自分の信じるものを壊されても
 

自分の信じることをけなされても
 

自分の信じる言葉を燃やされても
 

そんなことは
 

神は何とも思っていない
 

なのに
 

あなたは憤りに我を忘れ
 

怒りに打ち震え
 

仕返しのことで頭の中はあふれかえる



もしかすると
 

迷える者への神からの誘惑かもしれない
 

神がお与えになった試練かもしれない
 

揺るぎない信仰を確かめる術なのかもしれない
 

なのに
 

そのことには気が付く気配はない
 

救われないことに苛立っていた日常の中で
 

探していた口実にほくそ笑み
 

憂さを晴らす言い訳として利用する
 

そんなことをして何になるのかさえ頭をよぎることもなく
 

ただ日々の不満を置き換えて
 

誤魔化しているだけだと言うことにも気づきもしないで



何故あなたはそうなのか?
 

神はいつもあなたをご覧になっている
 

神はいつもあなたの側にいらっしゃるのに
 

それなのに
 

あなたはどうして神を見ていないのか?
 

あなたは神から目をそらし
 

よそ見ばかりするのか?


あなたはどうして神を感じようとしないのか?
 

内なる側(そば)にいつも神はおられるというのに
 

いつまで神のいない外の世界にばかり目を奪われているのか

 

 

 

あの日あなたが見た空は青かったですか
 

あの日の空をきっと見たはずなのに
 

空は静かに黙っている
 

あの日は空を見上げていたはずだった
 

噴き上げる煙で汚されていく空を
 

けれど
 

あの日の空を知る人はもういない
 

あの日の空のことを覚えている人はいない
 

何もかも知っている空は教えてくれない
 

すべてを見ていた空は
 

いつも何も語ってはくれない



あの日あなたが見た海は蒼かったですか
 

目の前に広がる海はきっと聞いたはずなのに
 

潮の流れが飲み込んでいく
 

あの日の海は聞いていたはずだった
 

海はうめき泣いている声に気をとられたのか
 

けれど
 

あの日の海を知る人はもういない
 

あの日の海のことを覚えている人はいない
 

何もかも聞いていた海は教えてくれない
 

すべてを聞いていた海は
 

今は穏やかに空を映しているだけの海に変わっている



あの日空にはどんな雲は広がっていましたか
 

あの日の雲をきっと見ていたはずなのに
 

いまはもう散ってしまった
 

あの日も雲を見たはずだった
 

赤い炎に包まれて見えなくなっていたのか
 

けれど
 

あの日の雲を知る人はもういない
 

あの日の雲のことを覚えている人はいない
 

何もかも知っている雲はとっくにちりぢりに
 

すべてを知る雲はもうどこにもいない



あの空は青かったですか
 

あの日の空は晴れていましたか
 

今見上げる空と変わりがなくとも

 

 

 

 

あなたは咲けてよかったね
 

咲けなかった蕾
 

蕾になれなかった芽
 

芽吹けなかった種
 

種にもなれなかった命
 

そんなみんなはムダだったのですか
 

次の風で散る前に答えてください
 

聞こえかったふりをしないで
 

答えてください


 

あの実はちゃんとなったんだね
 

鳥についばまれた実も
 

風に振り落とされた実も
 

人にもがれた実も
 

固いまま縮んでしまったのもあるのに
 

でもみんな甲斐がなかったのですか
 

次の種を落とす前に教えてください
 

聞かなかったことにしないで
 

教えてください

 

 

 

さよならも 

ありがとうも 

連れ去った 

あの海は今日 

素知らぬ顔をして 

凪いでいる 



やがて 

風を受けてこの涙が乾いても 

たとえ 

堅い土を割って花が咲いても 

いつも 

忘れないでいる 

いつまでも 

 

 

春が開けていく
 

吹くように開けていく
 

何一つ人の手を貸りずに
 

咲いていく
 

桜に気を取られた人たちに
 

踏みつけにされた足許の花にも春
 

どこ吹く風で
 

咲いて


どこででも咲いて
 

散っていく



夏が湧き上がってくる
 

入道雲が沸き立つように
 

同じ夏という季節でも


1つとして同じ雲はない


きつい日差しと競うように

 

