GT-CD2の画像

1992年にYAMAHAから発売された GT-CD2   350,000円

 

この年の第8回FMfanダイナミック大賞で優秀賞に選出されています。ちなみに、この前のモデルGT-CD1は、大賞に選出されています。

 

GT-CD2は、ヤマハの木工技術を用いた60mm厚パーティクルボードのウッドベースと砲金鋳物製のドライブメカハウジングで構成されています。なので、とにかく重い・・・(^▽^;)

 

以前から気になっていて、是非とも入手したいと思っていましたが、そもそもヤフオクに出品されることが少なく、出品されてもすぐに高額になってしまい、手を出すことが出来ませんした。

 

そんな折、再生が出来なくなったとのことで、修理依頼がありました。CDをセットしてもディスクが高速回転してしまうようです。ピックアップか??

 

これが、GT-CD2の天板部。実にシンプル!!今はやりの言葉で言えば、エモい・・・ちょっと違うか(;^ω^)

 

このプレーヤーは、このウッド部分に一切ネジが見当たりません。どうやって開腹するのか???

 

安心してください。ひっくり返せばいいんです。

 

ということで、ひっくり返して、底板を外します。とにかく、ネジが多い!!( ;∀;)

しかも、インシュレーターも外さなければ、外れない・・・

 

まず最初にお目見えした基板は、電源部とオーディオ部です。GD-CD1もそうですが、とにかく、電源部が強力というのがこのプレーヤーの特徴。

 

さて、再生しない原因はというと・・・・

横から覗くと、なにやらベルトが外れています。これは、ピックアップを駆動しているベルトです。ってことは、ピックアップが動かないためにディスクが再生しなかったのでしょうか。CDプレーヤーの、ある意味故障の最大の原因であるベルトの劣化問題。特にYAMAHAの場合は、ゴムローラーの劣化問題もあり、ほとんどのトレイの開閉トラブルや再生トラブルは、このベルトとローラーの問題といってほぼ間違いありません。

 

電源基板を外して、ベルトを交換します。

デジタル部とコントロール部の基板がお目見え。ベルト自体は、簡単に交換できます。直径35㎜のものに交換。

 

せっかくなので、ピックアップレールを外して、ピックアップレールを磨きます。

かなりべたべたになっていて、ベルト駆動なので再生にはそれほど影響はないかと思いますが、これだけべたべたではベルト駆動といえども、負荷がかかりベルトの劣化の原因になってしまいます。ピカピカに磨いて、ミシンオイルを塗布し、スベスベに動くようにしました。

 

ちなみに、GT-CD1は、ピックアップを駆動しているギアが破損してしまう不具合が多いようで、そのギアを改善したのがGT-CD2のようです。

 

フィリップスやマランツのプレーヤーに多いギアの不具合と同じで、湿度による加水分解による原因なのか、ピックアップレールに塗布されてるグリスの硬化により、ピックアップの動きが悪くなることでギアに負担がかかり破損してしまうのか・・・

 

いずれにしても、ギア駆動のピックアップは、レールにはグリスよりもミシンオイルの方が最適かと思います。

 

これは、ピックアップのコネクター部。ピックアップの型番は、TAOHS-KP2。型番違いのTAOHS-KP1はまだ新品で入手はできますが、コネクタの向きが異なるだけで、基本的は互換性がありますので、ピックアップが劣化しても新品に交換はできます。

 

逆手順で組み戻して、動作確認!

 

無事、ディスクを読み込みできるようになり、再生も問題はありませんでした。スキップもサクサクです。

 

音は、まさにYAMAHAサウンドそのもの。電源部が強力だけに。押し出し感が半端ないですね。一つ一つの音が、しっかりはっきり表現されています。コンデンサーを交換したら、もっとクリアーになるでしょうね。やっぱり、欲しいプレーヤーの一台になりました。

 

 

 

 

 

 

SCD-777ESの画像

1999年にSONYから発売された SCD-777ES  350,000円

 

SCD-1の設計思想を継承して開発されたESシリーズ初のSACDプレイヤー。

初代だからなのでしょうか、このSCD-777ESは2chステレオ専用となっており、SACDのマルチチャンネル再生には対応していなかったようです。

 

