海ひとつ 地に足つくものがざわつく嵐の前兆は されど森を持たぬ者たちに容赦なく踏みにじられ 鳥がいななく暗闇の予兆は 止まり木を持たぬ者たちには空耳にもならず 狂ったような花弁の群も 咲いたことにしか目が行かぬ者には彩りにしかなりえない 舞い上がる砂が触手を伸ばせば 濁った空気はとぐろを巻き 水は操られるまま下っていく いくつもの軋むような警告が か細い限りに鳴り渡れども 雑踏につぶされてしまう 陽は遮るものを失い 生暖かい風はすべてのものをなめ尽くす 果ては 息づかいのない海ひとつ