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こまきの自然学校

縄文時代のストーンサークルで知られる「小牧野遺跡」をテーマに、文化財と自然との一体的な保護を目指した活動などを紹介するブログです。

堅苦しい条例の解説も、そろそろ終わりにしたいと思います。


前回は、規制の話をしましたが、規制が発生する場合には、

基本的に、規制が必要な範囲を設定する必要があります。


範囲を設定しなければ、どこからどこまで、規制がかかるのか、

わかりませんので。


で、条例の文章を見てみましょう。

(重要な保護区域の指定)

第四条 市長は、縄文時代の人々が行った石の採取等による土木工事及びその人々の狩猟、採集、漁労等の日常生活に関連する小牧野遺跡の遺構並びにその周辺区域の良好な自然環境を保護するため、当該周辺区域のうち、別図に定める範囲を、重要な保護区域として指定する。


この文章では、「重要な保護区域」として、縄文人の活動の範囲が書かれています。

つまり、竪穴住居跡とか墓だとか、そういった考古学的な痕跡がのこる範囲が「遺跡」であって、

それ以外の考古学的な痕跡がのこらない自然環境を指しています。

でも、いくら文章で表現しても範囲がイメージできないので、

「別図」に、その範囲を書いています。(下の図です)

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次に、「市の責務」という部分を見てみます。ここでの、「市」とは、青森市役所や青森市教育委員会など、

ひとつにまとめて「市」と言っています。

また「責務」というのは、「役割」を言ってるようなもんです。

また、漢字で一と書かれている部分は「だい5じょう だい1こう だい1ごう」と呼び、

2と書かれている部分は「だい5じょう だい2こう」と呼びます。

(この特殊な呼び方は、市役所の人でも、わからない人が多いと思います)

第五条 市は、小牧野遺跡及び前条の規定により市長が指定する重要な保護区域(以下「遺跡周辺一帯」という。)が適切に保護及び活用されるような措置を講ずるとともに、第一条の目的を達成するために、次に掲げる施策を実施するよう努めなければならない。

 小牧野遺跡の保存管理計画に関する施策

 遺跡周辺一帯に関する教育の振興及び学習機会の充実に関する施策

 遺跡周辺一帯に関する情報発信、学術研究及び民間団体等の活動への支援に関する施策

 その他遺跡周辺一帯の保護及び活用に関し、市民等の理解を深めるために必要な施策

2 市は、この条例の運用に当たっては、関係者の所有権その他の財産権を尊重しなければならない。


で、ここで何を言っているのかというと、

一から四については、保存のための計画を作ったり、教育的なことをしたり、

情報を発信したりすることなど、市役所の役割(仕事)を条例で定めています。

なので、市役所の人からすると、結構なプレッシャーになる。ということです。たぶん・・・


また、2については、土地を持っている人などの事情も考えて、

この条例を活用しましょう。ということです。









続いて、「市民等の責務」を見てみましょう。

ここで言う「市民等」については、 第3回講座 で解説していますので、省略します。

で、何を言いたいのかというと、市役所等が行う取り組みに、皆さんに何とか協力してほしい。

ということを書いています。↓


(市民等の責務)

第六条 市民等は、この条例の趣旨を踏まえ、遺跡周辺一帯の保護に努めるとともに、市が実施する遺跡周辺一帯の保護に関する施策に協力するよう努めなければならない。


最後になりますが、多くの条例では、「委任」や「附則」というのがあります。


この場合の「委任」とは、この条例の範囲内で、

もっと細かいルールを作る必要がある場合には、別に「規則」を定めるかもしれない。

ことを言っています。しかし、現時点では、そういった問題がないので、

今のところは「規則」を作っていません。


また、附則については、この条例が有効とな年月日が書かれています。

この条例の場合には、平成24年12月25日に制定(決定)されていますが、

実際には平成25年4月1日に“始まりますよ!”ということを言っています。


なお、この附則は、条例を改正(変更)したときの、年月日も書かれるときがあります。





(委任)

第七条 この条例の施行に関し必要な事項は、別に定める。

附 則

(施行期日)

この条例は、平成二十五年四月一日から施行する



以上、5回にわたる連載でした。


次回以降は、この条例を多くの人に知ってもらうイベントの様子を紹介したいと思います。


では、またね。


(市の責務)

今回は第三条の「他の法令等との関係」について解説します。


(他の法令等との関係)

第三条 小牧野遺跡及び次条の規定により市長が指定する重要な保護区域の保護については、文化財保護法、森林法(昭和二十六年法律第二百四十九号)、道路法(昭和二十七年法律第百八十号)、農地法(昭和二十七年法律第二百二十九号)、河川法(昭和三十九年法律第百六十七号)、都市計画法(昭和四十三年法律第百号)、農業振興地域の整備に関する法律(昭和四十四年法律第五十八号)、景観法(平成十六年法律第百十号)その他の法令及び条例に定めるもののほか、この条例の定めるところによる。