むせ返る蝉の声が


あふれるように鳴き続けても


とめどなく暴れる草木の触手は


あらゆるところに忍び込む


油断なくはびこっていく



秋が降りてくる


山の上から舞い降りてくる


同じ秋という季節でも


空にも抜けていく


夏の熱をすっかり忘れたように


まるで身代わりのように


落とした枯れ葉が


風とともに舞い踊る


色付きが冬を呼び込む


そして姿を消していく



冬が忍び寄ってくる


同じ冬という季節でも


地の底からも這い上がり


空雲からも舞い降りてくる


雪は静かに降り続く


ただひたすら音を消して


すべての結晶が示し合わせたように


人に気取られないように


悟られぬように


閉じ込めていく

 

 

 

眼を閉じれば
 

空も飛べる
 

深い海にも潜っていける
 

誰も行けないような山の頂にさえも容易く行ける

 

欲しい物もカードの支払も気にせずに買える
 

食べたいモノも太ることなんか気にしないで食べられる
 

飼いたかった犬とも遊べる


長いお風呂も、アロマも、BGMもいらない
 

逢いたい人にも会える


さよならを言わずに別れた人にもさよならが言える

 

悲しくても笑っていられる
 

寂しくても誰かがいてくれる
 

苦しくても楽しい夢が見られる

 

目を閉じるだけで
 

それだけで幸せになれる
 

そう、今はそう思いたい

 

 

 

(再掲)
 

 

僕には好きな人がいる

 

僕の好きな人を好きな人もいる
 

僕の好きな人を嫌いな人もいる

 

僕には嫌いな人がいる
 

僕の嫌いな人を好きな人もいる
 

僕の嫌いな人を嫌いな人もいる


 

ただ、それが誰だかわからないだけ



私を好きな人がいる
 

私を好きな人を好きな人もいる
 

私を好きな人を嫌いな人もいる


私を嫌いな人がいる
 

私を嫌いな人を好きな人もいる


私を嫌いな人を嫌いな人もいる


ただ、それが誰だか見分けがつかないだけ


 

僕のことを知らない人がいる
 

僕を知らない人を知っている人はいる
 

僕を知らない人を知らない人もいる


私のことを知っている人がいる
 

私を知っている人を知っている人はいる
 

私を知っている人を知らない人もいる


ただ、それが誰だか気がつかないだけ

 

 

 

いってきます
 

ただいま
 

お帰りなさい
 

おやすみなさい
 

おはようございます
 

こんにちは
 

こんばんは
 

じゃあね
 

また今度
 

これは好きだ
 

あれは嫌いだ
 

残念だったね
 

何食べる?
 

いただきます
 

ごちそうさま
 

この前ね
 

ひさしぶり
 

元気だった?
 

元気ないね
 

これ見てよ
 

良かったね
 

聞いたことある?
 

どうしたの?
 

良い色だね
 

どう思う?
 

どっちがいい?
 

おめでとう
 

ごめんなさい
 

ありがとう
 

さようなら


こんな言葉が
 

人生から消えていくことをいう

 

 

 

ふるさとは今頃雪の中だろうか
 

ふるさとの海は今日くらいは穏やかだろうか
 

ふるさとにまだ冷たい風が吹き下ろしているだろうか
 

ふるさとはこの日だけでも昔に戻っているのだろうか
 

ふるさとは今も雑踏の中にいるだろうか


帰る言い訳を見失った者は
 

帰らずに済む理由をさがして
 

また帰りそびれる
 

それでも
 

ふるさとはじっと佇み
 

何も言わず待っている
 

積もる話を抱えて待っている
 

つのる思いで待っている
 

すべてを拭い去っていくように陽は昇る
 

 

 

(再掲/一部修正)

 

 

駅の改札を出て
 

イルミネーションで浮かれた街の装いを横目に
 

背中を丸めて急ぐ足
 

誰が待っているわけでもない家は
 

今日も暗がりの中にたたずんでいるだろう
 

来た道も行く道も冷え切ってはいても
 

他人行儀なイルミネーションが途切れたこのあたりまで来れば
 

街のざわめきも追ってはこなくなる
 

会いたい人も
 

会いたいと思ってくれる人もいない帰り道
 

ビルの間から不意に現れる月だけが
 

凍えた肩をそっと静かに抱きしめてくれる
 

いつまでも見守っていてくれる