京セラドーム大阪 | Stadiums and Arenas

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スポーツ観戦が趣味の筆者が、これまで訪れたスタジアム・アリーナの印象を綴るブログです。

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大阪ドーム/京セラドーム大阪
開場1997年
集客可能人数36146人
名称の変遷大阪ドーム(1997-2006年)
大阪ドーム/京セラドーム大阪(2006年-現在)
両翼・中堅両翼100メートル、中堅122メートル
フェンス4.2メートル
フィールドアストロピッチSL-KDV人工芝(ベースと走塁スペースのみ土)
アクセスドーム前千代崎駅(大阪市営地下鉄御堂筋線・長堀鶴見緑地
線)から歩いてすぐ
ドーム前駅(阪神なんば線)から歩いてすぐ
九条駅(大阪市営地下鉄中央線)から徒歩約10分
大正駅(JR大阪環状線)から徒歩約10分


(写真は、*1となっていれば2016年4月15日プロ野球パ・リーグのオリックス・バファローズ埼玉西武ライオンズの試合から。*2となっていれば2020年8月18日のオリックス・バファローズ埼玉西武ライオンズの試合から。)








上:外観(*1)
中上:内装(外野席)(*2)
中下:内装(一塁側スタンド)(*2)
下:内装(三塁側スタンド)(*2)

プロ野球オリックス・バファローズの本拠地としてしられるドーム球場。

大阪ドームは、元々近鉄バファローズの新しい本拠地として1997年に作られた。数多くのプロ野球選手を輩出する野球どころとして有名な関西圏と、その人口・経済的中心地ともいえる大阪市だが、1988年に南海ホークスが福岡に移転すると大阪市を本拠地とするプロ野球球団がなくなってしまった。そこで、大阪府藤井寺市を本拠地としていたバファローズを大阪市に誘致しようという流れになったのだが、南海が本拠地としていた大阪スタヂアムは老朽化が目立ち、平成のプロ野球球団のホームスタジアムにはふさわしくないとして、1993年に新築が決まったのである。大阪府の実業界が先導し、大阪府も費用を捻出して作られたこのベニューは、1997年からバファローズのホームグラウンドとなった。

開場直後の大阪ドームはすぐさま数々の試練に直面する。まず最初の問題は、タイガースの人気が圧倒的に高い関西圏でバファローズの試合は観客動員が伸び悩んだことだった。さらには、海沿いの地盤の弱いところに作られたことからお客さんが一斉にジャンプしたりと言うことを禁止せざるを得ず、それが理由でコンサートなどのイベントの主催者側からも敬遠されることが多かった(この日の試合は、ビジターのファンがジャンプしながら応援していたが……)。大阪ドームはスタジアム兼ショッピングモールのようになることを意図して作られており、施設内にお店が色々入れられるような設計になっていたのだが、開場された当時ドーム周辺はそれほど栄えた場所ではなかったので、イベントでの集客が伸び悩むと当然テナントが撤退していった。

建設した大阪府や企画した大阪実業界の見通しの甘さが露呈し、市民から「税金の無駄遣い」と厳しい批判を浴びたこのスタジアムは、2004年に運営団体の大阪シティドーム社が事実上の破産宣告を行うに至る。悪い時には悪いことが重なるもので、この年にバファローズが経営不振に陥り、最終的にはオリックス・ブルーウェーブに吸収合併される形でオリックス・バファローズになった。大阪ドームが経営破綻した上、もともとオリックス・ブルーウェーブが神戸市を本拠地とするチームだったこともあって、大阪ドームを本拠地とするプロ野球チーム自体がなくなってしまうかもしれないという状況にも陥った。合併後のオリックス・バファローズは、形としてはオリックス・ブルーウェーブがを母体となり、近鉄バファローズを吸収してできた球団だったからである。

