PD-5000の画像

1989年にPioneerから発売された PD-5000  200,000円

 

一時、ヤフオクでも見かけなくなりましたが、最近再び出品されるようになり、数も増えてきました。電源が入ることのみを確認したというジャンク品を入手。

 

パイオニアのプレーヤーのお決まりのピックアップレンズの脱落はあるでしょう。レンズが見つかって、ピックアップが生きていれば、ラッキーです。

 

ブツが到着して、早速動作確認。

 

トレイが開閉しません。案の定、ピックアップレンズはありません。ピックアップが軸から脱落もしていました。

 

トレイの開閉は、電源部をまず疑います。保護素子があるので、その導通をチェックします。

 

異常なし。

 

このモデルは、ベルトの劣化で開閉しなくなるということはほぼありません。パイオニアのプレーヤーで、劣化したベルトはあまり見たことがありません。特殊な材質なのでしょうか。時折、長期間使用していなかったプレーヤーで、ベルトに形が付いてしまったものはありますが、ヤマハやTEACのように溶けてなくなるのは見たことはありません。

 

このプレーヤーは、クランパーを昇降させるモーターに付いているウォームギアが噛んでしまい、動かなくなることでトレイが開閉しなくなることがあります。このプレーヤーもクランパーが動いていないので、おそらくそれが原因だったのでしょう。センサーの接点を磨いて、モーターの位置を調整して、スムーズに動くようにしたところ、トレイは開閉するようになりました。

 

ピックアップレンズは、本体内に落ちていたので、回収してアロンアルフアで再固定。

 

ディスクをセットして確認したところ、正常に認識・再生するようになりました。

 

さて、久々にPD-5000の音を楽しみましょうと、アンプにつないでボリュームを上げましたが、うんともすんとも鳴りません(^-^;

 

デジタル端子の出力を確認したところ、音は正常に出ています。アナログ回路になんらかの故障があるようです(*´Д`)

 

以前、PD-5000で音が出ないという修理をしましたが、その時はアナログ用のトランスが破損していて、トランスを交換して正常に音が出るようになりましたが、今回はどうもそうではないような気がします。

 

何故なら、アナログ出力モードの時は、再生が始まるとアナログ基板上のリレーが作動することによって出力ができるようになりますが、そのリレー音がありません。

 

つまり、リレーが作動しないためにアナログ端子からの出力がないのです。

 

では、何故リレーが作動しないのかですが、ようは、12V の電圧がリレーに印可されていないからなのです。だから、何故12Vが印可されていないの?(^-^;

 

 

リレーは、アナログ基板上にLRチャンネルにそれぞれ2個搭載されています。上記の写真は、リレーの不良を考慮して念のために交換していますが、リレーの不良ではありませんでした。白と赤のコネクターがリレーを作動させるためにコントロール基板からの信号を伝えています。

 

これは、コントロール基板の白と赤のコネクターが引き出されている部分です。サービスマニュアルを見ると、リレードライバー回路のようです。

 

正確には、OUTPUT MUTING RELAY DRIVERというようです。

 

2SC3581のトランジスタのコレクタ端子から-11.7Vが白のコネクタに、0Vが赤のコネクタに印可されているようです。

 

デジタル出力とアナログ出力の切り替えるための回路です。

 

で、それぞれのコレクタ端子の電圧を測定しましたが、既定の数値は出ていません。エミッタとベースはマニュアル通りの電圧が測定できましたので、おそらく経年劣化か、何らかの負荷のよって、この2SC3581が破損してしまったのでしょう。原因は、このトランジスタの不具合であると判断。取り外したトランジスタの足は、茶色く変色していたので、おそらく負荷が原因でしょうかね。

 

幸い、在庫がありましたので、さっそく交換。

 

組み戻して動作確認したところ、正常にリレーが作動して、アナログ端子から出力されるようになりました\(^o^)/

 

PD-3000も同じように左右2個づつのリレーが搭載されていて、同じようにデジタル出力とアナログ出力を切り替えるような回路になっていますので、同じような症状が起きることがあります。

 

LRチャンネルのアナログ出力がない場合、まずリレーが作動しているか確認をして、作動してない場合は。リレードライバーのトランジスタの不具合の可能性が高いです。

 

どちらか一方の出力がない場合は、アナログ回路の電源部の保護素子が破損している可能性が高いので、まずは保護素子のチェックをしてみましょう。

 

