラマ映像では囚われたままの2羽に変更

夏川結衣に囚われたトヨエツ、そして収監されるというメタファーか?



鳥かごのドアが開いてるにも関わらず

文鳥は逃げていきません

この鳥かごのドアを開けるというシチュエーションが最終回にも出てきて対比となっています

第一部と第二部のラストで対比になっているのがテクニカル!

雪が散らつく中

裁判長の声が響く

『主文、被告人を懲役8年に処す』

降りしきる雪の中

刑務所に到着した護送車

雪という天候で清澄駅と刑務所が繋がっている感

トヨエツが最後に降りてきて…

広い画のまま鉄扉が閉まり始める

ゴゴゴゴゴ…

閉まり始めた鉄扉を見つめるも

すぐに目を伏せる

このドラマでのトヨエツの

この目線の動かし方の細やかさは秀逸です

奥に向かって歩き始めるトヨエツ

さっきよりも寄ったサイズでゴゴゴゴゴ…


ゴゴゴゴゴ…

ゴゴゴゴゴ…

ズシーン!

最後まで鉄扉にピントが合ってないのが良い

脚本に書かれているのは

『刑務所の鉄の扉が、理森の後ろで固く閉ざされた。』の一文

これをこのカット割りに転換する土井監督の才能よ



第二部の鳥かごは

新しい物に変わっていて

2羽の文鳥が飼われているが

鳥かごのドアが開けられ外へ飛び立つ

第一部の古い鳥かごはトヨエツと夏川結衣

第二部の新しい鳥かごはトヨエツと詩織

そして、トヨエツと詩織は囚われの身から放たれる

というラストシーンで終わる


globeによる主題歌「WanderIn' Destiny」が良すぎて!

CDで聴くとラップが長いのでTV ver.に編集したものを聴きたくなる



青い鳥を探して(第十四回)土井監督の凄さ

TBSテレビ金曜ドラマ「青い鳥」勝手に解説

今回は第2章「秘密の絆」の話しです


この回の山場です


最終列車を見送ってホームで一息ついたトヨエツ

そこに酔っ払って現れた「かほり」(夏川結衣)

これからまだ飲みに行くという夏川結衣

最終列車が今 出たばかりで、もう列車は無いと言うトヨエツ

田舎は最終が早いとブー垂れる夏川結衣

▼「愛していると言ってくれ」でよく見た構図(対面ホームで話す2人)なのが良い!

靴を脱いで、線路沿いに歩いて行くと言い

ホームの端に向かう夏川結衣

それを止めようとするトヨエツ

ナメshotでの切り返しが緊迫感を煽る

ホームエンドに近づくのをバックショットで狙うのが上手い

向かう先は暗闇

その時、背後側から通過列車が近づく

カンカンカンカンと踏切の鐘の音が

高なる鼓動を表す!

気づいたトヨエツがダッシュして跨線橋を渡り夏川結衣を追う

ここでカメラに向かって走ってくるのが迫ってくる列車との対比で良い!

夏川結衣が奥へ向かって歩き、トヨエツは手前に向かって走って来る

前後の動きでカットを繋ぐ良いカット割り!

追いかける!

スゴいダッシュ!

列車のライトが迫る!

酔っ払っていて、虚ろな目の夏川結衣が良い!

抱きしめるやいなや、列車がフレームイン!

またも列車のブラインド!

土井監督の好きなパターン!(第2章のこっちが先だ第3章よりも笑)

抱きしめるトヨエツ

その背景に列車の赤いテールランプがフレームアウトしていく

この暗闇に浮かぶ列車の灯りがドラマチックさを盛り上げる!

ここで、抱きしめられている足のアップ!

(足フェチにはたまらないサービスカット!)

(ブルーの照明を後ろから当てて足のエッジを出す細やかさ!)

つま先立ちで不安定、よろけるようにトヨエツ側に体を預ける方向に傾く

夏川結衣の心が揺れて、トヨエツに向かう表現か?!

抱きしめたことで

好きが増してしまったトヨエツ

微妙な表情が演技巧者!

呆然としている夏川結衣

だがこっちも突然抱きしめられて

ズキュゥゥゥゥゥゥン!(©️荒木飛呂彦)

第3章「炎の夜」の前段として布石となる重要なシーンです


特に抱きしめの背景にテールランプの画が

粋な構図です

【止まれ】の赤信号にも見える


次回はトヨエツが収監される第7章「終着駅」










青い鳥を探して(第十三回)土井監督の凄さ

TBSテレビ金曜ドラマ「青い鳥」勝手に解説

最終章「永遠の愛」の知林ヶ島のシーン

今回はどちらかと言うと土井監督というよりカメラマンの凄さの話


母(夏川結衣)の思い出の地「知林ヶ島」に到着した2人

潮の満ち干で道が出来るというロマンチックな島です


ついに来た!万感の思い顔のトヨエツ

2人のバックshotからクレーンUPして島へ続く道を見せる

クレーンカメラのこれ以上ない正解の使い方!