SACDもCDも再生しなくなったということで、修理依頼がありました。ほぼ間違いなくピックアップですが、何せ初代のSACDですので、ピックアップも独特です。ピックアップは、たまにヤフオクで出品されていますが、おそらくオリジナルではないでしょう。とはいえ、あるだけまだましかもしれません。

 

さっそく開腹。ステンレス製でしょうか、がっちりしたピックアップベースが眩いです。オーディオ基板上の黒光りするフィルムコンデンサーが、このプレーヤーの音質の高さを象徴しています。

 

ユニットは、四隅のネジを外すと簡単に取れますが、制振用に取り付けてあるゴムブッシュが支柱に固着していて、剥がすのに手間がかかりました。

 

最初は、あまりにも固着していたので、底板に固定されていた支柱ごと外してしまいました(^▽^;)

 

CD用とSACD用のピックアップがそれぞれあります。

 

 

これがヤフオクなどで入手できるピックアップです。型番は、KHS-180Aです。

 

これは、ピックアップが移動するタイプのプレーヤー用でしょう。SCD-777ESは、ピックアップが固定されていて、ターンテーブルが移動するタイプ。CDP-X5000と同じ構造になっています。ソニーのこのプレーヤーに掛ける意気込みが伝わってきますね。

 

このままでは、取り付けることができないので、ピックアップのみを取り外し、交換します。

 

取り付ける向きに気を付けながら、交換をして、逆手順で組み上げて動作確認。

 

OH MY GOD~(*´Д`)

 

SACDは再生することができましたが、CDが再生できません・・・・(^-^;

 

CDが機能していないのか、サーボICの不具合なのか・・・

 

このピックアップは、依頼者ご本人が入手したもので、最初から正常に機能することは当てにはしていなかったようです。せっかく、交換したのですが、残念な結果に終わってしまいました。

 

ご本人は、壊れても絶対に手放さないとおっしゃっているほど、このプレーヤーに惚れ込んでいるようで、死んだら棺桶に入れてもらうとのこと(*´∀`*)

 

SACDは、ピックアップのレーザ出力が高い分、ピックアップの消耗も早いようですし、情報量が多いので、ディスクの回転も速く、その回転を制御しつつ、読み取りの精度を上げるためにICにかなり負担がかかっているようなので、サーボICの不具合も起こりやすいように感じます。

 

今回の修理では、幸いにもSACDは再生することができたので、SACD専用機として生き延びることができました。依頼者の方も納得されていました。

 

これほどのSACDプレーヤーも、二度と製造されることはないでしょうから、大切に使い続けられることを願っています。

 

SL-PS300の画像

1990年にPanasonicから発売された SL-PS300    29,800円

 

Panasonicといえば、MASH1ビットDAC。エントリーモデルながら、しっかりMASHを搭載しています。

 

ディスクを認識しなくなったということで修理依頼がありました。33年前のエントリモデルが今でも稼働しています。日本製の優秀さが光ります。

 

早速、開腹。

THE エントリーモデルです。翌年に39,800円でSL-PS700が発売されますが、それは、FMfanダイナミック大賞で評価されるなど、ビッグヒットを飛ばしました。PS300 は、そのベースとなったモデルでしょう。

 

非常にシンブルな作りです。

 

メカを取り外して、クランパーを取り外すと、トレイが引き上げられますが、レールに固定されているので取り外すことはできません。ただ、これでもベルトは交換できるので、あえてトレイを外す必要はないでしょう。

 

ひっくり返すと、サーボ基板が現れます。PS700もそうですが、このPSシリーズは、このサーボ基板が肝です。

 

サーボ基板を外すと、液漏れのオンパレード。一つ外しましたが、基板が焦げています。大抵、50V1μFと6.3V100μFの小型コンデンサーが液漏れしています。

 

それ以外のコンデンサーも液漏れしているようなので、一緒に交換します。

 

組み戻して、動作確認をしたところ、正常にCDは認識し、再生するようになりました。

 