これくらい古くなると、トランジスタの不具合の発生確率は高くなるかもしれません。アンプと違って、大きな電力を扱っているわけではないので、トランジスタやICに負荷がかかることはないと思いますが、とはいえ経年劣化は避けられず。また不良部品が取り付けられている可能性もあり、それによって何らかの負荷がかかり破損することはあるでしょう。

 

これからは、サービスマニュアルとにらめっこすることが増えそうです。

 

 

 

 

 

 

 

XL-Z999の画像

1997年にVictorから発売された XL-Z999  550,000円

 

この年のFMfanダイナミック大賞のCDプレーヤー部門の大賞に選出されています。デジタル回路にビクター独自の20bitK2プロセシングを搭載しており、20bitの再生技術をスタジオマスターの音で磨き上げることで優れた表現力を獲得しているとのこと。
CDトランスポートとしての使用が可能のようです。

 

一応読み込みができるというジャンク品を入手。本人がジャンクといっている限り、何らかの不具合があるのだろうと予感はしていましたが、悪い予感というものは得てして当たるものです。

 

さっそく、動作確認。確かに読み込みは出来ましたが、再生はしません。本人の記載は間違ってはいませんが、再生ができないという代物。読み込みができるからといって、必ずしも再生できるとは限りません。それがデジタル機器の泣き所。

 

少なくともピックアップは死んではいないようです。このプレーヤーは、クランパーの有無を検知するセンサーがあります。クランパーがないとERR表示が出ます。ただ、クランパーがあっても、センサーが壊れていると、ディスクを認識しなくなります。

そのセンサーの信号は、フロントパネルに送られていきます。左右の白いコネクターのところに、そのセンサーのコードが接続されています。

 

以前、XL-Z900を修理した際に、それまで再生できていたのに、突然再生できなくなったということがあり、その時にフロント基板の小型コンデンサーを交換して、正常に再生するようになったことがあります。写真の50V4.7μFのコンデンサーが液漏れで悪さをしていたようです。

 

今回も、とりあえず全ての小型コンデンサーを交換。

 

動作確認をしましたが、やはり再生しません(^-^; 今回は別のところに問題があるようです。

 

次に、サーボ基板上のコンデンサーを確認します。同じように、小型コンデンサーが多数搭載されているので、これらの状態をチェックします。

 

同じく50V4.7μFがあり、足元を見ると完全に液漏れを起こしていて、足が腐食していました。とりあえず、全ての小型コンデンサーを交換。

 

せっかくなので、ピックアップを駆動しているベルトも交換しておきましょう。意外とゆるゆるになっているので、近い将来音飛びなどが発生するかもしれません。ベルトのサイズは、φ25㎜ 1.2㎜角のベルトを使用しました。

 

ベルト交換の際、プーリー側の軸を固定しているシャフトを外側に引き抜くとベルトを外すことが出来ます。引き抜く前に、ピックアップを外しておかないと、シャフトは外側に移動しないので、事前にピックアップは外しておきます。

 

逆手順で、組み戻して動作確認!

 

無事、再生することが出来るようになりました\(^o^)/

読み込みできても再生できなければ意味がありません。4.7μFのコンデンサーが何をしているのかは不明ですが、少なくともこいつに何らかの負担がかかって、再生動作が出来なかったことは確かです。

 

やれやれと思いつつ、もう一つの不具合を直します。不具合というほどのことではないですが、少し気になることが・・・

 

それは、ガラストップの開き具合が今一つしっかり開きません。とりあえず、ベルトを交換しましたが、やはり途中で止まってしまいます。ディスクのセットは出来なくはありませんので、このまま使用しても問題はありませんが、何か気になります。

 

手動でプーリーを回転させるとしっかり60度くらいまで開きますが、開閉ボタンだと45度くらいのところで止まってしまいます。

ガラストップの開閉を制御しているセンサーは、プーリーと同じ側の左側にあります。4個のセンサーで開閉をコントロールしていますが、それぞれのセンサーの役割は、外側のセンサーは、開閉の速度をゆっくりにするセンサーで、内側のセンサーはモーターの回転を停止させるセンサーになっています。

 

動作を良くよく観察すると、開く速度を遅くするセンサーが働くとすぐに止まってしまうことが分かりました。45度の位置でピタッと止まってしまいます。

 

もしかして、内側のセンサーと外側のセンサーの位置が間違えていない??

