(春日井市議会建設委員会2020.11.17)

高蔵寺リ・ニュータウン計画改定(中間案)について

多和田ニュータウン創生課長 それでは、報告事項10、高蔵寺リ・ニュータウン計画改定(中間案)について御説明申し上げます。「別冊5」をお願いいたします。
 「別冊5」は、冒頭5ページ分が計画改定の主な内容ついてまとめたもの、その後ろに改定(中間案)を添付しております。この改定(中間案)につきましては、10月23日に開催しました本市の附属機関である高蔵寺リ・ニュータウン推進会議に諮り、人口等の目標値、プロジェクト、施策など改定内容について委員の皆様に御了承いただいたところです。
 本日は、中間案の主な内容につきまして、冒頭の「高蔵寺リ・ニュータウン計画改定(中間案)の主な内容について」を使用し、説明させていただきます。
 説明に入る前に、訂正を1か所お願いいたします。「主な内容」の4ページ、3、成果指標につきまして、右側の改定計画の表、上から3行目「要介護等認定率」の目標値は、「(計算中)」となっていますが、23.5%となります。よろしくお願いいたします。それでは1ページをお願いいたします。
 第1章に新たに追加した4、高蔵寺リ・ニュータウン計画に基づく取組と評価では、平成28年3月の計画策定以降、これまでに実施したプロジェクト、施策の取組が目標値にもたらした効果について評価を行い、また、各プロジェクト、施策の進捗状況に対する評価も行っています。
 まず、(1)目標値では、人口と子育て世帯割合の数値について、基準値より減少しているものの、取組が実施中であることからその効果はまだ表れていない状況であり、減少の主な要因は、「通勤・通学等を契機とした社会減、都市再生機構の団地再生事業という特殊要因があった」と評価しています。
 (2)成果指標では、おおむねの指標は令和7年度目標値に対して良好な推移をしており、取組の効果があったものと評価しております。2つ目の「交通」は、ラストマイル型自動運転など新しいデマンド交通を実施することでカバー率を増やすこととしておりましたが、今はまだそれが実現できていないため、取組の効果は発生していません。
 (3)先導的な主要プロジェクトでは、先行プロジェクトのアはグルッポふじとうの整備が完了したことから、「取組は完了した」と評価しており、その他のプロジェクトは実現に向けての取組を進めており、現時点においては完了に至っていない状況です。2ページをお願いいたします。
 (4)課題に応じた主要な施策では、アからオまでの5つの項目について取組を進めており、「完了していない」と評価しています。
 次に、第2章となる「現状と課題」では、今回新たに5つの現状を整理しており、まず社会増減では、「高齢者世帯は転出超過」、「子育て世帯は転入超過」の現状がありました。次の住宅ストックの状況では、耐熱性やバリアフリー対応住宅の現状から、「建替えやリフォームが必要な住宅が一定数存在」している現状がありました。次の地域の雇用・産業の状況は、職住近接という課題に対する現状把握として整理し、まず就業状況では、過去と比べ市内就業者が増え、県内市外就業者が減っており、名古屋市のベッドタウン要素が薄まっている現状がありました。次の工業立地では、市内と市外の事業所の立地状況を示し、愛知環状鉄道沿線上の状況を把握し、今後の居住促進の対象として可能性があることを把握しました。次の「近隣の農業」では、ニュータウン内に農地はないものの、農業体験により農に親しむ環境が周辺にあり、市民農園は利用も多い状況を把握しました。3ページをお願いいたします。
 第3章の「高蔵寺リ・ニュータウン計画」では、来年度の令和3年度から令和12年度までの10年計画とし、まず計画区域について、今回高蔵寺駅周辺の取組の効果を考え、これまで一部地域であった高蔵寺町北4丁目などを全地域にするなど、新たに図の黒色の部分を加えて拡大しております。
 次に、目標につきましては、引き続き人口と子育て世帯割合とし、先行と展開プロジェクトの進捗を想定し、5年後、10年後の2段階で設定しています。目標値の考え方としては、5年後の人口目標値4万3,000人は、先行プロジェクトを実現することで現状維持の達成を目指す目標としております。10年後の目標値4万6,000人は、先行プロジェクトの実現に加え、展開プロジェクトの実現によりさらに達成を目指す目標としております。今後、各プロジェクトを着実に実行することを前提として、高森台団地集約事業の跡地や高蔵寺駅周辺の低未利用地における新規住宅供給、また、空き家の利活用、高齢者の住み替えに伴う子育て世帯への住み替えなどが促進されることで、達成を目指してまいりたいと考えております。4ページをお願いいたします。
 次に、成果指標は、引き続き6つの分野の指標を定め、今回、「情報発信」のみ、子育て世帯の居住促進を意識した効果的な情報発信を行っていくため、高蔵寺ニュータウン公式サイトのSNSのフォロワー数にしたいと考えております。
 次に、先導的な主要プロジェクトでは、現行の旧小学校施設を活用した多世代交流拠点の整備は取組が完了したことにより削除し、スマートウェルネスの取組は、現在の団地再生事業の進捗状況から先行して取り組むべきものとして、今回、名称の微修正を行い、先行プロジェクトに移動しております。高蔵寺駅周辺再整備、旧西藤山台小学校施設の取組は、名称の微修正を行い、引き続き先行プロジェクトに位置づけております。また、新たな展開プロジェクトとして、戸建てエリアの魅力が高まるよう、空き家や空き地といったストックの活用方法を検討し、活用の推進を図るため、戸建ての住宅エリアのストック活用の促進を追加しております。5ページをお願いいたします。
 次に、課題に応じた主要な施策についてです。5つの施策項目は変更せず、具体的な取組の一部修正を行っています。
 最後に、今回新たに追加した、新たな課題への対応についてです。今後リ・ニュータウン計画を進める上で、意識し、検討していく必要があるものとして、2つの視点を挙げたものです。1つ目は、リニア中央新幹線の開通に伴う新たなライフスタイル・ビジネススタイルに対応し得る住宅地の可能性を意識すること、2つ目は、新型コロナウイルス対策の影響によるテレワークの普及や余裕を持った空間の確保など、「新たな生活スタイル」に対応したまちづくりの在り方を構築していく必要があること、を記載しております。
 今後の改定スケジュールについては、11月20日から12月21日までの約1か月間、市民意見公募(パブリックコメント)を実施し、その結果を受けて最終案を作成し、第3回高蔵寺リ・ニュータウン推進会議に諮った後、2月の閉会中の委員会で最終案を御報告させていただきます。
 以上、高蔵寺リ・ニュータウン計画改定(中間案)について御報告申し上げました。よろしくお願いいたします。

