ブリックレイヤー | kazuのブログ

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アーロンエッカードって名前を聞いて知っている方は何人いる?けれどもこの人、脇に回ればなかなかの個性を発揮する。そんな彼が堂々主演のアクション映画「ブリックレイヤー」。「ブリックレイヤー」って何?レンガ職人さんです。平々凡々と黙々とレンガを積み上げ、セメントでくっつける地味ぃ~で、プロフェッショナルなお仕事です。そんな平和なお仕事の彼がかつてのお仕事に呼び戻される。かつてのお仕事...。彼は元凄腕CIAエージェント、ここでいうエージェントって言うのは我々、お客様の代わりに旅行を組み立てる旅行代理店のエージェントや一流プロスポーツ選手の代わりに交渉事に当たるエージェントなんかを差すんじゃなくて組織のエージェント、諜報活動やもっと言えば政府や国にとって有害なものを抹殺、要するに人を殺めちゃうのがこのお仕事です。

そんな脇に回れば「クセが強いんじゃ~」的な役者、アーロンエッカートがデンと主演に座った作品。ヨーロッパ各地で起こる「反アメリカ」運動。「このままでは欧州とアメリカで第三次世界大戦が」なんて大層な設定だけどこの顔ぶれでなんかあんまりそんな緊張感が伝わってこないのが難点なんやけど、アーロンエッカード56歳頑張りました。遅咲きといっちゃあ失礼やけどはじめてやないんかなあ、主演、座長さんは。監督がこれまた凄い。レニーハーリン。「ダイハード2」「クリフハンカー」「ディープブルー」なんて骨太なアクション娯楽作品を作る人。「ロングキス・グッドナイト」なんて元嫁ジーナデイビスを主演にしたスパイアクション、大好きやったわ。そんな二人がタッグを組んだこの作品。結構期待MAXです!

アメリカの諜報活動への抗議デモが欧州で広まっていた。そんな矢先にギリシャ、テッサロキニで反米派のドイツ人女性ジャーナリストが遺体で発見された。もうすでに反米派の有名人が同じ手口で殺害されていた。CIAの仕業に見せかけたこの事件はより一層ヨーロッパ中の民衆を煽り立て、反米意識を駆り立てた。事態を重く受け止めたアメリカ政府CIAは一人の容疑者に注視する。ヴィクターラディック。だが彼は一年前に死亡したはずだった...。

一連の事件を捜査するため一人の男がCIAに呼び戻される。今はレンガ職人で静かな人生を送っているスティーヴヴェイルだ。彼はかつてはラディックと並ぶ凄腕のCIAエージェントでありラディックとは親友だった。そして命令によりラディク抹殺を実行したのもヴェイルだった。ヴェイルは一度は断るがその夜、正体不明の暗殺者グループから襲撃を受け、ラディックが生きていることを感じ取る。彼はCIAが付けた新人の女性局員ケイトバノンを伴い、テッサロキニへ飛ぶ。彼は地元の犯罪組織に接触、そしてギリシャ政府の高官となってたかつての恋人タイから事件の情報を得る。だがヴェイルにはCIAには隠していた秘密があった...。そして遂にテッサロキニの繁華街のど真ん中、白昼堂々、ビクターラディックは姿を現す。

 

アーロンエッカートの主演ははじめてちゃうかな、なんて言ったけど「ザ・コア」って作品で主演なんですよね。けどこの時はヒラリースワンクとダブル主演(「地球の核=コアが止まりかけている。ほな、核兵器を使って回転させようぜ」って無茶苦茶な話し)。ああ、「世界戦略:ロサンゼルス決戦」なんてエイリアンが攻めてくるSF作品も主演やったか、でもこれだって団体様主演映画みたいなもんやしね。ジェラルドバトラー主演の「エンド・オブ・ホワイトハウス」から始まるシリーズで大統領を演じたのなんかが有名やけど、自分はクリスチャンベイルがバットマンを演じた「ダークナイト」で〝トゥーフェイス〟を演じたのが一番印象的です。今回は単独主演、やはり遅咲きの出世感があります。

さて今回、舞台となったギリシャの〝テッサロキニ〟なんですがマケドニアの王カッサンドロスが紀元前315年に創設したと言うもうほんまにふっるーい、由緒正しき街です。なんせイエスキリストが誕生するずーっと前から存在するんですからね。こういう街で映画を撮ると狭い路地が無数にあります。こういうところでカーチェイスを撮ると実に臨場感あふれるシーンが出来上がります。撮影許可や地元住民との兼ね合いがありますからまあその辺はうまくやって物を壊さないようやって頂きたいもの。それともハリウッドで同じようなセットを作るんかな?

しかし、アメリカも自覚しとるんやね。自分らの横暴さが一部で嫌われているって言うのも。これはレニーハーリンがフィンランド出身なのか原作がそうなのかわかりませんが。CIAの外国での活動が起承転結の「起」になっています。この物語の敵役となっている元CIAの男は家族をロシアのKGBに殺されています。その復讐のためKGBに牙を向けたのを制止するためCIAは彼を抹殺しようとしたわけです。まあ政治的な解決なわけですが今度はその牙の矛先が自国、アメリカに向けられます。「俺らが命を懸けて国のために働いているのになんや!」と言うことですわ。

どうもウォーターゲート事件以降、CIAと言うのは悪役が多い気がします。映画のヒーローでも元CIA、嫌気がさしてやめた人、ある事件がきっかけでやめた人とかってのがやたら多いです。けど今の大国アメリカを支えているのもCIAなわけやし。その辺は何とも複雑。けどね、今のこの国際情勢、日本も諜報機関は絶対に必要です。第二次世界大戦以前は日本の諜報機関は優秀でした。明石元二郎なんてね、無茶苦茶優秀な方です。日露戦争なんてこの人がいたから勝ったなんて人もいます。話が大きく飛びましたが誰かが嫌われる仕事をせなあかん訳です。きれいごとじゃ国は守れません。ほんまおめでたいわ日本は...。