The XXのセカンド。3年ぶりとなるが、これまたなんとも凄まじいアルバム。The XXはロンドン出身の男女3人組。デビュー作が高い評価を受け、その年のベストアルバムの一枚となったことはまだ記憶に新しいところだ。
必要最小限の音で構成されたサウンドスケープは前作のまま。というか、前作以上に音が少なくなったような印象を受ける。デカダンな美の世界で、艶めかしく響くロミーとオリヴァーのヴォーカルは表現力を増し,個性的なバックトラックに全く負けないしなやかさと強さを見せている。
個人的に興味深いのは、リズム。四つ打ちやダブなど、シンプルながらビートに独特の深みがある。非常に繊細なエフェクトをかけているせいか、ちょっとこの世のものとは思えない響きがある。ジェイミーがリミキサーやDJとして精力的に活動しているせいか、ここはファーストから格段に進歩したところだ。
この冷ややかな空気感とたゆたうメロディーラインを絶対軸として表現されているのは、実は割とストレートな恋。つまりはラブソング。思いはすごく強いのに、あるがままの運命を受け入れようとする潔さに満ちているのは興味深い。メンバーは皆若いはずなのに、ずいぶん達観しているというか。でも、個人的にはかなり好きである。
しかし不思議なのは、こんなに音が少ないのに、こんなにも強い想像力を喚起する音楽はそうはないということ。でもむしろ、音の数が少ないからこそ、全ての音に神経が行き渡るのかもしれない。これが支配的に聞こえるのだとしたら、正直苦しいのだけれど、聞き手の感性にスルリと忍び込み、じんわりと広がりって行くような感じで、これが何とも言えない心地よさがある。3分少々の曲が淡々と続くアルバムなのに、聴くたびに感じ方が変わっていく。何度でも聴いて、味わうべきアルバムだと思う。
★★★★☆(13/11/12)