要介護認定と身体障害者認定の違い

脳出血で左側手足が麻痺となり、地元の市役所の判定で「要介護4」と要介護認定された祖母につき、「身体障害者認定」の申請手続きについて同市役所に問い合わせたところ、頭の認知度は正常であるので、「身体障害者認定はできない」旨の返答がありました。このような返答があったのは、市役所の「介護保険課」であり、身体障害者の認定を取り扱う「福祉障害支援課」ではございません。祖母の状態は、左側の手足が麻痺し、健康な方のように自由に手足を動かすことができず、トイレ、洗面、着替え等の日常生活に困難を伴い、車椅子での生活なのに、なぜ身体障害者認定が受けられないのか、疑問に感じました。そこで、同市役所の「福祉障害支援課」を直接訪ね、「介護保険課」から言われたことを確認したところ、「頭の認知度は正常であっても、左側の手足が麻痺し、日常生活に支障があるのであれば、身体障害者認定はできる」との返答がありました。このように、市役所内の部局の違いにより、要介護認定者の身体障害者認定の取り扱いは異なるものでした。どちらの見解が、正しいのでしょうか? 市民にとって、市役所内部の見解が分かれることは、市役所に対する「不信」の疑念が高まるのみです。この件につき、誤った回答をしたのは、「介護保険課」の職員です。介護保険課の職員は、「要介護認定」と「身体障害者認定」との区別ができず、また問題なのは、医師でもないのに、身体障害者認定の可否を自らが判断し市民に伝達していることです。高齢化社会を迎え、このような脳卒中(脳出血や脳梗塞)を引き起こす人は、年々増加しています。また、医療や治療法の高度化に伴い、死亡に至らず、麻痺した体をリハビリ等により克服する人も増えているのも事実です。とはいえ、脳卒中による四肢の麻痺の回復は、そう簡単なものではなく、いわば「時間との闘い」ともいえます。その長い時間との闘いを支えるのが、要介護認定を基礎とする介護保険制度であり、また指定医師の判断の下で行われる身体障害者認定制度です。介護保険制度と身体障害者認定制度は、それぞれが意図する目的が異なるのですが、縦割り行政である市役所の各部局の職員は、「介護」と「身体障害」との区別ができず、総じて、「要介護認定」と「身体障害者認定」の行政的意図が理解できていない現状があります。当該部局に配属される市役所の職員は、自らの部局のミッションのみならず、トータルで、介護・身体障害者に対する社会福祉理念を学ぶ必要があります。このような福祉政策に対する市役所職員の教育の不徹底さは、なんともむなしさを感じ得ずにはいられません。この市役所の管轄下にある地域の住民は、要介護認定を受けているにもかかわらず、身体障害者認定は受けていない人が、きっと多いことでしょう。福祉政策は、国民全体に適用されるべきであり、行政当局者の不勉強により、その政策の恩恵が受けられないその地域の住民は、憲法で保障する「平等」という対象から外れてしまう可能性があります。要介護認定と身体障害者認定とを識別して、行政に反映できない地方自治体は、もはやその存在の意義を逸することとなるでしょう。

 

要介護認定と身体障害者認定の判定

さまざまな支援が準備されている介護保険制度の適用を受けるためには、要介護の認定が必要となります。介護保険制度では、寝たきり、痴呆や脳卒中(脳出血、脳梗塞等)等で常時介護を必要とする状態(これを要介護状態といいます)になった場合、あるいは家事支度等の日常生活に支援が必要となった状態(これを要支援状態といいます)の場合、居住する市町村等から介護サービスを受けることができます。この要介護状態や要支援状態にあるか否か、またそのような状態であるとすれば、どの程度(レベル)であるのかを判定するのが、要介護認定です。要介護認定の手順は、まずは要介護者の家族が(本来ならば、要介護者が役場に出向くこととなるのですが、要介護者はそのようなことはできませんので、家族がその代理として申請することができます)、居住する市町村の役場(本来は、都道府県レベルの管轄ですが、各都道府県は管轄の各市町村にその事業を委託しています)に、認定のための申請を行います。申請を受け付けた役場は、要介護者の「心身の状況に関する調査」のために、職員を要看護者のもとに派遣します。要介護者が入院している場合には、調査員は病院まで出向きます。そこでは、基本調査として、79項目の調査が、面談の形(入院中の要介護者との面談では、入院ベッドで面談が行われます)で行われます。この面談による聞き取り調査と主治医の意見書が、役場の内部で設定されている「介護認定審査会」に諮られ、要介護の認定が行われます。要介護認定は、1段階から5段階までの5つに区分されます。この段階の数値が大きいほど、要介護の重度が高まります。このように、要介護認定は、医師の判断のみで決まるものではなく、医師以外の者を含む認定審査会で決定されます。この決定においては、医師ではない役場の職員が行う直接的な「聞き取り調査」の結果が決め手となります。ちなみに、脳出血を原因として左側半身麻痺状態ではありますが、認知度(意識・判断能力のこと。私の祖母の場合、不自然な会話がなく、話し相手の識別が可能な状態にあります)には支障のない私の祖母の要介護認定度は4でした。

