昨年末に立て続けにDENON DCD-3500GとDCD-3500RGの修理依頼がありました。症状は、いずれも音飛び。

 

一般的にCDプレーヤーの音飛びは、アナログサーボ時代の90年以前のモデルであれば、サーボの調整で直る場合があります。90年代以降のデジタルサーボ時代の場合は、ピックアップにレーザー出力の調整用抵抗があれば、それを調整することで改善することがあります。

 

このDCD-3500シリーズの場合は、アナログサーボなのでサーボの調整で改善するケースです。サーボ調整で改善しない場合は、RF基板のコンデンサーを交換すると改善する場合がありますが、それでも改善しない場合は、RFアンプICのCXA1081が不具合であることが一度だけあり、ICの交換で改善したことがあります。

 

さて、今回もサーボの調整から始まり、RF基板のコンデンサーの交換をしても改善せず。

 

そうなると、最終的にピックアップの劣化を疑い、ピックアップの交換ということになります。このモデルは、KSS-151Aという、当時多くのプレーヤーに搭載されていた、リニア駆動の非常に優れたピックアップです。多くのプレーヤーに搭載されていたので、中古品を入手するのはそれほど手間はかかりません。

 

一番手軽なのは、DCD-1600かDCD-1610の動作品もしくはジャンク品を入手することでしょう。基本的に同じメーカーから移植する方ばベターです。他のメーカーの場合は、多少設定が異なるようで、過去に異なるメーカーからの移植で動作しなかったことがありました。

 

今回もDCD-1600を入手して、正常に再生できていることを確認して移植をしました。

 

これで、音飛びは改善して一件落着!(^_^)v

 

と思いきや・・・・(^▽^;)

 

音飛びは、一向に改善しません・・・・・( ;∀;)

 

WHY???

 

よくよく動作を観察すると、ディスクの回転音がやや大きい。時折、キュルキュルと異音がします。この音は、DCD-3500シリーズで比較的起こる現象です。

 

そこで、ターンテーブルの軸に注油してみます。おそらく、軸の回転がスムーズではないのでしょう。注油したことで、多少異音は少なくなりましたが、音飛びは一向に改善しません。

 

そこで、BSLモーターをばらして、確認。

 

BSLモーターの基板を外すとターンテーブルのマグネットが見えてきます。中心部にはグリスが塗布されていて、それが多少固まっている場合があるので、全てきれいに除去して新しいセラミックグリスを塗布します。

 

それだけでは、改善しません。

 

さらに分解して、ターンテーブルとマグネットと軸受けのベースをばらします。

 

軸をピカールで磨いて、軸受けの内部を同じようにピカールでゴシゴシ磨きます。さらに、注油をして軸がスムーズに回転するように何度も何度も磨いては注油を繰り返し、これでもか!!というくらいスムーズになるようにして、動作確認。

 

ディスクの回転時の異音はなくなり、なんということでしょう!!

音飛びがなくなりました(*´∀`*)

 

つまり、軸の回転がスムーズでなくなっていたために回転にムラがあり、そのムラの部分で音飛びが発生していたようです。

 

特に回転数が高い1,2曲目は激しく音飛びをしていました。不思議と曲数が進むと音飛びはしなくなるという特徴があります。常に音飛びするわけではないのです。そういう特徴の音飛びの場合は、このターンテーブルの軸の回転がスムーズではなくなっているため正常な回転数が得られずに音飛びしていると思われます。その前兆現象として、ディスクの回転時の回転音が大きくなり、ついにキュルキュルと音がするようのなれば、ほぼ末期症状だと思われます。スピンドルモーターと違ってBSLモーターの場合は、少しの抵抗でも回転数の制御が狂ってしまうので、音飛びはしやすいのでしょう。

 

BSLモーターは回転がスムーズなのが特徴で、それが音質のプラスになるということでハイエイドのプレーヤーに搭載されていましたが、やはり経年劣化には贖えず、却ってそれが不具合の原因になっていることが、ここ数年多く見受けられるようになっています。

 

非常に残念ですが、精巧に作られているだけに、ちょっとしたことで不具合が出てしまうのは、致し方ないですね。幸い、DCD-3500シリーズのピックアップメカは全て共通なので、使いまわすことが出来、ピックアップの入手も容易なので、まだまだ修理をしつつ使い続けることが出来るでしょう。