こんにちは。星素子(現代美術家/言葉アーティスト)です。群馬県立館林美術館たてびレポート星素子展示『館林バトン&エアハグ』は、おかげさまで和やかに会期(9/18-11/7)を終了しました。ご来場ご参加いただいた方、準備期間からサポートいただいた関係者の皆様に心からお礼申し上げます。(作家REPORT 1 2 3 4 5 6 をご覧の皆様もありがとうございます)

 

準備期間に言葉アート素ことばを軸として作成したエデュケーション・プログラムでおこなった「ワークショップ授業」に参加してくれた館林の小中学生やご家族、館林市施設で参加された方、会期中に再訪いただいた方も多くおられ、公開制作日には、複数の作品制作のほか小さなワークショップ(バトンづくりや発表、マーブリング彩色→展示に追加など)を重ねて、心があたたかくなるような交流をおこなうことができました。また1つひとつの参加バトンや50以上の作品それぞれを通じた目には見えない交流を含めて、来場者1人ひとりと共に展示をつくりあげた感覚です。

 

【備忘録ご来場者の声より一部抜粋】●訪れる人との交感でいよいよ作品は意味と意義を深めていた。低い生垣と縁側で曖昧に区切られた日本家屋のように様々なイメージが緩くつながって様々な解釈とイメージを生み出している。●来場者の方々が老若男女を問わず、みなさん嬉しそうに参加されていて、アート創作への敷居が低い素敵なワークショップだと思いました。●地域に根ざした取り組みで美術館と地域を豊かにつなげていた。●初めて館林美術館にきた(複数)感動しました。/美術館にあっていた/美術館の景観も活かされた展示 ●「参加したい」と初めて子供が意志を示しました。●ここにはワクワクする不思議がたくさんある!ワンダーランド●壮観●新鮮●複眼的に楽しむことができる●1つひとつのバトンを見ていると時間があっという間…●他者のバトンが知れて嬉しい●時を忘れる美しい空間でした●すべての作品が好き/「エアハグ空」が好き/はっするが好き/言葉アート作品の○○が好き、共感した(複数)/「宀の宇宙」…/「紫陽花の色は空の色」が色んな角度で楽しめて特に好き/段ボール壁画に癒された(癒された複数)/作品「エアハグ母型」を見た瞬間に涙があふれた●言葉をたいせつにしようと思った●ロール芯のバトンという発想が面白い(面白い…多数)●参加できて楽しかった!(複数)●自分のバトンが発見できて嬉しい(複数)●自分の地域でもやってほしい(複数)●ワークショップ授業に参加したい(複数)●人それぞれ自由にイメージできる言葉アートが素晴らしいと感じた●環境のこと未来のことなど色々考えさせられた。●中之条ビエンナーレの時と全然ちがっていて驚きました。●中之条バトンから発展しているように見えた。●館林バトン、アートを通じて人と未来が繋がる素敵な企画でした。ありがとうございます!今後も応援しております。●1本1本のバトンに思い出があり感動しました。etc.

 

最終日まで、展示は変化しつづけました。

 

『館林バトン&エアハグ』最終日の展示風景より。閉館BGMのサン・サーンスの白鳥♪が流れおえた《館林バトン》ゾーン。館林市の日本遺産「里沼」の水辺の蓮に見立てた学校参加バトンの上をわたるロール芯の渡り鳥。冬の里沼(多々良沼、城沼)には白鳥たちがシベリアから飛来してきます。

最終日「公開制作」で来場者に見守られながら完成した《館林の素ことば》と、館林の小中学生(第一小、第五小、第十小、美園小、多々良中、第一中)のバトンを素材に制作したインスタレーション《館林バトン》ゾーン。未来に手わたしたい想い、館林の情景が、詩情をたたえながら現れて。来場者は触発されてマイバトンをつくりました。会期終盤桐生市と邑楽町の小学校からのバトンも加わりました。

最終日の会場風景より。参加者の方々と対話ながら彩色したバトンで、季節の深まりとともに色とりどりに変化していったインスタレーション《バトンの林》。ご自身や家族・友達がつくったバトンをスマホで撮影している参加者さんたちの様子。