 

他方、身体障害者の認定は、指定医師が作成する「身体障害者診断書・意見書」の内容でほぼ決定します。指定医師とは、身体障害者診断書が作成できる都道府県知事が指定した医師のことです。医師なら誰でもその診断書が出せるものではございません。指定医師が作成した診断書につき、役場内で審査されることとなりますが、身体障害の認定は、実質上、その医師の判断で決定されます。身体障害者であると認定されますと、障害者手帳が交付され、租税優遇等のさまざまなサービスを受けることができます。このように、要介護認定が直接的な医師の判断に基づくものではないのに対し、身体障害者認定は医師の判断で決定されるという違いがあります。指定医師が行う身体障害の診断におきまして、認知度が正常であっても、手足に麻痺が認められる場合には身体障害と判定されます。通常、要介護認定を受けたのちに、身体障害者認定の申請を行うという手順となります。身体障害者の認定では、障害の度合いがほぼ固定化した時点での判定となります。障害の原因となった脳卒中等の病気発症日から6ヶ月以降経過した時点で、身体障害者認定の申請が可能となります。

 

私の祖母の場合、市役所の介護保険課の職員から、「『認知度』が正常であるので、身体障害者認定はできない」と言われました。しかし、この市役所の職員の「言」は、2つの点において、全く誤ったものです。まず第一に、身体障害者認定は、指定医師が行うものであり、医師でもない市役所の職員が、身体障害者認定ができるとか、あるいは身体障害者認定はできないとか、このような判断を示すことはできません。第二に、認知度が正常であっても、四肢に麻痺があれば、身体障害者認定は可能です。要介護認定の聞き取り調査で、認知度が正常と判定されているので、そのような正常な認知度の人は、身体障害者認定の申請はできないと言った市役所職員の理解は、全く誤ったものです。一般に、市役所内においては、介護保険課と福祉障害支援課とは、まったく異なる別組織体となっていて、両部局の任務上の交流が、ほとんどないことが、このような誤りの原因となっているのです。このような現状ですと、市役所職員の判断の誤りで、身体障害者認定を受けることができなかった多くの市民がいることとなります。市役所の介護保険課と福祉障害支援課とは、相互の連携を高め、また両部局の職員は、自ら担当するサービス領域のみならず、他局のことに関しても、十分に教育する必要があります。なぜならば、脳卒中等で倒れた患者およびその家族にとっては、要介護認定と身体障害者認定の両者が、並行して同時に、直接かかわってくるからです。市役所の職員には、そのような患者家族の直面する状況に、自らの職務領域に固執することなく、総合的に判断することができる能力が求められます。

 

高齢化社会を迎え、脳出血や脳梗塞などの脳血管障害を発症する高齢者が増えてきました。幸いなことに、命に別状がない場合、その患者の目指す次のステップは、日常生活が送れるような社会復帰です。病院から住み慣れた自宅に帰ることが、患者本人及びその家族の願いです。しかし、現状においては、先のブログで触れました回復期リハビリテーション医療制度の問題、またここで記載しました介護保険制度と身体障害者認定制度等の行政的な問題が存在します。高齢化社会における医療制度はどうあるべきか、また社会福祉政策はどうあるべきか、多くの課題が残されています。

 

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