スザリーナ・ジョリーのブログ -9ページ目

青い鳥を探して(第七回)土井監督の凄さ

TBSテレビ金曜ドラマ「青い鳥」のメイン監督 

土井裕泰監督の凄い目線演出(気づかないうちに刷り込まれる)の話し、今回は「第3章 炎の夜」です


この前の回「第2章 秘密の絆」のラストで

夜の駅事務所にて、トヨエツと2人きりの「かほり」が

「私を連れ出して」と言う

その言葉が忘れられないトヨエツの朝の勤務が

この第3章の冒頭となる


清澄駅に現れた「かほり」

対面側のホームから見ているトヨエツ

昨夜の事があるから目が離せない

鳥かごの文鳥を見ていた「かほり」が

トヨエツの目線に気がついてこちらを見る

通過列車のブラインドとともに

その顔の角度と同じ角度で昨夜の場面がリフレインする

同じ角度でカットバック、

しかも、あとの方がアップで印象に残る巧妙さ

『私を連れ出して』

リフレインから戻るカットも通過列車のブラインド!天才か!?

列車が通過すると…

鳥かごのそばにいた筈の「かほり」が消えている!

リフレイン前と同じサイズのカットにしている事で

消えた感を出すテクニカルなカット割り!

 

「どこへ行った?」(台詞は無い)

というような顔でキョロキョロと探してしまうトヨエツ

そのキョロキョロの動きで繋ぐアクション繋ぎで

奥の空(から)の階段から降りてくる女の脚

顔は見せない!(顔を見せないにこだわる土井監督!)

※注:この跨線橋の長さだと列車がホームに入線したタイミングでかなりの猛ダッシュをしないと

この感じで脚からフレームインできません(笑

カメラ前に腕がフレームインしてきてナメshotとなる

その腕の持ち主を見るトヨエツ

腕の動きのアクション繋ぎで階段をピョンピョンと降りてくる「かほり」

トヨエツを見つけている

『おはよう』かほりが声をかける

目が泳ぐトヨエツ

『おはようございます』挨拶を返す

照れている(笑

ニヤけながら目をそらすが見てしまう

『昨日はごめんなさい』謝るかほり

自分は思った事をすぐに口に出してしまうから

あの気持ちは嘘ではないという言葉に

惑わされるトヨエツ


この時から、ファムファタールの実力を発揮するかほり

この感じで今まで何人もの男を虜にして

銀座ホステスのNO.1になったのだ

田舎の純粋な鉄道員のトヨエツがハマってしまうのも無理はない

この時の夏川結衣は美人すぎる


アクション繋ぎを使って、流れるようにカットが進む

まるで、ちばてつや先生のマンガを読んでいるかのように流れに澱みがない


リフレインはともかく、

『おはよう』までセリフ無しでカットが繋がっている


第1章の冒頭といい

カット割りの天才か!?


次回は引き続き「第3章 炎の夜」を分析

この回が一番内容盛りだくさんで見応えがある回です

青い鳥を探して(第六回)土井監督の凄さ

TBSテレビ金曜ドラマ「青い鳥」のメイン監督 

土井裕泰監督は、とにかくロングを挟むタイミングと目線演出が凄い(気づかないうちに刷り込まれる)

今回は目線演出について「第1章 許されない愛」のラストシーン

雨が降る信濃境駅

いつものように車のお迎えを駅で待つ詩織(鈴木杏

OA的には、かほり(夏川結衣)の顔は途中で永作博美の店に来た時に視聴者にはバレているが

トヨエツには番組冒頭から一度も顔を見せていない

このシーンで初めて顔を見る重要な場面


いつもの赤い車が駅前のいつもの場所に到着

雨が降っていても駅舎ギリギリではなく少し離れた場所に停車するという

礼儀をわきまえた女性である事が分かる(他の乗客の動線を塞がないよう気遣いが出来る)


赤い傘をさして降りてくるが顔は見えない

歩いて車のフロント側に移動してくるのを

カメラはフォローするが顔は傘で見えない

顔を見せないまま、こっち(駅舎)に向かって来る

その時!突風に煽られ傘が空へ舞い上がる

「あっ」という表情が一瞬見えるも

まだ顔はハッキリ分からない

横向きになり手でも顔を見えにくくしている

彼女の顔が気になりつつも

空に舞った傘に目が行くトヨエツ

舞い上がった傘が

少しずつ下へ↓落ちてくる

傘の動きに合わせてトヨエツの目線が下へ向く

そういえば、どんな顔してるんだろう?という顔

(もちろんそんな不恰好な台詞は無い)


雨で濡れた髪の横顔

ここまできてまだ顔をハッキリ見せない!