だが、合併後はホームゲーム68試合を大阪と神戸で半分ずつ分け合う形をとり、2006年に球団のオーナー企業であるオリックス社が大阪シティドーム社を傘下に置くと、大阪ドームがメイン本拠地になっていった(とはいえ、年間15試合ほどを神戸で主催するなど、神戸は今も準本拠地的扱いを受けている)。2006年7月からは京セラ社とネーミングライツ契約を締結し、呼称を京セラドーム大阪に改めるなど運営スポンサーの獲得にも成功。オリックス社がドームの周辺を積極的に商業地区として整備したことから徐々に店子も戻り、大阪市も固定資産税を免除するという特例措置をとったため最近は経営も安定し始めているようである。

ちなみに、近鉄バファローズは戦後の1949年に近鉄パールズとして誕生して以来、1959年に近鉄バファロー、1961年に近鉄バファローズと名前を変え、1980年代にはリーグ優勝3回を誇った。鈴木啓示、吉井理人、阿波野秀幸、野茂英雄らのピッチャー陣と、「いてまえ打線」と言われた強力打線を中心とした個性派集団として知られたが、合併するまで4度リーグ優勝を果たしながら1度も日本一になることはできなかった。合併後も長年低迷が続いたが、2021年に山本由伸と吉田正尚という投打の軸を中心に快進撃を見せて、合併後初のパ・リーグ優勝を果たすと、翌年も連覇を達成。しかも2022年には日本シリーズ制覇も果たしており、近鉄バファローズ時代に達成できなかった悲願をオリックス・バファローズが実現したことになった。オリックスの歴史の中でも、ブルーウェーブ時代の1996年に優勝を達成して以来、26年ぶりの快挙達成だった。

バファローズのホームゲーム以外だと、1997年から毎年11月に行われる社会人野球日本選手権の会場としても使われており、また毎年春や夏に高校野球全国大会が行われている時期には、阪神タイガース甲子園球場でホームゲームを行えないので、代わりに大阪ドームでホームゲームを行っている(全部で9試合ほど)。特に8月の時期には3週間近く甲子園が使えなくなり、例年タイガースはこの時期に長期間のアウェー遠征を余儀なくされるのだが、大阪ドームができたおかげでこの「死のロード」は若干緩和されている。

また、開場以来読売ジャイアンツが毎年ホームゲームをこの会場で行うことが慣例となっている。関西では阪神タイガースの人気が高く、そのライバル球団であるジャイアンツが大阪で毎年ホームゲームを行っていることを意外に思う人もいるが、全国区の強豪であるジャイアンツのファンは実は関西圏にも多い。さらには、2014年以降は、南海ホークスの後継球団である福岡ソフトバンクホークスがオールドファンのためにホームゲームを毎年行っている。

プロ野球の試合以外だと、夏の全国高校野球選手権大阪大会の開幕戦と、冬の社会人野球日本選手権で使用される。スポーツ以外でも大型コンサートによって利用されたりするので、回転率が高く、これが経営安定に貢献していると思われる。

両翼100メートル、中堅122メートルの国際基準を満たし、外野は全面人工芝。プレー環境としては申し分ないし、試合を見に行く観客の立場からすれば交通の便が素晴らしい(詳しくは後述)。さらには屋内球場なので天気や気温を気にせず快適に観戦できるところは嬉しい。集客数に関しては、外野が二層、内野は三層構造になっているが、野球の試合でのキャパは36145人と、それほどお客さんは入らない。同じ造りの東京ドームやナゴヤドーム、それに外野が一層にしかなっていない甲子園でさえ40000人以上が入るのだが。ただ、コンサートなどではグラウンドに臨時客席を展開するので55000人が収容できるとのこと。

      




上:三塁側内野席第一層からの試合の眺め。バファローズ先発近藤一樹投手と、ライオンズの先頭打者秋山翔吾選手(*1)
中:第二層バックネット裏からの眺め。ライオンズ先発高橋光成投手と、バファローズの打者吉田正尚選手(*2)
下:第二層バックネット裏からグラウンドを眺める(*2)

