バルタンの星を探して(第一回)飯島敏宏監督の凄さ
土井監督の凄さを2作品で勝手に解説してきましたが
友人の「さい」さんからリクエストがあった
飯島敏宏監督でしばらく勝手に解説していきます
若い頃は、実相寺昭雄監督のトンガった映像&演出に傾倒しがちです
(御多分に洩れず私もそうです笑)
年齢が上がってくると、飯島敏宏監督や円谷一監督のようなベーシックで丁寧な演出が良く感じるようになってきます
(実相寺監督が丁寧じゃない、という事ではありません)
とは言え、飯島敏宏監督は、かなり特殊なカメラワークやカット繋ぎをやっている事をもっと知ってほしい!
千束北男(せんぞくきたお)というペンネームで
バルタン星人登場回の脚本を書いたおかげで
「バルタン星人の生みの親」とも呼ばれている飯島監督
バルタン星人の話しは次回以降するとして
今回は、1968年の「怪奇大作戦」から
第3話「白い顔」です
市川瑛子 演じる水上純子が同僚男性から
しつこく食事に誘われるシーンからスタート
今 見ると全く相手にされていないから気づけよ!
と思え、そりゃこのあとの犯人が
お前いい加減にしろ、という気持ちになるのは分かる笑
エレベーターまで追いかけてフラれ(しつこいんだよ笑)
拗ねてタバコに火をつけようとライターを出す
すると、そのライターから発火して
全身に炎が広がる(二重合成で実際は燃えていない)
まさか、しつこい事で燃やされるとは!
両腕を上にあげ
壁に向かって燃えるフラれた男
両腕を上にあげていたのに
何故か焼け焦げた顔をさする横打ちカットに繋がる
(ここの繋ぎは違和感)
炎は二重合成
こういう風に、特撮合成を見越した撮影が上手いのも
特撮の事をよく分かっている飯島監督ならではの特徴
ここですごいのが
顔をさする手の甲が段々と焼け焦げていく
この細かい描写!
そして、そんな事が起きているとは知らず
駐車場で男とすれ違いざまに軽くぶつかる市川瑛子(美人!)
『失礼』と、言った男の顔が白塗り!
暗黒舞踏か?白虎社か?山海塾か?
その白い顔が
だんだん明るく白トバシになり…
カメラの絞りを開けるように
画面一面が白くなっていく(照明も当てていると思われる)
真っ白になる直前に
画面が回転を始め…
(飯島敏宏監督はこの回転エフェクトが好きなようでウルトラマンでも出てくる)
回転しながら
サブタイトル「白い顔」と文字が出てくる
このセンス!
画面回転は
不安定、不安感のアオリで使われる効果です
このあとの嫌なことが起こる予感を意味します
さらにこの「白い顔」は
エンディングへの導入も素晴らしいのですが
掲載写真枚数の限界なのでそれはまた
次回につづく
空飛ぶ広報室を探して(第九回)土井監督の凄さ
TBS日曜劇場「空飛ぶ広報室」勝手に解説
第1話と最終話で対になっている演出の紹介の続きです
最終話でガッキーの指が右上↙️と左下↗️から
フレームINして
スカイツリーからPANダウンしてきて…
店外観まで、でどうでしょう?、とガッキー
それを受けて
いつものカメラマン渋川清彦が「まあ、ええやろ」と了承
成長したガッキー
これは、第1話で同様に
全く分かってなかった頃のガッキーが
空からPANダウンして商店街というshotを撮りたいと言って
カメラマン渋川清彦に拒否されたシーンと完全に対になっています
あの頃のガッキーとは違うという演出
そして、第1話で空を指差し『空は繋がってますから』のこのシーン
最終話でも↓
空井(綾野剛)が同じセリフ
『空は繋がってますから』を言うと
ガッキーも同じセリフを言う
第1話では繋がっていなかった綾野剛とガッキーの空が
最終話では繋がったのだ
しかも指を鳴らすのは柴田恭兵の癖
2人を繋いだのは柴田恭兵という暗喩
空を向くと
真っ青な空で繋がっている2shot!