するとカメラ前を一瞬遮る赤い傘で

ブラインドになり…

傘が落ちると、濡れ髪の顔が

トヨエツの目に映る


一瞬「無」になるトヨエツ

雨に打たれて

何故か開放感を感じたのか

「嗚呼、なんかもう濡れてるのは どーでも良いわ」という感じで目を閉じて顔がゆっくり上を向く

この雨のシャワーで

東京の生活を捨て、この土地で暮らすため

何かを洗い流すようなイメージ

上を向いたところで雷が

ピシャァァァァッ!(©️島本和彦)

画面が白く点滅


そして挟まれる駅前のロングshot

ここでも雷の白い点滅効果

ピシャァァァァッ!(©️島本和彦)

まだトヨエツとかほりには、こんなに離れた距離感

という事を表しつつ駅前の雰囲気

しかものちに娘と三角関係(娘だけが思う関係)となる暗示でもある3人の図

この時は娘の方が近い距離感とも言える

そして、

かほりの顔から目が離せないトヨエツの横顔で

また雷の白い点滅効果

ピシャァァァァッ!(©️島本和彦)

まさに雷に打たれたような一目惚れ

このあと、かほりとトヨエツが見つめ合い

カメラがトヨエツに正面からドリーINして顔のUPになったところで第1話終了

第2章への引きが

強い!絶対に強い!(©️黄金バット)


とにかく、カットごとの視聴者の視線誘導が上手すぎる!


視線の話しは次回に続く


例に出すのも おこがましいですが

アニメックに池田憲章氏が連載していた

「特撮ヒーロー列伝」の雰囲気で

カットの連続写真付きで勝手に解説&分析しています


青い鳥を探して(第五回)土井監督の凄さ

テレビドラマの監督で好きな人を挙げろと言われたら1人に絞るのは難しいが

土井裕泰斎藤光正のお2人は確定だ

土井監督は心情も分かる構図&カット割り

斎藤監督はトリッキーな撮り方が驚かされる

特撮の分野を加えると

実相寺昭雄飯島敏宏のお2人も確定

実相寺監督は画面配置の天才

飯島監督はドラマ部分と特撮の融合のナチュラルさ

詳しく知りたい人は検索してもらうとして

そのうちの土井監督がメインを務めるのが

TBS金曜ドラマ「青い鳥」

カットの積み重ねや割り方が凄過ぎてシビれます


その凄さは第一章の冒頭

トヨエツの出勤シーンに見せかけて

舞台となる清澄駅(信濃境駅)の構造・配置を視聴者に印象づけする大事なシーンとしている

天才か!?


山々が見える町並みから現れる自転車に乗ったトヨエツ

これだけで田舎の話しと分かる


小ぢんまりとした駅舎正面を見せながら横切って

職員用入口がある方へ

(画面左側へ)

駅が小さい、という事は人口が少ない田舎と分かる


駅の左側には庭のようなスペースがありトヨエツが懸垂できる鉄棒と物干し場所がある

このあと夜勤の人用の宿泊部屋があるのが分かり

意外と夜遅くの列車がある事も分かる


ホームの掃除シーンで、この駅は対面式ホームで跨線橋で繋がっていると示し

しっかり駅名標で「きよすみ」という駅という情報も提供


2色に塗り分けられた階段を上がると

緑・黄・赤の3色の装飾板が貼られた跨線橋内

この3色のおかげでバッチリ印象に残る

しかも剥がれかけのポスターを直さずホウキをギターにして遊んでる後輩のお調子者感も演出

このワンカットの情報量の多さたるや

そして駅舎側のホームには鳥かごが吊るされて

2羽の白い文鳥が飼われている

動物好きの優しいイメージ付け

その鳥かごが吊られているそば(ホーム外)には売店があり店員とは仲良し

駅舎前に水まいてキレイにして

(この駅舎前がのちに出会いのシーンとなる場所)

改札業務をするトヨエツ

学生や会社員がそれほど多くない人数だがそれなりに乗客がいる田舎の駅と分からせて


入線アナウンスとホームの安全確認と

トヨエツ1人でやっている事から

そこまで乗客数が多くなく、しかも駅員が少ないから兼任業務が多いという印象

これならこのあとどこの場所ででもドラマのシーンにトヨエツがいても違和感がなくなる


と、ここまでで既に駅の構造と

トヨエツの駅での立場が何となく頭にインプットされるようになっているが

ドラマ的には出勤して朝の業務を見せているだけという単純な内容


おそろしいテクニック…


このあと到着列車から、かほりと詩織が降りてきて

トヨエツと挨拶を交わす事なく改札を通り過ぎるのだが



改札を挟んで3人がワンカットの構図におさまっている事で

実はこの3人のドラマである暗示であることが

この先を観て、あとから気づく構図


しかも指差し確認が

最初は、かほり側の右→を指差し


次に詩織側の左←を指差している

トヨエツとの今後のドラマの順番でもある

これをワザとやってるとしたら凄いが

意図してなかったとしたら

全くもっておそろしい…


単に、この時はすれ違っている

という演出なのかもしれんが

土井監督の構図の切り取り方よ…


さらに、土井監督は役者の目線演出がシビレ過ぎますが

それは次回

青い鳥を探して(第四回)