最終日会場風景より。作品《移動性》(手前)/《里沼バトン》ソーン(中間)/公開制作《洞窟》(奥)。

会期がすすむほど「人がいる!」と話題になっていった洞窟。会期終盤には、2つの「人」バトンが仲良くブランコにのって揺れていて。「目」となって、会場の様子を見守っているようでした。※《洞窟》の目線(上下写真)にご注目を☆☆/

会場風景より。5月〜9月に地域イベント(BOX)や地域ワークショップで集まったバトンを素材につくった《里沼バトン》ゾーンは、二毛作の館林にちなんで後半は子どもたちが入れるように畝を整備。子どもたちは何の説明をしなくても個々のバトンに表れた漢字と漢字の関係性をイメージしたり見つけては「スゴイ!発見!面白い!」と視覚詩を楽しんでいました。

 

 

会場風景より、公開制作《ロール芯文字のタイポグラフィ壁画》。星素子バトンプロジェクトのコンセプト「WHAT IS YOUR BATON?」(あなたが未来に手わたしたいバトンとは?)。左下:地域性や人の多様な個性が表れた参加バトンたち。中盤まではポツンと壁にあったロール芯のかけらから、終盤にかけて一気に完成。《洞窟》のロール芯が気候変動で溶け出した北極の氷に見立て、完成とは逆の動きをしていたゾーン。会期中、ロール芯に北極熊(シロクマ)を、壁についていたロール芯のかけらに「北極星」をイメージしていた鑑賞者もおられました。

 

最終日の会場風景より。公開制作《館林バトン&エアハグの素ことば》。窓辺にはコロナ禍での探究から生まれた新シリーズ《エアハグ》公開制作で生じた素材やマーブリングの彩色バトン。文字なしの彩色バトンの作品に、最終日のワークショップ交流により参加バトン「楽/愛/交/結」が竹の輪の中にIN!しぜんに現れた小さくて大きな変化に《館林バトン&エアハグの素ことば》と命名しました。

公開制作作品、新シリーズ《エアハグ- シロクマ》の一部と「交」バトン。陽光が制作過程のバトンの跡が残るカンヴァスを透かせていました。

小さな鑑賞者は「この作品は透けているところがあるから好き」と公開評論。※《エアハグ-シロクマ》(100号)は、自然環境への想いとメッセージを描いた作品ですが同時に館林美術館の展示室1で常設展示されていたフランソワ・ポンポン氏の彫刻「白くま」へのオマージュでも。館林美術館の次の展示はPONPON展☆20周年を記念した《お祝いロールケーキ》の裏側には美術館への想いを表すバトンも多く寄せられました。なかには「本○(本に丸がついた造字)」理由:ポンポン大好き!というユーモアが感じられるバトンもありました。

展示風景より作品《PLAY》。写真を見ていると何だかこの台座にPONPONの白くまの彫刻が設置されていたような気もしてきました。ロール芯人形のおふたりさん、しっかり留守を守れtかな^^。

作品《ガラスの素ことばバトン「はっする」》。気泡文字の試み。本作以外にも有色文字の作品、作家が飲んだワイン瓶をリサイクルした作品などガラス実験から生まれた作品も多数展示しました。

 

作品《エアハグ 母型》の一部。1本のロール芯に無限の可能性を感じ、コロナ禍での探究実験で偶然生まれた「あるカタチ」を残したいと開発。館林の誠和製作所との綿密なやりとりを経て完成しました。

 

最終日にワークショップをした小学生女子が帰り際に握手を求めてくれました。そのとき私は手をだせずに思わず「エアハグ」といって「エアハグ母型」のかたちをしました。少女は少し涙ぐんでうなずきました。同じ気持ちだったようにも思います。

長いコロナ禍では、私たちはソーシャルディスタンスなど新しい生活習慣が求められ、以前のように自由に人と会ったり、外出することさえ困難な時もあり、人との接触をさけなければいけない日々がありました。そうした時勢での展示の名称に「館林バトン」だけでなく「エアハグ」と添えました。エアハグは、そんな小学生たちとの握手やハイタッチさえためらわれた状況や心象とも重なります。そのような会期中での、心が感じられるたくさんの交流や、さらに準備期間での幾つもの光景を「忘れたくない」と何度も思いました。それはワークショップ授業の後で「このワークショップのことを大人になっても忘れたくない」と伝えてくれた子どもたちに起因します。そうして、私は「絆」というバトンを最終日にイメージしました。展示さいごの閉館BGMが流れて、広い展示室1の会場をみわたすと、多様なまま関係しながら自立し、あるいは宙に浮かんで揺れている、幾千のロール芯のバトン。私は何だか地球を眺めているように感じました。そこには確かにたくさんの希望がありました。

 

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☆感謝とともに☆

お贈りいただいた素材をもとにリポート

【SPECIAL GALLERY】 のコーナー!

