日本に住んでいて、国外の事情についてよく知らない人たちにしてみれば、「不公平かも知れないな」という印象を持つのかも知れません。
しかし、海外に住んでいる日本人にしてみれば、「幼児教育・保育の無償化措置」から「各種学校」カテゴリーの外国人学校が外されたことは、当然という以外に一片の言葉もありません。
マスコミの報道によれば、朝鮮学校幼稚園の朝鮮人保護者や一部の日本人教育関係者が、政府決定に対し抗議の声を上げたというのです。下に、共同通信の配信した記事を貼ります。
https://this.kiji.is/563354984873559137
私は、タイのバンコクに住んでいます。
バンコクには日本人学校がありますが、それは小学校から中学校まで。そして文部科学省から得られる支援は、「給与も含め、教師の派遣に要する費用」「教科書の無償配布」のみです。それ以外の学校の運営費(光熱費、児童の送迎に要する費用、クラブ活動費など諸行事の運営費)はすべて保護者+現地に進出している日系企業に負担が求められています。
現在、バンコクの日本人学校で学ぶ際に求めらている校納金は、以下のとおりです。
入学金:160,000バーツ(約576,000円)
授業料(1学期):4月~8月分 55,200バーツ(約198,720円)
同(2学期):9月~12月分 55,200バーツ(約198,720円)
同(3学期);1月~3月分 27,600バーツ(約99,360円)
どうですか、入学した1年目は実に100万円を超える金額を納めなければならないのです。まるで私立大学に進学するかのようです。仮に小中学校期の子どもが二人いる場合、保護者にかかる負担はかなりなものになります。
大企業から派遣されている駐在員なら、会社がこの教育費の相当部分を手当として負担してくれるのかも知れません。しかしそんな厚遇をしない会社も少なくありません。日系企業で現地採用された日本人家族の中には、この高額な校納金がネックになって、子どもたちをより授業料の安い英語教育中心のインターナショナル校に通わせている人もいるのです。
※インターナショナル校に通えば、英語が話せるようになるというメリットはありますが、漢字の読み書きも含め日本語能力が年齢相応になり難く、帰国後いじめに遭うケースもあります。日本人学校よりは授業料が安くても、それなりにリスクがあるのです。
校納金がこれだけ高額になるのは、タイ政府からの支援がゼロだからです。それはそうでしょう、バンコク日本人学校は、タイ国政府教育省が指導しているカリキュラムとは異なる教育方針で運営されています。つまり、教育省の所轄外学校ですから、公立学校のような助成金など受けられないのです。
日本にある朝鮮人学校(今回話題になっている幼稚園も含む)だって、日本政府の支援を受けられないのは当然。独自のカリキュラムで運営されている民族学校に公費が施されるのであれば、海外にあって文部科学省が定めるカリキュラムに沿っている日本人学校への資金助成の方が最優先されてしかるべきでしょう。
公正な点があります。
バンコクに住んでいる日本人の子女であっても、タイの公立小中学校に通えば教育費が無償になることと同様に、朝鮮人である彼ら・彼女らも、日本の文部科学省が定める幼稚園に通えば、教育費は無償になることです。これが為されているのであれば、十分ではないでしょうか。
日本国内の基準に合わせて正義・不義を考えると、無理が生じる時もあるのです。
国際常識の視点に立ってみれば、まったくおかしなことが、国内では堂々と主張されいていることが明確になってきます。
下の写真は、バンコクの日本人学校です。