(絶対にコレやりたかったんだろうな)
カメラが空へPAN-UPすると
タイトルロゴと「The End」の文字
オシャレ過ぎんか?!土井監督ステキ!
もうひとつ土井監督ならではのカット紹介
ブルーインパルスが空を駆け抜けて行く
連続2カットのあと
太陽の逆光の中、手を繋ぐ綾野剛とガッキー!
見覚えはないか諸君!
そう!
「青い鳥」の「炎の夜」!!
と気分が盛り上がってきたので歌を歌います©️だいたひかる
♪Life〜!私はそれを知っているんだ
What is Life〜君にも見えているのだろうか
ドラマでこの曲かかった時
「Life」が「Love」に聞こえたよ
という事で「空飛ぶ広報室」勝手に解説は
今回で終了
空飛ぶ広報室を探して(第八回)土井監督の凄さ
TBS日曜劇場「空飛ぶ広報室」勝手に解説
そろそろネタが尽きてきましたw
この「空飛ぶ広報室」は、「青い鳥」のような尖った演出を控えめにしているので
勝手に解説しどころも少ないのです…
第1話で過去の自動車事故の夢を未だに見る空井(綾野剛)
夜に窓から室内に映る風に揺れる樹木の影は、古来より悪夢の表現でもある
天井に映し出される樹木の影(悪夢)が揺れてます
「もう勘弁してくれ」
悪夢に未だに捕らえられている
分かりやすい表現
かたや、ガッキーも天井を見つめていると
過去の事件を思い出す
報道局時代に追いかけ回した相手が実は無関係だった事で
局に駆け込んで来て、その結果
報道局から制作局への異動となった
報道人としてはトラウマの事件だ
2人とも天井に悪夢がある
とらわれた辛い過去があるという共通点
良い見せ方です
ここからは最終話と第1話の対になってる演出を紹介します
最終話
しばらく会っていなかったガッキーと綾野剛が
久々に再会する際に第1話OP前に初対面するカットのなぞりをワザとやってます
車から降りて近づく綾野剛
こちらも近づくガッキー
横打ち2shot、完全に広報室前での初対面シーンのなぞりです
2本の電柱を、広報室の扉に見立てて
ポスターの位置にも同じように建物があり
よくこんな同じように見える場所を探したと感心します
最終回では
ガッキーが地震災害時の話しを聞かされて
思わず涙してしまい
綾野剛が頭ナデナデしてくれるシーン
そうです!第1回で綾野剛が感極まって泣いて
ガッキーにナデナデされているあのシーンの
完全に対になる演出です
このように、第1回に出した印象的なシーンを
あえて最終回でなぞって、その時間経過による進化などを見せているのです
長い連続ドラマの末に
これを出されると
今まで見てきて良かった〜という気持ちにさせてくれる
良い最終回となります
この対になってるシーンの紹介は
次回もつづく
空飛ぶ広報室を探して(第七回)土井監督の凄さ
TBS日曜劇場「空飛ぶ広報室」勝手に解説
今回は第8話「運命が変わる2秒間」
空自広報室が低予算でドキュメンタリータッチのPV製作をすることになり
その取材対象に抜擢されたのがアッキーナ(南明奈)
父が元C-1輸送機パイロットで、アッキーナは
C-1の整備士
そのPV製作にガッキーが密着して番組企画としても使用する
父の墓参りシーンを撮影中に
遠くから、父が乗っていたC-1が飛んでくる
最初に気づいたのは空井(綾野剛)
『C-1だ!お父さんが乗っていた』
空自広報室でカメラを回していたのは要潤
このチャンスを逃さないよう
アッキーナとC-1が同じ画面に入るカメラ位置へ
急がせる局カメラマンの渋川清彦が良い立回り!
早く早く!の感じがめちゃくちゃ良い人感を出す
迫るC-1輸送機!
この下からのカットが彼らの目線の角度にバッチリ合って
視聴者のテンションは上がる!
要潤カメラの画面↓っぽく
アオリでアッキーナと墓とC-1がひとつの画面に!