Panasonicのピックアップは意外と耐久性があるので、ピックアップが劣化して再生できなくなることは少ないような気がします。ほぼほぼ、サーボ基板上のコンデンサーの液漏れが原因で、読み込み再生ができなくなっていると思います。

 

音は、MASHそのものですね。可もなく不可もなく、価格的に仕方がないですが、立体感、臨場感は、うん~って感じです。いたって普通の音ですね。とはいえ、そつのないところは、まさにPanasonicの特徴そのものです。

 

 

 

CD-903の画像

1986年にNECから発売された CD-903   280,000円

 

この年のFMfanダイナミック大賞に選出されています。なんといっても、0~29dBまでを1dBステップでコントロールできる低歪率アナログアッテネーターを搭載しています。高信頼度・高音質の抵抗器と金メッキクロスバー接点の密閉方式リレーによる構成が圧巻!!

天板を外すとその基板がどどーんとお目見えします。

 

このプレーヤーは、この基板とコントロール基板、オーディオ基板の3階建て構造になっています。これで280,000円なんですから、どんだけNECは採算度外視して、物量投入すれば気が済むのでしょうかね。プリメインアンプのA-10も採算度外視していたことは有名ですが、あまりにも赤字だったので、すぐに生産が中止になったとか。

 

このプレーヤーは、ヤフオクにもあまり出回っていませんが、トレイが開かないというジャンク品を入手。さっそく修理に取り掛かります。

 

フロントパネルを外して、ピックアップメカの両サイドにある6個のネジを取り外すとメカごと取り外すことができます。ただ、底部にあるサーボ基板には多数のケーブルが接続されているので、それを外しながら、電源部のケーブルを避けながら、メカを取り外すのはかなり慎重に、かつ丁寧に時間をかけて行う必要があります。

 

これが取り外したピックアップメカです。複雑な機構のトレイで、ほぼほぼ金属製です。DENONのほぼほぼプラスティック製のトレイ機構とは雲泥の差で、複雑でがっちりとしたピックアップメカです。

 

横からのぞくとピックアップが見えます。ソニー製のKSS-123A。クランパーの上にある小さな基板にはダイオードが取り付けられていて、CDの有無を検知するセンサーになっています。これが壊れていると、CDの有無を検知できずに、CDが回転をせず、認識しないということがあるようです。

 

トレイベルトは、クランパーの回転板の下部、トレイの前方にあります。

カバーで覆われているので、そのカバーを取り除くとギアとプーリーが見えてきます。一番上にある黄色味を帯びたギアを外して、ベルトを交換します。

 

以前、このギアが破損しているCD-903を修理したことがあります。下にある白い一回り小さなギアを回転させるために、この黄色いギアの下部にピニオンギアがあり、無理やりトレイを引き出すことによって、このピニオンギアが破損してしまうことがあります。なので、決して無理やりトレイを引き出すことはしない方が良いです。トレイを手動で引き出すときは、ゆっくり時間をかけて引き出してください。

 

ベルトを交換したついでに、底面にあるサーボ基板のコンデンサーを交換します。

ケーブルがごちゃごちゃとあります。再度組み立てるときには、間違えないように気を付ける必要があります。

これだけコンデンサーがあります。交換するのも一苦労です。オペアンプなどは相当熱を持つのでしょう。基板が所々黒く変色しています。右に見えるケーブルは、三層構造の一番下にあるコントロール基板に接続されます。取り外すときも、組み戻すときも、このケーブルがあちこち干渉して、とても難儀します。

 

ベルトを交換して、コンデンサーを交換して、組み戻して動作確認をしたところ、正常にトレイが開閉するようになりました。CDの認識再生も問題ありません。

 

ちなみに、2階部分にあるオーディオ基板はこんな感じです。

右側にある光ケーブルのカプラーには、3階部分にあるコントロール基板からデジタル信号が伝送されてきています。それにしても、ケーブルが縦横無尽に張り巡らされていますね。一応、オーディオ基板上のコンデンサーも交換しましたが、二度と交換したくはないです。

 

DACは、バーブラウン製のPCM56PのKクラスが4個搭載されています。デジタル府フィルターは 、NEC製の µPD6352ACAを搭載しています。PCM56Pは、ヤマハのCDX2200 とCDX-2000に搭載されていました。音の傾向は、バーブラウンの特徴であるレンジが広く明るいサウンドです。このCD-903は、それにきめ細かさがプラスされていて、とても聴きやすい音だと感じました。

