介護前の回復期リハビリテーション病棟への転院問題
みなさんは、「回復期リハビリテーション」あるいは「回復期リハビリテーション病棟」という言葉を聞いたことがありますか。高齢化社会を迎え、脳梗塞や脳出血といった脳血管障害を発症する高齢者が増えてきました。これらの脳血管障害は、生命に危険が及ぶ重大な病気ですが、幸いなことに命を取り留めても、四肢の運動機能の低下、言語障害、嚥下障害などの後遺症が生じることが多いです。脳血管障害で生じるこれらの後遺症の改善に有効な薬物治療はなく、リハビリテーション(リハビリ)が唯一の治療法となっています。ところが、原疾患である脳血管障害(脳出血等)の治療を終え、引き続き病院に入院しながらこのリハビリ治療を受ける場合(これを回復期リハビリといいます)、一定の厳格な制限があるために、「回復期のリハビリ治療を受けることができない」という深刻な医療制度の欠陥があります。問題は、第一に、なぜ原疾患の治療期間の2ヶ月以内に回復期リハビリ(回復期リハビリ病棟の入院又は回復期リハビリ病棟のある病院への転院)に移行しないと回復期リハビリが受けられないのか、第二に、何で回復期リハビリ入院治療に、法的・行政的な入院期間の制限があるのか、です。例えば、脳梗塞・脳出血などの脳血管障害ですと、回復期リハビリで入院することができる期間は、通常で150日間、重篤な場合は180日間となっています。入院しながらリハビリ治療に専念したくても、この制限のある期間を超えて入院することはできない仕組みとなっています。しかも、厚生労働省が、医療機関に回復期リハビリ期間を短くするノルマを課しているため、実際には、表上の許容入院期間まで入院することはできない現実があります。脳卒中で命を取り留め、半身麻痺が生じてリハビリでこれを治そうとしても、現代の医療制度では、十分な治療を受けることができないのです。このような欠陥だらけの医療制度の下では、回復期リハビリを受けられない患者は、自宅で静養するか、あるいは老人ホームへの移転が強いられます。この選択は、何れにしましても、患者家族にとっては、自らの仕事を犠牲にした人的な介護という側面、あるいは経済的な側面という大きな課題と選択が求められることとなります。わが国の医療制度は国民皆保険制度を理念としており、相互扶助の概念がその制度を支えていますが、回復期リハビリ医療制度の厳格な制限は、もはや医療制度の理念を失ったものと考えられます。わが国の医療制度は破綻したものと同じであり、国民皆保険制度の下、何のために医療保険料を支払っているのか、はなはだ疑問を感じ得ずにはいられません。ここでは、合憲性の観点からも問題となる回復期リハビリ医療制度の深刻な問題点について、実体験を踏まえながらお話します。ブログでは、その内容につき、今回と次回の2回に分けて、回復期リハビリ医療制度の問題点についてお話します。
病気治療の経過区分とリハビリ治療の制限
病気やけがを負いますと、病院で治療を受けることになりますが、病態によっては入院が必要となることがあります。脳梗塞や脳出血などの脳血管障害(脳疾患)、心筋梗塞や心不全などの心疾患及び各種のがん疾患は、死亡の原因となる3大疾患といわれますが、これらを患う患者のほとんどが病院に入院し、治療を受けることとなります。この3大疾患以外の疾病でも、特に外科領域で手術が必要な場合は、必ず入院による治療処置がおこなわれます。
病気の治療期間は、病気の発症後、急性・治療期治療、回復期治療、維持期治療の3つに区分されます。急性・治療期治療は、原疾患の治療を直接的に行う期間のことをいいます。例えば、脳出血の場合を例として説明します。自宅で脳出血を起こしますと、立っていられず、座り込んだり、倒れたりします。手足が動かなくなり、家族がこれをみて病院へ救急搬送されることになります。救急病院でMRIやCT検査などが行われ、病因が脳出血と特定されます。その後、先ずは脳内出血を止めるための止血剤投与が、点滴輸液として行われます。同時に、水分と栄養補給のための点滴輸液が行われます。脳内出血が止まったことをMRIやCT等で確認した後、出血した脳内の血液の塊(血腫といいます)を除去・洗浄するために脳神経外科手術が行われます。頭蓋骨の一部を取り外し、血腫を吸引・洗浄して出血した脳内の血液を除去します。取り外した頭蓋骨を固定化して手術は終了します。脳内の出血で生じた血腫は、止血後3週間程度で体内に吸収され消失するのですが、脳内出血による四肢の麻痺、言語障害、嚥下障害といった脳出血による後遺症の回復期間を短縮するために、このような脳神経外科手術が行われます。