 

そう疑った訳は、一度外側のセンサーを外して動作確認をした際に、しっかり60度開いたのですが、モーターの回転が止まりませんでした。ということは、外側のセンサーがモーターの回転を停止させる役割のセンサーで、内側のセンサーが開く速度を遅くする役割のセンサーではないかと気づきました。

 

そこで、内側と外側のセンサーを入れ替え見たところ、正常に60度に開き、モーターも正常に回転が止まりました。

 

上記の写真は、入れ替えた後の写真です。緑と白のコードのセンサーが外側に来ていなければならなかったのが、何故か内側に取り付けられていました。

 

製造段階で間違えて取り付けられていて、前のオーナーもそういうものと思って使用し続けていたのか、誰かが分解して修理した際に、逆に取り付けてしまったのかは分かりませんが、いずれにしても開き方が中途半端だったので、違和感を感じたことは確かで、45度くらいの開き具合でも使用できないことはないのですが、ちょっとセットしずらいので、もっと開いたほうが良いよねって感じると思います。

 

過去にXL-Z900とXL-Z999EXを使ったことがあり、ガラストップの開き具合の感覚を知っていたので、違和感を感じることが出来たのだと思います。仮に製造段階で間違って取り付けられていたとしても、それが初めてのプレーヤーであれば、そういうものと思って使用し続けてしまうでしょうね。

 

音は、メリハリがあり、表現力も豊かで、優れたプレーヤーであることは間違いありません。それだけに、ガラストップの開き方が中途半端なのはいただけませんね。

 

 

 

 

 

CDP-R1aの画像

1989年にSONYから発売された CDP-R1A    300,000円

 

CDP-R1の後継モデルですが、DACは全く異なり、ピックアップメカも全く異なるので、後継機というよりも全く別物です。

 

これが、CDP-R1Aの内部。CDP-R1はトランスが2個でしたが、R1Aは、1個に統一されています。デジタル基板も半分のサイズに小さくなっています。

 

ちなみに、R1の内部は下の写真のとおり。

ピックアップメカは、CDP-X7ESDや557ESDと同じメカです。R1の方がお金がかかっている気がしますが、気のせいでしょうか(^-^;

 

R1Aのピックアップメカは、R3と同じメカを搭載しています。777シリーズも同じメカを搭載してます。

 

トレイの開閉が遅くなったとのことで、修理の依頼がありました。

 

メカの構造は、R3と同じで、上面を覆っているクランパーのユニットを外して、左右4か所のネジを外すと、メカは取り外すことが出来ます。

 

これが、トレイを取り除いた後のピックアップメカです。見覚えのあるメカですね。ピックアップは、KSS-151Aになります。比較的多くのプレーヤーに搭載されているので、再生されなくなったら、ピックアップの調達は楽かもしれません。

 

手前にあるベルトを交換して、修理は完了です。R1はベルトが2本とお決まりのプーリーの固着やチャッキングアームのギア類の固着があり修理は面倒ですが、R1Aはベルト交換のみでOK。せっかくなので、より開閉をスムーズにするために、トレイレールを研磨して、注油をして動きを滑らかにします。トレイの摺動部もしっかり磨いてツルツルに仕上げます。なにせ、ベルト1本で駆動しているので、少しの抵抗でも開閉が渋くなります。

 

ちなみに、これは、CDP-R3の内部。右側にアナログ回路があります。1階部分にデジタル回路があり、2階建ての構造になっています。CDP-R1AとDAS-R1Aを一体化したモデルという謳い文句でしたが、まさにその通りです。

 

私は、個人的にCDP-R1の方が好みです。

 

 

 

 

GT-CD2の画像

1992年にYAMAHAから発売された GT-CD2   350,000円

 

以前掲載したGT-CD2の修理記事を見た方からの修理依頼がありました。

 

久しぶりにCDを聞いて、CD早送りなどしていると急に再生が出来なくなり、ガラストレイがリモコンと本体ボタンでも開かなくなったとのこと。

 

トレイが開かなくなるのは、一般的にベルトの劣化ですが、どうも今回の不具合はそうではなさそうです。

 

開腹して、ベルトを確認しましたが、ベルトは劣化していません。となると、コントロール基板の問題か電源基板の問題か・・・です。

 

