打ち続けるSOS
 

止むことのないSOS
 

泣きながらのSOS
 

悲しみを抱えたSOS
 

怒り混じりのSOS
 

繰り返されるSOS
 

されどか細いSOS
 

消え入るようなSOS
 

それでもなおも送り出されるSOS
 

誰も受け取ることのないSOS
 

誰も気づかないSOS
 

見向きもされないSOS
 

行き先を見失うSOS
 

ただ漂うだけのSOS
 

さまよい続けるSOS
 

波間に揺れるだけのSOS
 

地の底に吹き溜まるSOS
 

海底にも積み上がるSOS
 

やがて
 

ないものとされるSOS
 

くすぶり続けるSOSも
 

何もなくなってしまう
 

跡形もなく
 

初めから何もなかったように

 

 

 

つるべ落としの日暮れ道


四ツ五ツの曲がり角


泣き面くれて 小焼け道


くつ音ひとり 半べその


行きつ戻りつ迷い道


途方の先の窓明かり

 

 

 

(再掲)

 

風とともに春
 

花を野に敷き
 

踊る蝶
 

水は温んでせせらぎ
 

眠っていた息吹を揺り起こす
 

やがてのごとく
 

爛漫に
 

一雨ごとに夏を導いていく



雨とともに夏
 

寄せは返す波しぶき
 

眩しい緑
 

蝉時雨
 

照り返す入道雲
 

やがてのごとく
 

佳境へ
 

一雨ごとに秋を招いていく


 

雨とともに秋
 

茜の空に
 

葉を彩(か)え落とし
 

夜の夜長の大合唱
 

行く鳥
 

青空
 

冬支度
 

冷たい風が冬を濃くしていく

 

 

風とともに冬
 

空風吹き抜け
 

静かなほどの雪化粧
 

どっかと居座る冬将軍
 

やがてのごとく
 

冬壮美
 

風につられて模様替え

 

 

 

河よ おまえはどこへ行く
 

流れに任せてどこへ行く
 

二度と戻れぬ帰り道
 

流れ流れて海原へ



海よ おまえは何を見る
 

雲の形の1つまで
 

鏡のような静かなる
 

海よ おまえは何を見る



雲よ おまえはどこに行く
 

青い空を覆うが如く
 

高く広く広がれど
 

覆い尽くせずどこに行く

 

 

空よ おまえは何を見る
 

一足先に空よおまえが
 

明日の風を一人見る
 

空よ おまえは何を見る



風よ おまえはどこへ行く
 

木の葉を散らして
 

山の向こうに何がある
 

何も答えずどこに行く

 

 

 

背負いし君のその軽さよ

細くなった君の肩は

私の苦労のため

小さくなった君の影は

私の行いのため

頼りなげな君の足取りは

私の歩みのため

背中に背負いし君の軽さよ

この背に背負いし君の軽さよ

 

 

 

(再掲)

 

 

 

自分の信じるものを壊されても
 

自分の信じることを蔑まされても
 

自分の信じる言葉を燃やされても
 

そんなことは
 

些細なことなのに
 

なのに
 

憤りに我を忘れ
 

怒りに打ち震え
 

仕返しのことしか考えられなくなる



もしかすると
 

迷える者へ誘惑かもしれない
 

目を覚まさせるために試練かもしれない
 

揺るぎない思いを確かめる術なのかもしれない
 

なのに
 

そのことには気が付く気配はない
 

いつまでも救われないことに苛立ち
 

探していた口実にほくそ笑み
 

反撃の言い訳として使い
 

それが何になるのかさえ頭をよぎることもなく
 

ただ不安を置き換えて
 

誤魔化しているだけだと言うことにも気づきもしない

 

 

何故あなたはそうなのか


いつもあなたをご覧になっている
 

いつもあなたの側にいらっしゃるのに
 

それなのに
 

あなたは目をそらしよそ見ばかりするのか


あなたはどうして感じようとしないのか
 

内なる側(そば)にいつもおられるというのに
 

いつまで外の世界にばかり目を奪われているのか

 

 

 

眠っているうちに
 

夢を見なさい
 

揺りかごは揺らしててあげる
 

ここでこうして寝顔を見ててあげる
 

怖い夢を見ないように子守唄を歌ってあげる
 

だから
 

眠っているうちに
 

夢を見なさい



眠っているうちに
 

夢を見なさい
 

揺りかごは揺らしててあげる
 

こうして寝顔を見ててあげる
 

兵士たちも今は休んでいる頃
 

あなたのような子供の写真を見ているはず
 

兵士たちが休息しているうちに
 

この静かなうちに
 

夢を見なさい



眠っているうちは
 

夢を見なさい
 

瓦礫に埋もれるように
 

時には爆裂音に揺れきしみ
 

きな臭い埃まみれていたら
 

夢のような世界は
 

この世で見せてあげられない
 

だからせめて
 

眠っているうちは
 

夢を見なさい



眠っているうちに
 

夢を見なさい
 

揺りかごは優しく揺らしてあげる
 

こうして寝顔を見ててあげる
 

側にいてあげられない代わりに
 

だからせめて
 

眠っているうちに
 

夢を見なさい
 

せめて
 

眠っているうちだけは



 


打ち鳴らす鐘の音は


鼓動の再現 
 

生きていた 
 

そしてついえた 
 

命の再現 



盾となり 
 

礎となった甲斐があったかと問う声を 
 

かつての長靴(ちょうか)の音がかき消すように 
 

否もなく近づいてくる 
 

聞き漏らすまいと耳をすませども 
 

その声は日に日に細くなるばかり 

 

 

仰ぎ見る空に響くわずかな残響でさえ 
 

その眠りが安らかであれと願う祈り 
 

重なり続く余韻も 
 

同じ轍(わだち)を踏まないという誓い 
 

されどもそれと知らぬ者は同じ轍(てつ)とは気づかない 



それでもと 
 

なお打ち続ける鐘の音は 
 

鼓動の再現 
 

生きていた 
 

そしてついえた 
 

命の再現 



(再掲)



 

 

月明けの夜が沈む時


それを合図に泥を飲め
 

清濁合わせた泥を飲め
 

闇夜のカラスが勧めるままに
 

寸分違わず飲み干せば
 

今宵限りは認めてやろう


 

浮世の情は美味かろう
 

取り繕いが身を覆い
 

上辺の笑みが引きつる前に
 

死に装束に身を固め
 

言いなり小僧の影を踏め
 

駄賃をねだる手は払え



月影の陰りのその隙に
 

正気の面を映すなら
 

這い出る修羅の果てなるを
 

見るともなしに
 

先行く悔いの正体が
 

隠したはずの裾を出す



騙した何のと難癖を
 

言い募っても
 

夜の消し炭
 

嘘は言わぬ代わりに
 

現の咎がことさらに
 

その聞いた気の口を慎め

 

 

 

費やした時間が体の中を駆けめぐり

流した汗が

君を勇者に変えていく

跳べ

跳んでいるうちは

君は夢でなくなる



かけられた声が

心を奮い立たせ

密かな涙が

君を強くする

舞え

舞っているうちは

それは夢でなくなる



たとえ砕け散っても

それは勝者への祝福

恥じることなく

悔いることなく

だから

今は

力の限り跳べ

思いのまま舞え

そして、

君は希望になる