墓参りに来たアッキーナを父が見守るように
上空を通り過ぎていく
(多分 合成だけど感動的)
皆んなが上空を見上げている中で
C-1が飛んで小さくなっていく
(目線がイマイチバラついてるので多分合成、だけど感動的!)
『仕込んだんですか?』とガッキー
『いや、こういう奇跡ってたまにあるんだよ』
と、柴田恭兵
美味しいところをこのセリフで持っていく
このあとのガッキーのセリフ
『お父さんからの たむけですね』
は、ちょっと泣かせようとするあざとさが見えて嫌だった
無くても良かったのではと個人的には思う
この一連の流れは
迫ってくるC-1輸送機と人間たちの切り返しが素晴らしく
特に渋川清彦の「早く早く!」のムーブが同じ業界人として微笑ましい!
良い画は撮り逃してほしくない!この一体感!
このシーンが良すぎて
このあとの綾野剛とガッキーのキスシーンは
何でそこで?感が否めない
せっかく2秒間のロックオン話しで前振りしてたのに
おまけ
要潤が仮面ライダー変身ポーズをしてるのは
やはり「仮面ライダーアギト」でG3システムを装着して
「仮面ライダーになりたい男 氷川 誠」を演じていたからか?(笑
おまけPart2
日曜劇場が元々は東芝日曜劇場だった事からか
ドラマ中の電化製品は
ほぼ東芝製なのが良い
次回につづく
空飛ぶ広報室を探して(第六回)土井監督の凄さ
TBS日曜劇場「空飛ぶ広報室」勝手に解説
今回はグルメ番組について
報道局から制作局に異動になった稲葉(ガッキー)
ドラマ第1話では【街角グルメ 唐揚げランキング】のロケから始まる
編集したオフラインを上司(生瀬勝久)に見せている
『寄りが足りない、シズル感も足りない、パカフワはどうした?』と初めて編集したディレクターに言うようなダメ出し
『パカフワ?』意味が分からないガッキー
グルメ番組の定番カットは
【箸上げ】食べる人の目線で箸で持ち上げピタリと止める
【パカフワ】唐揚げや焼き立てパンなど手持ちでパカッと開けると断面から湯気がフワッと上がる
(※番組や局によってネーミングはパカフワと違います)
【シズル感】唐揚げならジューッと揚げてるところ
焼肉は網で焼いてるところ
新鮮野菜なら霧吹きで水かけてみずみずしさを
【寄り】紹介したい具材などのUP
例えばきつねうどんの油揚げとか
これらが無いという事は
ガッキーは相当なダメダメディレクターという事になる
報道から異動になって知らないという言い訳は
ディレクターならあり得ないし
ロケに行く前に以前のコーナーVTRなどを見て勉強するのが当たり前
と、ガッキーの仕事に対するダメ姿勢を印象づける
第2回では再び【街角グルメ ナポリタンの名店】ロケ
オフラインが終わりナレーション録りをしているガッキーのところへ
上司(生瀬勝久)が登場
『念のため聞くがサラダは何で付いてるんだ?』
するとガッキーは
『どこの店でもサラダぐらい付いてます』
それを聞き納得がいかない顔の上司
『(ナレーションの)懐かしい味って誰にとって懐かしいなんだ?』
するとガッキー
『昔ながらの懐かしい味じゃないですか』
と、調べもしないし取材対象に興味も無い
自分の勝手な決めつけでVTRをOAしようとしているダメディレクターを更に印象付け
ダメ押しの上司の一言
『お前、そのままじゃ一生 無能のままだぞ!』
背景のモニター2台に映る「サラダとドリンクがついて800円」
これがいかに薄っぺらい情報かがあとで判明する
ダメ情報を印象付けるため2台のモニターを背景に入れ込む細やかな演出(構図)!
土井監督カット割りに無駄が無い!
ただ1点おかしいのは
ナレーション録り前に編集上がりを生瀬勝久は立場上チェックしているはずなのだか
何故この時はナレーション録りの場で初めて見たのか?
この街角グルメは別の人がチェックしたという設定なのか?
