いつの日か もう一度


アイツの後ろで ドラムを叩く


それが オレの夢になった



アイツの彼女が逝ってしまった


アイツは涙一つも零さず


唇を噛みしめていた


「ゴメン 今は何もする気分になれない


少し休ませてくれ」


そう言ったきり戻ってはこなかった



ちゃんと見送ってやれと言ったのに


オレの声は届かなかったのか


別れの式にもアイツは現れなかった


彼女が逝ってしまったことを認めたくないんだろ


アイツはそこから一歩も動かない


そしてオレも立ち止ったまま




オレがドラムを叩くのは


アイツの後ろでだけ


アイツが戻ってきた時


そう決めている




アイツが心で祈る


もう一度 会いたい


オレが心で祈る


もう一度 戻ってこい


ずっと待っている




アイツが大声で叫ぶ


もう一度 会いたい


オレが大声で叫ぶ


もう一度 戻ってこい




アイツの瞳から 涙が溢れてとまらない


泣きたいだけ泣いたらいい


そうやって 受け入れればいい


彼女のいないこの世界で 生きていくことを・・



オレは待っているから



道~ともに歩む~』書きあがりました。


高校生時代、もっと積極的だったら、思い出になるような恋愛もできたかもしれません。


自分に自信が持てなくて・・臆病でした。


17歳の頃に戻れるとしたら、戻りますか??


戻りたいような、戻っても同じような毎日を過ごしていそうな・・そんな気もしますが、


一生懸命に何かに向かっていきたい思いもあります。




友情・・


小さな頃は、「みんなと仲よくしましょうね。」と言われて育てられてきましたが、


今、考えてみるにそれはとても難しいことだと思います。


結局、気の合う人としか付き合わなくなっていくのです。


お互いを大事に思いあえる人が数人いれば十分だと思います。


『その人』に出会うのはいつだかわかりません。


でも、何となく感じるんじゃないかとも思うのです。



陸と周平とのぞみのその後・・・どうなったでしょね。


物語は、ここまでです。


中途半端で終わってしまった・・という見方もありますが、その先は自由に想像してもらえれば嬉しいです。


大事に抱えてきた思いを、ずっと抱えたまま眠らせておいても、幸せにはなれたはず。


ふとした再会から止まっていた時計を回し始めることを選んだことで3人は再び同じ時を刻む時計を手にしました。


別れから8年、それぞれの心にあった思いが踏み出す力を育てていたのかもしれません。




読んでいただいた みなさま ありがとうございました


大人の物語に進む前に、もう少し青臭い話を書きたいと思います。





「待たせてゴメン。」


「ホントにいいの?


こんなに長い間、休んだりして。」


「さあな。


帰って来ると俺の居場所、無かったりして・・。


でも、こうでもしないと周平の所なんて行けやしないじゃないか。


なんで、あんな遠くにいるんだろうな~。」


陸とのぞみは周平の居るドイツに行くことにした。


とは言っても、内緒にしている。


今、2人が飛行機に乗ろうとしてるなんて周平は知らない。


春菜に周平のスケジュールを聞いた。


行くなら、今しかない。


2か月くらいは居座るつもりの2人。


「私、こんなにワクワクした気持ちになったこと、これまでで初めてかもしれない。」


「俺も。


27にもなってするイタズラじゃないよな。


周平、きっと驚くぞ。


想像するだけで笑ってしまう。」


『ドイツ周平訪問ツアー』考えてみれば簡単なことだった。


周平はドイツにいるのだ。


会いたいなら自分達が会いに行けばいいのだ。


たったこれだけのことに気づくのに8年もかかるなんて、バカみたいだと2人は笑い飛ばした。




マンションのベルを鳴らす。


何度も鳴らす。


インターホンに周平の不機嫌な声。


それもそのはず、朝の5時半。


今朝3時まで仲間達と飲んでいた周平は、帰ってシャワーを浴びてさっきベッドに潜り込んだばかりなのだ。


こんな時間から誰??


