CD-94Limitedの画像

1987年にMARANTZから発売された CD-94Limited   160,000円

 

Limitedと付いていますが、CD-94のゴールドモデルという意味のようです。

 

ピックアップメカは、フィリップス製のCDM-1をチューンアップして搭載しています。DACは、同じくフィリップス製のTDA1541Aを搭載。フィリップスの黄金の組み合わせ。

 

残念ながら当時はあまり評価されていなかったようですが、その後のMARANTZのプレーヤーの躍進の基礎になる技術の詰まった名機であることは確かです。

 

トレイが開閉しないというジャンク品を入手。

 

さっそく開腹。

この時代は、ピックアップメカはがっちりと作られています、なんといってもアルミダイキャスト製。全体を支えているベースもアルミダイキャスト製。今では考えられないような剛性を誇っています。当然、費用も掛かっています。これで、16万円なのですから、信じられません。

 

クランパーを駆動しているプーリーを見ると、ベルトが溶けて断線しています。トレイベルトも溶けて断線しているでしょう。

 

メカを外します。メカは、トレイを引き出すと四隅をネジで固定されているので、簡単に外せます。メカを外す前にトレイのフロントパネルを外しておきます。コードはサーボ基板から伸びてコントロール基板上の1か所のコネクターで接続されているだけなので、それを外しておきます。

 

これが外したメカ。80年代までは、クランパーが上からディスクを押し付けつつ、トレイ面が沈み込んで、ディスクをターンテーブルにチャッキングする構造でした。

 

ひっくり返して、トレイレールの下部を見るとトレイを駆動しているモーターとプーリーが見えます。この時代の上位モデルは、ワイヤーでトレイの開閉を駆動していました。ベルトは2本。モーターから一旦左側のプーリーを回して、そのプーリーの回転を右端のプーリーに伝えて、ワイヤを駆動させます。

 

モーターから左のプーリーは、φ35㎜のベルト、左のプーリーから右端のプーリーはφ45㎜のベルトを使用しました。φ45㎜だとちょっときつめですが、φ50㎜だと滑って開かないことがあるので、きつめが良いかもしれません。

 

右端のプーリーにベルトを掛けるときは、赤矢印のクリップを外し、プーリーを抜く必要があります。このプーリーにはワイヤーが3回転巻いてあるので、慎重に外さないと、巻いてあるワイヤーがバラけてしまい、再度巻くのが面倒です。

 

次に、クランパーを昇降させているプーリーのベルト装着です。これも径の大きい外側のプーリを外さないとモーター側のベルトを掛けることが出来ません。外側のプーリーは、クランパーの上下動作とトレイ面の上下動作を連動させつつ、センサーのオンオフを担っているので、位相を間違えると、トレイの開閉とクランパーの上下動作がかみ合わずに、正常にトレイの開閉とディスクのクランプが出来ません。

 

何度かトライアンドエラーを繰り返して、正常に機能するように組み上げました。

 

さっそく、動作確認。

 

トレイの開閉は正常に機能するようになりました。ディスクも正常に認識して、再生しています。まだ、ピックアップは元気なようです。

 

TDA1541Aの音は好きなので、どんな音を聴かせてくれるのか楽しみです(^^♪

 

さっそく、アンプにつないで、プレイボタンを押します。

 

ん???(;´・ω・)

 

音が出ません(^▽^;)

 

デジタル出力を試したところ、正常に音が出ました。アナログ出力が死んでいます。

 

左右とも全く音が出ていません。アンプのボリュームを上げても、全く無音(^-^;

 

少なくともDAC以前の問題です。色々調べてみて、あちらこちらに半田クラックがあったので、一つ一つ再半田をしましたが、症状が変わらず(*´Д`)

 

で、サイドパネルにへばりついている基板があります。これは、デジタルフィルター回路です。一旦、この基板を外して、裏面を確認するとあちらこちらに半田クラックがあり、再半田をしましたが、やはり音が出ません( ゚Д゚)

 

赤丸のコネクタの半田部分を確認すると、気持ちクラックがあるでしょうか。老眼でぼやけてしまうのではっきりと確認できませんが、念のために再半田を施します。

 

これで、音が出なかったらお手上げです。

アンプにつないで、恐る恐るプレイボタンを押します。

 

おお~、音が出ました!!♪(^^♪

 

最終的には、コネクター部分の半田クラックが原因だったようです。既に製造から37年が経過しているので、前のオーナーの使用環境にもよりますが、どうしても半田が劣化してあちこちクラックが発生してしまうのは否めません。

 

とりえあず、半田クラックだけで済んだので、良かったです。

 

音は、THE フィリップスサウンドそのものですね。デジタル臭さがなく、アナログチックで、落ち着いた音が素敵です。

 

せっかくなので、アナログ基板周辺のコンデンサーを交換してさらにブラッシュアップを図ります。