涙につつまれた教会
 

悲しみにくれるミサ
 

その悲しみがどんなにつらいものかは
 

知っているはずなのに
 

同じ思いをさせるために
 

送り出される人々



失われた者のために祈りを捧げたとき
 

彼は何と諭したのか
 

彼はどこへ導いたのか
 

誰しもの頭の中には
 

左の頬を差し出すことはなく
 

血祭りにあげる者の顔



懐の拳を問わないことが彼の教えか
 

知らぬ振りは彼の慈悲か
 

ためされているのも知らず
 

怒りに血迷う人たちは
 

振り上げた拳の行き場がなくなろうと
 

やめることも忘れてしまっている



すべての人が傷ついて終わる
 

その過ちに
 

その繰り返しに気が付くために
 

まだ何が足りないのか
 

まだ幾人の生命が必要だというのか
 

この時のために二度とするまいとの誓いは
 

どこで失ってしまったのか 
 

彼がそう教えたのか
 

そう導いたのか

 

 

 

忘れないでおくれ
 

この唄は
 

いつか会える日のため
 

忘れないで、わが子よ
 

おまえを見つけるため
 

忘れないでおくれよ
 

子守唄があれば
 

見つけられるから
 

必ずや見つけだせるから
 

ねぇ、わが子よ


 

覚えておいで
 

この唄を
 

お前が大きくなって
 

見分けが付かなくなっていても
 

たとえ
 

この温もりを忘れてしまっていても
 

子守唄が覚えておいてくれる
 

だから
 

ちゃんと聴いておくれ
 

よく耳を澄まして
 

この唄を聴いておくれ



また会える日は
 

いつとは約束はできない
 

でも
 

この唄だけは
 

肌身離さず
 

身に付けておいで
 

子守唄は
 

お前とつなぐ糸なれば
 

たとえ遠く離れていても
 

空を超えて
 

会わせてくれる
 

どんな深い海が隔てても
 

切れることはない



子守唄があれば
 

この唄さえあれば
 

お前とつながっていると信じて生きてゆける
 

さぁ、もう一度唄ってあげるから
 

よくお聞き
 

もう一度聴かせてあげるから
 

どうか忘れないでおくれ
 

どうか、わが子よ
 

よく耳を澄まして
 

この唄を聴いておくれ
 

 

 

どんな理由があれば

息の根を止められてもいいですか?

誰に告げられたら

納得して死ねますか?


でも心配しないで下さい

今、あなたを殺す

いくつかの理由を

会議で決めているところだから

だから、何も心配しないで・・・

 

 

 

(再掲)

 


幾筋も舞上がる煙が淀みと化した空は 

もう怒りを静めたかのように 

穏やかに晴れ渡っている 

燃え崩れた街は黙って見上げている 



容赦のない冷たい風はいっそう身体を凍えさせ 

一度止まった時間は動けないまま 

ただ過ぎるのを待つように立ち尽くす 

それでも明日への空は明けていく 



あの時から続く空に 

打ち鳴らされる鐘の音が響き 

一つひとつはか細い灯りを点し 

あなたの元にこの祈りとともに導いていく 

忘れようのないあなたを 

空を見上げている 



(再掲)
 


「おめでとう」が飛び交い


「ありがとう」が行き交う


新年おめでとう ~ おめでとう
 

誕生日おめでとう ~ ありがとう
 

結婚おめでとう ~ ありがとう
 

進学おめでとう ~ ありがとう
 

就職おめでとう ~ ありがとう
 

開店おめでとう ~ ありがとう
 

退院おめでとう ~ ありがとう
 

昇進おめでとう ~ ありがとう
 

合格おめでとう ~ ありがとう
 

出産おめでとう ~ ありがとう
 

メリークリスマス ~ メリークリスマス
 

おめでとう ~ ありがとう

 

誰彼となく繰り返される
 

何気にやり取りがこれだけ溢れているのに
 

その中には入ることはない


何人のフォロワーがいても
 

何人フォローしていても
 

一瞬たりとも入れてはもらえない


どんな言葉をかけても
 

自分は埒外におり
 

どう呼びかけてみても
 

自分以外の世界の話

 