とりあえず、コントロール基板を外します。

 

このモデルは、底板を外すことで内部にアプローチができます。基板はオーディオ基板とコントロール基板の2階建てで、底板を外すと直ぐにオーディオ基板があるので、それを外すとコントロール基板が見えてきます。

 

サーボ回路もあり、デジタル関連の処理をしています。

 

一見、何の問題もなさそうですが、突然再生が出来なくなったということは、ヒューズ関連をまず疑います。

 

コントロール基板用の電源部にヒューズ抵抗が一つありますが、これは正常でした。

 

これは、モーターに電源を供給している電源部でしょうか。赤丸はヒューズ抵抗で、2個取り付けられています。上部には、電源用トランジスタでしょうか、2SB1185と2SD1985です。

 

このヒューズ抵抗の一つが断線してました。おそらく、久々に電源を入れたので、一瞬モーターに過電流が流れてしまったのでしょう。モーター保護のために、このようなヒューズ抵抗や保護素子が取り付けられているプレーヤーは多くあります。

 

ヒューズ抵抗は、1.5Ωですので、手元にあった2Ωのものに交換。トランジスタも何らかの不具合があるといけないので、交換します。オリジナルのトランジスタはすでに廃盤になっていたので、2SB1185→2SB1094、2SD1985→2SD1585の互換品に交換。

 

動作確認をしたところ、正常にトレイは開閉することが出来ました。再生も正常でピックアップはまだ元気なようです。

 

最近は、このプレーヤーのように、単純なベルトの劣化というのは少なくなってきました。負荷のかかる電源周辺のトラブルが多くなり、トランジスタやレギュレターの劣化、場合によってはICや水晶発振器などの不具合も発生しています。

 

段々、手に負えなくなりつつあるのが、心配ですが・・・(^-^;

 

 

 

 

 

CDP-R1の画像

1988年にSONYから発売された CDP-R1    300,000円

 

言わずと知れたセパレートタイプのCDプレーヤ。銘機中の銘機。プレイヤーからD/A変換部への信号伝送の過程で生じるクロックの乱れを解消するため、独自の「ツインリンク方式」を開発・採用しています。

 

また、D/AコンバーターのDAS-R1は、フィリップスの銘DACである TDA1541Aの最高グレードであるS1グレードを搭載しています。

 

私が入手したいプレーヤーの筆頭に挙げられるプレーヤーです。

 

トレイが開閉しないということで修理依頼がありました。一度弄ってみたかったので、ワクワクしながら修理を始めました。

 

さっそく開腹。

左上のトランスがアンプ並みのサイズ。ピックアップメカは、CDP-557ESDと同じメカを搭載。ピックアップは、KSS-190A。

 

トレイが開閉しないというのは、この時代のソニーの定番であるギアとプーリーの固着でしょう。

 

ピックアップメカを取り出します。

まさに、557ESDやX7ESDと同じメカ。

 

ひっくり返します。

お馴染みのユニットがお目見え。

 

サクサクっとプーリーとギアの古いグリスを除去して、ベルトを交換します。

 

クランパーのギア類も古いグリスを除去して、セラミックグリスを塗布します。

 

最近は、トレイレールをコンパウンドで綺麗に磨き上げます。どうしてもレールの表面が酸化してしまうので、いくらオイルを塗布しても酸化した部分がミクロ単位で厚みが増しているので、それが障害になり、ベルトを交換してもスムーズに開閉し何ことがあります。

 

コンパウンドで酸化被膜を綺麗の除去すると、見違えるようにスムーズに開閉するようになります。

 

さっそく組み戻して、動作確認。

 

トレイの開閉は、とてもスムーズになりました。

 

ディスクをセットして、トレイを閉じます。

 

・・・・・???(^-^;

 

ディスクを認識しません。もしかして、ピックアップが逝っちゃっているのでしょうか。サーボを調整してみましたが、変わらず。ピックアップのレーザ出力を調整しても変わらず・・・(*´Д`)

 

基板の半田を確認して、所々クラックがあったので、半田修正をしましたが、変わらず。

 

完全にピックアップが逝ってしまっている感じですが、ディスクが一切回転しないので、ピックアップが逝っているというよりも、制御系のトラブルのようにも感じられます。

 

