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サラリーマン社長のムービートラベル

何とも先週とは180度異なる作品。馬鹿馬鹿しく、あほらしい、なれど先週の作品のように腹も立たなければ虚しさもない。仲間内でかわすばかっ話のように大口開けて笑うだけ。1から10まで同様の作品やったら頭は空っぽになるだけやけど気が滅入るような日常を過ごしているときはこんなんでええと思います。「ゴーストバスターズ/フローズンサマー」。40年間続くこのばかっ話にも「ゴーストの体の粒子が...」なんて出てきます。「おお、なんと『オッペンハイマー』と同じ話ししとるやないか」と感心しました。15歳の女の子がこんな話をしていますが数学・物理おまけにIT系は皆無の自分にはさっぱりわからない。けど核兵器を作る理論をうとうと聞いているよりはこの作品はバカバカしくも気楽に観れます。

40年前のコーストバスターズ創設期のメンバー、今は亡きイゴンスペングラー博士の娘キャリーとその息子トレヴァー、15歳の娘フィービーはキャリーの恋人でフィービーの元教師であるゲイリーと共に新生ゴーストバスターズとしてニューヨークで生活していた。だがゴーストを捕獲する度に町を破壊して回るスペングラー家に世間やマスコミは冷たい。特に現在のニューヨーク市長ウォルターペックは40年前のゴーストバスターズ創設以来の天敵、何かと目の敵にしゴーストバスターズを営業停止に追い込もうとしていた。今回は15歳のフィービーに目をつけ未成年の労働違反として騒ぎ立てた。母やゲイリーが庇ってくれるものと思っていたフィービーだが以外にもバスターズの仕事に加わることを阻んだ。チームとしてはフィービーの頭脳が欠けることは痛かったが彼女の将来を思ってのことだった。だがフィービーは面白くない。一人ぼっちにされたようで友達もいないフィービーは夜の公園で同じ年頃の少女のゴースト、メロディと出会い友達になる。

同じ頃、旧ゴーストバスターズのメンバー、レイの経営するオカルト書店にナディームと言う男が謎の球体が持ち込まれた。その球体から発せられる霊体エネルギーは異常なほど強力だった。球体は同じく旧メンバーのウィンストンが責任者を務める超常現象研究センターで調査されることになった。調査の結果、球体には「死の冷気」ですべてのものを凍らせる古代の邪神ガラッカが封じ込められていた。球体の中からガラッカは外のゴーストたちに指令を送っていた。メロディも脅され、フィービーを利用して球体の封印を解こうとしていたのだ。そして遂に封印が解かれる...。新旧コーストバスターズが結集してガラッカを迎え撃とうとしていた。

 

ゴーストバスターズも40年ですか...。色褪せませんなあ。一作目が公開された時、自分はまだ大学生。ダンエイクロイドやビルマーレーの頭を見ていれば自分が年をとったってことを実感します。「ゴーストバスターズ」の第一作が公開された時は正月映画でした。この時は3Gと言ってね、「ゴジラ」「グレムリン」そして「ゴーストバスターズ」といやあ、映画館は大盛況でしたねー。これぞ、正月映画!って感じでねー。出来、不出来は別としてね、なんか華やかさがあったわ。それに比べて最近の正月映画はなんかしょぼいですわ。

当時の主演、ビルマーレー、ダンエイクロイド、ハロルドライミスは当時のコメディアン俳優の中ではトップスターでした。ジョンベルーシが生きてれば当然このメンバーに入ってたやろね。それを観てるから日本じゃほぽ無名のキャスティングの今のメンバーはやっぱりなかなか大爆笑とはいきませんね。そりゃあしゃあないかな。当時の3人を超える顔ぶれは今はいないですからね。あのボケと言い、間と言い、スタンダップコメディに慣れていない日本人にも十分通用しました。映画館は大爆笑でした。あれだけの笑いは今では取れません。

悲喜こもごもの40年。このシリーズの初期メンバー、ハロルドライミスは10年前に、このシリーズの生みの親アイヴァンライトマンは2年前にこの世を去りました。彼らは亡くなっても映像の中で、そして彼らが作ったものは残ります。羨ましい限りです。我々凡人は何も残りません。はぁーっ、歴史を感じる作品は年を取るとなんか愚痴っぽくなりますね。

 

 

 

 

 