歩き出す2人

詩織(山田麻衣子)の荷物も持っている

トヨエツさすが

このあと、歩いている2人の俯瞰カットかと思いきや

ワンカットでズームOUTして島と道がフレームに収まっているという

超絶技巧のズームOUTカットに驚く!





歩く2人が画面中央にいて

そのまま中央に位置させたままズームOUTだったら

三脚に固定して、ズームリングを回すだけなので

それほど難しくはない

しかし、このカットは途中から

島全体をフレームに収めるために

カメラを少しずつ左←に振らないといけない

(歩く2人が画面上は少しずつ右→位置にずれていく)

しかも、ズームOUT終わりの画をビシッと決めるには

水平の固定だけでなく、垂直の固定も外さないといけない

あの距離から狙って、歩く2人が分かるサイズから

▼このサイズまで引いてくるのは物凄い腕(技術)が必要

ズームOUT途中で揺れずにここまで引いてくるのは

ビデオカメラで何かを撮った事がある人なら

この技術が超絶技巧だと分かってもらえるはずだ

特に引き始めなんて絶対にブレる

このカメラマンは凄い!


土井監督が「2人からズームOUTして島全体と道を見せたい」

と言ったとしてもなかなかこの画を撮れるもんじゃない!

しかもこのカメラ位置は、ここしかない!というベスポジ!


最終回はこの画を見れただけで感動できる


UPできる写真枚数があまり残ってないので

余談ですが

かほり(夏川結衣)が乗っていた赤い車の話しをします


この車は、TOYOTAソアラ(3代目 前期)通称Z30と言われる車種で

初代&2代目ソアラとデザインラインが変わってしまって、当時あまり人気が無かったそうです

ソアラと言えば「動くホテル」とも呼ばれるラグジュアリー車であるとともに

5MT車は走り屋に人気があり、パワーもあったので

一派受けはしなかったが一部には人気の車種

      (▲写真はWikipediaから転載)

この「ソアラ」という名前は、

最上級のグライダーという意味の「soarer」で

「ソーラー」と発音するのだが読みづらいから「ソアラ」になったそうで

発売当時はSUZUKIから「sorer(ソーラー)」の商標登録申請が先に出されており

「ソアラ」の登録申請が一度却下されたが「ソーラー」の登録を

通常の3倍程(赤い彗星?)の値段でSUZUKIから譲ってもらったそうで

『高額で譲ってもらったオモチャ』と揶揄される

かほり(夏川結衣)の愛車としては

そういう意味もあったのかと勝手に深読みしてしまう(笑


閑話休題


次回は、遡って

第2章「秘密の絆」の名シーンを勝手に解説します




青い鳥を探して(第十ニ回)土井監督の凄さ

TBSテレビ金曜ドラマ「青い鳥」の勝手に解説

今回は、最終章「永遠の愛」


遂に潮の満ち干で現れる道で繋がる島を見つけたトヨエツと詩織(山田麻衣子)

鹿児島県指宿市にある知林ヶ島


道が現れるのは翌日夕方だという事で

近くの駅舎で野宿することにする2人

そこに貼ってあった日本地図を見ながら

これまでの逃避行を指で辿る詩織

東北から北海道に入り、札幌、その次が分からず

室蘭の場所をトヨエツが教える

清澄駅の跨線橋に貼付してあった路線図で

かほり(夏川結衣)の手を持って動かした時のように…

詩織(山田麻衣子)も、母と同様に

手を握られ意識してしまう

あえてのなぞりシーン

『私たち、色んな場所に旅をしたね』

『駅長さん(子ども時代のトヨエツの呼び方に戻っている)の初恋はいつ?』

照れて、はぐらかすトヨエツ

横打ちshotでは(再会時に比べ)