 

これほど作り込んだプレーヤーは二度と出てこないでしょう。

 

 

 

 

 

 

 

前回、CDP-X5000の修理記事で、KSS-274AとKSS-273Bの互換性について検証してみた、の結果をお知らせします。

 

使用したプレーヤーは、CDO-XA50ESです。

 

CDP-XA50ESの画像

1996年に発売され、価格は98,000円。

この年のFMfanダイナミック大賞で大賞に選ばれている名機。価格的に、CDP-X5000よりもリーズナブルですが、現在、ヤフオクではジャンク品でも30,000円は下りません。未だに、人気のある機種です。

 

このプレーヤーに搭載されているピックアップが、KSS-273Bです。

 

このプレーヤーをドナー機に使うのはとても贅沢ですが、今回は検証用に使うだけですので、検証後は元に戻します。

 

さっそく、抜き取ったピックアップはこれです。

 

左が、KSS-274A。右が、KSS-273B。

フラットケーブルの長さが異なりますが、ピン数は同じ。ピックアップのベースが、KSS-274Aはプラスチック製ですが、KSS-273Bはアルミ製になっています。

 

KSS-274Aは、レーザーからと思われるアース線が出ています。

 

底面を見ると、ICも同じ型番のようです。

 

フラットケーブルを入れ替えて、CDP-X5000に搭載してみました。

こんな感じです。全く違和感なく、搭載することができました。ピックアップのベース部分が少し形状が異なるかなと思ったのですが、全く同じのようです。

 

もしかしたら、メカベースも同じかもしれません。

 

本体に乗せ換えて、動作確認したところ、全く正常に再生することができました。

 

フラットケーブルとピックアップのベースの材質以外は、違いはないようですので、そのまま搭載することができることが分かりました。

 

KSS-274Aは、CDP-X5000の専用ピックアップですが、KSS-273Bの互換性が確認できたので、今後はKSS-273Bを入手して、交換することができるようになります。

 

とはいえ、30,000円を下らない人気機種を部品取り用に使う勇気があればの話ですが・・・(^-^;

 

 

 

 

 

先日、久々にCDP-X5000を入手しました。

 

ここ数年、ヤフオクにも出品される数が少なくなり、出品されるとあっという間に高額になってしまいますので、手が出ず、ここ1,2年入手できずにいました。

 

久々に入手したCDP-X5000は、一応再生はできるようですが、認識するCDとしないCDがあるようで、ピックアップが劣化しているようです。

 

まあ、このプレーヤーは、ピックアップの劣化とサーボ基板のICの不具合があるので、それを確認したくて、入手した次第です。

 

さっそく、到着したブツの梱包を解いてみましたが、あれ???なんか変です(^-^;

 

上の写真は、トップ面のケースを取り外した状態ですが、あるべきものがあるべきところにありません・・・パイオニアのプレーヤーに頻発しているピックアップレンズの脱落です!!((+_+))

 

パイオニアのプレーヤー以外で初めて見ました。ソニー製のピックアップでは初めて見ました。ソニーのピックアップレンズもレンズが脱落するんだ!!

 

ケースの中を探すと、レンズが見つかりました。

 

こいつです。

 

上から覗くと、両サイドにてんこ盛りのボンドの跡が見られます。それだけしっかり取り付けてあったということですが、それがどういう理由だか、外れていました。

 

輸送中に、余程強い衝撃が加わったのでしょうか。使用環境が悪く、ボンドが劣化していて接着が弱くなっていたところに、輸送中の振動で外れてしまったのでしょうか。

 

いずれにしても、パイオニアのプレーヤーと同じように、ボンドのカスを取り除いて、瞬間接着剤で装着しました。

 

装着後に、動作確認したところ、正常にCDは認識して再生することが出来ました。ただ、やはり出品者が言っていたように、CDの認識は少し甘く、読み込みに少し時間がかかります。

 

