酔いしれぬ
 

心抱えて
 

酌み交わす夜



したたかに
 

重ねる杯
 

月あかり



話すでなし


聞くでなし


更けていく夜の先まで

 

 

 

 

決して許さない(この先ずっと)


許せるはずがない(この先もずっと)



許したくない(どうしても)




まだ許したくない(でもなにかが)





許してもいいけど(まだ言葉にはできない)






もう許したいのに(心の奥では)







もう許せているのに(でも言葉にはできない)

 

 

 

 

 

 

何もかも写してしまう鏡など割ってしまえ


邪な顔など引き裂いてしまえ

 

 

 

 

夢という言葉で何かを見せた気にして
 

音符の檻に閉じ込めて
 

未来を歌う
 

行方を指す羅針の針を思わせて
 

身動きできぬ言葉を楽器のテンポで震わせる
 

音符はせっせと鎖につないだままで
 

言葉を踊らせているだけなのに


 

一人じゃないとうそぶく言葉は
 

メロディーに乗せてしたり顔
 

心の襞をくすぐり
 

すべてが解ける処方を求めた手に渡る
 

空虚な言葉とも知らずに
 

仮面を剥いでしまえば
 

薄っぺらな言葉だけが並んでいるだけなのに



ありもしないことを
 

甘い言葉でその気にさせるハーモニー
 

楽譜の森に立ちこめる霧のように
 

か細い言葉に威を貸して煙に巻く
 

むき身の裸にすれば
 

何のことはないことを大げさに垂れ流しているだけなのに



薄い言葉を
 

刻むリズムが躍らせる
 

愛撫を欲する触手のような旋律が
 

訳知り顔で中身を骨抜きにし
 

魂までも抜いていく
 

その隙に突きつけた刃のように刻みつける
 

まるで傷に塩を塗るように
 

 

 

 

足の向くまま尋ねる人は
 

寒い心に住むという
 

心の向くまま行く場所は
 

温もりだけを待つという
 

昨日の友は空の下
 

今宵一夜の仮の宿
 

今宵限りの仮の宿



居場所を持たない足取りは
 

今日も明日も続く道
 

旅に宿した行き先に
 

探しあぐねた故郷がある
 

明日の友も空の下
 

今宵一夜の仮の宿


今宵限りの仮の宿
 

 

私がわたしであってはいけないのなら
 

あなたはあなたなのだろうか


私がわたしであることを認めてもらわなければいけないのなら
 

あなたはあなたであることを誰に認めてもらったのだろうか


私がわたしのために生きていることと
 

あなたがあなたのために生きているのと同じではないのだろうか




あなたが私をあなたが決めた枠にはめようとするなら
 

私もあなたを私が決めた枠にはめてもいいですか

 

あなたが私が望むものでなくても私はここにいる
 

私があなたに望むものは何もなくてもあなたはそこにいる

 

私はあなたがどう思おうとわたしでしかない
 

あなたは私がどう思おうとあなたでしかない




あなたがあなたであることを邪魔しないのだから
 

私がわたしであることを邪魔しないでほしい


あなたがあなたであるように
 

私がわたしであっていいはずです


あなたはあなたでしか生きられないように
 

私はわたしでしか生きられない

 

 

自分の信じるものを壊されても
 

自分の信じることをけなされても
 

自分の信じる言葉を燃やされても
 

そんなことは
 

神は何とも思っていない
 

なのに
 

あなたは憤りに我を忘れ
 

怒りに打ち震え
 

仕返しのことで頭の中はあふれかえる



もしかすると
 

迷える者への神からの誘惑かもしれない
 

神がお与えになった試練かもしれない
 

揺るぎない信仰を確かめる術なのかもしれない
 

なのに
 

そのことには気が付く気配はない
 

救われないことに苛立っていた日常の中で
 

探していた口実にほくそ笑み
 

憂さを晴らす言い訳として利用する
 

そんなことをして何になるのかさえ頭をよぎることもなく
 

ただ日々の不満を置き換えて
 

誤魔化しているだけだと言うことにも気づきもしないで



何故あなたはそうなのか?
 

神はいつもあなたをご覧になっている
 

神はいつもあなたの側にいらっしゃるのに
 

それなのに
 

あなたはどうして神を見ていないのか?
 

あなたは神から目をそらし
 

よそ見ばかりするのか?


あなたはどうして神を感じようとしないのか?
 

内なる側(そば)にいつも神はおられるというのに
 

いつまで神のいない外の世界にばかり目を奪われているのか

 

 

 

あの日あなたが見た空は青かったですか
 

あの日の空をきっと見たはずなのに
 

空は静かに黙っている
 

あの日は空を見上げていたはずだった
 

噴き上げる煙で汚されていく空を
 

けれど
 

あの日の空を知る人はもういない
 

あの日の空のことを覚えている人はいない
 

何もかも知っている空は教えてくれない
 

すべてを見ていた空は
 

いつも何も語ってはくれない



あの日あなたが見た海は蒼かったですか
 

目の前に広がる海はきっと聞いたはずなのに
 

潮の流れが飲み込んでいく
 

あの日の海は聞いていたはずだった
 

海はうめき泣いている声に気をとられたのか
 

けれど
 

あの日の海を知る人はもういない
 

あの日の海のことを覚えている人はいない
 

何もかも聞いていた海は教えてくれない
 

すべてを聞いていた海は
 

今は穏やかに空を映しているだけの海に変わっている



あの日空にはどんな雲は広がっていましたか
 

あの日の雲をきっと見ていたはずなのに
 

いまはもう散ってしまった
 

あの日も雲を見たはずだった
 

赤い炎に包まれて見えなくなっていたのか
 

けれど
 

あの日の雲を知る人はもういない
 

あの日の雲のことを覚えている人はいない
 

何もかも知っている雲はとっくにちりぢりに
 

すべてを知る雲はもうどこにもいない



あの空は青かったですか
 

あの日の空は晴れていましたか
 

今見上げる空と変わりがなくとも

 

 

 

 

あなたは咲けてよかったね
 

咲けなかった蕾
 

蕾になれなかった芽
 

芽吹けなかった種
 

種にもなれなかった命
 

そんなみんなはムダだったのですか
 

次の風で散る前に答えてください
 

聞こえかったふりをしないで
 

答えてください


 

あの実はちゃんとなったんだね
 

鳥についばまれた実も
 

風に振り落とされた実も
 

人にもがれた実も
 

固いまま縮んでしまったのもあるのに
 

でもみんな甲斐がなかったのですか
 

次の種を落とす前に教えてください
 

聞かなかったことにしないで
 

教えてください

 

 

 

さよならも 

ありがとうも 

連れ去った 

あの海は今日 

素知らぬ顔をして 

凪いでいる 



やがて 

風を受けてこの涙が乾いても 

たとえ 

堅い土を割って花が咲いても 

いつも 

忘れないでいる 

いつまでも