2人の心の距離感はかなり縮まっている

そして、対面だったのにわざと隣に移動する詩織

距離を詰めて緊張感が高まる

さらに『ファーストキスの相手は覚えてる?』と聞く

トヨエツは、またもはぐらかす

『私は絶対に覚えてる』と言う詩織

暗にキスをせがんでいるかのような雰囲気にもっていく詩織

さすがファムファタールの血を引く娘


『いつか詩織にもそういう人が現れるよ』

と言われて不満気な詩織

(そういう人とはアナタの事)とでも思ったのか

察したトヨエツは『もう寝よう』と言う

一線は超えないつもりの顔

しかし、詩織は

そんな事はお構いなしで攻めてくる

▼『まだ、眠りたくないな…』と微笑む

その台詞のあと、雨の夜の2人がいる駅舎の外観へ…

普通に考えたらこの外観にカットが変わるのは

2人が結ばれるシーンという意味なのだが

おそらく詩織にせがまれたキスをして寝たと思われる

それは視聴者に判断を委ねている


永作博美の時の涙雨とは明らかに違う雨の演出


なぜなら『眠りたくない』と言った詩織は

未来の方向(左)を見ているからだ



カットが変わって翌朝、砂浜でドッジボールをやって時間を潰す2人


そして現れた海の道



初見の頃(リアタイ時)はあまり面白くなく序盤で脱落してしまったが

いい大人になってから観ると

非常に味わい深いドラマである

面白くないのは筆者自身の問題だった


ちなみに2人が野宿した駅舎は

JR九州の指宿枕崎線の 開聞駅(かいもん)だが

撮影に使用された駅舎は現在は解体されて

既に無くなっている

「いつまでも有ると思うな」の精神で

見たい時にすぐに行かねばならない


次回につづく


青い鳥を探して(第十一回)土井監督の凄さ

TBSテレビ金曜ドラマ「青い鳥」の勝手に解説

第8章「再会」の続き


OP前ですれ違って顔を合わせなかったトヨエツと詩織(山田麻衣子)は

ハーモニカ練習をした思い出の丘で再会を果たす


またもや、あの曲を吹きながら音先行で登場


キカイダー(もしくはズバット)ならトヨエツが「誰だ!どこだ!」と言いそうなシーン

すまん、雰囲気が台無しだ(笑

近づきながら徐々に顔が判別できるようになる

鈴木杏の面影が感じられる山田麻衣子

なかなか良いキャスティング

そして、ハーモニカは上達していなかった(笑

ここでまた2人の心の距離感を表すような

横打ちロングshot!土井監督はこの挿入タイミングが抜群!

駅のホームでの横打ちshot(第3章 炎の夜)よりも

離れているのが秀逸

背景の山々が山頂部の雪でエッジを出しているが

あとは青一色でまるでブルーバックのように無駄なモノがまるで無い!

立ち位置は高低差を利用して

この時の心理的立場をも表す

当然、トヨエツが下で山田麻衣子が上

だけど身長差があるから目線は同じ高さで対等感!

このワンカットも情報量が多い!

詩織(山田麻衣子)は母(夏川結衣)が何故死んだのかを知りたかった

裁判上ではトヨエツが殺したとなっているが

本当は自殺ではなかったのかと

このあともトヨエツの家に訪ねてきて問い詰められる


そして、この回のもう一つの見せ場

そう!幼馴染の美紀子(永作博美)だ!

世話を焼き続け、さらにトヨエツの刑期が終わるまで

ずっと待っていた一途な女

このあと九州に旅立つトヨエツに対して

ついに心の声が出てしまう

▼このワンカットだけで、空っぽの棚と積み上げられた段ボールで旅立ちはすぐだという事が分かる

『私、もういやだよ』

『もう、見送りたくない』(精一杯の告白)

とトヨエツの背中にコツンとおでこを当てる

どうする事もしてやれないトヨエツ

目を閉じて耐えるしかない

永作博美の「諦め」と「諦められない」が入り混じった表情がたまらない

無言で耐えるしかないトヨエツ

幼馴染は、あくまで幼馴染で「女」としては見れない

と、以前にも父親(前田吟)に漏らしていた

永作博美の気持ちを知っているだけに

何もしてやれないもどかしさ


画面構成の法則から見ても

下手(左)向きは未来を見ている(時の流れは←左)

上手(右)向きは過去を見ている(反逆、抵抗の意味)、という

方向の法則があり

トヨエツは右向きで完全に過去にとらわれている事を表している

過去、すなわち「かほり(夏川結衣)」の事だ

決して左(未来)を向かないトヨエツ

つまり、永作博美との未来は無いのだ


「あしたのジョー」の紀子(のりちゃん)と同じで

好きだけど振り向いてもらえない

永作博美の役名が美紀子、紀子の文字が入っているのは偶然か?!


いつの間にか外は雨

永作博美の心の中に降る「涙雨」のようだ

ここでこの回は終わる

なんと詩的な映像だろう


この告白シーンのあとに外は雨

というシークエンスは最終回のトヨエツと山田麻衣子でも同様に繰り返されるが

そっちは「涙雨」ではなく意味合いが違う演出がされている


それは次回