このスタジアムは、いくつかの原因からファンの方から試合が見づらいと批判されることが多い。ここは野球以外のスポーツも主催も視野に入れて扇形の野球フィールドの周囲を円状のスタンドで囲う構造(いわゆるクッキーカッター型)で作られており、この形の野球場は内野ファウルゾーンが広くなり、スタンドからフィールドの距離が遠くなり、試合が見にくいと指摘されることが多い。

また、この球場は内野席のセーフティーネットがかなり視界に入る。鋭いファウルボールからお客さんを守るためのセーフティネットは、他の球場にももちろんあるが、大抵の球場のネットは一三塁側内野寄りの座席の前にあるだけなのに、ここのものは一三塁側全体をカバーしている上に、他の球場のものよりも高さがある。お客さんの安全のためにはいいことなのだが、ここまでされると試合が見づらくなってしまうというのが正直なところである。

ただ、セーフティネットは確かに視界に入ったが、内野席前層からの眺めは、試合が見にくいというほど悪いものではなかった。関西圏では甲子園球場やほっともっとフィールド神戸のように、観戦環境に関する評判が非常にいいプロ野球本拠地球場が多いので、このスタジアムに対するファンの評価が辛めなだけなのかもしれない。内野席第一層からの眺めが気になるのであれば、第二層内野席に座ってしまうのもいいだろう。俯瞰でグラウンドが見えるので、試合がよく見えるはずだ。

また、このスタジアムは、屋内球場にしては音響がいいと感じられた。屋内球場は東京ドームのように歓声が大きく響きやすいが、反面うるさすぎるという欠点を作り出す上に、音がこもるところが多い。だが、ここは天井が高く音がこもりにくい設計になっているからか音響がよく、開場当初はコンサートでの使用が敬遠されていたもののその後は評価が上がっているようである。更には、京セラドーム自体が複合商業施設のようになっていることもあって、食事処には全く困らない。








上:レフトスタンドのビジター応援席(*1)
中上:ライトスタンドのホーム応援席(*1)
中下:スコアボード(*2)
下:チアリーダーのBsガールズのパフォーマンス(*2)

関東に住んでいると関西でスポーツを見る機会なんて滅多にないので、今回はとてもいい経験になった。関東で見ていて何となく「ファンの見る目が厳しい」と言うイメージはあったが、イメージ通りだなと言うのが第一印象である。この試合私は負けたビジターのライオンズファンが多く座る三塁側にいたのだが、チームの主軸がチャンスで凡退したり、大事なところでエラーをしようものなら、「ドンマイ、切り替えて次だ!」なんて甘っちょろいことは言わない。容赦ないヤジが飛ぶ。こんな環境で育ち、もまれていれば、たくましくもなるだろう(苦笑)。

オリックス・バファローズは、2005年に近鉄オリックスが合併してできたこともあって、ファンを増やすために新しいことには何でもチャレンジしている。この日も、プロレスラーの選手を呼んで観客を盛り上げてもらったりしていた。ギンガムチェック柄のかなり派手な色のユニフォームを作ったりしているし、チアリーダーのBsガールズは踊りだけでなくスタジアムで応援歌も歌ってCDも出しているなど、チアリーダーと言うよりはアイドルユニットのような雰囲気である。とは言え、球場内にあるチームのミュージアムには、パ・リーグでの優勝経験がある近鉄オリックス(とその前身の阪急ベアーズ/ブレーブス)の歴史についても述べられていて、両チームの伝統もないがしろにしていないな、と言う印象だった。ご興味があれば、ぜひ試合を訪れてみてほしい。

最寄駅はドーム前駅だが、ドーム前千代崎駅、九条駅、大正駅からも徒歩10分ほどでつく。いくつも路線があるので、バスを使う理由はあまりない。特に大正駅はJR大阪環状線が通っているので、大阪駅や新大阪駅からでも20分くらいでつく。関西国際空港からも新今宮駅経由のアクセスがよく、新大阪駅経由の新幹線でも同様なので、遠方からのビジターのファンでも遠征しやすい。

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