寄り道~Stories of my life~ -3ページ目

怪束電車

(グオゥー、ガタン、ゴトン)


複雑な人の心を、ボクは蔑み

単純な動きを、繰り返していたのかも。


(グオゥー、ガタン、ゴトン)


帰宅の電車の座席は、死刑台のようだね。


青く照らし出された暗闇の、信号機を見た。

車窓に映るのは同時で、ボクの顔は、死んでいた。


(ガタタン、ガタン、ガガガ)


スピードを増す、快速電車の唸り声は、

無機質極まりないのだから。


(グオゥー、キリリー、キィー、ゴトン)


どうやらこのまま、火葬場へと

この鉄の棺桶は、直行するんだね。


座席で揺れる、ボクを乗せたまま。

物黒





きっと、知らずにいたんだと思う。

モグラは、知らずにいたのかもしれない。


自由とはなんだろう。この、迷走する、トンネルを掘り続けながら、自由だと思っていたんだ。


だからなんだね。ずっと、思い込んでいたのだから。


僕は羽ばたいては、いなかったのさ。


今頃になって、ため息を一つだけ。せめてそれくら良いです。


飛び出してしまったのだから。


なんて、眩しいのだろう。焼かれてしまうのだろうか。


わが身を全て曝け出してしまうことを、瞬間的に。


醜態的な速度で、発覚してしまう恐怖を、じわじわと。


この両手は、革新的に、空を切るのだから、笑えばいいのかな?


気まぐれな、存在の矛盾を、隙間から覗かれているから、嫌だ。

行き場を探す。


hikari kumo
 ふと、空を見上げてみると、差し込む光に、温かさを感じて、
 僕はまた一つ、心を取り戻してゆくのを、感じていた。
 いつまでも、こんな時間に包まれていたいから、
 シャッターを切るのかもしれない。
 
 瞬間的に、時間の狭間の、個人的な残像は、
 心の奥底から蓄積されて、僕は再び、歩いてゆける。 

 雨はそろそろ、止むのかもしれない。


                                                    31. Mar. 2007