ガッカリやわ。今年のアカデミー賞で流行ったアジア人差別がどうのとは別にして、クリストファーノーラン監督は言いました。「日本人にこそ観てほしい」と。観ましたよ、で?何が伝わって来たかと言うと、ああ、この物語「オッペンハイマー」は共産主義者との関わりに関してに重きを置いて描かれているのだなと言うこと。ナチスドイツが降伏した後、「まだ日本がある」と強硬に原爆投下を推し進め、その結果、作った本人が、その惨状に苦悩し、被爆に関する幻影を見るところが申し訳程度に描かれているけどやはり広島も長崎も被爆の惨状はその映像に描かれていません。アメリカ人の原爆、核兵器に対する意識は薄いのだなと、何も今更「罪の意識を感じろ」と言うつもりはないけど「ああ、この程度なのね」と言う思いが強かった。この作品の中には日本人にとって「胸糞」なセリフやシーンがいくつか出てきますね。「落としてやった」「大戦の終結を早めることができた」「米兵の命を救うことができた」「京都は歴史的建造物が多いからやめとこう」「東京は空襲で破壊するものがもうないからな」。忌々しい限りですわ。「原子爆弾を作ったのはキミだが、使ったのは私だ」と言うトルーマンのあの胸を張る誇らしい態度。今更ながら気分が悪くなりました。トルーマン大統領を演じているのがゲイリーオールドマン、またこういった憎まれ役がうまい!物語は戦後、共産主義者のレッテルを張られたロバートオッペンハイマーの聴聞委員会のシーンから彼の半生を回想していくような形で展開されて行きます。最初の20分位で「核兵器の使用」に関する贖罪もなく、オッペンハイマーに対する、共産主義者であるか否かと言う嫌疑とノーラン監督お得意の抽象的な映像で延々3時間終わってしまうんやなと思いました。日本人にとってオッペンハイマーが赤かどうかなんてことはどうでもいいこと。核兵器、新型爆弾=原子爆弾を作り上げたこと、それを使用されたことに彼がどういう思いでいたのか。それを知りたいんやけどね。どうやらクリストファーノーランが描きたかったのはそれとちゃうらしい。

第二次世界大戦後、マッカーシーの「赤狩り」旋風が猛威を振るうアメリカ合衆国でJロバートオッペンハイマーは聴聞委員会にかけられていた。共産主義者との関わりを追求されていたオッペンハイマーは「マンハッタン計画」において原子爆弾の開発・製造を主導し戦争を終結させた人物としてアメリカ中から称賛された人物だった。

彼は1926年イギリスに渡りケンブリッジ大学で実験物理学を専攻していたが実験は大の苦手。主任教授のニールスボーアに奨められられドイツへ渡って理論物理学を学ぶことに。彼はそこで才能を開花させ博士号を取得した後、アメリカへ帰国。カリフォルニア大学で教鞭をふるうことになった。あるパーティで共産党員のジーンタトロックと会い恋仲になる。聡明だが奔放な彼女とは長続きはしなかった。その後、植物学者のキャサリンと出会い子供もできる。だがこの頃から彼の身辺捜査をFBIが開始し始める。

1942年「マンハッタン計画」の最高責任者である陸軍将校レズリーグローブスよりプロジェクトの参加を打診。彼はそこで極秘プロジェクトである原子爆弾の開発に加わることになる。当時ナチスドイツとの軍拡、核兵器開発競争は激化を極めていた。アメリカは全米から優秀な学者たちを招集。開発の主導的立場だったオッペンハイマーはニューメキシコのロスアラモスに研究所を設置。家族たちをそこに移住させ国家の存亡をかけたこのプロジェクトに全精力をそそいだ。

1945年ドイツ降伏。だがアメリカの戦いの矛先は日本に向けられ原子爆弾の研究は続けられた。遂に新型爆弾=原子爆弾が完成。7月の「トリニティ実験」に成功。そして遂に8月、広島、長崎に原子爆弾が投下。日本は降伏する。戦争終結の立役者としてアメリカ中から称賛を浴びるオッペンハイマーだったが投下後の惨状を知った彼は苦悩し、幻影を見るようになる。

終戦後、時代はソ連との冷戦に突入。アメリカ政府はさらなる威力をもつ水素爆弾の開発に邁進していく。オッペンハイマーは原子力委員会のアドバイザーとなるが核開発競争の加速を憂慮した彼は水素爆弾の開発に反対の立場をとる。だがそれは共産主義者との関わりが取りざたされる彼にとっては自らを追い詰めていくことになるのだつた...。

