物黒
モグラは、知らずにいたのかもしれない。
自由とはなんだろう。この、迷走する、トンネルを掘り続けながら、自由だと思っていたんだ。
だからなんだね。ずっと、思い込んでいたのだから。
僕は羽ばたいては、いなかったのさ。
今頃になって、ため息を一つだけ。せめてそれくら良いです。
飛び出してしまったのだから。
なんて、眩しいのだろう。焼かれてしまうのだろうか。
わが身を全て曝け出してしまうことを、瞬間的に。
醜態的な速度で、発覚してしまう恐怖を、じわじわと。
この両手は、革新的に、空を切るのだから、笑えばいいのかな?
気まぐれな、存在の矛盾を、隙間から覗かれているから、嫌だ。