生まれ来て
いまだに見つけぬ
身の置き所
まして
身の丈に合うねぐらなど
身に付かず
蜻蛉(かげろう)ごとくの身繕い(みづくろい)
人の姿に身をやつし
その身ひそめて
息苦しさを
例える術なく
身悶え(みもだえ)し
身もなくし
蓋(ふた)もなくして
空蝉に
聞く戯れ言(ざれごと)も
空耳紛い(まがい)に見失い
すがる縁(えにし)の見えぬ糸
見知った人ないこの世のことと
身につまされる肩身の狭さ
身の程を知る暇(いとま)さえない身の上か
現世(うつつよ)は
身ぎれいにすることなく死ぬまでの
暇つぶしと見切ったれば
浮き世の草とて本望だろうか
見もせぬ影絵と見限ろうか
地に足つくものがざわつく嵐の前兆は
されど森を持たぬ者たちに容赦なく踏みにじられ
鳥がいななく暗闇の予兆は
止まり木を持たぬ者たちには空耳にもならず
狂ったような花弁の群も
咲いたことにしか目が行かぬ者には彩りにしかなりえない
舞い上がる砂が触手を伸ばせば
濁った空気はとぐろを巻き
水は操られるまま下っていく
いくつもの軋むような警告が
か細い限りに鳴り渡れども
雑踏につぶされてしまう
陽は遮るものを失い
生暖かい風はすべてのものをなめ尽くす
果ては
息づかいのない海ひとつ
雪ですね
どうりで寒いと思いました
そちらはどうですか
今年の冬は寒くなるとききました
雪はいいですね
暗い町を白くしていきます
なにもかも
埋め尽くして
雪ですね
雪ですか
雪です
降りしきる
会いたい気持ちのその声が
にぎる受話器の
奥で答えてくれる
好きです
好きですか
雪は
ただ降りしきる
けれど
この白く薄ぼやけた
この町に
もう少しいようかと思います
誰に求める君の面影
二人としているはずのない君の面影
麗しの
そして
愛おしの
君が発つ
香しいかぎりの
その声音
聞くともなく
耳の心地よ
何に例える君の微笑み
向けられる先に
わが身はなくとも
神々しく
ただそこにいて
君の瞳は
何を写し取る
頬染めながらも
秘めたる人の姿ばかりか
笑えない時はあっても
笑わない人はいない
泣けない時はあっても
泣かない人はいない
泣きたいのなら
風に向かって歩きなさい
風が涙を払ってくれる
風が涙を受け止めてくれる
泣ける時には泣きなさい
そうしなければ
きっかけを失った涙を
ずっと抱えて生きることになる
抱えたまま心にフタをしてしまう
だから
こらえずに泣きなさい
はき出しなさい
もしも今じゃないと思うのならば
他人に合わせることはない
フイに現れる、その時が来たら
何かも忘れて
はた目も気にせず泣きなさい
誰かがいたら泣けないのなら
その時は1人になればいい
1人で泣きたくなければ
私をいつでも呼べばいい
泣く時くらい声を殺さず
泣きたいように泣きなさい
溢れるままに泣きなさい
すべてを許すほどに
明日のために
泣きなさい