 

□SPECIAL PHOTO REPORT《会期終盤!》美術館ワークショップにご参加&写真を贈ってくれた「遠藤麻生」さんが11/6に公開制作中の作家を撮りたいと再訪!会場での様子をすてきな写真におさめていただきました!遠藤麻生さんは今年「館林webフォトコンテスト」でアゼリア賞受賞されました。おめでとうございます☆

たくさん贈っていただき全てご紹介したいくらいなのですが ●写真上:公開制作100号《エアハグシリーズ:しろくま(右)里沼(左)館林の小学校のクラスの漢字の素ことば》(中央)と作家。●写真中:《バトンの林》とバトン追加中の作家。輪ゴムは長い期間中に一度も切れませんでした。作家はインスタレーションで関係性やテンションを表す(可視化)ために輪ゴムを使用しています。●写真下:《エアハグ 空》コロナ禍での実験と探究で生まれた新開発ロール芯技法で2020年に制作。この作品を気に入ってバトンにこの絵を描写したご参加者さんも(!)。会期中盤には100号の公開制作と関係していることに気付いてこっそり嬉しそうに伝えにきてくれたご来場者さんもおられました^^。 

 

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□SPECIAL MOVIE REPORT《YouTube開設!》

星素子(MotokoHoshi Artist Channel)はじめました。

https://www.youtube.com/watch?v=ybUKJRZ_OQI

 

11/3に映像ディレクターの「大槻一雅」さんご来場!あたたかな視点で撮影された臨場感あふれる会場風景の動画をお贈りいただきました!素晴らしい動画をきっかけにYouTubeチャンネルを開設しました。よかったらチャンネル登録よろしくお願いいたします☆

 

●すてきな映像を撮ってくれた大槻氏による写真。

公開制作&ワークショップで、マーブリングをもちいて実演彩色中のひととき。

人や自然と同様に、同じバトンはひとつもないのです。

大槻氏は大学の同窓でもあります。日芸でよかったと心底思いました^^

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バトンチャレンジ&レポートつづけます☆

 

星素子のアート活動に関心をお寄せいただいたり、展示やワークショップをご要望いただける地域や文化芸術施設等(の人)がおられましたらぜひお気軽にお問合せください。アート活動(未来に手わたしたいバトン(や地域バトン)を共に考え参加型アートや新しいバトンをつくる「バトンプロジェクト」、「言葉アート」、「ワークショップ授業」、「ワークショップ」、「作品制作/展示」等)で地域(人)とアートを心ゆたかに繋げることができたら幸いです。※ワークショップ授業は1学校(1学級)から承ります。私たちが住む世界、日本は、どこでも、素晴らしい人や自然や資源が息づいていると思います。どこへでも参上したい気持ちです。今回の貴重な経験を活かせるよう精進してまいります。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

 

 

館林バトン&エアハグ

にまつわる

すべてに☆感謝

 

 

ー展示概要ー

たてびレポート—開館20周年を楽しむ展覧会— 

星素子展示『館林バトン&エアハグ』 会期 2021年9月18日〜11月7日 

チラシ>> http://www.gmat.pref.gunma.jp/ex/taterepo/hoshimotoko.pdf

主催 群馬県立館林美術館 会場 群馬県立館林美術館 

星素子展示=展示室1(578㎡)

参加型アートをはじめ言葉アートなど約50以上の作品で構成・展観。

協力:館林市日本遺産プロジェクト、丸富製紙㈱、㈱共和、日鉄ステンレスアート㈱、㈱誠和製鉄所、㈱クサカベ

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長いブログをさいごまでお読みいただきありがとうございました!

よろしければ引き続き、常に微かに動いていた会場風景を

YouTubeでご覧くださいませ。

 

 

 

PS:

会期がおわったらバトンはどうするの?と

会場で複数の方に質問をいただきました。

「参加バトンは作家の家にあります♡」