画面の中では人としてではなく
 

単なる数字
 

数字の「1」としてでしか存在し得ない

 

意味のない数字
 

置き換えのきく
 

誰であっても関係のない数字


誰にも気づいてさえもらえない
 

生身の人としては感じてはもらえず
 

ただ漂っていくだけの存在



今日も
 

明日も
 

その次の日も
 

毎日のように


「おめでとう」が飛び交い
 

「ありがとう」が行き交う

 

けれど
 

その輪の中には入ることはない
 

どんなときでも
 

よその人の言葉
 

いつなんどきでも
 

他人の言葉
 

見知らぬ世界の言葉

 

 

 

あんた
 

ねぇあんた
 

どう思ってんの
 

あたしの気持ち 
 

わかっているくせに
 

あたしはエェとこ一つもないし
 

好かれてる自信なんかあらへんけど
 

誰にも負けへんくらい


好きやねんで
 

あんた
 

ねぇあんた
 

どうなんよ
 

あんた
 

ちょっと聞いてんの



あんた
 

ねぇあんた
 

ほら見てみぃ
 

街の明かりがキレイやよぉ
 

キラキラしてて
 

星のようやね
 

あんたはわたしの話も聞かんと
 

2つ並んだ夜空の星を指さして
 

2人の星やって言いやった
 

あんた
 

ねぇあんた
 

あんた
 

意外とロマンチストやね
 

あんた
 

ねぇあんた
 

ホンマにキレイやね

 

 

 

打ち続けるSOS
 

止むことのないSOS
 

泣きながらのSOS
 

悲しみを抱えたSOS
 

怒り混じりのSOS
 

繰り返されるSOS
 

されどか細いSOS
 

消え入るようなSOS
 

それでもなおも送り出されるSOS
 

誰も受け取ることのないSOS
 

誰も気づかないSOS
 

見向きもされないSOS
 

行き先を見失うSOS
 

ただ漂うだけのSOS
 

さまよい続けるSOS
 

波間に揺れるだけのSOS
 

地の底に吹き溜まるSOS
 

海底にも積み上がるSOS
 

やがて
 

ないものとされるSOS
 

くすぶり続けるSOSも
 

何もなくなってしまう
 

跡形もなく
 

初めから何もなかったように

 

 

 

つるべ落としの日暮れ道


四ツ五ツの曲がり角


泣き面くれて 小焼け道


くつ音ひとり 半べその


行きつ戻りつ迷い道


途方の先の窓明かり

 

 

 

(再掲)

 

風とともに春
 

花を野に敷き
 

踊る蝶
 

水は温んでせせらぎ
 

眠っていた息吹を揺り起こす
 

やがてのごとく
 

爛漫に
 

一雨ごとに夏を導いていく



雨とともに夏
 

寄せは返す波しぶき
 

眩しい緑
 

蝉時雨
 

照り返す入道雲
 

やがてのごとく
 

佳境へ
 

一雨ごとに秋を招いていく


 

雨とともに秋
 

茜の空に
 

葉を彩(か)え落とし
 

夜の夜長の大合唱
 

行く鳥
 

青空
 

冬支度
 

冷たい風が冬を濃くしていく

 

 

風とともに冬
 

空風吹き抜け
 

静かなほどの雪化粧
 

どっかと居座る冬将軍
 

やがてのごとく
 

冬壮美
 

風につられて模様替え

 

 

 

河よ おまえはどこへ行く
 

流れに任せてどこへ行く
 

二度と戻れぬ帰り道
 

流れ流れて海原へ



海よ おまえは何を見る
 

雲の形の1つまで
 

鏡のような静かなる
 

海よ おまえは何を見る



雲よ おまえはどこに行く
 

青い空を覆うが如く
 

高く広く広がれど
 

覆い尽くせずどこに行く

 

 

空よ おまえは何を見る
 

一足先に空よおまえが
 

明日の風を一人見る
 

空よ おまえは何を見る



風よ おまえはどこへ行く
 

木の葉を散らして
 

山の向こうに何がある
 

何も答えずどこに行く