要は、トレイが閉じて、ディスクの有無をチェックできていないために、ディスクが回転しないので、結果的に認識しないような気がします。

 

で、いろいろネットで調べたところ、どうもコントロール基板上の水晶発振器のトラブルがあるとの情報をキャッチ。

 

写真中央にある銀色の正方形のパーツがそれです。16.9344MHzの水晶発振器。

 

発振器が壊れるということは滅多にないと思いますが、どうもこいつが壊れていてると、制御系の信号が正常に送信できなくなるので、機能不全に陥るようです。

 

デジタルというのは、水晶発振器から発振されている周波数に基づいて、そのタイミングで信号のやり取りをしています。なので、その発振されている周波数が適正に発振されなければ、当然ですが動きません。

 

オリジナルの発振器はないので、同じ性能の発振器が三田電波さんで手に入れることが出来ました。

 

上記の発振器が三田電波製の発振器です。

 

さっそく動作確認!!

 

おお~!!何事もなかったかのように、ディスクを認識して再生することが出来るようになりました!!\(^o^)/

 

最近、様々なメーカーのプレーヤーを修理していると、もしかして水晶発振器が不具合を起こしている??と思われる現象が、多々遭遇します。

 

単にピックアップの問題やサーボの狂い、コンデンサーの問題だけでなく、デジタル機器の根本的な機能を担っている水晶発振器のトラブルがあるということを、今回の修理を通じて知ることが出来、良い経験となりました。

 

今後は、水晶発振器の不具合の可能性を視野に入れて、不具合の原因を調査をしたいと思います。

 

 

 

 

 

CD-94Limitedの画像

1987年にMARANTZから発売された CD-94Limited   160,000円

 

Limitedと付いていますが、CD-94のゴールドモデルという意味のようです。

 

ピックアップメカは、フィリップス製のCDM-1をチューンアップして搭載しています。DACは、同じくフィリップス製のTDA1541Aを搭載。フィリップスの黄金の組み合わせ。

 

残念ながら当時はあまり評価されていなかったようですが、その後のMARANTZのプレーヤーの躍進の基礎になる技術の詰まった名機であることは確かです。

 

トレイが開閉しないというジャンク品を入手。

 

さっそく開腹。

この時代は、ピックアップメカはがっちりと作られています、なんといってもアルミダイキャスト製。全体を支えているベースもアルミダイキャスト製。今では考えられないような剛性を誇っています。当然、費用も掛かっています。これで、16万円なのですから、信じられません。

 

クランパーを駆動しているプーリーを見ると、ベルトが溶けて断線しています。トレイベルトも溶けて断線しているでしょう。

 

メカを外します。メカは、トレイを引き出すと四隅をネジで固定されているので、簡単に外せます。メカを外す前にトレイのフロントパネルを外しておきます。コードはサーボ基板から伸びてコントロール基板上の1か所のコネクターで接続されているだけなので、それを外しておきます。

 

これが外したメカ。80年代までは、クランパーが上からディスクを押し付けつつ、トレイ面が沈み込んで、ディスクをターンテーブルにチャッキングする構造でした。

 

ひっくり返して、トレイレールの下部を見るとトレイを駆動しているモーターとプーリーが見えます。この時代の上位モデルは、ワイヤーでトレイの開閉を駆動していました。ベルトは2本。モーターから一旦左側のプーリーを回して、そのプーリーの回転を右端のプーリーに伝えて、ワイヤを駆動させます。

 

モーターから左のプーリーは、φ35㎜のベルト、左のプーリーから右端のプーリーはφ45㎜のベルトを使用しました。φ45㎜だとちょっときつめですが、φ50㎜だと滑って開かないことがあるので、きつめが良いかもしれません。

 

右端のプーリーにベルトを掛けるときは、赤矢印のクリップを外し、プーリーを抜く必要があります。このプーリーにはワイヤーが3回転巻いてあるので、慎重に外さないと、巻いてあるワイヤーがバラけてしまい、再度巻くのが面倒です。

 

次に、クランパーを昇降させているプーリーのベルト装着です。これも径の大きい外側のプーリを外さないとモーター側のベルトを掛けることが出来ません。外側のプーリーは、クランパーの上下動作とトレイ面の上下動作を連動させつつ、センサーのオンオフを担っているので、位相を間違えると、トレイの開閉とクランパーの上下動作がかみ合わずに、正常にトレイの開閉とディスクのクランプが出来ません。