サーボ基板のコンデンサーを交換してみましたが、あまり変わらずでしたので、ピックアップの劣化でしょうか。レーザー出力を少し上げてみたところ、多少読み込みはスムーズになりましたが、いずれにしても劣化していることは間違いないようです。

 

このプレーヤーのピックアップは、KSS-274Aという、このプレーヤーのみに搭載されているピックアップなので、中古品を入手することは困難です。互換品として、KSS-273AとKSS-273Bがあり、実際装着できるのか試してみましたので、次回のブログでその結果をお知らせします。

CD-25の画像

1986年にMARANTZから発売された CD-25 44,800円

 

上級機種同様に音質重視設計を貫いた、フィリップスのOEMのCDプレイヤーになります。DACは、フィリップスの名機であるTDA1540Pを左右に搭載。2DAC方式により、位相回転ゼロを実現しています。デジタルフィルターはSAA7030。TDA1540Pとの黄金コンビです。CD-34と同じ組み合わせです。 

 

トレイの開閉しないということで修理依頼がありました。

 

中身はこんな感じ。ピックアップは、CD650と同じCDM-2/10を搭載しています。メカは、全く同じです。

 

ピックアップメカは、CD650と同じように、後方のネジ、1カ所で固定されていますが、フロントパネルを外さなければ、メカを取り出すことはできません。

 

これが取り出したメカです。CD650と全く同じです。

 

左サイドを見るとトレイベルトがお目見え。直径35㎜のベルトに交換しました。

ついでに、トレイの開閉センサーが上下に2カ所ありますので、綿棒にて接点を磨きます。

 

逆手順で組み戻して、動作確認。

 

正常にトレイが開閉するようになりました。

 

せっかくなので、基板上の電解コンデンサーを全て交換します。フィリップスのプレーヤーはアキシャルリードタイプの電解コンデンサーがいくつかあり、これが劣化しやすいので、汎用性のあるラジアルリードタイプのコンデンサーに全て交換。

 

TDA1540は、アナログチックなとても温かみのある音を聴かせてくれます。決して、レンジは広くはないですが、女性ボーカルはとても色気があります。

 

これでまた一台、昭和の名機が復活しました。

 

 

 

 

1980年代にドイツのメーカーであるTELEFUNKENから発売されたCDプレーヤー Model No.1010 価格は不明。

 

TELEFUNKENは、1903年にシーメンスとAEGの合弁会社としてドイツのベルリンで設立されています。当初は、ドイツ軍向けの無線機を製造していたようですが、戦後は、放送用の送信機やアンプ、レコードプレーヤー、マイクロフォンなどを製造するようになっています。今でも真空管はネットなどで高値で取引されています。60年代になると半導体なども製造するようになり、様々なオーディオ関連製品や家電製品を製造するようになっていたようです。

 

今回修理依頼のあったものは、CDプレーヤーですが、実はこのモデルは、Made in JAPAN でした。日本のメーカーのOEMのようです。

 

中身はこんな感じ。右上にあるDACらしきICは、ソニー製です。ソニーのOEMなのでしょうか。ただ、ピックアップは、ソニー製ではなく、今まで見たこともない形のピックアップでした。フィリップス製でもないようです。

 

トレイは開くが、再生しないという不具合で、当初はソニーのDACを搭載しているのでピックアップもソニー製だろうと思い、修理を安請け合いしてしまいましたが、届いたプレーヤーの内部を見て後悔しました。

 

とりあえず、分解して原因を探ります。

 

クランパーを取り外すとピックアップが見えてきました。確実にソニー製ではありません。どこのメーカーのものなのでしょうかね。レンズをクリーニングしてみましたが、うんともすんとも言いません。

 

参ったな・・・・(*´Д`)

 

再度動作を確認すると、トレイの開閉はスムーズですが、CDをクランプしようとすると少しクランパーが浮き上がり、しっかり固定することが出来ないようです。

 

手で押さえて、しっかりクランプさせるとCDが回転し始め、読み込みすることが出来るようになりました。

 

クランプが上手くいかないためにCDを読み込む動作に移れないのだということが分かりました。

 