ドラマ「青い鳥」のロケ地訪問記も既に4回目

今回は駅ホームを見ていこう

詩織がハーモニカの練習をトヨエツに見てもらっているホームは駅舎側


駅名標もベンチも無かった

ここは2人の距離感を演出する良いシーンの場所



そのカット割りの話しは

いずれするとして、反対側のホームには洋風の待合室が

跨線橋を降りてすぐのところに建てられている




そのまま残っているが経年劣化は否めない

これも作品中に印象が残るような構図で切り取られている

なんかゾクゾクしてきたよ

本物が目の前にあると

聖地巡礼の醍醐味だ、これが




よく見ると作品中ではまだホームに点字ブロックが敷設されていないな

トヨエツの駅アナウンスでも

『白線までお下がりください』と言っている

現在は

『黄色い点字ブロックの後ろまでお下がりください』だ

駅入口に向かって右側にもベンチがあり

この連載の第一回で駅弁を食べたのがこのベンチです

作品中では弁当店(kiosk?)が特別に設置されていたので

その場所で駅弁を食べるのは感慨深い


トヨエツが出勤時に懸垂したり

洗濯物干してあったりする場所は現在は「立ち入り禁止」に




時代とともに

どんどん入れない場所が増えたり

改装したり取り壊されたりして

永遠に見る事ができなくなります

その前に見たい時が見に行く時です

「いつまでもあると思うな」精神です


次回から土井監督のカット割りの妙技について語ります


つづく


⚫︎おまけ

 トヨエツが公衆電話から

 かほりに電話するシーンがありますが

 この場所に電話ボックスはありませんし、多分無かったからこれはセット

 この1カットのためにセット組むとは…




赤丸の位置が電話ボックスがある位置になります


帰路記録

13:39 信濃境駅→13:43 小渕沢駅(各駅停車)特急あずさに乗車するため1駅先へ

14:05 小渕沢駅→14:51 塩尻駅(本当は特急あずさに乗る筈が乗り過ごして各駅停車で)

15:03 塩尻駅→16:56 千種駅(特急しなの)


約8時間の旅でした



おしまい







青い鳥を探して(第三回)

ドラマ「青い鳥」のロケ地JR信濃境駅を訪問

作品中では改札がありトヨエツが改札鋏(ハンコ)をクルクル回していたが

現在は無人駅で簡易Suica改札機が設置されクルクルは見る事ができない

そういえば何故かどこの駅でも改札にいる駅員は改札鋏をカチカチやっているがあれは何故かやってしまうのか(笑

改札が近づくとカチカチカチカチが聞こえてきて今から改札くぐるなぁという気持ちの準備運動というか儀式というか

あの儀式の代わりに現代はSuicaの「ピッ!」というのは味気ない


その改札を抜けて駅舎内の待合室で

読書している詩織とトヨエツが話す場所は

ほぼそのまま

ただし、ベンチや飾りは違う




▲緑色のベンチは▼違うベンチになっていた


作品中のように本を音読する少女がいたら気味悪いが当時は まだいたのかな…そういう純朴な少女が



跨線橋の内装は印象的な緑・黄・赤の3色の装飾板

夏川結衣演じる「かほり」が貼ってある路線図を指差してたら手を持たれてときめくシーンや、

第1章でホウキをギターに見立てて遊んでる後輩の頭をトヨエツが小突くシーンなど

3色のカラーリングが場面の印象を強くするナチュラルなセット効果

▼現在もそのまま残っているが路線図はおそらくドラマ用に貼付したもの



駅の外観は、装飾は違えど そのまま残っている

ドッチボールのコツを教えている時の写真を掲載してますが

ここにある駅入口の右側の木は伐採されている

左側の電柱はまだ残っていました

▼駅舎の屋根は青緑色のままにしてほしかった…残念

駅舎から見る対面側の家と家の間から見える山の姿も第1章のトヨエツ出勤シーンなどで印象的なカットだが画面左側に見える「天下の名酒 真澄/食堂しなの」の看板がまだ残ってるのに感激

お店もまだ現役です



この背景は、かほりが赤い車で駅前に乗りつけたりするシーンなどで印象を残しており

ここを切り取って構図を決めたカメラマン&監督の才能を感じる


次回につづく