 

何度かトライアンドエラーを繰り返して、正常に機能するように組み上げました。

 

さっそく、動作確認。

 

トレイの開閉は正常に機能するようになりました。ディスクも正常に認識して、再生しています。まだ、ピックアップは元気なようです。

 

TDA1541Aの音は好きなので、どんな音を聴かせてくれるのか楽しみです(^^♪

 

さっそく、アンプにつないで、プレイボタンを押します。

 

ん???(;´・ω・)

 

音が出ません(^▽^;)

 

デジタル出力を試したところ、正常に音が出ました。アナログ出力が死んでいます。

 

左右とも全く音が出ていません。アンプのボリュームを上げても、全く無音(^-^;

 

少なくともDAC以前の問題です。色々調べてみて、あちらこちらに半田クラックがあったので、一つ一つ再半田をしましたが、症状が変わらず(*´Д`)

 

で、サイドパネルにへばりついている基板があります。これは、デジタルフィルター回路です。一旦、この基板を外して、裏面を確認するとあちらこちらに半田クラックがあり、再半田をしましたが、やはり音が出ません( ゚Д゚)

 

赤丸のコネクタの半田部分を確認すると、気持ちクラックがあるでしょうか。老眼でぼやけてしまうのではっきりと確認できませんが、念のために再半田を施します。

 

これで、音が出なかったらお手上げです。

アンプにつないで、恐る恐るプレイボタンを押します。

 

おお~、音が出ました!!♪(^^♪

 

最終的には、コネクター部分の半田クラックが原因だったようです。既に製造から37年が経過しているので、前のオーナーの使用環境にもよりますが、どうしても半田が劣化してあちこちクラックが発生してしまうのは否めません。

 

とりえあず、半田クラックだけで済んだので、良かったです。

 

音は、THE フィリップスサウンドそのものですね。デジタル臭さがなく、アナログチックで、落ち着いた音が素敵です。

 

せっかくなので、アナログ基板周辺のコンデンサーを交換してさらにブラッシュアップを図ります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

GENKIの画像

1999年にLINNから発売された GENKI  250,000円

 

スコットランドのオーディオメーカーのLINNですが、非常にシンプルで洗練されたデザインが人気。DACはバーブラン性のPCM1732。

 

トレイの開閉は正常だが、ディスクを認識しないということで、修理依頼がありました。

 

さっそく開腹。

 

基板1枚とピックアップユニットというシンプルな構成。重量は、3.3kgと、とても軽量。制振性能は大丈夫かと思われるほど、軽量です。日本のメーカーのエントリモデル並み。

 

ピックアップは、SANYO製SF-P101N。

 

トレイベルトは、トレイを開いたイ状態にすると、下部に見えます。

トレイベルトは、劣化してゆるゆるな状態。おそらく、トレイの開閉はできるけれども、ピックアップメカを昇降させるだけの駆動力を伝えることが出来ず、結果的にディスクを読み込むことが出来なかったのでしょう。

 

トレイの開閉とピックアップメカの昇降が連動している90年代以降のプレーヤーには多い不具合です。トレイが正常に開閉するのに、読み込みができないとなると、ピックアップが劣化してしまったと早合点しがちですが、意外とベルトの劣化だけが原因ということは良くあることです。

 

ベルトは、トレイを開いた状態で交換は可能です。

 

とりあえず、ピックアップレンズを清掃して、ピックアップレールに注油。

 

動作確認をしたところ、正常にディスクを読み込み、再生するようになりました。

 

このGENKIには、上位モデルがあり、IKEMIといい、600,000円もします。

 

GENKIといい、IKEMIといい、なんとなく日本語の響きに似ていて、親近感がわきます。

 

日本のメーカーのように複雑な構造と回路ではありませんが、デザイン同様シンプルで洗練された回路からは、透明感があり、臨場感も豊かな音を聴かせてくれます。シンプルな回路からは想像もできない豊かな音を聴かせてくれるのは、これこそヨーロッパのメーカーの特徴か!と感じました。

 

 

 

 

 

CD-α907の画像

1986年にSANSUIから発売された CD-α907  150,000円

 