「小牧野遺跡」とその周囲に設定された「重要な保護区域」を、きちんと保護するためには、

むやみに開発が行われないような規制(ルール)が必要になります。


規制については、新しい規制を作る方法や、

今も存在している規制を活用するといった方法がありますが、

今回の条例では、すでにある規制を活用する方法を選んでいます。


この条例を読むと、文化財保護法や森林法、道路法など、いくつかの法律が書かれています。


例えば、農地法では、農地(畑や水田など)以外の目的で、勝手に使用することが」できないし、

農地法以外の法律では、それらの法律によって定められた区域の中で、勝手に開発や工事などを行うことはできません。


もし、勝手に開発などを行った場合には、違法行為となり、罰を受ける場合もあるので、

自分の土地であっても気をつけなければなりません。


(つづく)









青森市小牧野遺跡の保護に関する条例 」第3回講座です。



今回は、第一条の「目的」と第二条の「定義」について解説します。


まず、第一条ですが、ここでは、この条例を作る目的が書かれており、

第2回講座の「前文」を、具体的にしたものになっています。


では、第一条を読んでみましょう。(下の青文字)


(目的)

第一条 この条例は、小牧野遺跡の保護に関し、保護すべき小牧野遺跡の周辺区域を指定し、市及び市民等の責務を明らかにすることにより、小牧野遺跡及びその周辺区域の保護の推進を図り、もって市民の文化的向上に寄与することを目的とする。



 ここでは、目標が二つ書かれています。

 一つ目は、「小牧野遺跡及び周辺区域の保護」すること。これは、小牧野遺跡だけではなく、その周辺も保護しましょうということ。

 二つ目は、「市民の文化的向上に寄与」すること。 これは、文化などに関わりお持ちながら、役立てましょう。といった感じかな。


 さらに、これらの目標を達成するために、大きく二つの方法も書かれています。

 一つ目は、「保護すべき小牧野遺跡の周辺区域を指定」すること。これは、保護する対象を、きちんと条例で決めましょうということ。具体的には、第四条に書かれています。

 二つ目は、「市及び市民等の責務を明らかにすること」となっています。これは、青森市役所(教育委員会含む)と市民(業者なども含む)の役割分担をしましょうということで、第五条と第六条に具体的に書かれています。



次に、第二条を読んでみましょう。


(定義)

第二条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

 小牧野遺跡 文化財保護法(昭和二十五年法律第二百十四号)第百九条第一項の規定により指定された史跡小牧野遺跡(平成七年文部省告示第二十七号及び平成十三年文部科学省告示第百四十二号)をいう。

 市民等 小牧野遺跡及び第四条の規定により市長が指定する重要な保護区域に土地を所有若しくは占有し、これらの区域に滞在し、又はこれらの区域を利用若しくは通過する者をいう。


ここでの定義というのは、この条例の中で出てくる用語について説明しています。それも、用語の意味を誤解されないように、厳密に書かれています。

例えば、「小牧野遺跡」だけだと、縄文時代の範囲なのか、平安時代の範囲なのか、混乱させてしまう恐れがあります。ですので、ここでは文化財保護法という国の法律で指定された範囲。を小牧野遺跡としています。

市民等についても、普通に考えれば青森市民全員をイメージしますが、ここでは小牧野遺跡と周辺に関する土地の所有者や利用者、見学者、通行者など限定的な意味で使われています。

(つづく)




青森市小牧野遺跡の保護に関する条例 は、

前文、第一条から第七条、附則、別図という項目になっています。


今回は、「前文」(ゼンブンと読む)について解説します。


「前文」は、条項(第○条と書かれた文章)の前に置かれる文章で、

条例を作る理由や目的などを強調して書かれた文章です。


前回のブログでは、条例は、都道府県や市町村などで定める法律のようなもの。

と説明しましたが、数多くの条例の中でも「前文」が書かれたものと、無いものとがあります。


では、小牧野遺跡の保護に関する条例の「前文」を見てみましょう。

下の青文字です。


 縄文時代の遺跡である小牧野遺跡は、歴史的にも学術的にも貴重な文化遺産である。


この遺跡は、悠久の時を越え、古の時代の精神生活や社会構造を現代の私たちに示してくれている。堤川から採取された多量の大型石の運搬と設置、土地の造成など、往時の土木工事の実態を示す遺構は、私たちの好奇と探究の心をかき立ててやまない。


とりわけ、小牧野遺跡を小牧野遺跡たらしめるのは、その個性的な環状列石にある。それは、石を縦横交互に組み合わせた立体的かつ独特な外観を有し、縄文時代の土木技術上、極めて完成度が高い記念碑的構造物であり、日常の衣食住とは別に膨大な日数と労力をかけて作られ、祭祀の場として利用されていたと考えられる。


