春が開けていく
 

吹くように開けていく
 

何一つ人の手を貸りずに
 

咲いていく
 

桜に気を取られた人たちに
 

踏みつけにされた足許の花にも春
 

どこ吹く風で
 

咲いて


どこででも咲いて
 

散っていく



夏が湧き上がってくる
 

入道雲が沸き立つように
 

同じ夏という季節でも


1つとして同じ雲はない


きつい日差しと競うように

 

むせ返る蝉の声が


あふれるように鳴き続けても


とめどなく暴れる草木の触手は


あらゆるところに忍び込む


油断なくはびこっていく



秋が降りてくる


山の上から舞い降りてくる


同じ秋という季節でも


空にも抜けていく


夏の熱をすっかり忘れたように


まるで身代わりのように


落とした枯れ葉が


風とともに舞い踊る


色付きが冬を呼び込む


そして姿を消していく



冬が忍び寄ってくる


同じ冬という季節でも


地の底からも這い上がり


空雲からも舞い降りてくる


雪は静かに降り続く


ただひたすら音を消して


すべての結晶が示し合わせたように


人に気取られないように


悟られぬように


閉じ込めていく