手術後は、手術による感染と出血の再発に留意しながら、水分・栄養補給の点滴輸液の下、経過観察となります。このような治療過程が急性・治療期治療と呼ばれるものです。脳出血の場合、術後の経過観察期間は約2ヶ月間ほどです。この期間で、経過がよければ術後約1ヶ月ごろから、水分・栄養補給のための点滴輸液と併用して、ペースト状の食事が少量1日3回提供されます。また、点滴輸液をしたまま、ベッドまたはリハビリ室(車椅子で運ばれる)で、手足を動かす比較的簡単なリハビリが行われます。言語障害に対するリハビリも同時に行われます。これを急性期リハビリテーションといいます。術後6週目(1ヶ月半)ごろには、点滴輸液も外され、原疾患の観察下(出血・止血状況やバイタルサイン)及びペースト状の食事の下で、急性期リハビリテーション治療が行われます。ペースト状の食事が提供される理由は、脳出血や脳梗塞などの脳血管障害の場合、嚥下障害が生じることが多々あるためです。嚥下障害では、食べた食べ物が胃に行かずに気管支に入ってしまい、それが肺の中に入ることによって肺炎を引き起こします。脳出血の場合、左側の頭部の脳内で出血が生じますと、右側の手足が動かなくなります。また、右側の頭部の脳内で出血が起こりますと、左側の手足が動かなくなります。脳出血による四肢の麻痺等の後遺症は、体の真ん中の線(体の縦方向)を中心に、左右に分かれて、その障害が発現します。手足の麻痺は、外から見て容易に分かるのですが、嚥下障害のように外からの観察では後遺症の障害が見えにくいものもあります。脳出血で半身麻痺が生じた場合、単に手足の麻痺のみならず、食べ物が通過する食道などの体内器官も、体の縦方向に麻痺が生じているのです。それにより、脳血管障害では、嚥下障害が発症するのです。
脳出血の場合、急性・治療期の期間は約2ヶ月程度とされ、問題がなければ脳出血という疾患の直接的な救急治療は終了したことになり、救急搬送された病院の役割も終了することとなります。脳出血は、死亡につながる重大な疾患ですが、急性・治療期の治療で脳出血の病態が改善されたことが確認されても、脳出血による四肢の麻痺(運動機能不全)、言語障害、嚥下障害等の後遺症が残ることがほとんどです。脳出血という原疾患の治療とそれによる後遺症の治療は医学的に異なるというのが、現代の医学の考え方であり、現行の診療保険医療制度もこれを区別して制度設計が成されています。
急性・治療期の治療が終了したと判断されますと、後遺症治療のためのリハビリ治療が主体となる回復期の治療ステージに移行することとなります。この回復期治療では、脳出血等の原疾患に対する直接的な治療は行われず、病院のリハビリ病棟に入院しながら、ひたすらリハビリ治療を受けることとなります。ここで問題となるのが、急性・治療期治療から回復期治療への移行にかかる問題です。その問題の第一は、リハビリ病棟への入院又は転院は、いつでもできるものではなく、一定の急性・治療期治療期間を過ぎてしまうと、もはやリハビリ病棟に入院することができない仕組みとなっていることです。例えば、脳卒中などの脳血管障害や大腿骨・脊椎などの骨折では、その疾患の発症からリハビリ病棟入院までの期間が、「2ヶ月以内」でないと、リハビリ病棟に入院することができない、と国の規則で定められています。つまり、脳卒中等を発症して、その後2ヶ月以内にリハビリ病棟への入院又は他の病院のリハビリ病棟への転院ができなければ、もはやリハビリ病棟に入院し、リハビリ治療を受けることができないということになります。リハビリ病棟に入院することができなければ、患者は、自宅での静養あるいは老人ホームへの移送となり、回復期の十分なリハビリ治療を受けることができないという状態となります。また、患者家族にとっては、自宅での介護負担が生じますし、老人ホームへの移送も含め、経済的負担が切実な問題として生じます。