この年の第2回FMfanダイナミック大賞のCDプレーヤー部門に選出されています。ピックアップ部にはオリジナルの3ビーム方式ピックアップを採用しているようです。SANSUIの技術力の高さを感じます。ブラックピアノ仕上げのフロントパネルも光ります。

 

本当に惜しいメーカーを亡くしました・・・・(-_-;)

 

トレイが開閉しないということで、修理依頼がありました。

 

さっそく開腹。

 

強力な電源部は、流石アンプのメーカーだけに充実しています。後方にある縦に並んでいる基板は全てアンプ基板になります。RCA端子とXLR端子のLR毎に一枚のアンプ基板という拘りよう。これで、たったの15万円!!採算度外視過ぎ・・・(^▽^;)

 

これがピックアップメカ。一見普通ですが、ベースは銅製です。金が掛かっていますね。トレイは、左右のネジを4個外すと固定しているプレートが取れるので、トレイも一緒に外れます。

 

見事にベルトが切れいています。これでは、トレイは出てきませんね(^^;)

 

ベルトを交換して、ついでなので、メカのメンテナンスも実施。ピックアップレンズもきれいに磨きます。

 

ターンテーブルを駆動しているのはBSLモーターです。拘りようが半端ないですね。しかし、銅製のピックアップベースが眩いです。

 

組み戻して、動作確認。

 

正常にトレイは開閉して、ディスクの読み込みも正常、再生も問題はありません。

 

全ての電解コンデンサーを交換して、修理完了です。

 

80年代のプレーヤーは、アナログチックな音を聴かせてくれるので好きです。DACは、YAMAHAのプレーヤーに搭載されていたPCM56Pなので、メリハリがあり、はっきりとした輪郭が特徴でしょうか。同じ年代のSONY CDP-555ESDよりは、硬い印象があります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2001年にSONYから発売された SCD-XA777ES  310,000円

 

SCD-777ESの後継モデル。777ESは、SACDがマルチチャンネル非対応でしたが、このモデルはSACDがマルチチャンネルに対応しているようです。SA-DACを6個搭載しており、ステレオ2ch再生時は各チャンネル3個ずつのSA-DACを使用した贅沢な構成のようです。

 

SACDもCDも再生しなくなったということで、修理依頼がありました。SACDは、ピックアップのレーザー出力が高いので、劣化が早いのは否めません。

 

さっそく開腹。

SCD-777ESとは全く異なる構造。XAが付いているということで、構造手的には、CDP-XA7ESと似ています。トランスは、ソニーの伝統Rコアトランスを2個搭載。シールドケース内に収められていないのは、ちょっと残念。

 

マルチチャンネル用のオーディオ基板が縦に3列並んでいます。

 

ピックアップメカの上にあるサーボ基板を取り外すとピックアップが見えてきます。

見覚えのあるピックアップです。DENONのSACDプレーヤーに搭載されているソニー製のKHM-230AAA。まだ、新品は入手できますが、なかなかまともなピックアップが入手できないのが、玉に瑕。

 

一応、ピックアップを交換しても再生できないかもしれないと本人に伝えてありますので、良さげなピックアップを入手して交換してみました。

 

ピックアップメカを取り外して、ピックアップを交換。ピックアップメカのベースは、かつてのCDP-777シリーズと似ています。ピックアップのマウントはセラミック製ではなく、プラスチック製なのが、安っぽくてちょっと残念。

 

逆手順で組み戻して、動作確認。

 

れれれれ、やはり再生しません。。。( ;∀;)

 

こいつが、KHM-230AAA。いろいろネットで情報を検索すると、ポン付けでは再生が出来ないことが多いようです。左の半固定抵抗を時計回りにほんの少し1㎜程度回します。

 

再度、動作確認!!

 

SACDが再生することが出来ました(*´∀`*)

CDも問題はありません。CD-Rもちゃんと再生するようになりました。

 

このピックアップは、新品時は基板の右下にあるショートランドを除去する必要があります。これを忘れると、当然ですがうんともすんとも言いません。

 

ピックアップメカは安っぽいですが、使用されている電解コンデンサーは、流石にオーディオ用のハイグレードのものでした。見ごたえありますね。

 

音は、デジタル臭さがなく、すっきりした音でしょうか。ソニー独特のきらきら感はあまり感じません。

 

どうしてもSACDの音が好きになれないのは、耳が衰えている証拠でしょうかね・・・(^-^;