末永けい

まず13ページの、(4)課題に応じた主要な施策、取組の進捗状況に、「最低有効敷地面積の引き下げについて検討を行っている」としています。こちらの引き下げ検討の理由をお尋ねします。

多和田ニュータウン創生課長 現計画の施策に基づき実施するもので、現在の宅地の敷地面積が大きく、敷地全体の価格が高くなることから、最低有効敷地面積を引き下げて、居住促進を狙う子育て世帯が物件を購入しやすくするために行うものです。

末永けい

こちらは具体的にどのような内容で検討を行っておられるのか、またその実施時期はいつ頃になるのでしょうか。

多和田ニュータウン創生課長 これまで、高蔵寺ニュータウンでは都市計画法第29条開発許可に関わる500平方メートル以上の敷地で建築行為を目的とした開発行為を行う際の基準として、最低敷地面積を200平方メートルとしていましたが、最低敷地面積を160平方メートルとするものです。なお、基準改正は11月末頃を予定しています。

末永けい

続いて、38ページから39ページのところに、令和元年度に行った住宅・人口フレーム検討における3つのシナリオが掲載されています。その結果を踏まえて、10年後の人口目標として、シナリオ2の4万6,000人を採用していますね。これは、なぜ4万6,000人としたのかというところについて、詳細な説明をお願いします。

多和田ニュータウン創生課長 現行計画の人口目標は、基準値約4万5,000人に3,000人を増加し4万8,000人としておりました。当時、想定が困難であった都市再生機構の団地再生事業という特殊要因に人口の社会減が加わったことで、これまでに約2,000人が減少したため、現状の人口基準値を約4万3,000人に修正した上で、同じ増加量の3,000人を見込み、4万6,000人としております。

末永けい

「別冊5」の1ページを見ると、人口のところの「評価(取組の効果)」について掲載がありまして、今御説明ありましたが、一つが都市再生機構の団地再生事業、もう一つは通勤・通学等を契機とした社会減というふうにあります。それで、現行計画ですと、令和7年ですね、平成37年の段階で4万8,000人という目標を置いていまして、今回の中間案ですと、令和7年度時点では4万3,000人ということで、マイナス5,000人下方修正されているんですね。なので、このマイナス5,000人の下方修正になっている、その内訳を教えていただきたいと思います。

多和田ニュータウン創生課長 当初の想定、計画当時、4万5,000人という基準値に対して、現状で既に2,000人の人口の減少がなされているところでございます。  それで、こちらの、昨年度の住宅・人口フレームの検討において、2030年までに3万9,000人まで人口が減ることが想定されている中で、今回の目標値というところが現実的なものと考えて設定をさせていただいたところです。

末永けい

基準値が下がっているということについて、それに絡めて今回のその評価というのを、1ページで、これ行われていまして、通勤・通学を契機とした社会減と都市再生機構の団地再生事業の特殊要因と、それぞれの内訳というのは出ているのですか。

多和田ニュータウン創生課長 特殊要因による人口減は約500人程度、そして社会減については、資料のほうの2ページにございますように、1,470人といったところになっております。  社会減のほうの影響といったところでございますが、団地集約を進める際に、入居者の転居先を確保するため、集約対象以外の住戸においても一定数の入居者の募集を停止していたことによって社会減がより強まったというふうに考えております。