また、小牧野遺跡の価値を高めているのは、環状列石だけではない。住居跡、貯蔵穴、墓など、先人がこの土地に刻んだ活動の記録が数多く遺されている。縄文時代の人々の生活も、現代と同様に、周辺に棲む動物や美しき森林、烈々たる川の流れなどがもたらす豊かな恵みによって支えられ、育まれていたのである。


小牧野遺跡は、青く輝く陸奥湾や堤川、緑溢れる八甲田の山並みを眺望できる本市郊外の高台に位置している。豊かな自然に囲まれた、森閑たるこの遺跡は、ここがかけがえのない地であることを物語っている。


私たち市民一人ひとりが、小牧野遺跡を郷土の誇りとして深く認識し、遺跡のみならず周辺区域が、その価値を損なうことなく将来世代へと確実に引き継がれていくことを願い、この条例を制定するものである。


どうでしょう。難しいですよね。


この条例の「前文」は、6段落で構成されているので、以下、段落ごとに解説します。


  1段落目 小牧野遺跡の時代や、貴重なのか、どうかといったことを書いています。

2段落目 縄文時代の小牧野遺跡と現代の人々との関わりについて書いています。

3段落目 小牧野遺跡のシンボルである環状列石(ストーンサークル)のすごさを書いています。

4段落目 環状列石以外のことや、現在も美しい遺跡周辺の自然環境のことを書いています。

5段落目 小牧野遺跡から見える陸奥湾や八甲田山などの景色のことを書いています。

6段落目 以上のような遺跡や自然環境、景色を残すため、この条例を作る理由を書いています。



一言でまとめると、

「歴史的に重要な小牧野遺跡や遺跡周辺の豊かな自然、美しい風景を、

将来にわたり残すため、この条例を作ります!」

という決意表明みたいなものです。


なんとなく、わかりましたでしょうか?


(つづく)











こまきの自然学校は、とくに子どもに関わるボランティア組織でもありますので、

青森市小牧野遺跡の保護に関する条例 」を解説したくても、

子どもが理解できなければ、組織として失格ですよね。


ということで、せめて小学校高学年でも、わかるように、この条例の解説に努めたいと思います。



■そもそも「条例」って何?

 簡単に言うと、都道府県や市町村で定める法律みたいなもんです。

 もう少し正しく言うと、「法律」は国が定めるもので、「条例」は都道府県や市町村が定めるものです。

 

 なので、今回の小牧野遺跡の条例のように、全国の人たち(国民と呼ぶ)に関係しないような、

地域限定的な約束事を決めることが「条例」と言う。と私は思っています。


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■条例は、誰が決めるの?

 ひとことで言えば「議会」が決定します。青森市の条例の場合には、「青森市議会」が決定します。

 でも、そんな簡単なものではありません。


 まず、条例を決定するかどうかの、もとになる案を誰かが作って、

 議員に見せ、審査してもらわなければなりません。これを「条例案の提案」などと呼びます。


 この条例案を作って提案するのが、多くの場合は役所の人たちで、

場合によっては議員の皆さんによる時もあります。



■小牧野遺跡の条例は、誰が決めたの?

 今回の小牧野遺跡の条例に関しては、青森市役所の人たちが、

 議会へ条例案を提案しました。


 そして、年に4回開かれる議会のうち、平成24年第4回議会(12月です)

 で、決めてもらうことになりました。

 つまり多数決をとるということです(採決と言う)。


 この多数決をとる瞬間が、条例に関係してきた人たちが、もっとも緊張する時間帯でもあります。


 ちなみに、

 ・多数決で賛成の議員が多い場合には、条例が決定(可決と言う)

 ・多数決で反対の議員が多い場合には、条例がストップ(否決と言う) となります。


 ・また、議員全員が賛成した場合には「全会一致で可決」と言います。

 


 で、小牧野遺跡の条例に関しては、「全会一致で可決」となりました。




■条例は、議員と市役所とだけで決めていいのでしょうか?

 ん~~。難しいな~~。

 個人的には、地域の住民の意見を取り入れるべきと思いますが、

 その代表に、地域の住民が選挙で選んだ議員がいます。


 しかし、議員の人たちも、地域の人たちの考えを大切にしたいと思っているので、

 地域の住民も、議員も、役所も、皆が納得するまで話し合いをするのが、

 理想的だと思います。


 小牧野遺跡の条例の場合には、遺跡を保護するために、その周辺の自然環境をも

守るための条例なので、地域住民の方々の協力が必要になります。


 なので、小牧野遺跡の近くに住む人たちに対しては、

 平成22年度から24年度まで5回にわたる話し合いのほか、

 条例案の内容を回覧板で伝えたりもしました。


 また、青森市内のすべての家庭等(世帯と言う)に配られる「広報あおもり」で、

 特集記事を組み、条例案に対する意見も募集したこともありました。


 かなり、くどい説明になってしまいましたが、

 小牧野遺跡の条例の場合には、皆が納得するまで、かなりの時間をかけて

 作られています。



 次回は、条例の中味を解説します。ついてこれるかな?