何度か動作を観察したところ、トレイの開閉はスムーズですが、トレイの開閉とクランパーの上下動作は連動しているようで、結局トレイベルトが劣化して伸びているために、トレイの開閉は問題ないけれども、伸びているためにクランパーをしっかり下げるだけの力を伝えることが出来ていないようです。

 

ベルトは、トレイの右側下部にあります。トレイを外さなくても、このままの状態で横からピンセットで交換することが出来ますが、メカもメンテナンスしたいので、メカを外すことにしました。

 

これが、取り外したピックアップメカです。赤丸の部分にプーリーが見えます。サクッと交換して、ピックアップレールに注油して、トレイにもレールがあるので、それにも注油して、組み戻して動作確認。

 

今度は、しっかりクランプするようになり、CDも正常に回転、認識するようになり再生もするようになりました。

 

音は、内部を見てもらうとわかるように、日本のメーカーでいえば、598あたりのエントリーモデル並みですので、そのレベルの音質かなという感じです。

 

ドイツのメーカーは初めてでしたが、ヨーロッパのオーディオはおそらくこんな感じの味付けかのかなという印象です。ダイナミックレンジは決して広くないですが、アナログチックな温かみのある音で、とても聴きやすいですね。クラシックが似合うプレーヤーだと思います。

 

D-107Uの画像

1990年にLUXMANから発売された D-107u   129,000円

 

出力回路に3極真空管を採用したCDプレイヤー。双3極管6CG7をカソードフォロア回路として採用しています。3極真空管はリニアな特性をもち、耳障りな奇数次高調波が少ないことなど、音楽を引き出す能力に優れており、また、アクティブ素子が最小単位(1ユニット)で構成されるカソードフォロアにより、回路のシンプル化が実現しています。

また、D-107Uのために新たに開発した出力用ライントランスを採用しています。
高度な音楽表現が可能になると同時に、トランス結合により低インピーダンス負荷にも安定した送り出しを実現しています。

 

ようは、アナログチックな音を聴かせてくれるということで、レコードプレーヤー好きに人気だった?CDプレーヤーです。前年に発売されたD-105uからデジタル出力を取り除き、アナログに特化した分、専用のトランスを内蔵しています。その分、D-107uの方が4万円ほど高くなっています。

 

トレイが開かなくなったということで、修理の依頼がありました。

 

開腹するとこんな感じ。右後方のトランスが、出力専用のライントランス。DAC周辺の回路がとてもシンプルです。ケーブルが縦横無尽は張り巡らされています。修理泣かせのケーブルです(*´Д`)

 

これが、アナル出力用の基板になります。真空管からの電力を受けて、出力をしています。

 

トレイが開閉しないのは、ほぼほぼベルトの劣化です。このプレーヤーは、トレイが開かないと厄介な構造になっています。デノンのように簡単にピックアップユニットが簡単に外すことが出来ません。ソニーのようにトレイが開かなくてもフロントパネルが簡単に外れるような構造ではありません。ティアックのように底板を外せばモーターにアクセス出来てトレイを引く出すような構造ではありません。

 

思案すること十数分。トレイのユニットのネジを外し、少し浮かすとフロント部分にあるL字のバーにアクセスでき、それを手前に押すとトレイが開閉するようになることが分かりました。

 

トレイが出てくると、トレイのフロントパネルを外すことが出来るので、ユニットごと取り外すことが出来ます。

 

これが取りだしたピックアップユニットです。ひっくり返すと手前にL字のバーがあります。このバーはセンサーと連動しているので、開閉を検知するセンサーになっています。このバーは、L字の角の所でカギ状の爪で固定されていますので、爪を少し開くと簡単に取れます。このバーを取らないと、トレイを引き抜くことが出来ません。

 

表に返すと、トレイベルトが見えます。少しきつめですが、直径30mmのトレイベルトで大丈夫です。ピックアップは、ソニー製のKSS-152Aです。ソニー製ですが、ソニーのプレーヤーには搭載されていないという珍しいピックアップです。

 

ピックアップレンズを掃除して、ピックアップレールに注油して、逆手順で組み戻します。

 

さっそく動作確認。

 

スムーズにトレイが開閉するようになりました。CDをセットして音を聴いてみると、むむむ!!!!

