四面体O-ABCの6辺の長さから体積を求めます。
◯四面体は、
・頂点が4つ
・辺 が6つ
・面 が4つ
です。
◯6辺の長さを、
・OA=a、・OB=b、・OC=c
・AB=r、・BC=p、・CA=q
とします。
・Oを含む辺は他方の点の文字(a,b,c)
・Oを含まない辺はA,B,C→p,q,rとし、辺に含まれない文字(p,q,r)
です。
◯各辺の長さの2乗は辺の文字の大文字で表記します。
・A=a²、・B=b²、・C=c²
・R=r²、・P=p²、・Q=q²
・途中からは辺の長さの2乗しか使いません
◯ある1辺は、他の5辺のうち、
・辺の両端で2辺ずつ、4辺と接します。
・残りの1辺とは接していません。
◯向かい合っている辺の組は3組あり、
aとp、bとq、cとrです。
◯4頂点を座標空間に
O(0,0,0)、A(a,0,0)、B(x₂,y₂,0)、C(x₃,y₃,z)
と置きます。
◯体積は(1/6)×a×y₂×zです。
以上を踏まえて体積を求めていきます。
◯自明なOAを除いた5辺について、
・x₂²+y₂²=B…(1) (OB)
・(x₂-a)²+y₂²=R…(2) (AB)
・x₃²+y₃²+z²=C…(3) (OC)
・(x₃-a)²+y₃²+z²=Q…(4) (AC)
・(x₃-x₂)²+(y₃-y₂)²+z²=P…(5) (BC)
が成立します。
この5式から、x₂,y₂,x₃,y₃,zの5つの値を求めます。
見た目に反して面倒です。
◯まずはzを含まない式(1),(2)から
◯式(1)を式(2)に代入
(x₂-a)²+y₂²=R
(x₂²-2ax₂+A)+y₂²=R
A+B-2ax₂=R
-2ax₂=R-A-B
x₂=(A+B-R)/2a…(6)
◯式(6)を式(1)に代入
x₂²+y₂²=B
{(A+B-R)²/2a}²+y₂²=B
両辺に4Aを掛けて、
(A+B-R)²+4Ay₂²=4AB
4Ay₂²= - (A+B-R)²+4AB
4Ay₂²= - (A²+B²+R²+2AB-2AR-2BR)+4AB
4Ay₂²=(A+B+R)²-2(A²+B²+R²)
y₂²={(A+B+R)²-2(A²+B²+R²)}/4A…(7)
この式はヘロンの公式から簡単に導けます
◯式(3)を式(4)に代入すると、
式(6)と同様にして、
(x₃-a)²+y₃²+z²=Q
(x₃²-2ax₃+A)+y₃²+z²=Q
A+C-2ax₃=Q
x₃=(A+C-Q)/2a…(8)
◯式(8)を式(3)に代入すると、
式(7)と同様にして、
x₃²+y₃²+z²=C
y₃²+z²=C-x₃²
…
y₃²+z²={(A+C+Q)²-2(A²+C²+Q²)}/4A…(9)
◯式(6),(8)より、式(5)のx₃-x₂の部分は、
x₃-x₂={(A+C-Q)/2a}-{(A+B-R)/2a}
x₃-x₂={(A+C-Q)-(A+B-R)}/2a
x₃-x₂= - {(B-C)+(Q-R)}/2a…(10)
◯式(10)を式(5)に代入
(x₃-x₂)²+(y₃-y₂)²+z²=P
{(B-C)+(Q-R)}²/4A+(y₃-y₂)²+z²=P
両辺に4Aを掛けて、
{(B-C)+(Q-R)}²+4A{(y₃-y₂)²+z²}=4AP
{(B-C)+(Q-R)}²+4A{y₂²-2y₂y₃+y₃²+z²}=4AP
{(B-C)+(Q-R)}²+4A(y₂²+y₃²+z²)-8Ay₂y₃=4AP
8Ay₂y₃={(B-C)+(Q-R)}²+4A(y₂²+y₃²+z²)-4AP
◯式(7),(9)を代入すると、
8Ay₂y₃
={(B-C)+(Q-R)}²
+{(A+B+R)²-2(A²+B²+R²)}
+{(A+C+Q)²-2(A²+C²+Q²)}-4AP
◯第1項を展開すると、
8Ay₂y₃
=(B²-2BC+C²)+(Q²-2QR+R²)+2(B-C)(Q-R)
+{2(AB+AR+BR)-(A²+B²+R²)}
