救急車が通るだけで「誰かがどこかで痛いと泣いている」と胸を痛めてしまう主人公。学生の頃に留学したイタリアで偶然にもエクソシストの助手を務めたことから、家電販売員のかたわら副業としてエクソシストをすることになる。幼馴染のお姉さんの依頼により、引きこもりの青年とかかわることになる。
平行して、ちょっと仰々しい口調で語られる物語。こちらは、株取引の入力ミスによって300億近い損害が起きた事故原因を究明することとなったサラリーマンが主役。全てを現実的・論理的に考えるクールな男。ときおり西遊記の物語が入り混じったような幻想的な世界に巻き込まれるが、それも何かの錯覚だろうと現実的に受け止めてしまう論理的人間。
感傷的にくよくよ悩む男と、論理的に全てを割り切る男。ファンタジー的な要素も交えつつ、「悪といかに戦うか」という最近の伊坂のテーマをまた違った角度から描いていく。伏線や洒落た会話・警句などは少なめで、特徴的な語り口や物語の構造自体をテーマに繋げていくなど、どうやら伊坂は「モダンタイムス」以降あきらかに別ステージに入ったような印象を受ける。旧来の伏線や洒落た会話が好きなファンには申し訳ないが、僕は今の路線はかなり好きなので、このまま突っ走って欲しいと思う。