 

放射能を浴びた人や街の惨状はおろかキノコ雲さえ映像はない。アメリカ人は自分たちのやったことを現実として直視することを避けたと感じましたね。広島の原爆資料館に行きゃあこの地獄絵図は嫌と言うほど見れます。現にこのインバウンドのご時世、アメリカ人の方で足を運んで衝撃を受けている方々も多数います。その昔、革命家としてその名を轟かせたチェゲバラが日本に来日した時のエピソードを目にしたことがあります。来日した時、何はともあれ「広島へ行きたい」と言ったそう。原爆資料館でその惨状を目にし「ここまでされて、日本はなぜ怒らないんだ!」と憤ったといいます。科学の発展と大量殺戮兵器。まさに諸刃の剣です。東京大空襲も原爆投下も非武装、無抵抗の民間人を大量虐殺することにおいては明らかな国際法違反。日本人としてはここんところをもっと描いてほしかったですな。たらたらと3時間も一人の科学者の人生観や人間性、主義主張を無駄に描くならね。最初の方の一幕で実験室に置いてあるリンゴに毒薬を注入したものの、慌ててそのリンゴを恩師の手から奪い取るシーンがあります。これはオッペンハイマーと言う人物の精神的な危うさを描いたシーンだと思います。

演じているのがやはりやや病的な感じのするキリアンマーフィ。この役でオスカーをとったのは記憶に新しいところ。だがこの作品に出演している顔ぶれが凄い。妻を演じたエミリーブラントの他、「マンハッタン計画」の責任者、陸軍将校レズリーグローブスにマットデイモン、最終的に戦後、水爆実験を巡ってオッペンハイマーと対立することになる原子力委員会の委員長ルイスストローズにロバートダウニーJr、オッペンハイマーの恩師にケネスブラナー、その他にもレミマレック、ジョシュハートネット、ケイシーアフレックと綺羅星の如く名優が顔を揃えています。クリストファーノーランの情熱に惹かれて集まった面々は顔ぶれが凄い。けど日本人には、少なくとも自分には心が揺り動かされるものがなかったですね。ロバートダウニーJrに関してはオスカー初受賞したあの態度(プレゼンターのアジア人俳優キーホイクァンを無視したって言うアレ...)そのままの役なんやなって。ああ、この国はやっぱり横柄な国、それでもしゃあなしにつき合っていかなあかんのやね。延々3時間言い訳にもならんようなこと並べたてられた感じです。まあどっかの国みたいに80年近くもたって今更誤ってくれなんて言わんけどね。けど、水爆実験で生まれた「ゴジラ」が同じ年の舞台に立ったと言うのは洒落と言うか皮肉と言うか運命と言うか...なんか...ねぇ。この場で何度も言うようですが日本は世界で唯一の被爆国です!

 

 

 

 

アーロンエッカードって名前を聞いて知っている方は何人いる?けれどもこの人、脇に回ればなかなかの個性を発揮する。そんな彼が堂々主演のアクション映画「ブリックレイヤー」。「ブリックレイヤー」って何?レンガ職人さんです。平々凡々と黙々とレンガを積み上げ、セメントでくっつける地味ぃ~で、プロフェッショナルなお仕事です。そんな平和なお仕事の彼がかつてのお仕事に呼び戻される。かつてのお仕事...。彼は元凄腕CIAエージェント、ここでいうエージェントって言うのは我々、お客様の代わりに旅行を組み立てる旅行代理店のエージェントや一流プロスポーツ選手の代わりに交渉事に当たるエージェントなんかを差すんじゃなくて組織のエージェント、諜報活動やもっと言えば政府や国にとって有害なものを抹殺、要するに人を殺めちゃうのがこのお仕事です。

そんな脇に回れば「クセが強いんじゃ~」的な役者、アーロンエッカートがデンと主演に座った作品。ヨーロッパ各地で起こる「反アメリカ」運動。「このままでは欧州とアメリカで第三次世界大戦が」なんて大層な設定だけどこの顔ぶれでなんかあんまりそんな緊張感が伝わってこないのが難点なんやけど、アーロンエッカード56歳頑張りました。遅咲きといっちゃあ失礼やけどはじめてやないんかなあ、主演、座長さんは。監督がこれまた凄い。レニーハーリン。「ダイハード2」「クリフハンカー」「ディープブルー」なんて骨太なアクション娯楽作品を作る人。「ロングキス・グッドナイト」なんて元嫁ジーナデイビスを主演にしたスパイアクション、大好きやったわ。そんな二人がタッグを組んだこの作品。結構期待MAXです!

