『アンダルシアの肩かけ』 エルサ・モランテ/河出書房新社 | 砂場

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本の感想と日記。些細なことを忘れないように記す。

アンダルシアの肩かけ
エルサ・モランテ
河出書房新社
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20世紀イタリア最大の作家らしい。タブッキ(こちらもイタリア)に似ているようなと思ったら、やっぱり須賀敦子さんも好きだったそうな。カフカ的な不条理世界に近く、現実と幻想が繋がっていく。

どこか社会に適応できない人たち。彼らは現実と折り合いを欠いたまま、非現実の世界へと流れ込んでいく。そこには救いはない。人間は誰もが現実&非現実の世界を生きているということ。現実と夢が入り混じり、夢と夢が折り重なり、幻想が現実に打ち砕かれ、現実が非現実に支えられる。

三人称で書かれながらも、語り手は意思があるような奔放な口調で、やがてそのまま登場人物の意識のなかまで描きだす。主観と客観の区別も消えるその語りが、現実と虚構を描く物語とあいまって魔術的な効果を生みだしていく。ここには、小説でしか描けない世界、小説でしか味わえない魅力が溢れている。