怪束電車
(グオゥー、ガタン、ゴトン)
複雑な人の心を、ボクは蔑み
単純な動きを、繰り返していたのかも。
(グオゥー、ガタン、ゴトン)
帰宅の電車の座席は、死刑台のようだね。
青く照らし出された暗闇の、信号機を見た。
車窓に映るのは同時で、ボクの顔は、死んでいた。
(ガタタン、ガタン、ガガガ)
スピードを増す、快速電車の唸り声は、
無機質極まりないのだから。
(グオゥー、キリリー、キィー、ゴトン)
どうやらこのまま、火葬場へと
この鉄の棺桶は、直行するんだね。
座席で揺れる、ボクを乗せたまま。
物黒
モグラは、知らずにいたのかもしれない。
自由とはなんだろう。この、迷走する、トンネルを掘り続けながら、自由だと思っていたんだ。
だからなんだね。ずっと、思い込んでいたのだから。
僕は羽ばたいては、いなかったのさ。
今頃になって、ため息を一つだけ。せめてそれくら良いです。
飛び出してしまったのだから。
なんて、眩しいのだろう。焼かれてしまうのだろうか。
わが身を全て曝け出してしまうことを、瞬間的に。
醜態的な速度で、発覚してしまう恐怖を、じわじわと。
この両手は、革新的に、空を切るのだから、笑えばいいのかな?
気まぐれな、存在の矛盾を、隙間から覗かれているから、嫌だ。