 

左チャンネルから音が出ません!右チャンネルはノイズだらけで、しかも音が小さい・・・・(^-^;

 

デジタル基板上の電解コンデンサーの交換をしましたが、症状に変化なし。電源部も確認しましたが、多少の半田クラックがあり修正しましたが変化なし。

 

いろいろネットで調べると、どうも真空管が悪さをしているようです。

 

これが真空管ユニット。型番は、6CG7。ネットで未使用品が入手できるようですが、何分古いモデルで既に廃番になっているものなので、どこまで信用できるか不明です。

 

基板を確認すると、派手に半田クラックが発生しています。真空管はかなり熱を持つので、熱で半田が劣化してしまうのでしょう。どうも、このプレーヤーの持病のようです。

 

半田修正をして改善しないようなら、真空管を交換しようと思います。

 

逆手順で組み戻して、動作確認。

 

おお~、左右ともノイズなく綺麗な音が出力されるようになりました\(^o^)/

 

レンジは広くありませんが、確かにアナログチックな温かい音を聴かせてくれます。いわゆるデジタル臭さはなく、聴きやすい音です。クラシックなどは味がでて、良いかもしれません。

 

後程、アナログ基板上の電解コンデンサーの交換をして修理は完了です。

 

 

 

 

 

ZD-7000の画像

1987年にTEACから発売された ZD-7000 180,000円

 

この年のFMfanダイナミック大賞で優秀賞に選ばれています。TEACと言えば、VRDメカが有名ですが、TEACブランドでVRDSメカを発売するのは90年代に入ってからになります。それまでは、ESOTERICブランドでVRDSメカのプレーヤーを発売していました。

 

ZDの名前通り、ZDサーキットという独自の回路を搭載しています。詳しい説明は省きますが、要は歪の発生要因を排除するのに優れた回路いうことらしいです。

 

DACはバーブラウンのPCM64Pです。SONYのCDP-557ESDにも搭載されていましたし、ESOTERICブランドのD-1にも搭載されていました。

 

トレイが開閉しないということで、修理依頼がありました。

 

さっそく、開腹。

ケーブルが網の目のように張り巡らされています。以前、ZD-6000は修理したことがありますが、このケーブルの処置に辟易した記憶があり、これを見るとげんなりします。

 

ピックアップは、三菱製のMLP-3Cという型番。YAMAHAのプレーヤーにもよく搭載されたいたピックアップです。

 

ピックアップメカを取り外さなければ、トレイベルトにアクセスできないので、とにかく、ケーブルのコネクターを外しまくり、ケーブルのケアをしつつ、メカを取り外していきます。

 

メカのサイドまで、ぎっしりケーブルが張り巡らされています。結束バンドを切り取りつつ、コネクタを外し、コネクタが迷子にならないように、印をつけていきます。

 

ケーブルと格闘して、ようやく外したメカがこれ。右側にはこの時期流行ったトレイレールがあります。これは、時間が経つと酸化して表面の潤滑が著しく低下します。オイルを多少塗ったくらいでは、滑りは改善しないので、研磨剤を使って磨く必要があります。

 

メカをひっくり返して、手前側にゴムベルトが見えてきます。すっかり溶けてなくなっています。いつもながら、このべとべとに溶けたゴムと格闘するのは嫌ですね。

確か、直径35㎜で大丈夫だったかと思います。ごっついメカにしては、比較的に小さなベルトで駆動しています。

オーディオ基板です。PCM64Pを左右2基搭載しています。DACの下部には銅製のバーが2本貫通しています。放熱のために取り付けているのでしょう。当時は、こういう細かい気づかいが随所にありました。

 

コンデンサー類も全て交換しておきました。流石に製造から36年も経っているので、コンデンサーの容量抜けなどが起きているでしょう。当時のパフォーマンスを引き出すために、消耗品の電解コンデンサーの交換必須です。

 

組み戻して、動作確認をしたところ、スムーズにトレイは開閉し、CDの読み込みもスムーズです。

 

この時代は、まだマルチビッドなので、情報量が豊かで、厚みのある音を聴かせてくれます。翌年以降、1ビットに時代に突入していきます。