リハビリ病棟に入院することができるとされる「2ヶ月間規定」は、極めて問題のある国の規定です。例えば、脳血管障害の場合、脳血管障害の場合、その障害の程度(重症度)にかかわらず、「2ヶ月」という一定の固定化された期間で、急性・治療期の期間を定めていることです。脳血管障害の直接的な治療期間は、その重症度、合併症の有無、患者の体質等、患者の状況に応じて、それぞれ患者ごとに異なります。比較的短い期間で治療を終える患者もいれば、「2ヶ月」を超えて、長きにわたり治療を必要とする患者もいます。脳出血の再発を起こしやすい患者などは、急性・治療期の期間が長くなります。これを「2ヶ月」という固定された期間を設定する国の基準は、患者個々の病態を想定し考慮したものではなく、救われる患者と救われない患者とを区別し、差別した国策であるといえます。「病気の治療施行」および「病気の治療期間」は、同じ診断疾患であっても、それぞれ患者ごとに異なるのであり、「2ヶ月」という一定の期間を設けることは、その病気の「医学的・治療学的な知識がない」者が考える「浅はかなもの」にすぎません。当該病気の治療経過をまじかにすれば、「2ヶ月」規定が、極めて医療現場の実態に則していないのかが、分かるでしょう。期限を区切ることのできる病気の治療は、絶対に有り得ません。この国の定める「2ヶ月」規定のために、もはや回復期リハビリ治療を受けることのできる患者の権利、すなわち患者の「生存権」は失われることとなります。なぜならば、十分な回復期リハビリ治療によって、日常生活に支障のないまでに回復する患者もおられるという事実があるためです。現代の回復期リハビリ医療制度は、回復の見込まれる患者までも排他的に除外する制度であるといえます。
憲法25条は、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」と規定します。国の定める上記の「2ヶ月」規定は、まさに、この憲法の規定に違反する行為であるといえます。この主張に対し、国は恐らく、医療費の国における負担に関する「言い訳」を主張し、この2ヶ月規定を「合理的なもの」であると主張するでしょう。しかし、この「2ヶ月規定」は、医学的根拠(エビデンス)が希薄であること、急性・治療期期間の患者個体差が考慮されていないこと等、医学的な合理性を見出すことはできません。国が主張する「2ヶ月」の規定は、単に国の医療費負担の拡大の抑止的観点あるいは診療報酬を基とする医療機関の経営への配慮によるものであり、その主張は、「合理的」なものとはいえないと考えます。よって、その規定は、国民の生存権を保障する憲法に違反した規定であるといえます。
回復期リハビリ医療制度にかかる第二の問題点は、「回復期リハビリ病棟に入院することできる期間が、国の定めにより制限されている」です。つまり、回復期リハビリ病棟での入院は、いつまでも入院することができず、一定の期間が過ぎますと、強制的に退院させられることとなります。しかも、その入院期間の制限は、原疾患の態様に異なります。例えば、一般の脳血管障害の場合は150日間、重度の脳血管障害で180日間、大腿骨・脊椎・骨盤等の骨折の場合には90日間等と定められています。ここでも「2ヶ月間規定」と同様に、一定の制限期間が一律に定められています。この制限期間を超えて回復期リハビリ病棟に入院することはできないこととなります。たとえ、リハビリ治療の成果がみえてきても、これ以上、リハビリ治療を受けることができないということになります。この制限期間の規制もまた、医療機関に対する診療報酬制度や国の医療費負担を論拠として制度化されたものです。この制度もまた、医学的治療あるいは個々の患者の状況に基づく医療制度とはなっていません。脳出血や脳梗塞などの脳卒中を原疾患として、回復期リハビリ治療を受け、徐々に手足が動くようになってきても、この制限された期間入院期間を過ぎますと、もはや継続して回復期リハビリ治療をうけることはできなくなります。
ここでは、急性・治療期治療から回復期リハビリ治療への移行にかかる法的・行政的な規制・制限、および回復期リハビリ治療が受けられる期間の制限について、お話しました。これらの国が定める規制は、患者の日常生活の復帰あるいは社会復帰に対して、有効かつ機能的に機能しているものではございません。患者切り捨ての行政が、まさに展開されているのです。はたして、国民は、このような欠陥だらけの医療制度をそのままにしておいてよいのでしょうか。この問題は、高齢化社会を迎えたわが国において、相互扶助に基づく国民皆保険制度の在り方にも、直結するものであり、医療制度の抜本的改革が求められる案件でもあります。同居するご両親が脳卒中で倒れること、こんな場面は、みなさんの家庭でも、容易に起こります。それが起きた場合、みなさんは、倒れたご両親のために、何ができますか。それに直面したとき、さまざまな医療制度の矛盾や疑問を感じることでしょう。次のブログでは、実体験を踏まえながら、実際の医療現場の実情についてお話します。医療機関の「金儲け主義」とそれを支える国の対応についてお話します。
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