アメリカの諜報活動への抗議デモが欧州で広まっていた。そんな矢先にギリシャ、テッサロキニで反米派のドイツ人女性ジャーナリストが遺体で発見された。もうすでに反米派の有名人が同じ手口で殺害されていた。CIAの仕業に見せかけたこの事件はより一層ヨーロッパ中の民衆を煽り立て、反米意識を駆り立てた。事態を重く受け止めたアメリカ政府CIAは一人の容疑者に注視する。ヴィクターラディック。だが彼は一年前に死亡したはずだった...。

一連の事件を捜査するため一人の男がCIAに呼び戻される。今はレンガ職人で静かな人生を送っているスティーヴヴェイルだ。彼はかつてはラディックと並ぶ凄腕のCIAエージェントでありラディックとは親友だった。そして命令によりラディク抹殺を実行したのもヴェイルだった。ヴェイルは一度は断るがその夜、正体不明の暗殺者グループから襲撃を受け、ラディックが生きていることを感じ取る。彼はCIAが付けた新人の女性局員ケイトバノンを伴い、テッサロキニへ飛ぶ。彼は地元の犯罪組織に接触、そしてギリシャ政府の高官となってたかつての恋人タイから事件の情報を得る。だがヴェイルにはCIAには隠していた秘密があった...。そして遂にテッサロキニの繁華街のど真ん中、白昼堂々、ビクターラディックは姿を現す。

 

アーロンエッカートの主演ははじめてちゃうかな、なんて言ったけど「ザ・コア」って作品で主演なんですよね。けどこの時はヒラリースワンクとダブル主演(「地球の核=コアが止まりかけている。ほな、核兵器を使って回転させようぜ」って無茶苦茶な話し)。ああ、「世界戦略:ロサンゼルス決戦」なんてエイリアンが攻めてくるSF作品も主演やったか、でもこれだって団体様主演映画みたいなもんやしね。ジェラルドバトラー主演の「エンド・オブ・ホワイトハウス」から始まるシリーズで大統領を演じたのなんかが有名やけど、自分はクリスチャンベイルがバットマンを演じた「ダークナイト」で〝トゥーフェイス〟を演じたのが一番印象的です。今回は単独主演、やはり遅咲きの出世感があります。

さて今回、舞台となったギリシャの〝テッサロキニ〟なんですがマケドニアの王カッサンドロスが紀元前315年に創設したと言うもうほんまにふっるーい、由緒正しき街です。なんせイエスキリストが誕生するずーっと前から存在するんですからね。こういう街で映画を撮ると狭い路地が無数にあります。こういうところでカーチェイスを撮ると実に臨場感あふれるシーンが出来上がります。撮影許可や地元住民との兼ね合いがありますからまあその辺はうまくやって物を壊さないようやって頂きたいもの。それともハリウッドで同じようなセットを作るんかな?

しかし、アメリカも自覚しとるんやね。自分らの横暴さが一部で嫌われているって言うのも。これはレニーハーリンがフィンランド出身なのか原作がそうなのかわかりませんが。CIAの外国での活動が起承転結の「起」になっています。この物語の敵役となっている元CIAの男は家族をロシアのKGBに殺されています。その復讐のためKGBに牙を向けたのを制止するためCIAは彼を抹殺しようとしたわけです。まあ政治的な解決なわけですが今度はその牙の矛先が自国、アメリカに向けられます。「俺らが命を懸けて国のために働いているのになんや!」と言うことですわ。

どうもウォーターゲート事件以降、CIAと言うのは悪役が多い気がします。映画のヒーローでも元CIA、嫌気がさしてやめた人、ある事件がきっかけでやめた人とかってのがやたら多いです。けど今の大国アメリカを支えているのもCIAなわけやし。その辺は何とも複雑。けどね、今のこの国際情勢、日本も諜報機関は絶対に必要です。第二次世界大戦以前は日本の諜報機関は優秀でした。明石元二郎なんてね、無茶苦茶優秀な方です。日露戦争なんてこの人がいたから勝ったなんて人もいます。話が大きく飛びましたが誰かが嫌われる仕事をせなあかん訳です。きれいごとじゃ国は守れません。ほんまおめでたいわ日本は...。