昨年末に立て続けにDENON DCD-3500GとDCD-3500RGの修理依頼がありました。症状は、いずれも音飛び。

 

一般的にCDプレーヤーの音飛びは、アナログサーボ時代の90年以前のモデルであれば、サーボの調整で直る場合があります。90年代以降のデジタルサーボ時代の場合は、ピックアップにレーザー出力の調整用抵抗があれば、それを調整することで改善することがあります。

 

このDCD-3500シリーズの場合は、アナログサーボなのでサーボの調整で改善するケースです。サーボ調整で改善しない場合は、RF基板のコンデンサーを交換すると改善する場合がありますが、それでも改善しない場合は、RFアンプICのCXA1081が不具合であることが一度だけあり、ICの交換で改善したことがあります。

 

さて、今回もサーボの調整から始まり、RF基板のコンデンサーの交換をしても改善せず。

 

そうなると、最終的にピックアップの劣化を疑い、ピックアップの交換ということになります。このモデルは、KSS-151Aという、当時多くのプレーヤーに搭載されていた、リニア駆動の非常に優れたピックアップです。多くのプレーヤーに搭載されていたので、中古品を入手するのはそれほど手間はかかりません。

 

一番手軽なのは、DCD-1600かDCD-1610の動作品もしくはジャンク品を入手することでしょう。基本的に同じメーカーから移植する方ばベターです。他のメーカーの場合は、多少設定が異なるようで、過去に異なるメーカーからの移植で動作しなかったことがありました。

 

今回もDCD-1600を入手して、正常に再生できていることを確認して移植をしました。

 

これで、音飛びは改善して一件落着!(^_^)v

 

と思いきや・・・・(^▽^;)

 

音飛びは、一向に改善しません・・・・・( ;∀;)

 

WHY???

 

よくよく動作を観察すると、ディスクの回転音がやや大きい。時折、キュルキュルと異音がします。この音は、DCD-3500シリーズで比較的起こる現象です。

 

そこで、ターンテーブルの軸に注油してみます。おそらく、軸の回転がスムーズではないのでしょう。注油したことで、多少異音は少なくなりましたが、音飛びは一向に改善しません。

 

そこで、BSLモーターをばらして、確認。

 

BSLモーターの基板を外すとターンテーブルのマグネットが見えてきます。中心部にはグリスが塗布されていて、それが多少固まっている場合があるので、全てきれいに除去して新しいセラミックグリスを塗布します。

 

それだけでは、改善しません。

 

さらに分解して、ターンテーブルとマグネットと軸受けのベースをばらします。

 

軸をピカールで磨いて、軸受けの内部を同じようにピカールでゴシゴシ磨きます。さらに、注油をして軸がスムーズに回転するように何度も何度も磨いては注油を繰り返し、これでもか!!というくらいスムーズになるようにして、動作確認。

 

ディスクの回転時の異音はなくなり、なんということでしょう!!

音飛びがなくなりました(*´∀`*)

 

つまり、軸の回転がスムーズでなくなっていたために回転にムラがあり、そのムラの部分で音飛びが発生していたようです。

 

特に回転数が高い1,2曲目は激しく音飛びをしていました。不思議と曲数が進むと音飛びはしなくなるという特徴があります。常に音飛びするわけではないのです。そういう特徴の音飛びの場合は、このターンテーブルの軸の回転がスムーズではなくなっているため正常な回転数が得られずに音飛びしていると思われます。その前兆現象として、ディスクの回転時の回転音が大きくなり、ついにキュルキュルと音がするようのなれば、ほぼ末期症状だと思われます。スピンドルモーターと違ってBSLモーターの場合は、少しの抵抗でも回転数の制御が狂ってしまうので、音飛びはしやすいのでしょう。

 

BSLモーターは回転がスムーズなのが特徴で、それが音質のプラスになるということでハイエイドのプレーヤーに搭載されていましたが、やはり経年劣化には贖えず、却ってそれが不具合の原因になっていることが、ここ数年多く見受けられるようになっています。

 

非常に残念ですが、精巧に作られているだけに、ちょっとしたことで不具合が出てしまうのは、致し方ないですね。幸い、DCD-3500シリーズのピックアップメカは全て共通なので、使いまわすことが出来、ピックアップの入手も容易なので、まだまだ修理をしつつ使い続けることが出来るでしょう。