ドラマを観ている時は流れが良いのでスルーしてしまうが
あとで「あれ?なんで事前に見てないの?」と疑問が…
(まあ、その辺はドラマという事で)
放送当日
空井(綾野剛)から携帯で撮った写真を見せられる
この店で食べている綾野剛とマスターの2shot写真だった
ナレ録りしていた時にたまたま見たこの店
美味しそうだから放送後に混む前に行っちゃいました
子ども向けの甘めの味付けにタバスコをかけると大人には丁度良い
かけ過ぎちゃって辛い時は、甘めの自家製マヨネーズのサラダを食べればまた食べられるんですよ!
と、ガッキーが店のマスターに聞きもしなかった
情報をいとも簡単に聞いていた事に驚き
急いで店に行き、その味を確かめる
『サービスで大盛りにしといたわ、今日の放送楽しみにしてるわよ』とマスターの奥様から言われる
綾野剛から聞いた情報をマスターに確かめるガッキー
そこには家族皆んなが美味しく食べてほしいという思いが詰まっていた
マスターは先代の養子で本当の息子ではなく
だからこそ家族を大切にしているという事を聞き出す
(OA当日に!)
この店に車で送ってくれた綾野剛が様子を見に店内へ
大盛りナポリタンを見て
『稲葉さん(ガッキー)1人じゃ無理なんで手伝います』
と、申し出て食べるのを手伝ってくれる
このセリフ、制作ディレクターの仕事が
ガッキー1人じゃ無理なんで手伝います、というふうにも聞こえる
思わず涙が出てくるガッキー
『私、何にも分かってなかった、知ろうともしなかった』
ずっと反省の言葉を独り言のように言うガッキー
その隣りで微笑みながら何も言わずに、
ただ聞いてくれながら、黙々と食べ続ける綾野剛のやさしさ
このシーンは泣いてるガッキー1shotと2shotの切り返しが絶妙
セリフ無しで食べ続ける綾野剛が
更にガッキーの心をガッチリ掴む
横打ち顔UPの2shotでバディ感を演出
そういやブルーインパルス機も複座式で
先輩と後輩パイロットがバディ組んで搭乗するなぁ
ファントムIIだと操縦するパイロットと
それを補助する(火器管制やレーダー担当)の複座式で
今の2人はガッキーがパイロット、綾野剛がレーダー担当で
人生の方向をアシストする、という関係性っていう演出でしょうか
個人的には黙々と食べ、相槌は打たないが聞いてる感じだけ出すところに、モテムーブの男を感じます(笑
ここからが驚異的展開
OA当日に編集し直して、MA(曲&SE付け作業)もやり直して
放送直前にVTRの差し替えを土下座して生瀬勝久に頼むガッキー
普通ならありえない展開、さすがドラマ
無事差し替えたVTRを
店で観ているマスターと奥様
すごく楽しみにしている感と
どんな風に放送されるかの不安感が入り混じった良い表情!
前述の4枚目写真だと
『サラダとドリンクが付いて800円!』という貧弱な内容が
『自家製マヨネーズのコールスローを食べればまた食べ進められます!』
と、この店の特徴をキチンと紹介する内容に!
(ドラマ班が、このVTR撮影もしているかと思うとちょっと面白い)
このOAしているVTRと、ガッキー、生瀬勝久、綾野剛、マスターと奥様のカットの切り返しが絶妙!
こういうドラマチックではない地味な描写でも
土井監督のカット割りが冴える!
情報番組担当のディレクター諸君は
このように取材先の人が放送を楽しみにしている気持ちを決して裏切らないように
取材先もディレクターもお互いに納得いく内容を放送に乗せられるよう
常に意識しなくてはならない
大して調べもせず
適当なナレーションでお茶を濁したり
間違った事を言ってしまったり
バカにした感じでイジッたり
店が大事にしている事を全然違うように表現したりする事は
決してあってはいけない
これが後で
稲葉(ガッキー)が何故報道局から異動させられたのかの理由に繋がる
次回につづく







































































