1999年にSONYから発売された SCD-777ES 350,000円
SCD-1の設計思想を継承して開発されたESシリーズ初のSACDプレイヤー。
初代だからなのでしょうか、このSCD-777ESは2chステレオ専用となっており、SACDのマルチチャンネル再生には対応していなかったようです。
SACDもCDも再生しなくなったということで、修理依頼がありました。ほぼ間違いなくピックアップですが、何せ初代のSACDですので、ピックアップも独特です。ピックアップは、たまにヤフオクで出品されていますが、おそらくオリジナルではないでしょう。とはいえ、あるだけまだましかもしれません。
さっそく開腹。ステンレス製でしょうか、がっちりしたピックアップベースが眩いです。オーディオ基板上の黒光りするフィルムコンデンサーが、このプレーヤーの音質の高さを象徴しています。
ユニットは、四隅のネジを外すと簡単に取れますが、制振用に取り付けてあるゴムブッシュが支柱に固着していて、剥がすのに手間がかかりました。
最初は、あまりにも固着していたので、底板に固定されていた支柱ごと外してしまいました(^▽^;)
CD用とSACD用のピックアップがそれぞれあります。
これがヤフオクなどで入手できるピックアップです。型番は、KHS-180Aです。
これは、ピックアップが移動するタイプのプレーヤー用でしょう。SCD-777ESは、ピックアップが固定されていて、ターンテーブルが移動するタイプ。CDP-X5000と同じ構造になっています。ソニーのこのプレーヤーに掛ける意気込みが伝わってきますね。
このままでは、取り付けることができないので、ピックアップのみを取り外し、交換します。
取り付ける向きに気を付けながら、交換をして、逆手順で組み上げて動作確認。
OH MY GOD~(*´Д`)
SACDは再生することができましたが、CDが再生できません・・・・(^-^;
CDが機能していないのか、サーボICの不具合なのか・・・
このピックアップは、依頼者ご本人が入手したもので、最初から正常に機能することは当てにはしていなかったようです。せっかく、交換したのですが、残念な結果に終わってしまいました。
ご本人は、壊れても絶対に手放さないとおっしゃっているほど、このプレーヤーに惚れ込んでいるようで、死んだら棺桶に入れてもらうとのこと(*´∀`*)
SACDは、ピックアップのレーザ出力が高い分、ピックアップの消耗も早いようですし、情報量が多いので、ディスクの回転も速く、その回転を制御しつつ、読み取りの精度を上げるためにICにかなり負担がかかっているようなので、サーボICの不具合も起こりやすいように感じます。
今回の修理では、幸いにもSACDは再生することができたので、SACD専用機として生き延びることができました。依頼者の方も納得されていました。
これほどのSACDプレーヤーも、二度と製造されることはないでしょうから、大切に使い続けられることを願っています。