末永けい

まず、都市再生機構の団地再生事業についてですが、こちらもともと想定してなかったということだと思うのですが、URが、高森台以外でニュータウン内に替わりとなる転居先団地を用意していたと思うのですね。だから、ニュータウンの外に出ていってしまったということは、ニュータウンが住み続けたい街として選ばれていないということだと思うのですね。定住策が十分に取られていないことが問題なのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

多和田ニュータウン創生課長 高森台の団地集約において約1,000名の方たちが退去をなされている現状が既にあるかと思っています。その内の約半数の方がニュータウン外に出られたといったところがございまして、委員おっしゃられるように、定住といったところに対してどの程度の判断が皆様の中でなされたのかといったところについては、個々の御事情もあろうかと思いますので、私どもとしてはちょっと判断いたしかねるところです。

末永けい

そのことに追加して、通勤・通学等を契機とした社会減ということについてもお尋ねしたいのですが、今も御説明ありましたが、都市再生機構の団地再生事業というもの、これも言ってみれば社会減だと思いますね。それによって減ったということであれば。  ということは、社会減などの要因については、まさにリ・ニュータウン計画で何かしら対応して食い止めなければいけないところだと思うのですが、それができてないということであれば、やはり施策の見直しなり、あるいは今取組が実施中であってその効果が表れてないという記載もあるのですが、すぐに社会減を食い止められるような、やはり効果が表れる施策というのも追加的にやっていったりとか、そういう見直しも必要ではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

多和田ニュータウン創生課長 社会減の中で、先ほど御説明をさせていただきましたが、高齢者世帯の転出超過であるとか、単身世帯の転出といったところが多く見受けられているところでございまして、こちらについては本当に先ほど申し上げましたとおり、URの賃貸住宅の入居を制限していたといったところが大きく影響しているというふうに考えておりますので、現段階において施策については、この中間案にお示ししている内容を着実に推進していきたいと考えております。

末永けい

それから、「別冊5」の3ページのところに、今回、計画区域として高蔵寺町北2丁目、高蔵寺町北4丁目、白山町1丁目を加えるという説明がありまして、人口の基準値については、この点については加味されているのでしょうか。

多和田ニュータウン創生課長 資料の同じく3ページのところの中段にございます、「2 目標」といったところに、現行計画の現状値4万2,205人としているところに対し、改定計画の基準値を4万3,631人とさせていただいております。こちらの、加えた区域の人口を含めた基準値として計画を見直させていただいているところでございます。

ひらめき電球計画区域を拡げたにもかかわらず人口目標値は下方修正ということです。

末永けい

続いて、住宅・人口フレームの検討において、将来人口の試算及びその影響として、購買力の低下について検討されていたと思いますが、現状の購買力と将来推計の数値をお尋ねします。また、改定計画の人口目標である4万6,000人の場合の購買力の試算値についてもお尋ねします。

多和田ニュータウン創生課長 人口・住宅フレーム検討結果では、センター地区から2キロ圏における人口に比例した購買力を参考値として算出し、令和元年度の購買力305億円に対し、このまま特段の対策を取らない場合に、10年後の令和12年度に人口が3万9,000人、購買力はマイナス36億円の269億円に減少することを記載しておりました。なお、今回の人口目標値4万6,000人の場合の購買力を試算いたしますと、318億円となります。

末永けい

地域住民にとっては、日常生活に必要な商業機能がニュータウンからなくなるようなことがないように、まちづくりを進めていく必要があると思います。住宅・人口フレームや購買力の推計結果を踏まえ、ニュータウンの商業機能が維持される見通しについて、所見をお尋ねします。

多和田ニュータウン創生課長 令和2年3月に、石尾台地区に新たにオープンしたドラッグストアのように、民間の新規参入がされるよう、計画のプロジェクトを着実に実施しまして、マーケット性を高め、既存商業の維持や新たな商業参入がされるよう意識して取り組んでまいります。

【参考】

高蔵寺リ・ニュータウン計画(現行計画)

春日井市高蔵寺リ・ニュータウン推進会議

【末永けい関連質問】

【高蔵寺リNT計画】人口目標値下方修正ありきでなく、要因分析や現行施策の見直しを先に行うべきです

【要検証】「日本三大ニュータウン(多摩・高蔵寺・千里)」のうち人口減少しているのは高蔵寺だけです

高蔵寺駅周辺整備について地権者勉強会、事業採算性、モデルプラン、民間投資など

高蔵寺ニュータウンのURテナント(団地内貸店舗)の空き状況をしっかり把握し活用する考えはないのか

高蔵寺まちづくり会社(市が50.25%出資)にニュータウンの空き家・空き室を解消する目標値は?

リ・ニュータウン計画の目標値「人口」「子育て世代の割合」が年々減少。現行計画は対応できていない。