+{2(AC+AQ+CQ)-(A²+C²+Q²)}-4AP
◯B²+C²+Q²+R²が相殺されるので、
8Ay₂y₃
=-2(BC+QR)+2(B-C)(Q-R)
+{2(AB+AR+BR)-A²}
+{2(AC+AQ+CQ)-A²}-4AP
◯第2項を展開すると、
8Ay₂y₃
=-2(BC+QR)+2(BQ-BR-CQ+CR)
+{2(AB+AR+BR)-A²}+{2(AC+AQ+CQ)-A²}-4AP
◯BRとCQを相殺して、
8Ay₂y₃
=-2(BC+QR)+2(BQ+CR)
+{2(AB+AR)-A²}+{2(AC+AQ)-A²}-4AP
=2(-BC-QR+BQ+CR)
+2A(B+C+Q+R)-2A²-4AP
◯両辺を2で割ると、
4Ay₂y₃
=(-BC-QR+BQ+CR)
+A(B+C+Q+R)-A²-2AP
◯第1項を因数分解し、Aについて降冪にすると、
4Ay₂y₃= -A²+(B+C+Q+R)A-(B-R)(C-Q)-2AP
◯Aを含む項と含まない項で分けると、
4Ay₂y₃={B+C+Q+R-(A+2P)}A-(B-R)(C-Q)…(11)
ところで、求める体積は、
(1/6)×a×y₂×z
なので、ay₂zの値を求めれば良いです。
5つの式は2乗の項で作られているので、
Ay₂²z²を作るようにしていきます。
◯式(11)の両辺を2乗すると、
16A²y₂²y₃²
=A²{B+C+Q+R-(A+2P)}²+(B-R)²(C-Q)²
-2A(B-R)(C-Q){B+C+Q+R-(A+2P)}…(12)
◯式(7)と式(9)を掛けると、
16A²y₂²(y₃²+z²)
={(A+B+R)²-2(A²+B²+R²)}
×{(A+C+Q)²-2(A²+C²+Q²)}
=(A+B+R)²(A+C+Q)²
+4(A²+B²+R²)(A²+C²+Q²)
-2(A+B+R)²(A²+C²+Q²)
-2(A²+B²+R²)(A+C+Q)²
◯第3,4項の2乗部分を展開すると、
16A²y₂²(y₃²+z²)
=(A+B+R)²(A+C+Q)²
+4(A²+B²+R²)(A²+C²+Q²)
-2{(A²+B²+R²)+2(AB+AR+BR)}(A²+C²+Q²)}
-2(A²+B²+R²){(A²+C²+Q²)+2(AC+AQ+CQ)}
◯第3,4項を分割すると、
16A²y₂²(y₃²+z²)
=(A+B+R)²(A+C+Q)²
+4(A²+B²+R²)(A²+C²+Q²)
-2(A²+B²+R²)(A²+C²+Q²)
-4(AB+AR+BR)(A²+C²+Q²)
-2(A²+B²+R²)(A²+C²+Q²)
-4(A²+B²+R²)(AC+AQ+CQ)
◯第2,3,5項が相殺されて、
16A²y₂²(y₃²+z²)
=(A+B+R)²(A+C+Q)²
-4(AB+AR+BR)(A²+C²+Q²)
-4(A²+B²+R²)(AC+AQ+CQ)…(13)
◯式(13)-式(12)
16A²y₂²(y₃²+z²)-16A²y₂²y₃²
={
(A+B+R)²(A+C+Q)²
-4(AB+AR+BR)(A²+C²+Q²)
-4(A²+B²+R²)(AC+AQ+CQ)
}-(
A²{B+C+Q+R-(A+2P)}²+(B-R)²(C-Q)²
-2A(B-R)(C-Q){B+C+Q+R-(A+2P)}
)
◯左辺の16A²y₂²y₃²を相殺すると、
左辺は16A²y₂²z²となり、
体積の2乗の576A倍です。
Aは変形していくと右辺のAを含まない項が消えるので、
全体をAで割る事ができます。
16A²y₂²(y₃²+z²)-16A²y₂²y₃²
=(A+B+R)²(A+C+Q)²
-4(AB+AR+BR)(A²+C²+Q²)
-4(A²+B²+R²)(AC+AQ+CQ)
-A²{B+C+Q+R-(A+2P)}²-(B-R)²(C-Q)²
+2A(B-R)(C-Q){B+C+Q+R-(A+2P)}
次回はこの式を変形してAを含まない項を消していきます。