イタズラかと思って当然。


不機嫌でも仕方がない。


「は~い・・・。


今、行きます・・・。」





(終)

さあ ちょっと気分を変えてみようか・・


いつもは引かないアイラインをスッと


アイメイクを念入りに


口紅は オレンジ系の深いカラーを


新しい自分になるための


ささやかな儀式



いつもと違う雰囲気の服を着て


高いヒールを履き


お気に入りのバッグを持ち


彼氏のような存在の 車で出かける



何処へ行く?


海の見えるホテルの部屋


誰かが待っているわけでもない


独り


そういう時間を欲しいと思うようになった






哲也は1通の短い手紙を残して黙って姿を消した。


きっとここに来てポストに入れて行ったのだろう。


『ありがとう


楽しかった


哲也』


この手紙が哲也からのサヨナラのメッセージだと気づくまでには少し時間がかかった。


その前の夜、2人で彼の27回目の誕生日を祝ったばかりだったから。


「のぞみと出会えて良かった。」


だとか、


「心の底から笑っているのぞみを見たい。」


とか、妙なことを言うなあと思ったが、誕生日と言う特別な日だからだろうと、それほど気にとめもしなかったのだ。


哲也は2人のこの先について考え悩んでいた。


それは、自分にとってのぞみが大切な人になればなるほど、彼女が遠くを見つめている瞳が鋭く哲也の心に突き刺さる。


一緒に過ごす時間を重ねるうちに、その答えを探し出せると思い込もうとしている自分がいる。


その一方で言葉にならない不安に襲われる。


学生時代からの友人の稔は哲也にこう言った。


「誰だって心にしまっていることの1つや2つあるさ。


玲子と結婚して子供が生まれた俺だって、ただ1人心に閉じ込めている遠い過去の思いっていうのはある。


玲子には玲子の『それ』があるだろうよ。


でもそれは、思い出だ。


今更、どうこうってことを考えてるわけじゃない。


お前みたいなことを言っていたら、誰かを好きになんてなれない。


全部を欲しがるなんて所詮無理なことだ。


今と未来で十分だと思うけどな。」


「俺だって、今まではそうだった。


相手の全部なんて必要なかった。


もっと正直に言うと未来も頭には無かった。


のぞみと出会って俺の恋愛観は変わった。


2人で過ごす時間が楽しければ楽しいほど不安が膨らむ。


どう気持ちを持っていけばいいのかわからない。


もう限界なんだ。


一緒にいると、どうしても聞いてしまう、決して話いてくれないことを知っているのに。」




懐かしさが哲也の心に広がる。


波の音、潮の香り、そしてこの防波堤。


身体の隅々までがこの場所を感じている。


1年間、あちこちを渡り歩いて結局はまたここに戻って来た。


そんな自分が少し嫌だった。


あの時の自分と何が変わったということも無く、1年という時間が流れた事実だけが存在する。


スケッチブックと鉛筆を持って腰かけた。


のぞみに会いたくて・・・ここを離れてからも同じで、この家出がどれだけ無意味なものだったのかがわかる。




「哲也?


何やってるのよ。


早く家に帰らなきゃ。」


それは間違いなくのぞみの声だった。


1年振りだというのに優しい言葉1つ無い。


「厳しいとこなんて、少しも変わってないや!」


「何言ってるのよ。


みんな心配してたんだよ。」


「のぞみも?」


「そりゃ~そうだよ。」


「そうか・・。」


申し訳なさそうな顔をしてのぞみを見た。


「哲也、私、ここを出ようと思ってるの。


あなたが帰って来るのを待ってた。


ちゃんと『サヨナラ』を言いたかったから。」


「どこへ行くの?」


「ドイツ。


友達がいるの。


哲也の心を知ってて黙って行くことはできなかった。」


「そこに行けば、のぞみはのぞみでいられるんだな。


俺はどっちにしろ見送ることになるんだろうと、この1年思っていたよ。


絶対に嫌だと思っていた。


だけど、今は違う。


俺がここで見送ってやろうと帰って来たんだ。


俺が戻るまでのぞみはここにいるという確かなモノがあったから。」


「ありがとう。」